482. 国鉄 幻の東海道新幹線・東北新幹線(全国新幹線網)接続計画
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車上切替方式から地上切替方式 そして断念へ
東海道新幹線は、富士川を境に60Hzと50Hzの電源地域をまたいで走行している。開発当時は、周波数切替方式の車上設備を用いて走行を計画していたが重量などの点で見送られてしまった。
また今の時代で主流となっている大電流に耐久性のある半導体素子も開発はされなかった。
そのため、山陽新幹線への延伸も考え、路線の大部分を占める60Hz地域対応型車両で対応。50Hz地域への対応は、50Hzから60Hzへの周波数変換変電所を設けて新幹線への電源供給を行うこととなった。
参考ブログ
東北新幹線が建設される時点で、周波数変換装置(サイリスタ等搭載)を積載する車両を製作し東海道新幹線は、田端基地。東北新幹線は、大井基地をそれぞれ終端とする構想が練られ、王子付近に新王子き電区分所(60Hz・50Hz異周波き電区分)を設ける構想が練られた。
以下の文は、軽井沢き電区分所の記事を引用 新軽井沢き電区分所 ブログリンク
異周波の接続点の検討は、既に1972年当時 東北新幹線を東海道新幹線と繋げる構想時に検討されており、基本形は出来ていた。しかし異周波対応車両については、未知の分野であることと車両価格の上昇及び変圧器構造の複雑化と重量増で最終的には見送られた。そのため富士川以北は周波数変換変電所を、西相模・網島に設け50Hzから60Hzを横軸回転式周波数変換機(総重量約1,000t)で変換して各変電所に供給する体制をとった。浜松町にあった周波数変換変電所は、当初計画での東海道新幹線田端ヤード延伸および東北新幹線直通運転のため設けられたが、延伸取りやめの為、品川ヤード・大井車両基地への電力供給を担った。
付図1 50/60Hz切替設備改良案 新王子SP 異周波切替設備 原点となるもの 東海道新幹線は、BTき電。東北新幹線はATき電。 浜松町FCと新大宮SSからのき電突合せ。 |
付図2 50/60Hz切替点のき電回路 付図3 50/60Hz切替区間の装柱 現在の新軽井沢SPに生かされている、上下線対象配置。 但しNF(PW)は、直達磁界の軽減のため、配線されていない。 新軽井沢SPにおいては、PWの重要性が検討結果から得られており、 普通の電子回路なら一点アースするのが当然であるが、 ベタに同軸き電ケーブルの外被が接続されている。 |
青函トンネルに1972年当時の研究成果が生かされたのである。なぜ津軽海峡線かと言うと北海道は、50Hzであったが津軽海峡線ができた当時、独立して周波数統制がなされた非同期電源であったことによる。このため竜飛き電区分所で同周波異位相接続点が生まれた。現在では、北海道・東北電力の直流送電による連系、スマートグリッド対応でGPSで各発電所は、電源の同期を行っているので50Hz同士の接続は、位相さえ合えば問題は発生していない
その後この新王子き電区分所での周波数切替は、見送られ上野駅を設け東京駅での地上切替方式も検討された。 新田端変電所 ブログリンク
図8 東京駅 50/60Hz 異周波切替方式 地上切替 現在の新軽井沢き電区分所の方式と大分似ている。 車両は停止切替であり負荷電流も小さいので誘導障害は問題ないとの結論であった。 放電装置とあるが、これは現在のレール電位抑制装置RPDCのことである。 |
1.新王子SPで異周波切替 上野駅パス
2.東京駅 地上切替 上野駅設置
3.直通運転 中止
最終的に、JRは分割され周波数切替での双方の新幹線乗り入れは、幻となった。
その後、何回かは相互乗り入れの件をJR東日本が提案したが、JR東海は拒否している。
品川駅拡張の際の確執やら東京駅でのJR東海側からの電源容量の増加の拒否等で歯車が合わなくなっている。リニア開通時には、JR東海の新幹線も減便できるので直通運転が実現する可能性もある。SiC等の高耐圧半導体素子の開発されてきているので車両のさらなる軽量化も期待できる。
今から45年前に基本構想が練られた異周波を跨ぐ新幹線の運行は、今般の北陸新幹線で実現されている。50Hz→60Hz→50Hz→60Hz
北陸新幹線は、新軽井沢で東電と中電。新高田き電区分所で中電と東北電。新糸魚川き電区分所で東北電と北陸電との異周波接続点を持ち、東北電力管内の新上越変電所(50Hz)が脱落した場合、中部電力管内の新長野変電所(新高田変電所)(60Hz)と北陸電力の新黒部変電所(新糸魚川変電所)(60Hz)からの延長き電が行えるように設計されている。そのため新高田き電区分所、上越変電所(切離し)新糸魚川き電区分所間は、50/60Hz両周波数対応設備となっている。
参考文献
それぞれのブログに引用されているので元ブログを参照してください、