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2016年3月26日

449. JR東日本 籠原駅 地絡 火災 事故 原因

JR東日本 籠原駅 地絡 火災  事故
 
き電線碍子破損による地絡事故


遠因 籠原駅には、電車基地があり、また籠(篭)原変電所も付近にあった。
 
き電線の地絡事故が発生すると、変電所の直流高速度遮断器(54F)・⊿I形故障選択装置(50F)・き電線連絡遮断装置が作動し近隣の変電所および当該変電所のき電線を開放するはずであった。ところがき電線が接触した構内鉄構がコンクリート柱で高抵抗で接地された状態だったので、変電所の⊿I形故障選択装置(50F)が作動する手前の設定値で大電流が流れ、それが電力線、信号線、通信線に流れ続けたため、焼損が発生した。この場合 電車基地が籠原にあったため、設定値の値が大きな値で設定されていたことによる。このような事故防止のためには、き電保護パックとサージアブソーバを組み合わせるとともに架空地線を張り巡らして、故障時の電流を速やかに変電所に戻す方策と、すべてのき電線のコンクリート柱にき電保護パックを取り付ける方策があるが、どれも実用的ではない。

籠原駅地絡事故の、その後について

この地絡事故の早期検出にはき電保護パックの設置が必要である。
籠原駅の電留線架線柱には、新しくき電保護パックが取り付けられていた。
コンクリ架線柱にき電保護パック

鉄構にき電保護パックからの検出線が繋がる ボルトは新しい


さらにき電保護パック

鉄構に検出線がボルトでボンド

このように多連で設置されている例は、他所にもある。

552. JR東日本 き電保護パック 設備状況  ブログリンク

車両基地や、大規模変電所のき電線が架設されている場所で、大電流が流れている場所の地絡検出を積極的に行うように設備されている。

籠原変電所その後
籠原駅 地絡事故で大電流を流し続けた籠原変電所のき電線引き出し部に改良が見られた。
キュービクル型の断路器が設置されている。

170. JR東日本 籠(篭)原変電所(直流)ブログリンク

建屋からのき電線引き出し口 事故前

事故後 個別切替が迅速にできるようキュービクル型の断路器が設備された
 
 
このような直流大電流の流入による焼損事故は、国分寺駅変電所、鍛冶橋変電所の火災事故でもみられたものである。

変電所付近のき電線取り出し口には、このような地絡事故が発生した場合に備え、王子変電所や上野変電所のき電線架台には、き電保護パックが取り付けられている。

き電保護パック王子交流変電所 き電保護パック 説明 

き電保護パック
高抵抗地絡問題の解消の為 開発された装置                                
故障点の抵抗が0.5Ω程度の場合 き電線や電車線が構造物に接触した場合故障が検知できないで、大電流が流れ続け信号・通信ケーブル等の焼損が発生する。                    
これを検出し保護するために開発された装置。                                
き電電圧が1500Vと低く高抵抗のコンクリート柱などは地絡した場合、故障電流が小さい、その一方電気車負荷電流は2~4kAと大きく、運行密度が高い変電所の回線電流は数kA以上になる。 原理としては、高抵抗地絡故障による構造物の電位上昇により放電ギャップを作動させて故障電流を速やかにレール帰路に移行させて変電所の保護回路を作動させることによる。


参考 鍛冶橋変電所火災国土交通省 鍛冶橋変電所火災 pdf注意

参考 国分寺変電所火災国土交通省 国分寺変電所火災 pdf注意

参考 JR西日本 電車線地絡事故国土交通省 事故報告 pdf注意

参考 き電保護パック 直流き電回路用高抵抗地絡保護装置の開発 pdf注意