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2018年7月5日

825. 東武東上線 練馬変電所 停電 号外

東武東上線 練馬変電所 停電 号外
 
原因は、以下の朝日新聞 記事参照

  東武によると、近くの踏切で安全確認があった影響で東武練馬―朝霞駅間に電車が集まりすぎ、過大な電流が流れたことが停電の原因とみられる。直後に再送電したが、変電所が異なる架線の継ぎ目付近に電車があったために再び安全装置が作動。各電車のパンタグラフや送電設備の安全確認を行ったことから、復旧に手間取ったという。
 
 
 
 
 練馬変電所の付近の、変電所間のエアーセクションはセクション内停止、発車時の架線に過大電流が流れることによる溶断を防ぐため、3遮断方式がとられていたが、この二重のエアーセクション間に、2編成の電車が止まったため、にっちもさっちも行かなくなり(デッドロック)、長期にわたって車両を動かせなくなったためであろう。 また 池袋駅 付近には板橋変電所もあり、こちらも3遮断方式がとられていたので、同様にデッドロックが発生したもよう。
 パズルの組み合わせのようなものであり、停電とは言え車両に架線から電気が供給されていた電車もあることから、起動することはできないが、補機電力の供給を流しつつ、密閉された車両から乗客の解放を行い、その後停電させて、パズルを解くがごとく電車を動かしたものと思える。最初の停電は、お粗末であったが 東武にしてはGood Jobであった。

以下に今回の東上線 き電系統図を示す。

 練馬変電所の池袋方には、ときわ台変電所、志木方には朝霞変電所が位置する。
通常 直流変電所 直下には、エアーセクションにより き電系統を分離することが行われる。
時々 このエアーセクション間に不可抗力で電車が停車し、エアーセクションを跨ぐ状況になった時に、電車を再起動させるとエアーセクション間の電位差でパンタグラフとトロリ線接点(パンタ点)で過大電流が流れ、トロリ線を溶断する事故が発生する。このためエアーセクション間では、電車が停止しないよう注意喚起の表示がされるようになっている。東京地下鉄などでは、エアーセクション間のトロリ線を強化して、停車・再起動でもトロリ線が溶断しないよう対策がなされている。
 今回の事故は、踏切安全確認のため電車間隔が狭まった状況下、練馬変電所のセクションが3セクション方式と言う、特殊なき電方式をとっていたため、中間セクションを前後に電車が停止して、起動をした際に、練馬変電所が過負荷状態になり、直流高速度遮断器(ブレーカー)が切れたことが発端となった。
通常 過負荷が解消され、事故電流と想定されない場合は、再投入が行われ電車が随時起動するが、電車間隔が詰まっていたため、また3セクション方式のセクション部に電車が停止しているため、運行ができなくなってしまった。強制停電して順次電車を動かして、セクション区間を脱出させることは、可能であったが、電車内が通勤ラッシュで停電させることによる、冷房の停止・密閉状況を避けるため、車外に乗客を出して一旦電車を空にして対応せざるおえない状況となった。そのため停電と言われても車内での冷房は切られておらず、車内灯も点いていた。
再起動、停止を繰り返したため、トロリ線の過熱に伴う、脆弱点も確認する必要があり長時間の運休となったようだ。
 3セクション方式は、エアーセクション間での停止に対して有効な手段であったが、今回は仇になってしまったようだ。同様な方式は、Wセクション(小田急)3セクション(東急)など私鉄で取り入れられているが、JR東日本では、トロリ線強化(TCセクション)の方向とエアーセクションの表示標識の設置での対応がなされている。


 
 


参考文献 上記写真
写真-1系統監視盤、写真-2 操作卓の画像
鈴木孝郎ら:ネットワーク技術 東武東上線の新しい電力管理システム
鉄道と電気技術;2001,Vol.12,No.6,pp.37-41