目次と免責事項

2023年11月8日

1331.  関西電力 関電トンネル運行 電気バス詳細(過去記事+追加情報)

 関電トンネル運行 電気バスについては過去に出来立ての時に記事にしている。

891. 立山黒部アルペンルートの電気設備 電気バス 関電トンネル導入(全面誤記訂正) 

電気バス自体の記事は無かったので調査した内容をUpする。

 予想通り、2025年から大観峰-室堂間のトロリーバスが廃止となる。きっと電気バス導入になるのだろう。


導入電気バスは15台

充電ステーションは8台分 残り6台分は建屋内に設備

奥に見えるのが高速充電器
充電ステーション1台に付き高速充電器が各1台付く 合計8台の充電ステーション

電気バス側パンタグラフへの結線 
上部のパンタグラフが接触する部分はコンタクトドームと呼ばれている。
+極ケーブル4本(オレンジ) -極ヶーブル1本(緑黄色) センス線1本(黒)

パンタグラフ上部の配線具合はコンタクトドームの銅の+極両端にケーブル接続


コンタクトドームのアルミの―極両端にケーブル
車体と急速充電装置間は無線で情報交換を行っている

ケーブルと+極の接続部にセンス線?

さて電気バスの運行
 毎時00分と30分扇沢発 毎時05分と35分に黒部ダム発 複数台が同時発車。中間点で車両すれ違い。発車時間の短縮はしないで電気バスの数で運行され多客時には電気バス台数が増える。電気バス導入に当たり、鉄道事業廃止届を提出。大型二種免許だけで運転できる。

車体:日野自動車の大型ノンステップバスをベース

改造:株式会社フラットフィールド

車体重量:リチウムイオン蓄電地搭載のためディーゼルエンジン車より500㎏重量増加。但し従来のトロリーバスより2tほど軽量化(鉛蓄電池の廃止、インバーター、車両構造の見直し)

モーター:出力230kWの永久磁石式三相同期電動機を採用し、モーターはインバーターと同じ水冷式を導入。

充電池:安全性を考慮して負極にチタン酸リチウムを使用した東芝インフラシステム製で総容量52.8kWh 充放電15,000回可能 

蓄電池の仕様 資料から引用
1台のバスに4パック装着されおり総容量は52.8kW
(13.2kW/パック=12個のモジュール 1モジュール=1.1kW)


充電装置
 1回の急速充電で30㎞走行 急速充電時は188kWで上部コンタクトドームとパンタグラフ間で充電する。往復12㎞走行後扇沢で約12分で急速充電する。


 冬は戻ってきた際 暖房に使う電力が必要なためSOCが55%以下になる。扇沢駅ではSOC30%分を充電 最終的にSOCが70%以上にならないと出発しない規則となっている。
大町トンネルは県境を頂点に両側が下り坂になっており下り坂で回生運転で10%程度回復する。

繁忙期は8台をフル稼働させる コンタクトドーム1個につき急速充電装置1台の組み合わせ

 充電は、中部電力北大町変電所からの22㎸送電で扇沢変電所(中部電力)に送られ6.6㎸に降圧後 バス乗車場の横に置かれた急速充電装置内で6.6㎸から420Vに降圧後整流されて最大407V×460A=187kWで充電を始めて充電容量が上昇するにつれて電圧と電流をコントロールしている。
 トロリーバス用電源は1Fのチケット売り場横に6.6kV受電降圧450V変圧器840㎸A2台(常用・予備)とシリコン整流器750㎸A2台(常用・予備)直流600V、1,250Aの変電所があったが廃止された。

ハセテック株式会社資料

2019年4月
関電トンネル(扇沢駅~黒部ダム駅)EVバス運行開始。本格的な商用運行としては国内初のパンタグラフ充電方式が採用される。
当社はEVバス用超急速充電器を製作し提供

関西電力様黒部ダム電気バス向け超急速充電器

ハセテックのカタログでは直流側の仕様が違う
消防法では200kW以下の場合急速充電設備の規制が掛かるが200kW以上だと変電設備として規制が掛かる。2022年以降規制緩和で出力上限を撤廃した。関電バスの場合 200kW以下だったので密閉系ではなく単なるシャッターで外界と区切っている。

 この右側がバス乗車場でコンタクトドームがある。正面シャッターの外は電気バス降車場になっている。片列4台で2列 合計8台

この場合は三相交流200Vからの急速充電方式だが原理的には同じ
東京消防庁第 2 章 急速充電設備の概要調査から引用

 コンバターで直流変換。インバーターで高周波交流(矩形波)に変換。絶縁変圧器で昇圧。但しハセテック社は入力が415Vなので単なる絶縁変圧器(1:1)で一次側と二次側を絶縁し、その後整流し平滑化してコンタクトドームに供給しているものと思われる。インバータ部(IGBT)で矩形波のデューティ比を替え電圧をコントロールしている。

 直流側は、非接地系となる。(絶縁トランスで絶縁)、2次側の出力装置、外部配線、車両の地絡を検出する機能を有する。モニター盤とは独立電源で別回路にして急速充電装置側の異常でモニター盤(保護・制御)への影響がない構成となっている。



充電状態の把握、パンタ上下、バッテリー残量等が運転席のパネル表示されるとともにモニター盤でもモニターされている。


 冬季は、電気バス15台は大町市平の野口分室に全車両を下ろし点検整備する。そのため野口分室には、CHAdeMOの充電設備が置かれている。車体のCHAdeMOは、あくまでメンテナンス用で大町市平の野口分室と扇沢間を移動するために使われる。一般道を走行するのでナンバープレートが必要となるが車体番号を外すとナンバープレートがあるようだ。扇沢から黒部ダムまでは私道。扇沢から大町市平の野口分室までは公道走行

        この場所が長野県大町市平180番地8 野口分室と思われる


関電トンネル電気バス 試乗会  2018年10月記事 確かに一般道を走っている。

2018年9月記事 ナンバープレートが付いている。車体のCHAdeMOで充電している。
以下引用


引用終わり 長野県魅力発信ブログ 北アルプスCOOL便から引用

このレポートの中に関電電気バスの記載がある。
以下部分引用3.2.2 関西電力黒部ダムの電気バス現地調査(詳細は別紙 2)
 黒部 ダムは 2 万 V の高圧電源が事務所の近くまで来ており急速充電器の設置コストが他所に比べて掛 らない、電気バスの保守点検がトロリーバスより簡易であり、またデッドマン規制の対象外とな る、回生制動の効果もあり電力量消費率が旧式のトロリーバスより優れている、等の理由により、 電気バスを無理なく導入出来ていることが分った。引用終わり
詳細は別紙 2の内容は一読の余地あり


参考資料(文中にも引用有り)
因幡 透;立山黒部アルペンルート関電トロリーバスから電気バスに更新:JREA、Vol.62,No.4,pp.43069-43072,2019

萬成 遥子;関電トンネル電気バス:エネルギー・資源,Vol.44,No.2,pp.142-144,2023