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2019年10月14日

923. 北越急行 北越北線(ほくほく線) 大島変電所(改め大島き電区分所)(直流)

大島変電所(改め大島き電区分所)
#ナイトタートル、#直流変電所、#66kV、#送電ケーブル、#鍋立山トンネル、#き電区分所、#き電線、#インピーダンスボンド、#大島変電所、#

最近は、交流変電所ばかりだったので、ナイトタートルで話題の北越急行系の変電所をUp
   情報プールから書き起こした。
アプローチ:ほくほく大島駅 容易  当初の駅名は頚城大島駅(計画時)六日町起点38,700m
東北電力 東北電力 大島線 T分岐 北急大島66kV 1回線 架空送電線
屋内式変電所 全GIS方式変電所
変成設備 整流用変圧器2270kVA×1、シリコン整流器3000kW×1、 予備は無い 
六日町変電所⇔津池変電所⇔十日町変電所間は、電圧降下を考慮してき電線は3条、

  当初は154kV 1回線受電の変電所であった。 (東北電力 頚城線154kVからの分岐)
北越北線は、計画当時 高規格160km/h運行を目指すため近傍に東北電力66kV送電線が通っていない変電所については、154kV受電(松代・大島SS)を計画していた。

 しかしこれは、北陸新幹線開通後には、過大な投資(特急はくたか運行終了)となるため東北電力側と交渉し東北電力 虫川変電所⇔松代変電所間に新たに、東北電力負担で66kV1回線の架空送電線(大島線)を引き、そこから分岐することで過大な投資を避けた経緯がある。しかし大島変電所受電廃止のため単なる連絡送電線となっている。

 JR東日本 在来線の直流き電変電所で154kVから直接直流を変成している変電所は見当たらない。同一の施設内で66kVに降圧してからの変成設備をもつ変電所は、武蔵境交流変電所、新宿変電所、岡部交流変電所、矢板変電所がある。これら変電所は、交流変電所の役目を持つので、単独での154kV受電の直流変電所はJR東日本には存在しない。

 過去には、羽越本線の平林変電所が154kV受電で一端44kV降圧し同一の敷地内の変成設備で直流き電を行っていたが、設備変更で66kV受電になっている。(過去 平林変電所は、154kVを降圧してき電補助線で44kVを村上整流ポストへ給電していた特殊な変電所であった)
私鉄では、北総鉄道北総線の矢切,紙敷,鎌ケ谷変電所が154kV受電である。私鉄では豪勢な受電である。

 当初7箇所の変電所を4か所に減縮。3か所はき電区分所として運用、津池、大島、大潟が該当
その後さらに、津池を廃止(64Pの解除)している。(64Pは直流母線地絡時に変電所マット接地電圧上昇をレール電圧との差分で検知する装置)

直流き電区分所の役割として重要なのが以下に記す点
1. き電系統の分離
2. き電線の他の線区への分岐(浜川崎き電区分所・新前橋き電区分所・鶴見き電区分所・六日町き電区分所・犀潟き電区分所等)
3. 複線等のき電線がある場合は、タイき電を行うことで き電電圧の上昇が可能(安中き電区分所・大門き電区分所・上越線の各き電区分所等)

 ほくほく線のき電区分所の役割は、どれも当てはまらない。単線運転であり、他線区への分岐もない。それでは1のき電区分の分離はどうだろう?

 大島変電所(き電区分所)これも同様にトンネル内の信号所に遠制の防災用のき電区分断路器ある。大潟変電所(き電区分所)はJR側にき電区分所があり、この近傍(約1.8km)にき電区分所を置く意味が無い。

 ほくほく線 大島き電区分所としての機能は、1のき電区分の分離だけであり、そのために変電所内に直流高速度遮断器、断路器、タイ断路器、64P地絡保護回路(変電所直流母線地絡事故対応)等を残してある。
 設備の簡素化を考えるならトンネル内の き電線をスルー化し、帰線の撤去、変電所引き込みき電線の撤去、64P保護の解除で保守点検作業を低減させることが可能である。設備工事は簡単だ。き電線の引き止め碍子を撤去してき電線を引き直しすれば事足りる。同様な例でき電区分所に降格したのが、大潟変電所である。津池変電所は、スルー化されて廃止扱いになった。

設計時の変電所間隔 SP=き電区分所、SS=変電所 数字はm
六日町SP-3,870-六日町SS-8,410-津池SS-5,920-十日町SS-11,360-松代SS-9,140-大島SS-8,980-浦川原SS-9,260-大潟SS-1,740-犀潟SP
概ね8~10㎞の間隔であった。首都圏周辺の直流変電所と同じ間隔

ほくほく線160㎞/h運行では、六日町-十日町間の赤倉トンネル部のき電が課題であったため土被りが一番小さい津池に変電所に変電所を、位置的に設けた。そのため津池-十日町間が短い

北越急行 北越北線 断面

現時点の変電所間隔 SP=き電区分所、SS=変電所 数字はm 大島、大潟SPは、省く
六日町SP-3,870-六日町SS-14,330-十日町SS-11,360-松代SS-18,120-浦川原SS-11,000-犀潟SP
松代SS-浦川原SS間が18㎞ほどになり長くなる。


ほくほく大島駅とその後 大島変電所(き電区分所)

手前左は融雪施設 右奥大島変電所(大島き電区分所)


機器搬入口

送電線引き下し部 かつてケーブルヘッドと引き下し設備、GISケーブル端(開閉所)があった

この部分に建屋があった

この部分に建屋があった


左奥 送電鉄塔にケーブルヘッド

別角度 送電鉄塔にケーブルヘッド

送電鉄塔の下に建屋と受電設備(GIS開閉設備)
大島変電所が一体型全GIS式なので、各設備切り離しが困難になる
そのため東北電力側にGIS開閉設備を設け、大島変電所事故時に、この部分で切り離した

 インピーダンスボンド中性点にき電が繋がるのだが条数が1本 これは64P検知のためだけの導線。本来の帰線は4条のケーブル
 変電所内に直流母線があるため地絡時の変電所マットアース電位とレール電位の差分で地絡検知

64Pのためだけの導線

右壁にコルゲート菅の跡 右引き出し部からき電線が出ていた
閉止された帰線引き出し部

鍋立山トンネル内に延びるき電線 左 浦川原変電所方 右松代変電所方 
この奥にエアーセクションがある
右 壁面 き電線引き出し部
右き電線は、分岐部まで4条一括のケーブル

浦川原方 き電線3条一括と大島き電区分所からのケーブル4条一括の接続ブスバー
トンネル入り口



松代方 き電線 トンネル入り口から4条ケーブルがき電線3条に繋がる
トンネル内部

松代方 き電線 トンネル入り口から4条ケーブルがき電線3条に繋がる

トンネル内 エアーセクション 電車線区分標
トンネル内部 エアーセクション部


鍋立山トンネル
着工から完成まで22年近くを要した屈指の難工事のトンネル
詳細は、他者に譲る ほくほく線トンネル 唯一の斜坑と排気ダクト2本が設備されている
排気ダクトはトンネル内メタンガス濃度低下が目的である

コンクリート壁 60はコンクリの厚さを示す

トンネル脇のパネルは、帰線、き電線引き出し部の雪囲 落雪防護用
右下は大島変電所改め大島き電区分所
手前 帰線用引き出し部 奥 き電線用引き出し部

大島き電区分所 内部詳細
機器配置図

GIS=キュービクル型ガス絶縁開閉装置
FL=電力沪波器 SL=直列リアクトル、OT=所内変圧器
SRTr=シリコン整流器用変圧器
SR=シリコン整流器


内部機器配置 変電所内にあったもの

66kV受電部 手前円筒形の部分は下部にMOFが取り付けられる。
MOFは東北電力の財産なので取り外されている。


円筒形部分に付けれれていた銘板



このように下部にMOFが取り付けられていた

キュービクル型ガス絶縁開閉装置 
これ一台で断路器、避雷器、遮断器が格納されている
外見は、新幹線 トンネル内に設備されるトンネル防災断路器の函体を使用している

66kVケーブル受電部分

66㎸ケーブル受電 東北電力の鉄塔から引き下されてここに繋がる

キュービクル型ガス絶縁開閉装置 裏側 LAは避雷器

キュービクル型ガス絶縁開閉装置 内部結線
CT=変流器、CH=ケーブルヘッド、LA=避雷器、ES=接地断路器
DS=断路器、CB=遮断器、PCT接続箱=MOF(電力量計)へ
TR=変圧器

TR=変圧器へのバスダクト66kV 一次側 入力端

66kV接続部 3相 ガス絶縁
66kV降圧1200V シリコン整流用変圧器 SRTr1


シリコン整流器用変圧器 2次側 1200V 出力端

二次側 1200V シリコン整流器へ
上方左のケーブルは、所内変圧器OTへ向かうケーブル

空冷シリコン整流器

シリコン整流器 銘板
AC1200V
出力 DC1500V 2000A

SR=シリコン整流器Silicon rectifier


シリコン整流器 入力端からの1200Vを所内変圧器で降圧


OT=所内変圧器

シリコン整流器 DC側 ケーブル立上り

奥の部屋には、正極、負極断路器と直流高速度遮断器が設備されている
手前の箱は、昔は電力沪波器=FLとして機能
今は64Pの検出回路が組み込まれている

左には、昔は帰線用のケーブルが延びていたが
今は64P検出用の1条のケーブルが線路脇のインピーダンスボンドに延びている

直列リアクトル

直列リアクトル
直列リアクトル銘板

帰線は、直列リアクトルを経て線路脇のインピーダンスボンド中性点まで延びていた
後の扉は、帰線が収納されたいたダクトに繋がる



おまけ
立派な駅舎


鍋立山トンネルを悩ました粘土状の土の断層
まつしろ駅 道の駅にあった資料
道の駅にあった説明写真の展示

粘土状の土で機械ごと押し出されている



100mにわたってトンネルボーリングマシン(TBM)で掘り進んだが膨圧によりマシンごと100m以上押し出されてしまう


参考文献
内田滋:北越北線(六日町・犀潟)160㎞/h化計画:鉄道と電気技術,Vol.1,No.6,pp24-28,1990
工藤智明;在来線(単線)で160km/h運転の認可を得たほくほく線:JREA,Vol.40,No.4,pp.51-55,1997
日本鉄道建設公団編;北越北線工事誌:六日町―犀潟間、pp.510-592