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2014年12月9日

264. JR東海 新田町分岐(新幹線・同軸き電)とその周辺

新田町分岐

もちろんグーグルマップには表示名がでない。
アプローチ:田町駅 高浜公園 近隣住人の田町方面近道として往来がある。
特徴 
 東海道新幹線の大井車両基地へ分岐にある設備。 かつて浜松町に周波数変換変電所があったときに、大井車両基地に給電を行なっていた、き電線の切替え部であった。狭隘な場所に、計器用変圧器、断路器、負荷断路器、避雷器、同軸き電ケーブルブッシングが押し込まれている。

 現在 浜松町のJR東海の周波数変換変電所は、大井車両基地に移転して大井周波数変換変電所として静止形周波数変換器で運用されており、そこからの き電線が汐留補助き電区分所と大崎変電所に繋がっている。                                
 大井周波数変換変電所からは、採番で42番と45番の30kVき電線が繋がっており、そのうち42番は地中ケーブル化されている。45番は架空送電線で田町き電区分所まで繋がる。田町き電区分所からの23番き電線が、この田町分岐まで伸びている。
それは、東海道新幹線ヤードき電線である。
 ヤードき電線は、この場所で断路器で区分されて汐留補助き電区分所および大崎変電所に両方向に2本の同軸き電ケーブルで繋がっている。
 大井周波数変換変電所の容量は、30MVA×2の容量をもつ。これは浜松町に周波数変換変電所(回転形)があった際の容量と同容量である。
 汐留補助き電区分所への同軸き電ケーブルは、かつての浜松町FCの給電点でケーブルヘッドで立上り、架空送電され汐留補助き電区分所に送られている。大崎⇔東京間は同軸き電方式なので、汐留補助き電区分所にAT(単巻変圧器)は設備されていない。また本線と大井周波数変換変電所がある大井車両基地は、同軸き電方式ではないが、途中にある田町き電区分所にATはない。
負荷断路器 PW(NF)に繋がっている
(同軸き電ケーブルの外被に繋がっている)
同様な構成は、大崎変電所でも見られる。事故時の故障点の切り分け用に
かつてき電線の切替用に使用していた負荷断路器を再活用

大崎変電所の受電 同軸き電ケーブル3回線 田町分岐および汐留補助き電区分所方
大森変電所屋上のき電設備に接続
左にATが2台 新横浜方はATき電のため設置 
同軸き電ケーブル外被(NF)に負荷断路器が接続されている。
負荷断路器の大崎変電所方は、一括結線
横須賀線車内より

田町分岐 全体俯瞰
負荷断路器には、PW(NF)が繋がる。
上から田町補助き電区分所からの23回線(ヤードき電線)が繋がる。

23回線(ヤードき電線)
大崎変電所・汐留補助き電区分所への同軸き電ケーブルヘッド
各 避雷器、接地形計器用変圧器に繋がる
母線 24Sおよび25S、大崎
24S、25S母線は、断路器から立ち上がり単なる避雷器が繋がっている。
24S、25S母線は、浜松町FCがあったときの名残。
母線の下には、断路器が複雑な配線で狭隘な場所に押し込まれている。

当初 この施設は、浜松FC及び大崎変電所よりの大井ヤードへの電源給電を目的として、負荷断路器の導入を行い、無停電切換を実施していたが、浜松町FCの廃止、大井周波数変換変電所新設により、大井からの電源を、汐留補助き電区分所、大崎変電所へ振り分ける役割を持つようになっている。
故障点の整定のため負荷断路器がPWに繋がっており、故障点の切り分けが出来るよう同軸き電ケーブル外被配線の繋ぎ換えを実施。計器用変圧器と断路器を設置して、田町き電区分所からの23回線を断路器で大崎変電所及び汐留補助き電区分所に振り分けている。
区分のパターンとしては (大井ヤード=23回線=大井周波数変換変電所とする)
1.大井ヤード→大崎・汐留振り分け 
2.大井ヤード→汐留 
3.大井ヤード→大崎 
4.大崎→汐留 
5.大崎→大井ヤード・汐留(大井周波数変換変電所脱落時)
等断路器を切替えることで対応するように配線されている。
設備としては、同軸き電ケーブルのヘッドが大崎・汐留分各計器用変圧器と避雷器。PWの同軸き電ケーブル外被に繋がる負荷断路器2台と汐留・大崎接続用の断路器がある。

田町補助き電区分所からの
奥 23回線
手前 PW(NF)
田町補助き電区分所からの
奥 23回線
手前 PW(NF)
田町き電所からくるPW(NF)を、負荷断路器で、大崎方面、汐留方面に区分している
大崎変電所方面 き電同軸ケーブル
汐留方面 き電同軸ケーブル

田町補助き電区分所からくる23回線とPW(NF)
田町分岐に引き下ろされている。
23回線は、ポリマ碍子で分離され、田町分岐に引き下ろされている。

田町き電区分所からの浜松町23回線とPW
手前鉄構 PW その奥 23回線(ヤードき電線)。架線柱に23回線の引止め

23回線(ヤード)は、田町方に向かうと断路器で上下線脇に分離される。

23回線(ヤード)は、田町方に向かうと断路器で上下線脇に分離される。

大井車両基地方面下り 23回線

大井車両基地方面下り 23回線
大井車両基地方面上り 23回線
高浜公園
高浜公園から田町分岐を俯瞰
架線柱にはPW(NF)とは別にGWが張られている。上のPWにS状ホーンが見える
GWにはDCBD装置が多いところでは架線柱ごとに設置されている。
DCBD=直流電流阻止装置
23回線は田町き電区分所まで延びる。
23回線は田町き電区分所まで延びる。(上下線両側)
両脇に分離した23回線は、田町き電区分所前で断路器を経て
1本にまとまり、田町き電区分所のヤードき電線遮断器に繋がる
田町き電区分所では、大井周波数変換変電所からの45回線架空と
42回線地中を1本の母線として23回線に繋げる役割を持つ
田町分岐先で上下線脇に分かれた23回線は、田町き電区分所手前で
断路器を経て1本に繋がる

拡大 左からの2本が繋がり1本となる。

1本となった23回線は、田町き電区分所に引き込まれる。
下2本は、SN(中セクション)部き電線




23回線はヤードき電線のブッシングと繋がる。

大井車両基地分岐部にある線路監視カメラ

この付近で新幹線は、大井車両基地に複線分岐する。(以前は単線)
この跨線橋を建設する際には、東京都の協議がもめて時間が掛かった。
また 大汐留貨物線は、この部分では単線トンネルとしての通過しているので
羽田空港に延伸する際は、通過のボトルネックになる。この先からは、大井寄りは
複線となっているが、浜松町方面は単線である。
NF(PW)線が電柱に繋ぎ止められている。

東海道新幹線のPW(NF)の線径は、JR東日本の新幹線よりも太く レール、き電線ごとに
敷設されており、大電流が流れるような帰線の役目を果たしている。
これがEMC対策に役立っている可能性がある。(EMP対応)


田町駅付近のLT(線条変圧器) 電源同期式のATC用同期周波数電源を得る。
拡大 避雷器と計器用変圧器がある。

大井車両基地トロリ線に断路器経由でLTが繋がる。

架線トラスにLT用配線の表示 NF用

直流電流阻止装置 DCBD 
直流電車区間と新幹線が並走している部分にあり、PW(NF)に直流電流が遊流するのを防止している

大井車両基地トロリ線に断路器経由でLTが繋がる。





関連する変電設備


267. JR東海 大崎変電所(新幹線・ATき電.同軸き電) ブログリンク

262. JR東海 汐留補助き電区分所(新幹線・同軸き電)ブログリンク

参考文献(順不同)

大植英亮ら:新幹線品川車両基地の大井移転について
JREA;1992,Vol.35,No.12,pp.21370-21373

DCBD
吉行秀春ら:東海道新幹線における地絡電位抑制装置の開発について
電気学会交通・電気鉄道研究会資料;1996,TER-96-38,pp.25-34


但し、以下の文献は、浜松町FCがあるときの内容なので現状とは違っている。
その当時のき電線に負荷断路器が繋がっていた時点の情報

谷口哲夫:東海道新幹線品川駅付近田町分岐における無停電切換化に伴う保護継電器の不要動作対策 
鉄道電気技術研究発表会論文集;2000,10th,pp.35-40

谷口哲夫:田町分岐無停電切換に伴う保護継電器の不要動作対策 
JR東海旅客鉄道株式会社技術情報;1999,No.12,pp.132-137

皆川良一:新幹線同軸き電方式における故障点標定システムの改良について
JR東海旅客鉄道株式会社技術情報;1997,No.9,pp.163-167

皆川良一ら:新幹線同軸き電方式における故障点標定の精度向上について
電気学会交通・電気鉄道研究会資料;1996,TER-96-37,pp.17-24