目次と免責事項

2022年10月20日

1252. 東京急行 田園都市線(新玉川線)停電事故 推定 三軒茶屋変電所があった

 新玉川線の建設史を読むと、三軒茶屋付近には変電所は無い。新設されたと言う情報もない。調査したところキャロットタウンの地下にTEPCO三軒茶屋変電所と隣接して東急の三軒茶変電所があるようだ。

 新桜町変電所と大橋変電所のみである。両変電所の距離は4.5㎞その約半分のところが三軒茶屋付近にあたる。両変電所ともTEPCOの別変電所からの受電となっている。また両変電所間に連絡送電線は敷設されていない。

 開業当初の新桜町変電所、大橋変電所の新設のみで必要最小限の条件を見たすと判断された。 
 その当時の大橋変電所の整流器容量は3,000kW×2、新桜町変電所の整流器容量は4,000kW×2で十分賄えるとされた。 この時の計画では6両編成で3分20秒間隔であった。 将来的には10両編成で2分30秒間隔にまで増やす予定であった。(現在では容量はもっと増えてると想定できる)ちなみに各変電所は、もう一台整流器を増設できる余裕が建設時に設けられている。

  渋谷から二子玉園までは9.4㎞あり、変電所数としては3ケ所が安全値であったが、二子玉園で既設変電所の高津変電所との並列き電を考えれば 変電所の用地確保、TEPCO送電線の供給事情を勘案して最終的には2ケ所となった経緯があった。 将来的に負荷が増大したときは、三軒茶屋付近、瀬田開口部付近に変電所または き電区分所を設けることが加味されていた。

 
 今回の停電事故 三軒茶屋変電所(東京都世田谷区太子堂)の事故によるものとされていたが、これはき電区分所(東急の言い回しでは開閉所)が故障したものと思われる。
 変電所新設のためには、地下にあろうとも地上部が必要で周辺住民の理解を得るのは困難を極めることが予想できる。建設史を読むと新桜町変電所時に住民対策で苦労した経緯が記載されている。三軒茶屋変電所がどのような住民説明で設置できたか興味深い。き電区分所ならば地下駅構内を拡張し直流高速度遮断器の搬入だけで住民に説明など必要ない。電圧降下対策で東急電鉄は地上部においては上下一括き電方式を取り入れているが地下部では、事故を想定して上下線別き電を行っている。(東横線の地下部乗り入れに関しては、中目黒変電所において上下一括き電から上下線別き電に切り替わっている)
 
 中間地点にき電区分所を入れて上下タイき電にすれば事故時のき電停止、電圧降下の軽減ができる。き電区分所は両変電所の中間地点に設ければ一番効果的であるので三軒茶屋変電所ではなく、き電区分所を設けたと推定できる。一般人にはき電区分所と言っても説明が面倒なので変電所でお茶を濁した感がある。 

 大井町線が波及事故を食らったのは高津変電所、新桜町変電所がき電停止になったため二子玉川園開閉所で定位で受電していたため。二子玉川園には、大井町線用の二子玉園変電所があるが、乗換駅だったためだと思われる。

事故原因が出た。
以下資料から引用

 これは直流高速度真空遮断器の真空バルブの破損 つまり1500V用の直流高速度遮断器の気中開閉部を真空バルブに交換したコンパクト版を遮断器盤から引き出した状態(プラグインタイプ)変電所のブレーカーともいえるが変電所だけで使われているものではない


これと同じもの
 電力会社から受電した高圧の電気を電車に送るものではなく、整流された直流大電流を遮断する遮断器。真空型は、遮断時アークがでないため遮断器自体をコンパクトにできるため最近多く利用されるようになった。また大電流遮断も高速でできるようになっている。つまりき電区分所の変電所のコンパクト化ができるので三茶駅構内に設置できる。

資料を探していたら三軒茶屋変電所の記載があった。国土交通省の資料


場所は三軒茶屋駅にある 開通時想定していた三茶に変電所を設けたようだ
しかし、新大橋変電所―新桜町変電所間の上り線と明示 三軒茶屋変電所は?本当はき電区分所ではないのか…














参考資料
新玉川線建設史 
変電所一般 き電変電シリーズ:日本鉄道電気技術協会編