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2025年12月30日

1532. JR東日本 埼京線 ATACS導入後のインピーダンスボンドの現状とレール破断検出の実態

  埼京線は池袋ー大宮間がATACS化され従来の軌道回路で使われてきたインピーダンスボンド(ZB)が一部を除いて撤去される運命にある。すでにインピーダンスボンドをスルー化されている区間もある。

1528.  JR東日本 埼京線 ATACS使用開始後やっとインピーダンスボンド(ZB)スルー化

 分岐部のインピーダンスボンドが、どのようになっているか知りたいのだが分岐部は板橋のの電留線、赤羽の折り返し線、戸田公園駅と武蔵浦和駅、南与野駅の通過線、大宮駅の東京方ホーム端に分岐部があるのだが赤羽-大宮間は高架上とかトンネル内とかでありインピーダンスボンドがある場所に容易に近づけない。

 板橋のの電留線と駅構内にはしっかりとインピーダンスボンドがあった。板橋から北与野までの駅構内、または線路沿いのインピーダンスボンドがどうなっているか調査した。

 従来の軌道回路ではレール破断、亀裂等の検出にインピーダンスボンドが使えたがATACSになるとインピーダンスボンドが撤去されるので、別の方法でレール破断、亀裂等を見つける仕組みが導入されている。この件についても板橋から北与野間を調査したので記事をUpする。

インピーダンスボンドの現状

板橋駅

おまけ

下り線側 インピーダンスボンドは接続中


電留線最後のインピーダンスボンド 生きている
各インピーダンスボンドの中性線は繋がっており本線にクロスボンドしている

上り線側インピーダンスボンド 生きている
中性線に電留線末端のインピーダンスボンドの中性線がクロスボンド

電留線のインピーダンスボンド 生きている

電留線のインピーダンスボンド 生きている


電留線のインピーダンスボンド


分岐部の線条絶縁 有効

十条駅

インピーダンスボンドは生きている


一部は撤去済でレールボンド


インピーダンスボンド 生きている

枕木の表示は後で説明

赤羽駅
赤羽駅には、折り返し線がある。



上り線側 インピーダンスボンドケーブル撤去 レールボンド



下り線側 絶縁接手部分(黄色)にレールボンド
その手前 
右側に2本ケーブルが右方向に、その直下同じく右側に2本ケーブル これは後で説明

下り線側 インピーダンスボンドケーブル撤去 レールボンド


上り線側に入る引き上げ線のインピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止
黄色の絶縁接手部分にはレールボンド

上り線 インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド


北赤羽駅


上り線 インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド

下り線 インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド

上り線 インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド



浮間舟渡駅(都内の秘境駅)



インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド



インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド


インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド

インピーダンスボンド ケーブルが外されて運用停止、レールボンド

戸田公園
4面 特別快速追い抜き駅
 インピーダンスボンドスルー化のレールボンドが多数設置直前の状態



上り線側 待避線 
インピーダンスボンド生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド

上り 通過線
インピーダンスボンド生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド




 拡大 レールボンド取付寸前



下り線側 待避線 
インピーダンスボンド生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド


下り線側 
追い越し線 インピーダンスボンド生きていがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド


上り線側 追い越し線 
インピーダンスボンド生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド

インピーダンスボンド 生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド



インピーダンスボンド 生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド

インピーダンスボンド 生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド

インピーダンスボンド 生きているがレールボンドが取り付け寸前 片方はボンド

戸田駅


下り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド無で絶縁部を溶着済

上り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド無で絶縁部を溶着済


上り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


下り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


北戸田駅

上り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


下り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


武蔵浦和駅
4面折り返し機能、特別快速停車、各駅退避



上り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


上り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


下り線 戸田方 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化



上り線 戸田方 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化



上り方 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化

インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


下り 待避線 駅中央 インピーダンスボンド有 レールボンド無



大宮方 待避線
インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化


下り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化

上り線 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化

中浦和駅

上り線側 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化

下り線側 インピーダンスボンド 切り離し レールボンド化

南与野駅
特別快速通過駅 待避線


新幹線のインピーダンスボンドは生きている
通過線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド

通過線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド



通過線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド

待避線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド

待避線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド

通過線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド


待避線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド



通過線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド


通過線・待避線のインピーダンスボンドは切り離されレールボンド


ここのインピーダンスボンドはケーブルを外され レールボンド
この先の合流直前のインピーダンスボンド 標識「出」は生きている



与野本町方のインピーダンスボンドは生きている レールボンドが無い

与野本町方のインピーダンスボンドは生きている レールボンドが無い

与野本町方のインピーダンスボンドは生きている 
レールボンドされていない

中浦和方 インピーダンスボンドは切り離されレールボンド

与野本町駅


インピーダンスボンドは切り離されレールボンド

上り線側
インピーダンスボンドは切り離されレールボンド

下り線側 
インピーダンスボンドは切り離されレールボンド

北与野駅
        
インピーダンスボンドは切り離されレールボンド

レールボンド

上り線側
インピーダンスボンドは切り離されレールボンド



インピーダンスボンドは切り離されレールボンド
 
 さてここからが本題 軌道回路はレール破断や亀裂を検出できていたが、ATACS化によりインピーダンスボンドは撤去され絶縁継目は溶着されて長大なレールの出現となる。このレールが破断された場所がATACS化で不明となるのでJR東日本は対策を考えた。
以下その対策


 左右のレールに流れる電流の不均一を検知してレール破断を見つける方法で、既にATACSが導入されている仙石線と埼京線ではATACS導入前から使用していた軌道回路装置を残してレール破断検知を行っている。しかしその軌道回路(インピーダンスボンド)を取り外されることが行われている。

 電車の走行によってレールに生じる帰線電流に着目し、左右のレール間の不平衡を検知することでレール破断の検知を行う、在来線に適した「不平衡電流検知方式」のレール破断検知装置の開発を進めていたが埼京線の武蔵浦和~中浦和間において帰線電流を実測し不平衡電流検知方式の検知性能を確認し実用化されることになった。2022年の論文

このJR東日本の文献は不平衡化をどのように感知するか読んでも良くわからない。

 以下の方式と同じ方式を採っているものと思われる現場が確認できた。これはCBTCだが破断検知はATACSと同じ方式だと推定する。

これは、日本信号が東京メトロと開発を行なった
同様な原理によるレール破断を検知する模式図である

導入箇所
 北与野駅の大宮方にレール損傷検知装置が表示14S/15Sとあるので埼京線全体で15ヶ所導入されていると推定。ATACSは池袋ー北与野と間約22㎞に15ヶ所なので約1.6㎞間隔


では実際はどうなっているか
北与野駅
大宮方にレール損傷検知装置が表示14S/15S

レール間を接続する平衡ボンド

平衡ボンドを挟んで両側にセンス線がある。もう片方のセンス線の場所を撮り忘れた。ここでセンス線と言う単語が出てきたがケルビン接続のつなぎ方に似ているので私見で命名した。

約3mのレール抵抗の両端の電圧測定 V=IR 3mで75μΩ
800A流れているとして60mVの電位差 これを基準電位として次のレール損傷検知装置まで約1.5㎞の電位差を測定片方に800A流れているとしてで30V

上下線にセンス線が平衡ボンドを挟んで並んでいる


平衡ボンドの部分には表示がある。
15S 29k255m~30k833m
14S 29k255m~28k110m 

 つまりこの平衡ボンドの点が29K255mで次の点 大宮まで1kと375mに16があり、
与野本町方1㎞と145mに次のレール損傷検知装置13Sがあることになる。


廃止された沿線電話 表示は29K267m どうやら東京駅を0㎞ポストしている
埼京線は、東北本線の一部との考え方



下り線側 上り線側と同じ表示

上り線側 平衡ボンド


北与野駅のレール損傷装置 開閉器盤

与野本町駅
新宿方にレール損傷検知装置13Sがあった。

ここは特殊な配置で各上下線にレール平衡ボンドがあり、
さらに上下線間にレール平衡ボンドがある
センス線は1ヶ所南与野方に繋がっている。平衡ボンドの両側には無い
枕木に距離が書いてあるが読めない奥が上り線レールの平衡ボンド
手前が上下線の平衡ボンド

平衡ボンド部 下り線の線条両方と上り線の線条両方を平衡ボンドで結線




与野本町駅のレール損傷装置 開閉器箱

つぎは12S/11Sのレール損傷検知装置 場所は中浦和駅付近

中浦和駅
一番分かりやすい位置関係





白のケーブル保護管の中間に平衡ボンドがありレール間を接続
その両端にセンス線が2ヶ所あつ
南与野方のセンス線

平衡ボンドがありレール間を接続


平衡ボンドにある表示 上り線
25k145m~26k151m
25k145m~24k186m

平衡ボンドにある表示 下り線
25k145m~26k146m
25k145m~24k097m

上下線で距離の差がある。 25k145mが中浦和の位置 これも東京駅起点の距離

上り線側 武蔵浦和方のセンス線接続部

下り線側平衡ボンド


下り線側 センス線と平衡ボンドの位置関係


中浦和駅のレール損傷装置 開閉器箱


 中浦和駅から約1km地点にレール損傷検知装置の9S/10Sがあるはずだが無かった。あったのは北戸田 中浦和から約3.7㎞の北戸田駅にレール損傷検知装置があった

北戸田駅

戸田方にレール損傷検知装置9S/10Sがある

両端のセンス線の中間部に平衡ボンド

下り線 平衡ボンド部

下り線 平衡ボンドにある表示
21k280m~23k249m
21k280m~19k260m

上り線 平衡ボンドにある標識
21k280m~23k342m
21k280m~19k276m

21k280mは東京駅起点からの距離を示す。北与野駅

上り線 平衡ボンド


北与野駅のレール損傷装置 開閉器箱
中浦和駅での平衡バンド位置からの距離の法則が崩れたので一駅ごとに調査 
 次は戸田公園だった

戸田公園

駅から離れているので詳細は不明

8S/8Sなので形式は与野本町駅に設置してあったものと同じ方式。センス線1組と平衡ボンドがレール間と上下線レール間に繋がっつているタイプ



戸田公園駅のレール損傷装置 開閉器箱

浮間舟渡駅

レール損傷検知装置 6S/7S有

下り線側 センス線とその中間に平衡ボンド

上り線側 センス線とその中間に平衡ボンド


平衡ボンド

ここでは正しくレール損傷検知装置用開閉器箱
今まではレール損傷装置用開閉器箱と表示

次は北赤羽

北赤羽駅

戸田公園方に設置 センス線が組み見えるので5S/4Sの表示があるはず
下り線側 センス線の保護管がみえるが駅舎が邪魔して信号機箱が見えない


拡大画像処理 インピーダンスボンドスルー化のレールボンド手前に平衡ボンドが見える


上り線側のセンス線


箱の形状と位置から多分レール損傷検知装置用開閉器箱
次は赤羽駅
 赤羽駅
赤羽駅に折り返し線があるので特殊な構成を使っている

3Sなので戸田公園や与野本町と同じ構成
センス線上下1組と平衡ボンド、上下線を繋ぐ平衡ボンド

埼京線のホーム端にあり駅舎で見えないので隣の湘南新宿ラインホームから撮影

上り線側 センス線が収容されてい白い保護カバー センス線の接続状態は見えない

下り線 折り返し分岐前 
レールボンド手前に左に上下線を繋げる平衡ボンドとレール間を繋げる平衡ボンドが見える
その手前に表示が見えるので拡大

検知範囲外(レール損傷検知装置)と下3S 数字は読めない

下り線は、ここから池袋までは従来の軌道回路でレール損傷の検知を行なっているようだ。
15Sから3Sでレール損傷検知装置の設置は止まっている。では上り線はどうなのだろう。

赤羽駅 北赤羽方にホーム端にあるレール損傷検知装置(電源)開閉器箱 電源が入った
レール損傷装置開閉器箱、レール損傷検知装置開閉器箱等ラベルが違う場合がある


十条駅の下り線に表示があった

十条駅
埼京 上3Sとある
3K580m~13K289m

上り線 インピーダンスボンドの位置に表示有 十条駅 赤羽方 上3S/2S表示


埼京2Sとある
3K580m~2K216m 3k580mは池袋駅起点の数字



下り線側表示 下3S
3K374m~13k205m 

下り線 下2S
3K374m~1k960m



下り線側 インピーダンスボンド 下2S/下3Sの表示 十条駅 十条道踏切部



十条道踏切の表示は3K358m

 さて下り線の検知範囲外(レール損傷検知装置)は赤羽にあったが上り線をまだ見つけてない。この付近は線路沿いに道が平行にない部分とか、盛り土、川、掘割がり線路の状態が良く見えない。

 探したらあった。中山道の跨線橋から見下ろしたらインピーダンスボンド部に表示があった。

上り線 インピーダンスボンド部

検知範囲外(レール損傷検知装置)

埼京上2S
2K216m~3K580m 3k580mは十条踏切の位置 
この地点が2K216mだとすると距離を測ると0㎞は池袋となる

原理は、レール電圧降下法(ケルビン接続の応用)でレールの一定区間の電圧差を測り、レールの抵抗値から電流を算出し、左右のレールで同じ距離を測定し、計算上の電流値を比較し大きな差が出ていたらその区間でレール損傷があるとみなすと推測する。

「各基準点での電圧降下を測り、それを電流値に換算して『電流差(減少量)』を比較する」そのためには、1.5km〜3km離れた2地点のデータを比較する場合、「全く同じ瞬間の電流値」を比べる必要がるので各地点の測定器にGPSによる時刻同期機能を持たせているものと思われる。

 少なくともレール平衡ボンドで左右のレールの電流が一定となっている部分の両端の電流を測定し基準点としている。この両端の電流差が出た場合センス線部分の破断、損傷が考えらえる。

 埼京線は下り線は池袋から赤羽までが従来のインピーダンスボンドによるレール破断検出
上り線は中山道陸橋付近から池袋間が従来のインピーダンスボンドによるレール破断検出を行なっているものと思われる。 枕木上の検知範囲外(レール損傷検知装置)から推定


ATACSの区間では軌道短絡装置が使えない!!