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2014年12月1日

115. JR東日本 佐貫町変電所(直流・交流) 

受電:東電 内房線より分岐JR佐貫線66kV 2回線受電
給電:交流 き電補助線33kV
き電:直流 内房線

特徴:狩野山測地観測所の地磁気観測に擾乱を起こさないよう、 き電区間が約5kmで区切られているため5km範囲の大貫変電所と竹岡変電所に交流33kVで送電を行っている。各変成設備容量も3,000kWと小型化されている
追記2017/10/10 JR東日本
列車位置情報を活用した変電設備スリム化の実証試験について JR東日本 pdf 注意

以下引用
「列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御」に関する実証実験
当社で既に導入している回生電力貯蔵装置(拝島変電所・桶川変電所・久喜変電所)は、架線電圧の値によって充放電を制御し、電車に電力を供給しています。その結果、実際は電車が電力の供給を必要としない場合でも架線電圧によっては充放電してしまうことがあり、蓄電池容量はこの不必要な充放電を考慮して決定される課題が生じていました。
「列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御」では、GPS による列車位置情報を用いて適正な位置に列車が在線しているときのみ充放電する制御を行うことで、蓄電池の小型化ならびに長寿命化の実現が期待できます。
2. 試験内容
(1)試 験 箇 所 内房線 君津~上総湊間 大貫変電所
(2)実 施 時 期 2017 年10 月25 日~2018 年6 月(予定)(試験終了後に装置は撤去予定)
(3)試 験 内 容
① 回生電力貯蔵装置による列車への電力供給データの取得
② 回生電力貯蔵装置の列車位置情報を用いた制御方法の優位性の検証
③ 隣接変電所の異常時を想定した、回生電力貯蔵装置による列車への電力供給データの取得
引用終わり

ATACSとの統合試験が行われるかもしれない。


銘板には、佐貫町変電所と書かれている
JR佐貫線

佐貫線1番2番 断路器は、すべて閉極 66kV 受電
断路器の後ろには、遮断器
受電端右より 断路器 遮断器 計器用変圧変流器(MOF) 避雷器 主変圧器
MOFと避雷器 主変圧器66kVから33kVへ降圧 
2号 主変圧器 66kVから33kVに降圧 33kV側断路器は開極(OFF) 断路器の次は、33kV母線に繋がる
東京電力管内では33kVは、使われていない 中部電力等の一部で使われている
33kV 母線 避雷器と断路器
後ろの33kV 母線より遮断器を経由し整流用変圧器に繋がる33kV
ケーブルヘッドがゴムとう管を初めてみる。通常は、碍子ブッシング形
三相33kVから二相を取り、単相6.6kVに降圧する配電用変圧器
き電補助線 奥 大貫変電所 手前 竹岡変電所への送出 33kV 断路器
33kV  き電補助線 左 竹岡変電所 右 大貫変電所
手前 33kV整流用変圧器と奥 沸騰冷却式(純水)シリコン整流器、正極直流断路器
沸騰冷却式(純水)シリコン整流器3,000kW、正極直流断路器とCTが見える
負極 直流断路器

直列リアクトル SL
左 大貫方面11 右 竹岡方面13 避雷器と接地線に繋がる磁鋼片

インピーダンスボンド中性点に繋がる帰線

佐貫町変電所 直流変成設備 脱落時の延長き電用断路器 常時開極

上 大貫変電所 下 竹岡変電所
大貫方面 き電線1,500Vが2段なのはエアーセクションが変電所より
離れた場所にあるため竹岡方き電線を延長している

佐貫町駅を通過する33kV き電補助線の山越え トンネルが狭隘なので架空送電線となる

き電補助線は、鉄塔形式も取る

き電補助線33kVと配電線 1,500Vき電線が共架

竹岡方面 き電補助線33kV、配電線、き電線 共架

内房線の君津⇔安房勝山間には、国土地理院の鹿野山測地観測所(地磁気観測所)があるため、直流電化の際に地磁気観測に影響が少なくなるように、直流区間を短く区切り、直直セクションで区間に供給する直流電力量を少なくして影響を及ぼさないように配慮されている。
 筑波には、気象庁の地磁気観測所があるため取手以北の常磐線、水戸線、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス守谷以北が交流電化となっているが、内房線に関しては多大な費用が発生し、また交直両用の電車の運用が必要なため、見送られた経緯がある。

この辺の経緯は、国鉄技研で1965年に実地試験が行われ変電所間隔を狭めることで一応の解決をみた。
 その区間は大貫変電所、佐貫町変電所、竹岡変電所である。それぞれの変電所区間は、君津変⇔大貫変間が約8km、大貫変⇔佐貫町変間が約5km、佐貫町変⇔竹岡変間が約6km、竹岡変⇔安房勝山変間が約10Kmとなっており君津変より東京寄りの木更津変間の約12Km、そして安房勝山変より那古船形変の約12kmより変電所の間隔が短くなっている。
 また別のでは、TEPCOの送電線が君津、大貫、竹岡変電所付近に無かったため、き電補助線を設けて対応をおこなった。その後 君津にはTEPCO送電線が引かれている。

 通常直流電化区間の変電所間の距離は東京都市部で4~5km、郊外で10km前後と言われているので、大貫変から竹岡変の変電所間隔6km前後は単線運転にしては、短い。ちなみに八高線単線部分の 川越変⇔高麗変間は約16km 高麗変⇔拝島変は約20kmの変電所間隔が空いている。
鹿野山の地磁気観測所から直線約7kmの佐貫町変電所が観測所から一番近いJRの直流電化区間になる。
Wikipediaの内房線、気象庁地磁気観測所の項目では、直直デットセクションがあるとのことだが調査したところ、実際は、エアーセクションで区切ってあり、無加圧のデッドセクション存在しない



参考文献から引用(一部省略)
内房線 大貫変電所、竹岡変電所は山間部に設置され、東電 特高回線が付近に存在していないこのため両変電所(大貫・竹岡)は、中間にある佐貫町変電所が受電した66kVを降圧して33kVに降圧して「き電補助線」を通じて電源供給を行っている。き電補助線は、き電線や高圧配電線と共に添架され、トンネルは狭小の為内部を通過せず上部の山を越えており鳥害や樹木によるトリップが多く、また設備の老朽化も進み対策に苦慮している。当該変電所(竹岡)付近は、単線運転で列車負荷も大きくなく、電力貯蔵装置を設置した場合に列車運行が可能かを調査し、き電補助線と変電設備スリム化に繋がるかを検証した。(竹岡変電所 脱落時を想定)

まとめ
架線電圧1,200Vを担保として最大負荷時間30秒(朝の特急走行時)を確保する電力量として5.56kWh 拝島変電所で運用を開始している日立製リチウムイオン電池B-CHOPシステムの2000hWpを使用することにより8.08khWの電力量を確保できる。つまり竹岡変電所に電力貯蔵装置を設置することにより、き電補助線が経年変化による改修が必要であり改良を含めた施工を考えた際に対費用効果として電力貯蔵装置の設置が優位であると考える。同様な検討を大貫変電所についても確認を行う。

Nori Tada私見
東京メトロでは、南北線駒込変電所で66kV/6.6kVの受電用変圧器を利用し6.6kVから整流器で1,500Vを供給している。つまり33kVき電補助線を6.6kV 化して大貫・竹岡変電所に電力貯蔵装置を設置すれば、33kV 回線を撤去できるのではないかと、私は想像する。6.6kV送電ならばトンネル通過も問題ないし配電線と共通化できる。もしくは、国府津変電所のように66kVケーブルを敷設すれば、良いが既にある33kV変電設備を利用するならば、33kV ケーブルを線路際に敷設すればよいと考える。

参考文献
市原剛ら:内房線への電力貯蔵装置設置の検討
電気学会全国大会論文集CR-ROM IEE Japan; 2014/3/18~20,第5分冊,pp.145-146

近藤博ら:国鉄 地区電化について 房総西線
電気鉄道; 1966,Vol.20,No.02,pp.9-11