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2021年10月24日

1151. JR九州 佐世保線・長崎本線 佐賀変電所 位置の特異性と肥前山口き電区分所の特殊なき電区分

 これも、過去文献、Google My Mapに変電設備をポイントしていた時に見つけたことを確認した。記事は、Google Street Viewを観察してUpしているので、細かな点は抜けている。

 現在 肥前山口き電区分所は、佐世保線 大町方に移転している。この記事は過去のGoogle Street Viewを参考に書かれている。Google Street Viewも日々更新されるので画像として座標を指定していると新画像に置き換わる可能性がある。 

 長崎まで新幹線が開通したので、この記事は過去の状態を示すものとなった。

変電所位置として新設は、佐賀、諫早、三間坂変電所を置く
肥後山口ー鳥栖間は39.6km但し駅間距離
肥後山口ー長崎間は85.7㎞但し駅間距離

鳥栖ー佐賀間がBTき電、それ以降はATき電となっている。この理由は、鹿児島本線・長崎本線いずれの方向からもき電の確保を保つためと参考資料に書かれている。
 当初 変電所は佐世保線、長崎本線分岐の肥前山口付近に置く予定だったが、この付近の地層の粘土層が厚く(12~20m)軟弱であるため、変電所の重量がある設備の土台の問題で見送られた。そのため肥前山口から離れた佐賀に置かれることになった。実際に架線柱も肥前山口周辺は、は門型架線柱で粘土質に対応している。
 この軟弱地盤は、九州新幹線と長崎新幹線を結ぶ経路の選定に重要なポイントとなっている。

佐賀は、粘土質区域から外れている。

 長崎本線は、き電距離が長いので肥前飯田き電区分所にACVRが設置されていた。現在は撤去されてない。その代わり、肥前山口から肥前飯田間の肥前七浦にSVCーポストが設備されている。

 
SVC-ポストはデッドセクションもエアーセクションも必要としない

SVCポストについては以下を参照して下さい。


電化当時のき電系統図 現在と違う点は、肥前飯田SPにAVCRが無いこと。そのかわり肥前七瀬にSVC-ポストが置かれていること 文献の図が不明瞭なため以下に文字起こしをした。
起点は鳥栖
佐賀変電所22㎞(AT-BT境界変電所)
30.3㎞ ATPは久保田ATP(差分8.3㎞) 
肥前山口き電区分所39.9㎞(差分9.6㎞)

佐世保分岐 佐世保線 肥前山口起点㎞
11.3㎞ ATPは高橋ATP(差分11.3㎞)
三間坂変電所19.2㎞(差分7.9㎞) 
28.7㎞ ATPは三代橋ATP(差分9.5㎞)
39.1㎞ ATPは早岐ATP(差分10.4㎞)
48.3㎞ ATPは末端佐世保ATP(差分9.2㎞)
 
佐世保分岐 長崎本線 鳥栖起点㎞
41.9㎞ ATPは肥前山口ATP(差分2㎞)
53.4㎞ ATPは肥前鹿島ATP(差分11.5㎞)
肥前飯田き電区分所66㎞(差分12.6㎞)ACVR設置 肥前山口き電区分所から26.1㎞
76.5㎞ ATPは肥前大浦ATP(差分10.5㎞)
84.6㎞ ATPは長里ATP(差分8.1㎞)
94.4㎞ ATPは肥前長田ATP(差分9.8㎞)
諫早変電所104.1㎞(差分9.7㎞)肥前飯田き電区分所から38.1㎞
114.4㎞ ATPは現川ATP(差分10.3㎞)
124.2㎞ ATPは末端浦上ATP(差分9.8㎞)諫早変電所から20.1㎞

 ATPの間隔は最小2㎞~最大12.6㎞、この特異的なATP最小2㎞は、長崎本線にあり肥前山口き電区分を出てデッドセクションを通過後すぐに設置されている肥前山口ATPである。それを除くと、7.9㎞~12.6㎞(10±2㎞)に収まっている。

 長崎本線は、き電区分所が2ケ所連続する。肥前山口、肥前飯田き電区分所がその区間となる。

 佐賀変電所から肥後山口き電区分所までは、方面別上下分離き電で上下線の渡り線には、必ずセクションインシュレーターが噛ましてある。

佐賀変電所AT-BTき電変電所 方面別き電
AT側には第一ATが上下線で各1個設備されている。


上下方面別き電 AFき電線も上下別々 方面別き電でも両トロリ線の電圧は20㎸

上下渡り線部には、方面別き電なのでセクションインシュレーターが入っている

肥前山口駅手前(佐賀方)踏切からみた き電状況 方面別き電

肥前山口駅構内 上下一括き電になっている。加圧ビームで保持
(今まで上下方面別き電だった。どこかにセクションがあるはず)
デッドセクションは、佐世保線、長崎本線分岐側に設置されている
トラス上には佐賀方方面別き電AF,TFが2組 TFはどこからか引っ張っている。


佐世保線、長崎本線分岐側 トラスの上の き電線は各AF,TFき電線 左 長崎方 右 佐世保方
構内同一加圧ビームで架線を保持 各デッドセクションまでは構内同一電源で き電
トラスが黄色で着色してあるのは、左右のき電区分が違うため

よく探すと佐賀方の架線柱 トロリ線からTFが引き出される
(上下線共)上部を通過するのはAFき電線



佐賀方に電車線区分標がある
下の画像左架線柱

この部分から駅側(右)の上下線にエアーセクションがある。
前面展望動画でも確認。つまり佐賀方と構内はエアーセクションで き電区分がなされている。

肥前山口き電区分所
現在 肥前山口き電区分所は佐世保線 大町方に移転している。この画像は旧画像を示す。
3台のATが判別できる。これは長崎本線複線区間の末端ATと考えられる
もう一台は、佐世保線の末端ATと考えられる。
長崎本線のATが無いが、これはこの地点から2㎞長崎方のATPが末端ATの機能をしている


踏切側からのき電区分所 3台のATが並んでいる。一番右はHMCR装置がある。

き電区分所内部
AF,TFの母線にVCBを介してATが接続されている。
鉄構の黄色の表示が9枚ある
一番左 長崎本線TF,AF 長崎方
次    佐世保線AF,TF 佐世保方
次 長崎本線TF,AF 佐賀方上り
次 構内き電TF
一番右 長崎本線 TF,AF 佐賀方下り


一番右側の状態
一番右のVCB(長崎本線・佐賀方)の隣に縦型VCBがあるがこれが構内き電TFを担当している
次のVCB(長崎本線・佐賀方)の隣にあるのはVTでAF,TF間の電圧を測定している



き電区分所内き電母線 AF,TFに並列にVCB、ATが連なっている
一番左は HMCR装置が き電線母線に繋がっておりVCBをへて長崎本線(長崎方)につながる

踏切側 き電線引出 一番右は長崎本線(長崎方)のき電線(AF,TF)になる 中央部架線柱
左は佐世保線(佐世保方)のき電線(AF,TF)になる

き電区分所の鉄構は、黄色で区分されている。
一番右TF,AFの次が構内き電用TF 黄色で区分された中に1本だけの部分

長崎本線 肥前山口ATP 肥前山口き電区分所から2㎞の地点

大まかな肥前山口き電区分所模式図
 肥前山口駅構内が同一き電となるようにき電区分を行える構成、長崎本線、佐世保線事故時、いずれの方面の列車に支障を与えないよう分離した独立き電となっている。

ATのVCB側に断路器があるが省力している。また各き電線にVTが設置されているようだがGoogle Street Viewを観察してUpしているので、細かな点は抜けている。

 肥前飯田き電区分所と肥前山口き電区分所が連続して設置されているが、これは肥前飯田き電区分所にACVRを設置したためだと思う。肥前山口き電区分所は分岐点としての役割を持つので設置が必要なことは確実なことである。現在の運用としては肥前飯田き電区分所は、延長き電状態が定位であると判断した。

 現在、佐世保線複線化工事のため肥前山口駅ー武雄温泉駅間で複線工事中である。この場合現在ある変電所以外に肥前山口駅ー武雄温泉駅間に変電所工事が必要になってくる。肥前山口までは複線であるので、武雄温泉側に変電所を設けき電容量の増加が必要となってくる。
 肥前山口のき電区分所は、佐世保方が単線となっているのでき電区分所の改良も必要となる。
 武雄温泉ー長崎駅間は新幹線が開業する。この新幹線用の変電所は、明電舎が受注し新諫早変電所として長崎ー武雄温泉間を25㎸で送電するので、武雄温泉は、末端となるため非常用として25kVの予備変電所が設けられる可能性が高い。新幹線と在来線兼用変電所ができる可能性もある。もしくは20kV昇圧25kVの盛岡変電所のような構成ができるかもしれない。

参考資料
石塚 紘昭ら;長崎本線・佐世保線線区経営改善について:電気鉄道,Vol.27,No.12,pp.2-6,1973
石塚 紘昭ら;長崎・佐世保線の電化計画について:電気車の科学,Vol.27,No.3,pp.20-22,1974
石塚 紘昭ら;長崎・佐世保線の電化計画について:鉄道ピクトリアル,Vol.24,No.3,pp.12-14,1974(内容は上記文献と全く同じ・一文一句))