目次と免責事項

2020年7月5日

979. JR東日本 総武線・中央緩行線の接点での特殊な き電方法 秋葉原の工夫 Tき電?記事分離

総武線・中央緩行線の接点での特殊な き電方法  秋葉原の工夫 Tき電?

エアーセクション箇所のトロリ線断線対策
 変電所直下のき電区分 エアーセクションでは、停止力行時にトロリ線溶断事故が多発したことからJR東日本では、いろいろな対策を取っている。今回 調査時に秋葉原⇔お茶の水駅間で特殊なき電方法が確認できたので記す。

ゾーン区分によるセクション管理
 2003年 東北本線 小山駅構内でエアーセクション箇所で停止したためトロリ線の破断が発生した事案を契機にJR東日本では、ゾーニングによるエアーセクション位置の管理を強化している。
文献より引用
エアーセクションまたは信号機の移動
 上記ゾーン管理に置いてエアーセクション部分に停車しないことが効果的であるので
Dゾーンにエアーセクションまたは信号機を移動することを断線対策の基本としている。

 日暮里変電所直下のエアーセクションが移動しているが、まさに、この管理の考え方で西日暮里駅割り入れに際して田端方に大きく移動されている。

977. JR東日本 日暮里変電所 66kV受電変更?ブログリンク 文中に移動を記載

 そのほか、飯田町変電所のエアーセクションが市ヶ谷駅直下の飯田橋方の部分に移動している。そのため四ツ谷変電所直下のエアーセクションが無い状態である。飯田橋駅の移転のための一時的処置のようだ。


 信号機移転、エアーセクション移転が困難な場合は、優先順位により設備改良を行い断線対策を実施している。

設備改良の例示
①電位差解消装置の導入
JR東日本管内で1か所導入されているが、場所は文献には記載されていない。しかし、発見した。
別記事に転載                                   981. JR東日本 横須賀線 保土ヶ谷変電所 戸塚方 エアーセクションの工夫 電位差解消装置の設置


②TC型エアーセクションの導入
 放熱特性が高いアルミ筐体を導入し、アーク発生時で溶断を防ぐことができる。
文献によると管内に6箇所導入されている。文献上では明記無し

調査の結果 青梅線下り、総武線上り、東北線上り、高崎線上り 東北貨物線下り 合計5カ所は見つけたが残り1か所は不明である。

826. JR東日本 TC型エアーセクション 導入例 青梅線、総武線、東北・高崎線 ブログリンク
両国のTC型エアーセクション

新都心⇔大宮間のTC型エアーセクション 東北・高崎線 上り



③エーアジョイント化 総武線・中央緩行線 秋葉原の工夫
 エアーセクションに常時閉の断路器等を導入し、当該箇所をエアージョイント化する設備改良となり、停車しても電位差が発生しないようにする。保守及びトラブル時は、電力指令からの遠制で断路器を開放する。
文献上では、場所は明示されていない。

今回 総武線で当該エアージョイント化された場所を見つけたので記す。

前ぶり
 総武線は、お茶の水で中央線(緩行)から分岐する。当該箇所にき電しているのは、神田交直流変電所となる。中央線緩行部と総武線間には、変電所き電区分のため通常はエアーセクションが設ける。 神田SS-両国SS、神田SS-飯田町SS


総武線 き電線ケーブル接続 ケーブル同士 神田駅 お茶の水駅間





神田交直流変電所からお茶の水方に延びるき電線
緩行A 神田SS-飯田町SS 緩行Aは、下り
総武A 神田SS-両国SS 下り
緩行B 神田SS-飯田町SS 上り
総武B 神田SS-両国SS 上り
  • 『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
    中央線・総武線各駅停車
    は千葉方面行きを「行(とうこう・ひがしゆき)」もしくは「A線」、三鷹方面行きを「西行(せいこう・にしゆき)」もしくは「B線」という。

お茶の水 飯田橋方 総武線上り き電線接続部 緩行B 神田SS-飯田町SS

お茶の水 飯田橋方総武線下り き電線接続部 緩行A 神田SS-飯田町SS


総武Bき電線立ち上がり 秋葉原方に延びる
総武Aき電線は、線路脇に転がし配線


総武ABは、2条×2で敷設


総武線 上り線 動力式断路器(遠制) 総武B 神田SS-両国SS が両国方に繋がり
この区分断路器で区分される 断路器は閉極=入り

拡大 き電線と断路器が一体施工 2条×2=4本一括
秋葉原駅から見た 動力式遮断器 上り線方52  電車線区分標 総武B


秋葉原方 下り 総武A 神田SS-両国SS き電線接続部
上り方とは違い単独で繋がり、動力式断路器は、この地点よりお茶の水方にある
後の架線柱 信号機の部分に区分断路器がある

総武線 下り お茶の水方にある動力式断路器 区分断路器51 単独 総武B
電車線区分標の後ろ側が見える

総武線下りにある動力式断路器 拡大



秋葉原駅にある 断路器遠制装置

2つの51,52断路器は投入=入り

ここで、変電所直下のエアーセクションの標識を探すが、電車線区分標しかない
き電線接続のエアーセクションには、セクション標識類が無い 電車線区分標だけ
上り総武線 総武B

き電線接続のエアーセクションには、セクション標識類が無い 奥に惰行標だけ
上り総武線 総武B線
通常エアーセクション部は、電車線区分標とセクションゾーン表示標が羅列する。 例示

 通常の変電所直下のエアーセクションにあるセクション表示が、秋葉原⇔お茶の水間にはない。つまりエアーセクションに常時閉の断路器が入った場所となるので通常時セクションが形成されていない。

この分が、文献で出てきた③エーアジョイント化されたエーアセクションに該当する。

エアセクション表示板 
乗務員に対しての列車停止位置の注意喚起
JR東日本では2001年蘇我駅でのトロリ線破断事故からセクション外停止位置表示板を設置し、さらに2004年大船駅構内のトロリ線破断事故から予告板を設置、2007年の東北線さいたま新都心大宮駅間トロリ線破断事故からゾーン表示板を設置、さらにJR東海の鳥飼SSPの事故から新幹線のSSP,SPBT区間でも表示を始めた。

549. JR東海 新幹線 新大阪・京都 6月22日 架線 切断トラブル 考察 鳥飼SSP ブログリンク


文献より

 総武線の両国変電所直下のエアーセクションは、上り線のみ TC型エアーセクションが入っているのは、この秋葉原⇔お茶の水間をエアジョイント化したため、電車が詰まった場合 神田変電所と錦糸町変電所の電位差が大きくなることが予想され両国SSと錦糸町SS上り線のエアーセクションを強化したと思われる。

つまり神田SSから見たら飯田町SS、両国SSに対してTき電を行っている。

文献より引用


その他
 今回のTき電モドキで中央線(高尾⇔東京間)を調査したら、四ツ谷変電所がTき電を行っていた。飯田町変電所のエアーセクションが市ヶ谷駅の飯田橋方にあるので飯田橋駅の移設工事が終了したら四ツ谷変電所Tき電状態は解消されるだろうか?


その他 私鉄でのエアーセクション対策


参考文献
菅間陽二ら;セクション個所におけるトロリ線断線防止と早期復旧の取組みについて:鉄道と電気技術,Vol.29(No.12),pp.13-19,2018
日本特許 JP-5752461 架線溶断防止システム
変電所一般 き電シリーズ(1):日本鉄道電気技術協会編