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2023年8月31日

1319.  東急電鉄 新横浜線 新横浜変電所

 新横浜駅 新綱島駅方面 ホーム末端上部に設置されている。相模鉄道との分界点は、相模鉄道が、き電吊架線、東急電鉄が剛体架線のエア―セクションになっている新横浜駅 羽沢横浜国大方面と思われる。

この巨大な換気口の下が変電所になる。上部に非常用ガスタービン発電機の排気口がある。
受電:TEPCO 66㎸ 2回線受電(常用1、予備1)
設備:
整流用変圧器3,230㎸A×3、整流用シリコン整流器3,000kW×3(常用2,予備1)
回生インバーター(IGBT) 1,000kW×1(1,500VDC→6.6㎸AC高配)
高配変圧器 5,000㎸A×2(常用1,予備1)66㎸降圧6.6kV
非常用ガスタービン発電機1,500㎸A×1 6.6㎸
 
き電:
新横浜線 新羽沢変電所-約3.4㎞-新横浜変電所-6.7㎞-日吉開閉所(上下線別方面別き電)

 東急電鉄で取り入れられている72Dき電方式(直流デッドセクションを挟む)は採用されていない。日吉駅から目黒線は上下一括き電となるので、日吉開閉所までの片送りだと思う。(元住吉変電所との並列き電は行われていない)また新羽沢変電所方も剛体架線からき電吊架線になる地点(責任分界点)まで片送りだと思う。
    
 理由は鉄道会社を跨いで並列き電する際は、き電線に電力量計を設けて融通電力の積算を行うのが常であるが、その装置が付いていない(田園都市線と半蔵門線間の渋谷開閉所には電力計が付いている)さらに並列き電だとすれば、回生インバーターが相模鉄道側の電力を吸い上げる可能性がある。
 日吉・新横浜間ならば自社内で回生インバーターの能力を有効に使える。もちろん新羽沢変電所が落ちた場合は、整流器3台で延長き電が可能となる。新横浜変電所が落ちた場合は、日吉開閉所で新横浜線と並列き電を行えば、運行は可能と思われる。
    
 配変も2台整備されいるが、相模鉄道側とは連係しておらず、新横浜・新綱島駅間での配電系統になっている。非常用発電機の出力も新横浜・新綱島だけが利用できる。
   
 き電方式は、Z母線回路付き 上下線方面別直流高速度遮断器は4台(1,500V,4,000A)あるが1台故障した時のためにZ母線を設けそれに1台(1,500V,4,000A)割り当てている。あと直流母線から回生インバ―ター用に直流高速度遮断器1台(1,500V,2,000A)がある。
 シリコン整流器が3台あるので個別に直流高速度遮断器各1台(1,500V,4,000A)がある
  
 
       東急電鉄新横浜線 - 配線略図.net (haisenryakuzu.net)より引用
 この配線図は、レールの配線を示したものなので、実際の新横浜駅構内の剛体架線の架線図は以下のようになっている。
   
                 剛体架線の配置図
 中線の両端部の上部にハッチがあり、大型機器装置を線路から釣り上げることができる。そのため剛体架線を部分的に取り外せる構造となっている。同様な機構は、新綱島駅の新横浜駅方にある。中線は、上り方面き電線で加圧されており、切り替えることはできない。


羽沢横浜国大駅方 剛体架線とき電線配置
剛体架線とき電吊架線のエア―セクション部 電車線区分標が見える

手前の渡り線部分の電車線区分標

右上部 新羽沢変電所方き電線が、奥のエア―セクション部まで伸びる

中線の剛体架線 上部にハッチがあるので右上の剛体架線は、簡単に取り外せる

中線の剛体架線取り外し部間を結ぶジャンパ線


下り線側の剛体架線 エアージョイント部


左側上部にハッチが見える。奥の剛体架線は、ハッチ部分だけを通過しているので
外せば、ハッチから機械装置の引き上げができる

中線の電車線区分標  下り線部への進行

手前剛体架線が取り外せる

奥のハッチ部が見える天井部

ハッチ部 こちらは密閉されている
コンクリ板を外せば開口部が現れる


新綱島駅方 剛体架線とき電線・帰線配置

 天井部にき電線引き入れ部が見える。引き入れているのは、新綱島方、羽沢横浜国大方上下線のき電線4回路分。中線の剛体架線は、右側部分にエア―セクション部があるが左側にはない。電車線区分標は裏側が見えている

別角度 東急電鉄側はトンネル内がカラフル

右上き電線がクリートで固定されているが、羽沢横浜国大方下り線のき電線

ダブルクロス上の無交差剛体架線

上り線側インピーダンスボンド中性点に帰線が繋がる

下り線側インピーダンスボンド中性点に帰線が繋がる

帰線引入れ口

下り線側インピーダンスボンド中性点に繋がる帰線が右壁面を伝い帰線引入れ口に繋がる
手前のき電線は、ハッチ部の剛体架線間のジャンパ線

中線 奥の天井が暗い部分がハッチ

ハッチ部 一部開口部が見える この上が変電所となっている



日吉方面 電車後方部からみた新横浜駅 カラフル






















2023年8月24日

1318. JR東日本 青梅線 TC型エア―セクション撤去(下り線)

 中神にタイポストが設置され運用を開始されたので、き電線及びき電線の均圧化が行われ、今まで下り線にTC型エア―セクションが設置されていたが撤去された。

これで、TC型エア―セクションは、両国、浦和、大宮(2ケ所)合計4カ所となった。

826. JR東日本 TC型エアーセクション 導入例 青梅線、総武線、東北・高崎線

982. JR東日本 5箇所目のTC型エアーセクション

情報によるとあと1カ所あるのだが調査できてない。

 初めは、この区間(拝島SSー立川SS間約9km・中間部)にタイポストが設置されるとは半信半疑だった。建設開始前から完工まで詳細を追えることができた。

972. JR東日本 中神TP(タイポスト)の設置? 青梅線12両化対応 き電線電圧均圧化

1010.  JR東日本 中神タイポスト 青梅線 完工まじか

1065. JR東日本 中神タイポスト 完工まであと少し

1183. JR東日本 青梅線 中神タイポスト運開とTC型エアーセクションの現状


撤去前



左奥にTC型エア―セクションの始まり

撤去後 
単にトロリ線を挟み込んでいた金属板を撤去しただけ。



きれいさっぱり普通のエア―セクション


タイポストが稼働していない時のき電系統
 青梅短絡線は、中央線下り線き電で短絡線途中のエアーセクションまで き電されている。
中神タイポストを投入すると立川駅構内青梅線上下線は、上下一括き電状態になりTC型エアーセクションが不要となる。 立川駅構内の青梅短絡線のき電の選択き電断路器がどのように切り替わるか、TC型エアーセクションの動向も今後注視する必要がある。


タイポストが稼働している時のき電系統
 青梅短絡線は、中央線下り線き電で短絡線途中のエアーセクションまで き電されている。
中神タイポストを投入すると立川駅構内青梅線上下線は、上下一括き電状態になりTC型エアーセクションが不要となる。もともと立川駅構内の青梅線はWクロスの部分が同一き電状態になっていたのが、範囲が増大した状態になる 


参考資料

立川駅配線図部分 出典(「配線略図.net」「https://www.haisenryakuzu.net/」)

2023年8月16日

1317. JR西日本 北陸本線 新疋田変電所脱落(速報)

 新疋田変電所脱落

 
 MRO北陸放送より部分引用

  JR西日本によりますと、福井県敦賀市の新疋田駅近くにある変電所に、北陸電力から電気が供給されない状態が続いているということです。 JRは、近くにある別の変電所から電気を供給して列車の運行を続けていますが、必要な電気が不足するのを防ぐため、近江塩津駅と敦賀駅の間で本数を制限しているということです。
 
 引用終わり

近くの変電所は、敦賀変電所と近江塩津変電所が延長き電している。もともと山間部に位置しているので電力が必要な変電所であったが22㎸ 1回線しか引いていない。

 当該変電所は、新疋田変電所が該当  直流化に伴い変電所増設した。
なぜ 近傍に関西電力の77㎸ 2回線が通っているのにわざわざ北陸電力の南敦賀変電所から22㎸を引いたかは、調査してないので不明
 
 電力貯蔵装置を2006年に導入 (新疋田での導入目的は変電所停止時のバックアップ)したが 導入 費用が高価で、省エネルギー効果に見合わないのが現状です。とのこと



 受電:北陸電力 F091送電線 22㎸受電(北陸電力 南敦賀変電所より)
 国道沿いの一般配電線に共架の形で22㎸ケーブル敷設一部架空送電線部分もある。
 給電がケーブルなので故障点を探すのに苦労する。

福井県内154㎸以下の電力系統図 F091が新疋田変電所への径路

 近傍に77㎸ 上中町支線 2回線が通っているが無関係(関西電力系統)
 関西電力送配電 上中町変電所(配電用変電所)


2023年8月15日

1316. 東急電鉄 目黒線・新横浜線 日吉開閉所

 日吉駅 大倉山方面端 上り線側に設備されている。

 東急電鉄 地上部は上下一括き電を行っている。地下部は防災面から上下線別き電を行うのが常である。

 中目黒駅から渋谷駅間、反町駅から横浜駅間は上下線別き電を行っている。今回日吉駅のインピーダンスボンドを調査した際に、日吉開閉所があったので調査を行った。新横浜線は上下方面別き電、目黒線は上下一括き電なので き電分離の観点から開閉所が設けられている。

ホーム端にある日吉開閉所入口

日吉開閉所 全景 目黒線上下線(上下一括き電・タイき電)のき電線が引入れられている

目黒線上下線 タイき電 2回線引入れ 引き入れ箇所でタイボンド

インピーダンスボンド中性点に開閉所の64P接地線が繋がっている(1本の細いケーブル)

新横浜線下り目黒線 き電線トンネル上部で引き止め 手前最終き電分岐装置部有



1段目のエア―セクション ここから 直流デッドセクション部(一列車長)に入る
架線はカテナリー ここまで目黒線 元住吉SSき電

直流デッドセクション部(一列車長)架線はカテナリー


直流デッドセクション部へのき電線 き電線分岐装置 架線上部


綱島トンネル カテナリーから剛体架線のエア―セクション


直流デッドセクション部終了 シンプルカテナリーから剛体架線のエア―セクション


直流デッドセクション部を抜ける 電車線区分標に「出」表示
新横浜SS方下り線 き電線区間


新横浜線 最大勾配上り切り部分
新横浜駅方及び直流デッドセクション部の上下線のき電線が収容された軽量プラスチック
トラフが右側を手前側にある日吉区分所まで伸びる(上り線方に敷設)

新横浜駅方、直流デッドセクション部の上下線のき電線が収容された軽量プラスチックトラフが右側を手前側にある日吉区分所まで伸びる(上り線方)トラフには高電圧注意の表示


発煙を起こした渡り線の下を潜り、左側にある開閉所まで軽量プラスチックトラフが伸びる

直流区間のデッドセクションについては以下で解説している

487. 直流電化区間のデッドセクションとエアーセクション

 直流電化区間のでのデッドセクションは、FRPインシュレーターが連なっている訳ではなく電車長の架線両端に、エアーセクションを設け、そのエアーセクション間をデッドセクションと呼んでいる。

 東京急行電鉄では72D方式、東武鉄道では、Zセクション方式もしくは中間セクション方式、小田急電鉄ではW方式と呼ばれている。

このエアーセクションが2段重ね対策は、セクションオバーを防止するため設定されている

セクションオーバーの定義(日本鉄道電気技術協会編:直流高速度遮断器より引用)
地絡事故で停電あるいは、停電工事を施工している区間に電車がエアーセクションを通過し
たため故障区間と健全区間のトロリ線を一瞬短絡した場合
出合い頭の事故として
1.地絡箇所に再度地絡電流が流れて事故被害拡大
2.電線に触れていた人が感電
3.パンタグラフを介して流れた電流が原因で、トロリ線やすり板を損傷

JR東日本では、数々の変電所を巡ったが、この方式は巡り会わなかった。

直流接触器(72F)を利用した方法 こちらが一般的
平常時すべて「入」の状態 54F3部分で地絡発生
54F3停電とともに72F0も開放
 停電区間に54F1区間から電車が侵入したとき72F0と54F3のエアセクションをパンタが短絡しても事故電流が流れない
「鉄道に関する技術基準(電気編)」の記載の方式
平常時54Fすべて「入」の状態
54F3地絡発生時 54F3開放 54F0も開放
停電区間に54F1区間から電車が侵入いたとき54FF0と54F3のエアセクションをパンタが短絡しても事故電流が流れない



上記 説明と同じ 但し直流接触器がここでは高速度遮断器54Fに変更されている



日吉開閉所 単結線図 直流高速度遮断器は4台設置
 上下一括き電、上下線別方面別き電のき電分離が行われているので新横浜変電所からここまで片送りと思われる。また回生インバーダーが新横浜SSに設けられているので上下一括き電との並列き電は、効率的にも行われていないと思われる。回生インバーターは新横浜線内の急こう配対応が主目的であるとの見解が妥当だろう。新横浜変電所が落ちた場合並列き電となるだろう。



















参考資料 日本鉄道電気技術協会編:直流高速度遮断器 pp.30図4.6.2、pp.31図4.6.3 引用 日本鉄道電気技術協会編:き電変電シリーズ、変電所一般 pp.34図1 引用