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2019年9月29日

914. 東北巡検その九 JR東日本 田沢湖変電所(ATき電)

田沢湖変電所(ATき電)
#変電所、#単巻き変圧器、#AT、#スコット結線変圧器、#デッドセクション、#き電区分、#き電、#交流、#AC20kV、#154kV
 
アプローチ: [羽後交通]角館・田沢湖線(田沢湖駅前行)バス使用 上刺巻下車 遠い不便
受電:東北電力 羽中線0533 154kV1回線 分岐 専用送電線0534
き電:秋田新幹線(田沢湖線)

秋田新幹線のために新しく設備された変電所。 末端駅(秋田駅)での非通常時の電圧低下対応

  通常特別高圧変圧器1次側の中性点は、接地が求められるがスコット結線変圧器の場合中性点がないので1次側から便宜的に引き出してアレスタを噛まして異常電圧に備えている。そのため中性点の名称でアレスタ接続用のブッシングがでている。明電舎ではこのアレスタを付けない形のスコット結線変圧器を開発している。

秋田泉き電区分所と組で、秋田変電所脱落時に秋田駅構内をき電する役目も持つ
 



904. 東北巡検その三 JR東日本 秋田泉き電区分所 JR貨物 秋田貨物駅(ATき電) ブログリンク

909. 東北巡検その四 JR東日本 秋田変電所 秋田駅構内き電区分(ATき電) ブログリンク

911. 東北巡検その六 JR東日本 大曲き電区分所(ATき電) ブログリンク


田沢湖線電化の際は、小岩井、大地沢、田沢湖、角館、羽後長野のATPは、無かった。
また、田沢湖変電所も無かった。
田沢湖ATPは、田沢湖SSPであった。

田沢湖線電化当時の変電設備配置(NG)


東北電力 羽中線0533 154kV1回線 分岐 



受電部

左 VT(コンデンサ型) ブロッキングコイル、断路器
受電端に避雷器がないのは珍しい

左 断路器、遮断器、VT(コンデンサ型)、CT(変流器)そして避雷器

遮断器、VT(コンデンサ型)、CT(変流器)そして避雷器
VTとCTでMOFを形成

避雷器と直結された、スコット結線変圧器
中性点の表示と避雷器(アレスタ)
154kV降圧44kV(対地22kV)
右 所内変圧器(逆スコット結線変圧器) 新幹線の変電所でよく見かける

別角度
中性点Ar Ar=アレスタ・避雷器


秋田変電所のスコット結線変圧器もアレスタ(Ar)が一次側から出ていた
3次巻き線スコット結線変圧器 1次側にアレスタ(Ar)直結 154kV降圧40kV、154kV降圧6.6kV各2基 
6.6kV降圧は、単なる三相変圧器 同一タンク内
秋田変電所例


別角度

右 キュービクルは直列コンデンサの保護装置(M座側)
裏側にT座の直列コンデンサと保護装置がある
左右対称

キュービクルは直列コンデンサの保護装置(M座側)

左 M座(TF,AF) 右T座(TF,AF)  所内母線


力率改善用コンデンサとリアクトル、放電コイル(手前T座、奥M座)

左 変電所母線に繋がるGPT 2台
変電所き電母線から411,413各き電線が分離(M座411盛岡方、T座413大曲方)

奥 き電母線から分岐するT座413(AF,TF)
 断路器、遮断器、VT(計器用変圧器)、断路器へてAT(単巻変圧器・Arと表示されている機器)へ

延長き電(田沢湖Pass)の設備が無い?



AT単巻変圧器と右GP装置(ATの中性点が繋がる)電位上昇を放電してアースに流す役目
 


別角度 GP装置はAT2台と共通 左 T座413(AF,TF) 右 M座411(AF,TF)

き電線引き出し
左 T座413(AF,TF) 右 M座411(AF,TF)

き電線引き出し
左 M座411(AF,TF) 右 T座413(AF,TF) T座AFは、デッドセクション 大曲方に繋がる

T座 413AF、413TF

T座 413TFがトロリ線に繋がる

変電所 直下のデッドセクション

別角度

踏切よりデッドセクション遠望


参考文献(順不同)
二階堂 彰一ら;秋田新幹線の電気設備工事:電気と工事,Vol.37,No.12,pp.57-65,1996
野村秀成;田沢湖線電化開業について:車両と電気,Vol.34,No.1.pp.15-18
戸石泰司;奥羽本線(秋田・青森間)電気運転設備の概要〔Ⅰ〕電気設備について:電気鉄道,Vol.25,No.10,pp10-20,1971

2019年9月28日

913. 東北巡検その八 JR東日本 角館ATP(ATき電)

角館ATP((Auto-transformer Post)
#単巻き変圧器、#AT、#き電、#交流、#AC20kV、#ATP、#ATポスト、#変圧ポスト
 

アプローチ:角館駅 容易 田沢湖線、秋田新幹線
ATき電区間は、約10㎞間隔で通信線の誘導障害 軽減、また電圧確保のため単巻変圧器が設備されている。
SP(き電区分所)SSP(補助き電区分所)が設置されない場合ATP(ATポスト)が設置される。
田沢湖線電化の際は、小岩井、大地沢、田沢湖、角館、羽後長野のATPは、無かった。
また、田沢湖変電所も無かった。
田沢湖ATPは、田沢湖SSPであった。
田沢湖線電化当時の変電設備配置


ATP銘板は、線路側にある


単なる単巻変圧器がAFとTF間に挟まって設置されている

単巻変圧器からのAF,TF AF=(ATき電線)

上部を通過するAF(ATき電線)から分岐(左) 単巻変圧器へ
単巻変圧器からのTFがトロリ線(右)に繋がる 

参考文献(順不同)
二階堂 彰一ら;秋田新幹線の電気設備工事:電気と工事,Vol.37,No.12,pp.57-65,1996
野村秀成;田沢湖線電化開業について:車両と電気,Vol.34,No.1.pp.15-18

2019年9月23日

912. 東北巡検その七 JR東日本 院内変電所(ATき電)

院内変電所

  #変電所、#単巻変圧器、#AT、#ルーフデルタ結線変圧器、#デッドセクション、#き電区分、#き電、#交流、#AC20kV、#275kV、#変形ウッドブリッジ結線変圧器

非電化化が検討されている




アプローチ:院内駅 容易
き電:奥羽本線
受電:東北電力 奥羽幹線0188分岐 0199専用送電線 275kV

JR東日本 国鉄初の275kV受電の変電所

奥羽本線電化の際、羽後千歳SS以降秋田SSまでの長いATき電区間に対応するため、超高圧or 特別高圧の変電所の運用が決定された。受電は154kVもしくは275kVを考えたが、154kVは長距離の送電線を敷設しなければならず、近傍を通過する275kVに白羽の矢が立った。

この変電所では、2回の変圧器取替えが行われている。

初回 変形ウッドブリッジ結線変圧器 2台運用(昇圧変圧器付き・A座、B座)
2回目 ルーフデルタ結線変圧器 1台運用(A座、B座)

最初はACVRが設備されていたが、ルーフデルタ結線変圧器に交換された際にACVRは撤去されている。

超高圧受電のため一次側 中性点の接地が必要

単線の在来線の変電所としては、贅沢な作り

デッドセクションは、変電所から大きく離れた場所にあるので車中から確認

奥羽本線 羽前千歳-秋田間 電化当時の変電設備状況

秋田-羽前千歳間 200km AT電化の際に検討された
中間点の変電所 当時は湯沢近辺に設ける予定だった。
154kVは、日本海沿岸の羽後幹線から約50kmの敷設距離
275kVは、近傍の奥羽幹線から4kmの敷設距離

羽前千歳-秋田間 200km電化 中間点に院内変電所設備 275kV受電
東北電力の送電線が通っていないので、ATき電を選択
当時100㎞超えのATき電はかなりの長距離き電となる



上図と同じ筆者
現在の秋田新幹線開通時の大曲SP、羽後境SSPも同じ場所
この図で気づいたことは、真室川SSP及び大石田SSPの記号がデッドセクションの記号であることである。

部分拡大



別の文献 やはり 豊里(真室川)SSPと大石田SSPはデッドセクション記号がある。 
CRはCR装置と思われる 湯沢は院内変電所を差す



当該部分拡大
羽前千歳は、変電所から離れた場所にATがある。これは第一ATと呼ばれる方式で、他に秋田変電所、青森西変電所でも見られる形式である 豊里が現在の真室川
Google で確認したところ
真室川SSPには、デッドセクションが存在した。ただ設備的にはATしか設備されていない。

デッドセクションの標識あり



大石田SSPはエアーセクションのようだ。但しAT以外にも変電設備がある。

AVCRが設備されていると、セクション間で電位差が発生しデッドセクションが必要と書いているWebもあるが、一概には言えない。その後の調査でACVRではなくTSC方式のSVC設置であった。TSC=Tyristor Swiched Capacitor SVC=Static Var Compensator

大石田SSPの設備 ATだけでは無い ACVRとみてよいだろう TSC方式のSVC設置 TSC=Tyristor Swiched Capacitor SVC=Static Var Compensatorが設置されている



大石田SSP 新庄方 エアーセクションが見える
デッドセクションでは無い デッドセクションの表示が見えない
TSC方式のSVC設置 TSC=Tyristor Swiched Capacitor SVC=Static Var Compensatorされているためエアーセクションとなっているようだ

き電区分所、補助き電区分所は、やはり見て回らないと詳細は判明しない。

定本:電気鉄道のセクション;持永芳文によると
ACVRの記載がpp.76にあるが、ACVRは、1200Vないし2400Vの昇圧を行い電位差があるのでデッドセクションが必要であると述べられている。ACVRの箇所は全国で10箇所程度 主にき電区分所に設備されているのでデッドセクションを兼ねて設備されている。
単独のACVRは、肥後おれんじ鉄道の昇圧ポスト(ATP)、日豊本線(直川)のSSPに設備されていると記載があった。



かつての院内変電所

湯沢に275kV降圧44kV変形ウッドブリッジ結線変圧器をもうける際の結線図
FTr=変形ウッドブリッジ結線変圧器
STr=昇圧変圧器
湯沢=院内と読み替え



275kV 2回線受電 現在と変わらず

右 変形ウッドブリッジ結線変圧器 左 昇圧用変圧器 

AVCR装置 左奥 建屋
今しも、ルーフデルタ結線変圧器に交換の最中

275kV 奥は、受電変更工事中 碍管にオレンジの保護カバー
手前の鉄塔では、アークホーンの取り付け工事中
この工事により、変形ウッドブリッジ結線変圧器2台運転からルーフデルタ結線変圧器 1台へ運用が替わった。

拡大 アークホーンの取り付け工事中

現在の院内変電所

275kV 2回線受電

右 ポリマー碍子の避雷器 左 CVT コンデンサ型計器用電圧計(電力線搬送用結合装置を兼ねる?)


避雷器下部 280kV LAr 磁鋼片が見える


ブロッキングコイルを経て断路器


断路器 嵌合中
右 接地用の回路が存在(丸い球部分)断路器下部の金具が立ち上がり丸い球部分と篏合する


1回線は、コロナリング付きのラインポスト碍子で奥の遮断器右に繋がる
2回線受電が纏まる

遮断器 巨大なブッシングに萌え


遮断器の後は、MOF部 CVT(コンデンサ型電圧計)とCT(電流計)が組みで機能

275kV降圧44kV ルーフデルタ結線変圧器
アンバランス感に萌え

二次側一番手前 中性点接地用ブッシング その奥A座、B座各AF,TF



 中性点接地用ブッシングの接地状況

A座、B座 母線 左 ATへ 右 ルーフデルタ結線変圧器、力率改善コンデンサ、リアクトル
中心奥 44kV降圧6.6kV 配電用変圧器DTr

力率改善コンデンサ、リアクトル、放電コイル A,B座に設備

院内変電所では、交流き電変電所に付き物の直列コンデンサは、見当たらない

かつてこの前の空間にACVRが設備されていた。

A座、B座 母線 左 ATへ 右 ルーフデルタ結線変圧器、力率改善コンデンサ、リアクトル

ルーフデルタ結線変圧器より 母線 左 TF,AF B座 右 AF,TF A座 

A座、B座母線より左 AT及び延長、タイき電用断路へ
右 手前 力率改善用コンデンサ、リアクトル 奥 ルーフデルタ結線変圧器からのA,B座

A座44kV降圧6.6kV 配電用変圧器DTr

ATがA,B座母線からのき電線(AF,TF)に繋がる

ATの中性点に繋がるGP装置 A、B座共通

B座 AF,TF 秋田方

A座AF,TF 羽前千歳方
羽前千歳脱落時は、延長するのか?

変電所より引き出し
左 秋田方 右 羽前千歳方
奥 院内方 手前 秋田方 デッドセクション 

拡大 導入部に振れ止めがあるデッドセクション



奥 秋田方  手前 羽前千歳方 デッドセクション 
参考文献(順不同)
石塚紘彰ら;奥羽本線・羽前千歳--秋田間の電化:鉄道ジャーナル,Vol.9,No.12.pp42-45.1975
石塚紘彰;奥羽本線・羽前千歳--秋田間電化開業:鉄道ピクトリアル,Vol.26,No.1.pp40-43.1976
世良昌司ら;新電化線区の新しい電化設備:鉄道電気,Vol.26,No.2,pp.32-34,1973
電気鉄道のセクション;持永芳文著