目次と免責事項

2021年11月4日

1162. 東北・北海道巡検1 JR東日本 羽越本線のACVR(架線電圧補償装置)温海き電区分所

 羽越本線、奥羽本線のACVR(架線電圧補償装置)

 前振り

 羽越本線、奥羽本線の変電所については、一昨年の東北巡検でクリアーしたが き電区分所については組み入れると、時間が不足するためスキップしていた。そのため、スキップした き電区分所を今年クリアするため、北海道での仕事のついでに羽越本線、奥羽本線経由で青函トンネルを潜り、北海道に渡る計画を立てた。

 羽越本線、奥羽本線については ATき電であるため、その変電所間隔が約100㎞となり、き電区分所も約100㎞間隔で設備されている。もともと日本海側は、過去電力事情が悪く ATき電であっても、き電区分所、補助き電区分所に架線電圧を昇圧するACVR(架線電圧補償装置)が設備されているところが多くあった。

計画時の補助き電区分所、き電区分所、変電所位置 現在と変わらず
但し計画には、き電区分所にACVRを設置することは書かれていない。
現在 温海と仁賀保き電区分所にACVRが設置されている。

 直流区間でも電源事情が悪い場所、一時的に電圧を高めなければいけない変電所にDCVRが設置されている。富士川以北で現在運用中のDCVRは越後線、礼拝変電所、小島谷変電所の2箇所のみである。運用を停止または廃止しているのが ほくほく線の津池変電所(廃止)浦川原変電所(停止)である。ほくほく線は、北陸新幹線ができる前の特急多発時代に運用されていたが、現在では運用を停止してる。しかし、設備はそのまま残っている。

 Web検索では明電時報の温海き電区分所、仁賀保き電区分所にACVRの最新型が設備交換で入っている。

明電時報Vol.322、No.1,2009 引用 電化当時のACVRを交換
この写真の場所は温海き電区分所である。

ACVRの動作については以下の記事参照

1140. AT電化事始めと鹿児島本線ACVRの位置 (幻の佐敷ATPとL-R形力行セクション) その他


温海き電区分所

アプローチ 五十川駅 容易
き電区分所:村上変電所⇔酒田変電所間
両方向性のACVRが設備されている。(と言っても断路器で切り替えるだけだが)
海に近いため全屋内式き電区分所となっている。
内部結線は、以下の項目参照

 当初の計画時はACVRは設置予定はされて無かったが、その後温海と仁賀保に設置することになった。


き電区分所全景


電圧補償用変圧器 ACVRTr

変圧器 銘板
サイリスタスイッチ、制御部は別置き 変圧部だけ(ケーブル接続)露出配線部は無い

サイリスタスイッチと制御部 空冷 旧型は油浸
明電時報のアングルは、こんな感じ

CR装置の抵抗部分

CR装置の抵抗部分 発熱部なので屋外置きT,F用で2組ある


CR装置の抵抗部分 発熱部なので屋外置きT,F用で2組ある

き電区分所に引き込まれる酒田側 TF,AF

き電区分所に引き込まれる村上側 TF,AF


各々に単巻変圧器が繋がる

別角度

単巻変圧器銘板

単巻変圧器中点から引き出されたPWがインピーダンスボンド中性点に繋がる

奥 村上方 トロリ線からTFが引き出される。上を通過するのは架空地線、TF、AF

村上方 TF、AFがき電区分所に引き込まれる
AF、TFはポリマ碍子で分割

酒田方 TF、AFがき電区分所に引き込まれる


トンネル左右のTFがトロリ線に繋がる
真ん中はAF

デッドセクション部

デッドセクション部 ポリマ碍子を使用


その他
五十川駅

五十川駅での変わったトロリ線接続部


車中から見た架線死区間予告標識


車中から見たデッドセクション部


1166. 東北・北海道巡検4 JR東日本 羽越本線のACVR(架線電圧補償装置)仁賀保き電区分所




参考資料
日本海縦貫線近代化工事記録:奥羽本線秋田・青森間、羽越本線村上・秋田間;日本国有鉄道仙台電気工事局 編 1974