目次と免責事項

2022年5月25日

1226. JR東日本 首都圏部 自営盲腸送電線先の変電所(蕨交流変電所の事故を契機として)

 自営盲腸送電線先の変電所

 先のJR東日本 蕨交流変電所事故で、蕨交流変電所から送電していた浦和変電所が盲腸送電線先の変電所であったため、東北本線、京浜東北線が長時間停電を余儀なくされた。このためJR東日本では、解決策として浦和変電所に別系統で送電線を敷設する解決策を採るとの報告が上がっている。

蕨交流変電所における火災に係る原因及び今後の対策について JR東日本のプレスリリース 2022/04/12発表

 この場合 次変電所としては、大宮変電所がありTEPCO宮原電源が導入されているので敷設ルートとしては

1.東北本線沿いに管路を2回線引く

2.埼京線 南与野変電所から、さいたま市の都市計画道路の共同溝を利用し2回線を引く

方策が考えられる。実は南与野変電所から浦和変電所への送電経路は過去にあったが特殊なパイプ型送電線であったため都市計画道路が建設された際に撤去され、蕨交流変電所から最初は1回線、その後2回線化された。一番簡単なのは共同溝を利用して2回線を引くことであろう。

983. JR東日本 パイプ型地中送電線の敷設跡

1026. JR東日本 パイプ型地中送電線の敷設跡 その後 トレンチ確認

 実は、この都市計画道路の沿線には、NTT常盤ビル、埼玉りそなデータセンタなど通信の重要拠点が集まっている。そのため都市計画道路は共同溝が設備さている。一部 武蔵野線のトンネルから直接通信ケーブルが道路に立ち上がっている人孔が確認できる。これは武蔵野線の北府中先に日銀のデータセンタ、KDDI、あおぞら銀行、三井住友トラストシステム、ソフトバンク等のデータセンター群が集まっていることと関係している。また埼京線 北戸田には日銀の現金を扱う分室がある。

 さて JR東日本の自営送電網(首都圏・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県に限る)で、このような自営送電線先の盲腸線の変電所がどのくらいあるか調べてみた。

1. 常磐線 柏変電所(北小金井変電所から2回線受電)

2. 高崎線 熊谷変電所(篭(籠)原変電所から1回線受電)

3. 東北本線 東大宮変電所(大宮変電所から1回線受電)黒磯、西那須野(矢板変電所から受電)

4. 中央線 日野変電所(自営化済)(立川変電所から2回線)この場合、日野変電所から八王子変電所まで2回線管路を延長すれば盲腸線は回避。同時に武蔵境ー八王子変電所間の架空送電線を撤去できる。笹子、勝沼、山梨市、酒折変電所

  国分寺変電所が66㎸化され22㎸は国分寺配電所専用回線となるとの情報もある。

5. 横浜線 橋本変電所(自営化済)、町田変電所(自営化済)この場合、橋本変電所ー町田変電所間を2回線管路を延長すれば盲腸線は回避。

6. 総武線 船橋変電所(但し西船橋変電所まで)

7. 東海道本線 保土ヶ谷、辻堂、大磯、小田原、根府川、湯河原、来宮各変電所

8. 横須賀線 逗子、田浦変電所

9. 京葉線 鍜治橋、越中島

 残りの変電所は、TEPCO受電。 これら盲腸送電線先変電所を全部改修することは、近くにTEPCO送電線が走っている場所から末端変電所に予備電源契約を結んで引っ張ってくればよいのだが、あらたな送電鉄塔を建植する必要もあり、予備電源契約費用の問題もあり中々進まないであろう。

 


2022年5月21日

1225.  東北・北海道巡検43 JR北海道 北海道新幹線 奥津軽いまべつ駅 狭軌待避線 き電区分ポスト

 奥津軽いまべつ駅 狭軌待避線 き電区分ポスト

     函館方 待避線 接地回路付き断路器のあるセクションインシュレーター部


青森方 待避線 接地回路付き断路器のあるセクションインシュレーター部

とうとう2021年11月から初めた東北・北海道巡検記事も最終回を迎える

今回は、奥津軽まいべつ駅 在来線 貨物待避線のき電区分ポストとなる


待避線(狭軌) き電区分用接地回路付き断路器 下り方
貨物の有効長を稼ぐため分岐器の直上に2つのセクションインシュレーターがある

左に接地回路付き断路器2台


交流同相セクションインシュレーターが分岐器 直上にある
本来なら待避線の直線部に設備されるはず
この先は、上図の通り線路は1本に纏まる

接地回路付き断路器とセクションインシュレーター


接地回路付き断路器部拡大
上側が共通函館側トロリ線から引き出される、下側が接地極 中間部がセクションインシュレーターで区分されたそれぞれの待避線に繋がる
これと同じものが上り線 青森方にある


待避線 もちろん25㎸加圧

「配線略図.net」アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」より引用一部追加改変

参考

東北・北海道巡検1~43(途中知床で仕事)、大雪山(白雲岳慰霊登山)旅程表原案 

ほとんど この旅程に従い移動

体力勝負


2022年5月14日

1224.  5/13 TEPCO停電による小田急線内停電の解説(推定を含む・追記あり)

小田急線内停電の解説

小田急線全変電所

477. 小田急電鉄 全変電所 (給電・き電 但し配電用の新宿変電所は除く)

ニュース記事から引用

 小田急電鉄は小田原線の向ヶ丘遊園駅と町田駅の間、多摩線の新百合ヶ丘駅と唐木田駅の間で、13日午後10時26分頃から運転を見合わせています。

 多摩線も新百合ケ丘―唐木田で一時、運転を見合わせていたが、午前0時20分ごろ運転を再開した。

 小田急電鉄によると、14日午前1時に全線で運転を再開し、約1万9千人に影響した。14日も電力不足の懸念から同区間で始発の運転を見合わせたが、停電解消により通常ダイヤでの運行に戻した。

引用終わり



本線 

 生田、新百合ヶ丘変電所がTEPCO停電で落ちている。柿生、玉川学園変電所は、新百合丘変電所からの自営送電線22kV受電のため必然的に落ちている。

 町田駅は、大野変電所からの直流き電で運行が可能 大野変電所は、二方向から受電を行っているため新百合丘変電所からの自営送電線を遮断している。大野変電所からの逆方向 大野変電所⇒玉川学園変電所⇒柿生変電所は出来るが、折り返しができない。また送電容量が不足するので新百合丘変電所までの逆送電は出来ない。町田で折り返しが妥当 ノッチ制御で一変電所区間 1列車で運転は深夜再開された。

江ノ島線

全線TEPCO受電 TEPCO停電範囲から外れているので問題なく運行

多摩線

 全線TEPCO受電 永山変電所は、京王線と同時受電だが京王線は停電していない。おおもとの新百合ヶ丘変電所が落ちたため同時に信号系統が落ちているので運行できない。唐木田、永山変電所は、多分停電していない。そのため最速で運転が開始された。新百合丘までの延長き電・送電でノッチ制御運転 一変電所区間 1列車で運転は深夜再開された。

原因は水道工事による地中送電線 生田線66kV管路損傷

赤部分が川崎市麻生区上麻生に該当 TEPCO神奈川66㎸系統図より引用
生田線は、生田変電所で地中化され麻生区で再度架空送電線化される。

以下に地中送電線の上麻生分岐所が記載されている。


2022年5月12日

1223. 東北・北海道巡検42 JR北海道 北海道新幹線 今別変電所

 今別変電所

 
アプローチ:奥津軽まいべつ駅 容易 
受電:北海道電力 JR新今別線 275kV  2回線 
き電区間:北海道新幹線 新富田SP―今別SS―竜飛SP
今別変電所は、新北本直流幹線と密接な関係を持っている。
当初は青森変電所からの154㎸2回線受電(将来的に275㎸加圧可能設備)であった。
TEPCC青森SSーJR北海道今別SSの154㎸(将来的に275㎸運用)送電線の真下に北海道電力新北本直流幹線の今別変換所が割り入れられて275㎸に昇圧されて現在に至る




地震計が収められている対震ハット

GPSで同期 P波を検知して変電所のき電遮断器を即時開放する

154㎸送電時代の送電線径路、将来的に275㎸に昇圧できる設備が施されていた。
新北本直流幹線の設計時を考慮したようにJR今別線に北海道電力今別変換所が割り入れられて275㎸に昇圧されている。

最初から鉄塔、碍子類は275㎸昇圧対応の設備


最終受電鉄構とルーフデルタ結線変圧器室
当初は、変形ウッドブリッジ変圧器で昇圧変圧器を本体側に内蔵した設計であった。
北海道新幹線開業時に実績があったルーフデルタ結線変圧器に交換された。

一次側275㎸受電部 GIS化 3相は別々の管路となっている
ケーブルヘッドの下には避雷器が入っている

変圧器建屋とGIS化された一次側受電部

CT部 2つのCT間にある円筒形部分は遮断器

接地断路器とCT,PTの組み合わせでMOFを形成

超高圧変圧器のため中性点が直接接地となっている
中性点引き出しブッシング

ルーフデルタ結線変圧器 二次側60㎸出力 A座 隣に B座

ルーフデルタ結線変圧器収容建屋からのGIS引き出し部

ルーフデルタ結線変圧器は2台あり片方は予備 
二次側母線はGISで隣接のルーフデルタ結線変圧器とケーブルで繋がる。
以前は管路で隣と繋がっていた。

この部分からケーブル化されている

AT(単巻変圧器)4台

AT(単巻変圧器)4台

左コンクリ架台にはフィルタがあったが、現在はPMN制御で力率1であるため撤去さた
A,B座用として2組あった

かつてあったフィルタ回路


切替開閉器は100%予備で屋内にGIS化されたき電母線と繋がる
ここの切替開閉器には、光CTが初めて採用されている。

変電所より引き出されるき電線
上のバスバーはZ回線で予備用の対応となっている
使用時はジャンパ線で対応する。

函館方 上り Tはトロリ線へ繋がる FはATき電線 SNは中セクション用

PWにGP装置が繋がる(左の箱)

Z母線 引き出しケーブルヘッド

函館方下り

Z母線 引き出しケーブルヘッド どこにも繋がっていない
変電所建屋内では青森方、函館方T及びF、SN部と断路器で繋がっており
事故内容に応じてT専用、F専用として延長き電を手動で母線バーにジャンパを設けて繋げる
本当の非常用母線設備

変電所の引出き電線の配置図 右方にSN部がある

上図の現物

中セクションはトンネル内にある

変電所に帰還電流を戻す帰線リアクトル 今別変電所用
3条軌道なので通常のインピーダンスボンドが使えないためリアクトルを用いている
今別変電所は有絶縁軌道回路のため6台のリアクトルを使っている

今別変電所の場合は6台のリアクトル
吉岡変電所はトンネル内なので無絶縁軌道回路なのでリアクトルは3台である

変電所脱落時のき電
  東北と北海道は、直流連系されているが交流部の電源が同期されていないので、非同期対応ポストとして竜飛き電区分所(定位)吉岡変電所(非通常時)が設けられている
このほかに函館総合車両基地変電所からの延長き電が新木古内き電区分所まで行える
き電運用

き電パターン
北海道新幹線(JR北海道) 定位き電パターン 上下一括き電
北海道新幹線(JR北海道) 非定常き電パターン 上下分離き電
北海道新幹線(JR東日本) 定位き電パターン パラき電
北海道新幹線(JR東日本) 非定常き電パターン パラき電
 北海道新幹線(JR北海道)は定位は上下一括き電だが新青森SS、新発田ATP、新富田SPまでは、JR東日本の管轄に入るので、新青森SSでの切替で上下一括き電を行っている。但し何らかの事案が発生した場合、上下分離き電、パラき電、準パラき電で運用される。また新富田SPには、延長き電時の電力量融通のための電力計が設けられ、各社の融通電力の積算を行う







参考資料(順不同)

衛藤 憲行;(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構納入北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)変電設備:明電時報,Vol.355No.2,pp.31-36

高野 光ら;津軽海峡線変電設備:明電時報,Vol196,No.10,pp.33-38,1987

北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)本州方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.333-356、第13編共用区間pp.419-422

北海道新幹線電気工事誌:新青森・新函館北斗間//鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社編 第2編pp.53-58、第3編pp.67-116、第4編pp.370-373

北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)北海道方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.385-408、第13編共用区間pp.472-530

浜田 博徳;津軽海峡線の非同期電源対策:鉄道と電気;Vol.41,No.10,pp.45-50,1987

津軽海峡線工事誌/電気;日本鉄道建設公団関東支社編,第二編送電、第三篇変電、第四編電車線 pp.131-139,pp.258-272,pp.297-375

津軽海峡線工事誌/電気;日本鉄道建設公団関東支社編,第一章~第二章,第三篇変電 pp.141-239

津軽海峡線工事誌/電気は2冊あり、それぞれ内容が違う


2022年5月9日

1222. 東北・北海道巡検41 JR北海道 北海道新幹線 竜飛き電区分所・竜飛配電所地上部

 竜飛き電区分所・竜飛配電所



アプローチ:奥津軽いまべつ別駅下車 バス三厩駅行三厩駅下車コミュニティバス乗換竜飛岬下車 
き電区分所:北海道⇔本州間非同期対応き電区分所
配電所付属:非常用発電機三相同期発電機6.6㎸ 総容量,500kVA2,000kVA×3,2,500kVA×1
受電:東北電力竜飛線66㎸2回線受電
本州方の青函トンネル内排水集約設備がある。斜坑部分から排水管は地下を通り日本海側に排水を行っている。



配電所部分

右奥のコンクリトンネル部 ケーブル斜坑部(本坑に繋がる)

66㎸ 2回線受電

66㎸ 1回線は接地棒で三相一括接地中

非常用発電機排気口と吸気ダクト

ケーブル斜坑部

左上が竜飛き電区分所 右下新北本直流幹線ケーブルヘッド

竜飛き電区分所内 全屋内式GIS化設備 地上部

左 き電区分所非同期対応部 右 切替開閉器室100%予備

竜飛ケーブル斜坑構造

防風壁の部分が現在の竜飛き電区分所部分
ケーブル斜坑工事時点の施設配置



非同期対応き電区分所

非同期対応設備の簡単な構成図 これが上下線にある


サイリスタ2組でレール絶縁を制御
切替セクションの切替開閉器と同期を持っている。


レール絶縁短絡器


Ar1Ar2部分が放電ギャップ


レール電位の上昇を放電ギャップで防止する
駅にあるRPCDと同じ動作を行う

非同期対応の詳細は以下の記事参照
240. JR東日本 新軽井沢き電区分所(新幹線・ATき電・同軸き電)


竜飛定点の内部構成


竜飛定点 き電ケーブル配置図 同軸き電ケーブルで地上部のき電区分所と繋がる
Tはトロリ線接続 FはATき電線 SNは切替開閉器の中セクションに繋がる







現在 天井部には新北本直流幹線のケーブル1回線(30万kW)が配線されている
将来2回線化される

現在 天井部には新北本直流幹線のケーブル1回線が配線されている
将来2回線化される


同軸ケーブルの外被にはCT(右の黒い箱)が噛んでいる


変電所脱落時のき電
  東北と北海道は、直流連系されているが交流部の電源が同期されていないので、非同期対応ポストとして竜飛き電区分所(定位)吉岡変電所(非通常時)が設けられている
このほかに函館総合車両基地変電所からの延長き電が新木古内き電区分所まで行える

き電パターン
北海道新幹線(JR北海道) 定位き電パターン 上下一括き電
北海道新幹線(JR北海道) 非定常き電パターン 上下分離き電
北海道新幹線(JR東日本) 定位き電パターン パラき電
北海道新幹線(JR東日本) 非定常き電パターン パラき電
 北海道新幹線(JR北海道)は定位は上下一括き電だが新青森SS、新発田ATP、新富田SPまでは、JR東日本の管轄に入るので、新青森SSでの切替で上下一括き電を行っている。但し何らかの事案が発生した場合、上下分離き電、パラき電、準パラき電で運用される。また新富田SPには、延長き電時の電力量融通のための電力計が設けられ、各社の融通電力の積算を行う



















参考資料(順不同)

衛藤 憲行;(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構納入北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)変電設備:明電時報,Vol.355No.2,pp.31-36

高野 光ら;津軽海峡線変電設備:明電時報,Vol196,No.10,pp.33-38,1987

北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)本州方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.333-356、第13編共用区間pp.419-422

北海道新幹線電気工事誌:新青森・新函館北斗間//鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社編 第2編pp.53-58、第3編pp.67-116、第4編pp.370-373

北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)北海道方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.385-408、第13編共用区間pp.472-530

浜田 博徳;津軽海峡線の非同期電源対策:鉄道と電気;Vol.41,No.10,pp.45-50,1987

津軽海峡線工事誌/電気;日本鉄道建設公団関東支社編,第二編送電、第三篇変電、第四編電車線 pp.131-139,pp.258-272,pp.297-375

津軽海峡線工事誌/電気;日本鉄道建設公団関東支社編,第一章~第二章,第三篇変電 pp.141-239

津軽海峡線工事誌/電気は2冊あり、それぞれ内容が違う