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2024年8月23日

1384. 立山黒部アルペンルート「架線好きのあなたへ」 立山トンネル トロリーバス 2024年11月廃止

 関電トンネルのトロリーバスは過年 電気バス化されてトロリーバスが廃止されたが、立山黒部貫光の立山直下を運行している大観峰⇔室堂間のトロリーバスは、まだ今年の11月の運行終了まで運行されている。その後 電気バス用の充電設備の設置が始まる。構成は、既に実績のがあり部品の共通化ができる関西電力と同じになるであろう(未確認)。

立山トンネルにおける無軌条電車(トロリーバス)事業廃止の届出 及び電気バスへの変更計画について 立山黒部貫光発表資料 2023年12月発表 

令和6年(2025年)12月廃止 令和7年(2026年)4月から電気バスへ変更予定

「立山トンネルトロリーバス」メモリアルバックヤードツアー 1回から3回まで申込終了

10月14日の最終回は、応募の詳細はあらためてご案内いたします。とのこと


電気バス(関西電力株式会社運行・直営となった)

1331.  関西電力 関電トンネル運行 電気バス詳細(過去記事+追加情報)

891. 立山黒部アルペンルートの電気設備 電気バス 関電トンネル導入(全面誤記訂正) 

それ以前のトロリーバスについての記事

44.  立山黒部アルペンルート大町⇔室堂間の送電系統(全面誤記訂正) 2014年記事

785. アルペンルート 温故知新 2018年記事

845. 立山黒部アルペンルート 送電線経路についての一考察(全面誤記訂正)2018年記事

 立山黒部貫光では、日本で最後のトロリーバスを運行していることになるため特別企画で 「架線好きのあなたへ」の題で紹介Webを立ち上げている。

架線鉄と読み間違えていたのは内緒

特設ページURL


展示品 トロリー線は、フロッグと呼ばれる架線交差部の部分の前後の部分を切り出し
 駅部ではこの形式のトロリー線(剛体架線)は使っておらずT字アルミの下にトロリー線が付加された剛体架線を使用している


 展示品 コレクターとカーボンスライダー


展示品 トロリーブレーカーはセクションインシュレーターが正式名称

フロッグと呼ばれる極性転換架線交差部の部品 正しくは30°分岐器がフロッグと呼ばれる
中心の金属部分はスプリングポイントのように可動するようだ。進行方向性があり可動する部分が各々違う
注記:トロリー分岐器がフロッグとよばれている。(ポール電車用トロリー分岐器(フロッグ)の改造;九州炭鉱技術連盟会誌18(10)(204))から
クロッシングには可動部は無い。

以上が立山黒部貫光の展示内容。以下からは取材・調査内容

展示品のトロリー線部分 上部管部とトロリー線間の隙間が広い 車中から撮影
極性転換部(奥)に進行中

 フロッグ部 極性反転部 右上に展示品のトロリーブレイカー(セクションインシュレーター)が見える。駅部からのトロリ-線が左上から合流する。中央上のトロリー線が駅部に向かう。極性反転部


拡大
赤丸 セクションインシュレーター(トロリーブレイカー)デッドセクションのようなもの
緑丸 クロッシング(交差金具・両端にセクションインシュレーター)
青丸 30°分岐 (フロッグ・Frog)
雷殿変電所からの±300Vのき電線は極性転換部を越えた先の剛体架線に繋がっている

 電車線分岐箇所詳細 セクションインシュレーターが展示品のトロリーブレイカーに該当。展示品のクロッシング(交差金物)交差金具の直線部にはセクションインシュレーターが固定されている。このセクションインシュレーターは展示されてない。30°分岐(フロッグ)この図の反転されたものが上記画像となる。

 上記 画像は 室堂駅の架線交差部の部分(極性転換部) 


 室堂駅 現状の駅部の剛体架線はT字アルミにトロリ-線がついているので、展示品のトロリー線とは違う(±300Vの加圧 トロリ-線間電圧600V) トロリーバスのコレクターがトロリー線と接合
駅部の剛体架線部(展示品のトロリー線とは違う)
急カーブで極性反転部に向かう

 
トロリーバス主回路 トロリーポール集電器(コレクター)が±300Vのトロリー線から集電


 さて2025年4月からの運行時点から電気バス導入となる。立山トンネルのトロリーバス導入時は8台のトロリーバスが各4台づつ運行していた。多客時は臨時便の発車もされていた。
 
 関電の電気バスは15台の導入だが何台電気バスが導入されるのだろう。関電の電気バスは定時発車で今まで臨時便の発車はなかった。
 立山トンネルの形状からすると充電ステイション(コンタクトドーム)が設置する場所すなわち電気バスが直線で止まれる場所が少ない。関電の充電ステイション(コンタクトドーム)は、駅部以外の場所にも設置されていた。

 関電トンネル(約6㎞) 電気バスの充電ステイション(コンタクトドーム)8台(6台が駅部にある)で15台の電気バス対応している。6台で運行して中間部で行き違いしている。
30分間隔 運行時間16分 急速充電時間12分 充電は扇沢のコンタクトドームのみ 1回の充電で約30㎞走行

 現状の立山トンネル トロリーバスは30分間隔 多客時15分間隔 運行時間10分で4台で運行して中間部で行き違いしている。

 立山トンネルの電気バスがトロリーバスと同じ8台導入と仮定する。電気バスの充電ステイション(コンタクトドーム)4台で対応 但し運行時間が立山トンネル10分(約3.7㎞) 運転間隔30分、多客時15分間隔の対応が必要 急速充電時間12分とするとギリセーフの運行形態となると思う。

 変電所の位置は、雷殿変電所がトロリーバスの変電所であったが、急速充電を行うためには電気バスの充電ステイション(コンタクトドーム)と急速充電装置間のケーブル長が短く大電流が流せる構成が必要となるので、急速充電装置の設置場所は大観峰しかない。室堂に設置するのは置く場所が無い。
 以前は大観峰に食堂や大規模な売店があったが、その場所を潰して急速充電装置を置くのだろう。大観峰の屋上テラスのみの階段だけを残しほとんど乗換専用駅としての機能だけを残して滞留する乗客を捌く施設となると思う。

其の他

黒部平からの6.6㎸送電線 引込部 構成は変化してない
碍子の対応は22㎸仕様

大観峰の直近の送電鉄塔 右から黒部平からの送電線 2019年に交換されている
左が受電鉄塔までの送電線 送電線の口径が違う

拡大 明らかに黒部平からの送電線の口径が違う
ここまで送電線の大容量化が進んでいる。

以下私見
 黒部平ー大観峰まで22㎸化。上記鉄塔から受電鉄塔まで太線化。大観峰の観光施設(売店等)を潰して22㎸降圧6.6㎸の変電所設備(C-GIS化)立山トンネル内の電気バス急速充電設備対応。
 同時に大観峰―室堂間の6.6㎸CVケーブルをCVTケーブルに変更太線化 室堂地区の電力不足対応(現状天狗山荘まで地下ケーブルで6.6㎸供給を弥陀ヶ原まで6.6㎸を地下ケーブルで供給)

 毎年4月と8月にこのルートは通過しているので、来年の4月にどのように変化しているか楽しみである。



参考文献
                     
高井均:いろいろな電気鉄道 立山直下のトロリーバス 
鉄道と電気技術;2000,Vol.11,No.2,pp.45-48           

駒沢博郎ら:トロリーバス用インバータードライブシステムの開発 
平成6年電気学会全国大会講演論文集;1994,8-161

吉原 真一郎;黒部に新設された無軌条電車(トロリーバス)について:
電気鉄道,Vol.19,No.9,1964,pp.24-26