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2023年5月31日

1304. 東北巡検18 JR貨物 盛岡貨物ターミナル補助き電区分所(仮称)

 盛岡貨物ターミナル補助き電区分所(仮称)

 
アプローチ:岩手飯岡駅 容易 
き電区分:本線上下線どちらかからターミナル内 機関区等へき電

左側からき電線、避雷器、断路器(き電線、NF各1台)、遮断器(VCB)、VT、オレンジキャップCT、断路器2台(一台は遮断器、VT,CTを経由、もう一台は左からのき電線を機器類を経ないでターミナル内に繋がる)


心臓部 拡大 右電柱のき電線は奥の加圧ビームに繋がる

左からき電線

ターミナル内は241き電線

 右断路器群2台は、VCB、VT、CTを経てターミナルにき電する部分と、左から直接くるVCB,VT,CTを経ないでくる き電線をターミナルに繋げる。当然直接来るき電線の断路器は開路

別角度

断路器部拡大

補助き電区分所からくるき電線は加圧ビームに繋がる

加圧ビーム化の架線は、機関区につながっている。

盛岡貨物ターミナルのき電系統 推定 上記画像からの書き起こし
配線略図.net・https://www.haisenryakuzu.net/からの引用改変


東青森駅の貨物ターミナルにも同様な設備がある VT、VCB,CTで構成
青森上方き電のトロリ線から引き出されたき電線が、東青森駅貨物部へ戻りき電設備へ
補助き電区分所のような設備


2023年5月28日

1303. JR東日本 上越線(沼田-水上間)変電所安全確認 下り線運転見合わせ5/27

 上越線は、23時04分頃 変電所安全確認の影響で、沼田〜水上駅間の下り線で運転を見合わせています。とのこと 下り線だけと言うのがミソ この時間帯 もう上り電車は運行していない。上りは、水上発21:13 高崎行きが最終。

JR公式情報

この間の変電所は


が該当。

その後 状況が判明(非公式情報)
上越線は、23:04頃、渋川変電所での安全確認の影響で、水上行の下り最終列車が沼田駅で運転を見合わせています。状況により、再開見込は大幅に前後する場合があります。
とのこと。以下Trainfo 
https://twitter.com/Trainfo/status/1662481271849906182?s=20


 この最終電車 水上行き最終電車は高崎駅23:06発で、この時点で渋川変電所が安全確認を23:04に行えば、途中駅で停車させるはずであるが渋川駅を23:30通過して沼田駅まで運行している。沼田駅着が23:54 つまり渋川変電所での き電停止は無かったことになる。

1本前は高崎発21:37 水上着22:43で問題なく到着

ジョルダン時刻表から引用

つまり、渋川変電所は通過しているので運行に影響ないはず。

渋川変電所は、沼田変電所の上野方に位置するが、この間に津久田変電所が入る。

 しかしJR公式情報では、沼田-水上間となっており沼田、上牧、水上変電所のうちどれかが安全確認を行っている。当方のブログでの検索件数は水上変電所がTopになっているので水上変電所の安全確認かもしれない。














2023年5月26日

1302. 東北巡検17 JR東日本 田尻き電区分所

田尻き電区分所 

 
アプローチ:田尻駅 容易 
き電区分:新田SS-田尻SP-鹿島台SS 単純なき電区分所 タイき電設備無し


全体像 単純なき電区分所 VCBは東芝製

左 OTの予備、避雷器がポリマ碍子製、縦型遮断器(VCB) 下り線253,上り線254
遮断器直結断路器は、開路


裏から見た構成

下り線側 遮断器「切」 開路

上り線側 遮断器「切」 開路

最終断路器は、どれも閉路

き電線引出部 左方向にデッドセクション



右 方向に断路器 き電区分所は対面の下


上り線側デッドセクション

上り線側デッドセクション 車中より

き電区分所の脇にある訓練用架線 セクション部

き電区分所の脇にある訓練用架線 交差部

き電区分所の脇にある訓練用架線 交差部と奥セクション部


2023年5月12日

1301. 東急電鉄の雷による運行停止 雷対応対策実例

 昨日の落雷 運行停止の事故報告(暫定)が東急電鉄のWebにUpされた。

【お詫び】東横線、目黒線、東急新横浜線 落雷に伴う信号設備故障による運転見合わせについて

以下一部引用

 東横線・大井町線自由が丘駅付近で発生した落雷により、多摩川信号機器室内のATC(自動列車制御装置)と踏切制御システムが被害を受けました。
なお、両システムともに落雷対策を施しておりますが、 不具合が発生した原因等は、現在調査中です。

引用終わり

 落雷で長期間不具合を発生したのは、田園都市線の田奈変電所であるが、架線柱にはかなりの頻度で落雷が2008年まではあった。その対策も多くなされている。

以下東急資料から引用


この田奈変電所落雷事故により以下の対策がなされた。
 対策前 JRでは変電所き電線口には避雷器が必ず設置されていたが東急電鉄では完全ではなかった。

対策後 変電所外部に避雷器 A種接地とD種接地間の接続(等電位ボンディング) 等電位接地、変電所内の保護接地マットの落雷による大地電位発生があるので接地抵抗の小さいA種接地に接続した模様


 このほか変電所切り離し断路器に設置(事故変電所を切り離しスルー化させる)も行われている。東急電鉄では積極的に上下一括き電を導入しているので、1カ所の変電所スルー化でも運行できる体制になった。(田奈変電所事故の時は、本復旧まで半年。仮復旧まで1週間。この間変電所スルー化による電圧降下のため通常の70%の輸送密度で運行されている)

 このほかの耐雷対策として一般的な架空地線、耐雷トランスの使用、保安器(SPD)、き電線避雷器の増設などで対策はされていた。
耐雷トランス、保安器(SPD)、避雷器の増設

一般的架空地線を上部に張る
大型避雷器(変電所のき電線引き出し口に取り付ける大型避雷器)

放電電流が大きい容量の物を取り付け






東急電鉄では概ね200~250m間隔で避雷器を取り付け














き電線保持のビームに落ちた際の逆閃絡によるき電線碍子の破損を防止
 逆閃絡によって碍子が破損するとき電線落下により高抵抗地絡が発生する。特に東急電鉄では、上下一括き電を行っているので、変電所遮断器の保護設定値が大きく設定されており、高抵抗地絡の場合の判断がしずらくなる

このホーンの取付カ所は、一級河川相当の多摩川橋梁に取りつけられている






積極的避雷針の設置

 軌道線の世田谷線 上町変電所に設置 軌道線のため架線電圧が600Vである。そのため電鉄変電所からの融通ができない。避雷針上空に電荷を発生させ雷雲からの電荷を引き寄せないようにする措置を行なっている

鉄塔頂上部




司令所も重要な耐雷設備が必要な場所である。
司令所所(奥沢)の放電ワイヤと等電位接地網 第二司令所として現存

司令所所(奥沢)のボール型電荷放散器

司令所所(鷲宮)に設置の防雷システム

右に高架の車両基地が見える

屋上に非常用発電機と建屋

別角度から見た屋上 防雷システムのポールが見える


今回の落雷事故は
以下引用
 多摩川信号機器室内のATC(自動列車制御装置)と踏切制御システムが被害を受けました。なお、両システムともに落雷対策を施しておりますが、 不具合が発生した原因等は、現在調査中です。
とのこと

踏切箱の防雷システムは、耐雷トランスと保安器(SPD)で保護されている

 目黒線と本線が運行停止なので奥沢変電所が落ちたと考えるのが妥当と思えるが、実際の故障先は、さらに先にある多摩川信号機器室内のATC(自動列車制御装置)と踏切制御システムが故障したとのこと。
 信号は光ケーブルで送られており雷の影響は受けないと思われるが、高配から入ったインパルスが耐雷トランス、SPDを通り抜けて装置に影響を及ぼしているので各装置間の接地間隔で大地電位が上昇して故障。接地極間SPDが無かったので接地極間の電位差が発生して電子回路に影響を及ぼした可能性がある。

参考資料
相原茂ら;東急電鉄の電力設備における雷害対策の取組み:鉄道と電気技術,Vol.20,No.9.pp.30-34,2009

大湯光昭;東急電鉄の雷害対策について:鉄道と電気技術,Vol.32,No.9.pp.23-25,2021

鬼窪重美ら;東急電鉄の電気司令所移転に伴う電力管理システムの切替について:鉄道と電気技術,Vol.33,No.8.pp.20-24,2022