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2023年4月13日

1294. 東北巡検13 沼宮内変電所・盛岡変電所・二枚橋変電所 (並列き電検証)

 渋民き電区分所と日詰き電区分所 両き電区分所が延長き電・タイき電中だったので、き電区分所のき電区分している変電所3つを確認した。盛岡、二枚橋は過去に訪問している。基本変電所直下は異相き電区分である。(スコット結線変圧器採用のため)

まずは沼宮内変電所から

沼宮内変電所

1288. 東北巡検10 IGRいわて銀河鉄道 沼宮内変電所

アプローチ:岩手川口駅 
受電:東北電力 葛巻開閉所⇔北盛岡変電所間223E (沼宮内線)分岐223N(IGR沼宮内支線)
   66㎸ 1回線受電 
き電範囲:渋民SP—沼宮内SS—奥中山SP 渋民方T座(盛岡SS) 奥中山方M座(一戸)
 奥中山SPは、IGRいわて銀河鉄道で一番標高が高いところであるので、両端の沼宮内、一戸SSは設備増強を行っている。
 沼宮内SS—奥中山SP間には、かつて御堂補助き電区分所があったが、廃止されている。


渋民き電区分所 

1289. 東北巡検11 IGRいわて銀河鉄道 渋民き電区分所(延長き電中・上下タイき電中)

アプローチ:渋民駅 
き電区分:盛岡SS-渋民SP-沼宮内SS(現在延長き電中)


盛岡変電所

946. JR東日本 盛岡変電所(ATき電、BTき電20kV・同軸き電25kV) 東北本線 秋田新幹線(田沢湖線)

 盛岡変電所は、以前に訪問している。今回 渋民き電区分所が延長き電状態であったのと日本電設工業の2021年3月期決算説明会資料に東日本旅客鉄道㈱盛岡変電所変電設備新設工事が記載されていたので現場確認をした。

アプローチ:盛岡駅 容易 

受電:東北電力 盛岡変電所からの専用線0536 154kV 2回線受電 
   但し東北電力の情報では1回線受電だが現地確認では2回線受電

 沼宮内変電所は66㎸1回線受電、盛岡変電所は154㎸ 2回線受電ともに違う系統からの受電なのだが並列き電が成立していた。盛岡変電所の上り方 次のき電区分所は日詰き電区分所であるが実は、ここも延長き電を行っている。

 想像するに、東日本旅客鉄道㈱盛岡変電所変電設備新設工事の際 盛岡変電所の設備を停止して、下り方 沼宮内変電所から渋民き電区分所(延長き電)で盛岡変電所で突合せ、上り方 二枚橋変電所から日詰き電区分所(延長き電)で盛岡変電所で突合せを行う予行演習を行っているのではないか?

盛岡変電所 き電系統
 盛岡変電所の二枚橋変電所方は、変則的な変電を行っている。複電圧スコット結線変圧器の40㎸側を単相変圧器で20㎸に降圧してき電を二枚橋変電所方に送っている



日詰き電区分所

1290. 東北巡検12 JR東日本 日詰き電区分所 (延長き電中・上下タイき電中)

アプローチ:紫波中央駅(新しくできた駅) 
き電区分:盛岡SS-日詰SP-二枚橋SS (現在延長き電中)

二枚橋変電所

926. JR東日本 二枚橋変電所(BTき電)東北本線

アプローチ:花巻空港駅(旧二枚橋駅) 容易
二枚橋変電所 東北電力66kV 1回線受電 
日詰変電所⇔宮目野変電所間243E日詰線分岐234K分岐線
直線配置の典型的なBTき電の変電所 デッドセクションは変電所近傍

 ここも以前訪問していたが検証のため再度訪問した。以前と変わらず平常状態であった。つまり方面別き電である。き電用遮断器は両方向とも「入」の状態、



各電鉄用交流変電所に繋がる東北電力66㎸系、154㎸系の相互関係

沼宮内、盛岡、二枚橋SSへの給電系 系統の分離は無い
 盛岡SSのき電用遮断器は投入状態でき電を行っている。同じく沼宮内、二枚橋も同様にき電を行っており、盛岡SSで並列き電状態となっている。沼宮内、二枚橋の盛岡方は、沼宮内方T座、二枚橋方M座で、盛岡SSデッドセクションで異相き電区分となっている。
通常のき電区分所の状態 デッドセクションでき電区分
SS=変電所 SP=き電区分所
 延長き電中のき電区分所の状態 デッドセクションでき電区分があるがデッドセクション両端は導通している。両変電所が同位相でないと成立しない。循環電流が流れる恐れがあり
SS=変電所 SP=き電区分所
 左のSSが二枚橋変電所、SPが日詰き電区分所。右のSSが盛岡SSでもう一組同じ図が反対側に付いている変電所突合せ状態が盛岡SS運転停止状態の時の状態 B側に渋民き電区分所と沼宮内変電所が位置する

 日本電設工業の2021年3月期決算説明会資料に東日本旅客鉄道㈱盛岡変電所変電設備新設工事の記載があったがその際のき電系統は以下のようになると思われる。(盛岡変電所運停)

 東北電力 二次変電所の66㎸は、変電所内母線でΠ接続の並列き電。一次変電所の154㎸も変電所内母線でΠ接続の並列き電。変圧器は154㎸-変圧器66㎸の一段降圧なので位相は揃っている。そのため電鉄用の交流変電所で並列き電が行えるのだろう。

盛岡変電所停止場合の運用
 但し秋田新幹線用のATは末端ATとして現在と同じように運用。
新幹線基地用(夜間本線停電時の)25㎸き電は、どのようにしてき電を行うか興味が尽きない。まさか二枚橋方の単相変圧器を逆方向に運用して25㎸を生み出すのか…

 工事の内容であるが盛岡変電所の位置は、窪地になっている。北上川、雫石川の合流地点が近いので川が氾濫した際に建屋が水没する恐れがある。そのため建屋の嵩上げ工事、変電機器類の嵩上げ工事が行われる。つまり場所移転の可能性もある。跨線橋の直ぐそばに工事が行われている。
既に土嚢で防備


盛岡変電所 突合せではない証跡

き電用遮断器「入」の状態 下り線側

き電用遮断器「入」の状態 上り線側

複電圧スコット変圧器からの断路器 全て「入」 40㎸側

複電圧スコット変圧器からの20㎸側 断路器 全て「入」 沼宮内SS方
及び40㎸降圧20㎸変圧器からの断路器 全て「入」20㎸側 二枚橋SS方

タイき電用断路器は、「切」 下り線側

タイき電用断路器は、「切」 上り線側


付記(私見)

 東海道新幹線では、き電区分所で並列き電が行われているが富士川以北では区間としては綱島周波数変換変電所守備区間の大崎SS-多摩SP(延長き電)-新横浜SS(突合せ)-戸塚SP(延長き電)-平塚SSと西相模周波数変換変電所守備区間の鴨宮SS-根府川SP(延長き電)-熱海SS(突合せ)熱海SSにはRPCが設備されている。そして西相模、綱島も周波数変換器が静止型に一部変更されているので同期運転が可能である。(西相模周波数変換変電所と綱島周波数変換変電所はJR東海専用77㎸送電線で結ばれている。

 この径路とは別に西相模周波数変換変電所から岩淵変電所間もJR東海専用77㎸送電線で結ばれている。この区間には岩淵変電所60Hz受電RPC設備、沼津変電所(沼津変電所50Hz受電)が含まれているので並列き電は成立してない可能性がある。岩淵SS(RPC)-吉原SP(突合せ)-沼津SS・FC-函南SP(突合せ)-熱海SS(RPC)

 



参考資料 延長き電の図

変電所一般 き電変電シリーズ:日本鉄道電気技術協会