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2017年10月7日

618.  JR東日本 特殊ビームの利用(重スパンビームと加圧ビーム)交流電化区間

特殊ビームの利用
最近、黒磯以北または常磐線の交流電化区間を、歩いていると特殊な架線保持方式を見かけることが多くなったので調べてみた。
まずは、実例
郡山駅構内 重スパン線ビーム
郡山上り方 重スパン線ビーム 構内同一き電

最終的な電車線路特殊ビーム
 郡山駅構内は線間ゲージが狭いので、支持柱の建植可能なビームの長さが60mにもおよび通常のビームは建植不可能と判断された。スパン線ビームであれば可能だが、駅ホーム上にて鉄柱を建植するため、1個で2m四方の面積が必要であり、乗客に支障を及ぼすことになる。そこで特殊形状のビームを建植することになった。A~C案まで検討したが

A案 ホーム中央に大きな鉄柱が必要
  鉄柱の高さが高くなるので風圧の影響を受ける
  ホーム上家ノ取り壊しが必要

B案 ホーム上の鉄柱が高くなり風圧の影響を受ける
         鉄構を吊り下げるワイヤーが長くなり弾性伸びが発生する
水平の鉄構をホーム上で支える部材が大きく強度を要する

C案 A,B案から高さを低くすることを念頭に設計
B案よりもワイヤが短くなるが水平の鉄構をホーム上で支える部材が大きく強度を要する
ビーム上の鉄構が大きくなり重量がかかる


最終的に今の形になったそうだ。高張力鋼を使用したが、一般構造用圧延鋼より部材が少なく結果 費用が安くできたとのこと。

郡山駅構内スパン線ビーム
郡山上り方 構内同一き電 スパン線ビーム


郡山上り方 構内同一き電 スパン線ビーム

郡山上り方 構内同一き電 スパン線ビーム
スパン線ビームは、先に述べたように長い支柱間が取れるが、鉄構が大きくなるのでホーム上では採用されなかった。しかし郡山駅構内では、一部使用されている箇所がある。
欠点は、取り付け調整が困難、架線集中箇所(ポイント等)の調整が困難、鉄構の高さが高くなる、改良工事に不利、保守に手間がかかるので限られた駅に利用されている(水戸駅構内等)

大館駅 重スパン線ビーム
酒田駅 重スパン線ビーム

酒田駅 重スパン線ビーム


郡山下り方 構内同一き電 加圧ビーム



左 上り方 右 下り方 加圧ビーム
加圧ビーム

郡山上り方 構内同一き電 加圧ビーム
福島駅構内加圧ビーム 右の標準軌と左の狭軌が同一の加圧ビームで保持

会津若松駅 加圧ビームと郡山駅での特殊鉄構を組み合わせた形


加圧ビームの例


交流電車線路のがいしの汚損管理が、重要な課題であり、かいし数を増やしたり重汚損用長幹がいしを利用、そしてシリコンコンパウンドの塗布などで清掃期間の延長を行っているが、台風や季節風による急激な汚損には対応できず絡放電や沿面放電で送電不能となる場合がある。
そこで、加圧ビームを取り入れがいし数の削減を行っている。加圧ビームは、他のビームと区別するため黄色に塗られるとのことであったが、かろうじて福島駅構内の加圧ビームが黄色に塗られていたがそのほかのところでは、塗られていないようだ。

大館駅構内 加圧ビーム黄色に着色


参考文献
京道 彰;東北本線郡山駅構内の電車線路特殊ビーム:電気鉄道,1960,Vol.14,No.3,pp.4950-4952
長谷川 昭二ら;電車線路用加圧ビーム:電気鉄道,1968,Vol.22,No.4,pp.32-35