目次と免責事項

2017年8月20日

595. JR東日本 狭小トンネル(π架線等)および特認箇所と私鉄の剛体架線とトロリ線接続部

JR東日本 狭小トンネル(π架線等)および特認箇所と私鉄の剛体架線との接続部
どうやらπ架線方式は、国鉄時代から中央西線と篠ノ井線の専用呼称のようだ。

970. JR東日本 小仏トンネル内 曲線引金具脱落によるパンタ摺板損傷 E353系 ブログリンク

中央東線 梁川変電所付近にある狭小トンネル(最初は、SLで運用)

梁川変電所 ブログリンク

中央東線 狭小トンネル一覧
小仏トンネル 下り フィーダーメッセンジャー方式 





狭小トンネルをフィーダーメッセン方式で架線化
どうやらこのトンネルは、中央東線で一番の狭小トンネルに該当する斧窪トンネルだった 上図表を参照



架線方式 拡大 フィーダーメッセンジャー方式の原点 き電分岐線がトンネルに接触しそう


フィーダーメッセン架線方式 拡大


上り線の帰線が立ち上がる 右側面 下り線側に敷設 中央東線は、梁川変電所付近で上下線が分離している
左側面からのき電電は、上り線用 上り線の分岐部まで下り線の架線柱に共架


π 架線方式 下り線とは言わないらしい 下線表示


狭小トンネルの通過 下り線 き電線が徐々にトロリ線に近づく


上り線の分岐部まで下り線の架線柱に共架(黄色:き電線、白色:帰線、赤色:上り線き電線)
JR東日本 笹子トレーニングセンター

π架線方式の訓練線 架線吊架方式の接続部


トンネル狭隘部の架線吊架方式の訓練線


トンネル狭小部の架線吊架方式の訓練線


狭小模擬トンネル



上越線 清水トンネル(最初に貫通したトンネル・電化していたが狭小トンネルの部類に入る)

旧 トンネル手前の架線柱 2条のき電線と1条のき電線が分離
2条はトロリ吊架線と接続


き電線吊架方式となる

本来の清水トンネル 開口部が小さい

3条のき電線がトンネル内部に引き込まれる

き電線吊架方式となる 1条は、トンネル上面すれすれに張られる
フィーダーメッセン架線方式


拡大 フィーダーメッセン架線方式 同様な架設方式は中央東線でも見られる


武蔵野線
フィーダーメッセンジャー方式





本家 π架線方式
篠ノ井線

稲荷山駅にある訓練用矮小模擬トンネル π架線方式の訓練用



本家 π架線方式

トロリ線とき電線のπ架線方式用金具 これが篠ノ井線の専有品

実際の狭小トンネルでのπ架線方式の運用
篠ノ井線 狭小トンネル一覧

狭小トンネルの架線状況





小田急線 渋沢トンネル
限りなく篠ノ井線のπ架線方式に近似
き電線に挟まれたトロリ線吊架方式

拡大



その他
磐越西線交流電化のトンネルでの架線吊架
(直流より電圧が高いため離壁間隔を取る必要あり)

沼上トンネル(新線)




20,000V架線吊下用 特殊ずい道用架線支持金具

長幹碍子を利用
この形を採用することにより限られた空間で絶縁離隔をとりパンタ通過の
支障なくトロリ線高4750mmを確保


特認箇所
特別に変則的な架線吊架を行っている部分

篠ノ井線 

特認 跨線橋
川越線 
大仙波トンネル 41.3m 大宮より15k327m 通常のシンプルカテナリ線


奥のトンネル(大仙波トンネル)までは、吊架線の高さを確保できた。
特認箇所 トロリ線2条だけで電流を稼ぎ、東武のガードを潜り抜ける。
トロリ線高4,390㎜

吊架線は、手前の鉄構に引き止められている。


東武東上線ガードは、桁の構造が薄く、東武鉄道からの要請でボルト類などを打ち込むことができず
特認箇所としてトロリ線だけを通す特殊な工法が取り入れられている。
路盤を掘り下げる場合 川越方のトンネルから勾配を付けなければならず工費が高くなるため
技術陣が工夫を行った。これと同じトロリ線だけを通す場所は、指扇駅 大宮方の赤羽橋跨線橋がある。
天井部にFRP絶縁板が張られている。  壁からトロリ線吊架台が出ている

奥 川越方

南古谷方

トロリ線2条化の引き止め部

赤羽跨線橋 特認箇所 大宮起点7k356m トロリ線高4,390㎜

トロリ線だけが跨線橋の下を通過。 吊架線は鉄構に引き止め。

拡大 トロリ線が2重になっている。 指扇方
大宮方


川越線電化の際に吊架線までの高さが取れなかったのでトロリ線だけを通した特認箇所
このほか、川越駅東武線ガードが特認箇所となっている。

JR東日本と私鉄 剛体架線(地下鉄を除く) 民鉄との比較

篠ノ井線
篠ノ井線一部狭小トンネルでは、剛体架線(2本)も取り入れられている。
以下の文献 図1の在来線トンネル例に該当


剛体電車線とカテナリ架線の新しい移行構造の開発 pdf注意 鉄道技術総合研究所報告 注意

剛体架線とカテナリ架線の新しい移行構造の開発 Web版

箱根登山鉄道

トンネル間が剛体架線

塔ノ沢駅 出山信号所方 架線は剛体架線

剛体架線と架線との取り合い部

塔ノ沢駅 出山信号場方面 上がり勾配

塔ノ沢駅 トンネル幅拡張工事 湯本側

塔ノ沢駅 トンネル幅拡張工事 湯本側

塔ノ沢駅 トンネル幅拡張工事 湯本側





出山鉄橋 剛体架線

出山鉄橋 剛体架線


立山黒部アルペンルート
関電トンネル トロリーバス(鉄道に分類)


関西電力リリース 2017/8/28 
どうやらJR東日本のAccum方式のバスを導入するようだ 以下関電Webから引用
当社は、昭和39年8月1日より、関電トンネルにおいてトロリーバス事業を行ってまいりましたが、平成31年4月の営業開始以降は、トロリーバス全車両15台を電気バスに変更することとし、本日、これに伴う関電トンネルトロリーバス事業にかかる鉄道事業廃止の届出を北陸信越運輸局に行いました。引用終わり 電気バスにすることで鉄道と決別 法的な規制が緩やかになる。
Schunk社 Web引用

Schunk社 Web引用

Accum方式の急速充電方式が採られるとのこと。リチウムイオン電池搭載のバスにすることで
架線のメンテナンスが、急速充電部だけで対応できる。フロックと言われるトロリ線切替部の通過
が高速対応でき、時間短縮ができる。但しリチウムイオン電池の電解質は有機溶媒に属する
可燃性のある液体を使用するので発火の危険性が考えられる。リチウムイオン電池の危険性については、東芝が開発した「電気自動車用SCiBモジュール」を積み込むことで回避できるようである。
またロリーバスは、普通のバスと同じように「大型二種免許」が必要とともに、更に電車として運行しているため、「動力車操縦者運転免許証」という免許証があり、これを取得しなければ運転できない。電気バスにすれば、この縛りが解ける。
以下引用

東芝は、短い停車時間を挟んで連続運行を行える電気(EV)バスを開発。車載用蓄電池および充電システムに二次電池SCiB™を用い、スムーズかつ短時間での充電を推進します。定時性や高密度の配車スケジュールにも対応する環境にやさしいEVバスシステムです。引用終わり
どうやら関電が導入する電気バスは、東芝が電気関係を受注するようだ。(現在のトロリーバスも電装は東芝が担当)
NEDOと東芝がマレーシアに導入する電気バスがタイムリーに同様な充電系を積み込む




拡大 扇沢変電所(直流)からのき電線がつながる き電線吊架方式

駅舎出口で剛体架線化 き電線から剛体架線に分岐線がつながる






トンネル駅部は剛体架線
黒部湖駅トロリ線の上にき電線(ここまで伸びていることを考える、と黒部湖駅にも直流変電所がある)









左側の太いケーブルはき電線 赤沢横坑部分にトロリーバスの黒部側変電所がある
き電線吊架方式



駅部を外れるとトロリ線

立山トンネルバス
立山直下 車両交換所(退避所) き電ケーブルが雷殿から伸びている


室堂駅 剛体架線


室堂駅は剛体架線 トロリーバスの性質上 終端はループになっている
トンネル入口 右にき電線を経由して高圧カットアウトスイッチと避雷器が繋がる。避雷器は、接地されづ直接き電線につながる。これはトンネルとその周辺が岩盤に囲まれて、高抵抗であるためである。避雷器の上のケーブルは22kV送電線
左より駅を通ってきたループ架線が繋がる。フロックと呼ばれるループ状分岐部

東北沢駅  小田急線

架線と剛体架線の接続部

架線引留め部
き電線が剛体架線に接続
東葉高速鉄道
日大船橋前駅

地下部 き電線と剛体架線との取り合い部



き電線がトンネル内部に引き込まれる
剛体架線とき電線



き電線と剛体架線


き電線と剛体架線接続部

追記  仙山線 作並トンネル 20kV 剛体架線


剛体架線の両脇にトロリ線 徐々に剛体架線に移行
ツインシンプルカテナリーからの移行

参考文献(順不同)

岩切栄一ら:埼京線・川越線の電気設備
電気鉄道;1985,Vol.39,No.10,pp.2-12

戸石泰司ら;磐越西線 郡山・喜多方間 電化 電車線路設備について
電気鉄道:1967、Vol.21,No.8,pp.2-7

塚田静秋;狭小トンネルの保守
電気鉄道:1980,Vol.34,No.6,pp11-14

川上留三郎ら;狭小トンネルの架線強化工事について
電気鉄道:1976,Vol.30,No.1,pp11-15