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2023年11月3日

1329. JR東日本 宇都宮以北の直流変電所 受電源の思考実験(TEPCO受電)一部最新情報に書き換え

 大宮以北の東北本線が電化されたのが昭和33~34年にかけてであった。その当時大宮変電所の次の変電所は蓮田であり、順に久喜、栗橋、間々田、小山、小金井、雀宮、宇都宮であり電化営業開始は昭和34年4月14日であった。

その当時 東北本線沿いに適当な東電の送電線66㎸がないため自営送電線を引いている。

 1956年の計画時は国鉄掛川変電所と東電小山変電所、および東電雀宮線から受電を計画してた。定位は東電小山変電所で両方向に送電し、桶川変電所、東電雀宮線は予備としていた。

 変電所間隔は10㎞。また矢板変電所に東電片岡開閉所から154㎸を導入して宇都宮以南の電源としていた。矢板変電所からの66㎸送電線は、将来宇都宮以北が電化されるこを考慮して経路が決められていた。つまり矢板変電所からの154㎸降圧66㎸を蓮田-黒磯間に給電していた。

 当初の矢板変電所の154㎸降圧66㎸変圧器は小千谷発電所から移設さてたものを使用している。途中小山変電所で予備電源として東電小山変電所からの66㎸1回線受電を行えるようにしていたが、矢板変電所で降圧された66㎸と高崎線桶川変電所からの66㎸1回線を各変電所(蓮田、久喜、栗橋、間々田、小山、小金井、雀宮、宇都宮)は受電していた。

 自営送電線の長さは123㎞ 鉄塔533基、木柱9基、1.6㎞の地中送電線路(桶川周辺)で蓮田-矢板を繋げた。


国鉄自営送電線網 蓮田-矢板-黒磯間

 矢板変電所の154㎸降圧66㎸の変圧器容量は10,000㎸A結線はY-Y-Δ結線で二次側中性点は中性点抵抗器と消弧リアクトルが設備されている。三次巻き線はコンデンサ(0.5μF)を介して接地されていた。東京電力の電力計(MOF)は66㎸側に置かれている特殊な使い方である。現在も同じ構成である。


国鉄自営送電線網 蓮田-矢板-黒磯間別資料 点線内変電所は矢板以外建設中

 この図で東小山変電所と書かれている変電所は現小山変電所である。

東小山変電所は、旧猪苗代幹線154㎸受電をしていた。
日立評論1960年9月号:東京電力株式会社北東京変電所納配電盤 リンク

 また1960年以前の1951年の関東配電株式会社の送電系統図にも同様に旧猪苗代線が東小山変電所に繋がり京北変電所まで伸びている。1951年5月関東配電は東京電力となっている。
東小山変電所に旧猪苗代幹線154㎸が繋がる
国立国会図書館デジタルコレクションより引用 電氣事業報告書 S26 関東配電, 1951
 IDを登録すると個人宛送付でPCで見られる。


東小山変電所に旧猪苗代幹線が繋がる
国立国会図書館デジタルコレクションより引用
電源開発株式会社調査資料 特輯 電源開発, 1958-02

 宇都宮以北の変電所は宝積寺、蒲須坂、矢板、西那須野、黒磯であった。昭和33年4月には矢板変電所からの自営送電線で宇都宮まで送電されていた。 

宝積寺までの電化が昭和33年12月15日
黒磯までの電化が昭和34年5月22日
交直切替設備が黒磯に完成して昭和34年7月1日白河まで交流電化された。

 今回の自営化送電線切替 TEPCO電源は、鉄塔(昭和33~34年建設)劣化、送電線下の市街地化、送電線の保守点検の煩雑さを踏まえたものと考えられる。

 自営化からTEPCO受電への切り替えに置いての原則は、小金井、雀宮、宇都宮変電所の切替工事を見て感じることは

 1.自営新設送電線鉄塔は建植しない
 2.自営送電線路の鉄塔は使わない
 3.市街地内は地中送電線路を経由しての受電とする
 4.田畑を経由する場合TEPCO負担で新設鉄塔の建植をさせる
 5.受電用キュービクルはGIS型で一括発注して価格を下げる
 6.既存のGIS受電設備のある変電所(宇都宮)は既存施設に受電設備を繋ぎこむ。
 7.TEPCO送電線からの引き込みは最短経路を採る

などがあると感じる。
 
 既に、小山、小金井、雀宮、宇都宮は取材して記事をUpしてある。

 今回 西那須野変電所が自営からTEPCP受電に切り替わる工事は2021年後半には始まっていたことになる。今のところGoogle street veiwで確認したところ宝積寺、蒲須坂、矢板、黒磯はTEPCO切替の兆候は見られない。2023年11月時点(時々撮影時期が更新されている)

1034. JR東日本 小山変電所から 矢板変電所経由 黒磯変電所までのJR送電線 TEPCO乗換の現実  黒磯変電所まで

上の記事で宇都宮以北のTEPCO受電の可能性を考えてみた結果が以下のようになっている。

以下は想像 (無理やりTEPCO受電をするとしたら)赤は今回書き込み

宝積寺は近傍に66kV TEPCO送電線がないので宇都宮変電所からの延長給電
現に宇都宮変電所からのJR専用線は除却されて繋がって無い。別系統を探す

蒲須坂変電所は、TEPCO喜連川線からの受電
Webを徘徊するとTEPCO喜連川線で確定(喜連川線は栃那線No.101鉄塔で烏山線と繋がる)

JR東日本矢板変電所は、154kV受電廃止 TEPCO矢板変電所からの地中送電線路へ変更

JR東日本西那須野変電所は、TEPCO西那須野線から受電
1328. JR東日本 西那須野変電所 TEPCO電源に切替済

黒磯変電所は、TEPCO那須線66kVから受電(地中送電線路)


 TEPCOの66㎸系統強化計画を見ると判明するのだが転載禁止なのでリンクを張る。
主要送電線路の整備計画(66kV) TEPCO資料

この計画の中で気になる部分が烏山線の増強計画である。計画としては以下の内容
①栃那線No.101~烏山線No.84         こう長7㎞
②河内変電所~栃山線No.36       こう長3.35km
③栃山線No.36~3AZ2466供給線No.2 こう長2.56㎞
そして、この資料の図では栃山線、栃那線を経由して栃那線No.101鉄塔まで計画上の黄緑ラインが引かれている。このライン現時点では計画が上がっていない。烏山線の増強は太陽光発電所が烏山線周辺に多くできていることから妥当な計画である。

 栃那線の下部には66㎸2回線の喜連川線が共架されており、また栃山線下部にも66㎸2回線の河宮線が共架されている。

 空白部分(栃那線N0.102鉄塔から栃山線No.35鉄塔)がちょうど烏山線強化のために引かれている黄緑ラインになる。空白部分の栃山線、栃那線鉄塔の下部を調べると66㎸2回線の腕金が組まれている。但し栃那線No.116鉄塔は上部を新茂木線が通過するので、66㎸2回線は迂回する必要がある。

 まるで、栃那線と栃山線は、東北本線の変電所受電用になるように並行で回線が引かれている。栃山線の下部に引かれている河宮線は、途中JR宇都宮変電所、JR東日本雀宮変電所、小金井変電所用の受電回線となっている。

 さらにTEPCO小山変電所からの小北線154㎸×2回線の下には間々田線66㎸2回線が共架しており、この間々田線はJR東日本 小山変電所、南小山変電所用の受電回線となっている。また途中分岐して鉄道情報システム北関東 データセンタにもつながっている。

 整備計画最後の③栃山線No.36~3AZ2466供給線No.2 こう長2.56㎞は、ちょうど栃山線下部に66㎸送電線を引きJR宝積寺変電所までのラインとすると長さが合う。

 栃山線はJR東日本宝積寺変電所付近でNo.30鉄塔で芳賀線が分岐する。そのためNo.30鉄塔には66㎸回線が引けないため66㎸回線は、その部分だけ別鉄塔を建植して引き回す必要がでてくる。
 将来的に栃山線No.36鉄塔から栃那線No.101鉄塔まで66㎸2回線は増強することに成っているが、先行でJR東日本 宝積寺変電所まで66㎸ を引く工事が③に該当すると思う。
 鬼怒川を越える部分は、長さがあるため再度現有鉄塔の構造設計から66㎸を保持する腕金を組み入れるものと思われる。

 JR東日本黒磯変電所の66㎸ 2回線受電の径路である。付近にはTEPCO猪苗代幹線の鉄塔が建っているが66㎸2回線増設の設計にはなってない。

案として
1.TEPCO那須線がTEPCO黒磯変電所まで通っているのでここで地中送電線路でJR東日本黒磯変電所に引き込む。

2.JR東日本 小山新幹線車両センター那須電留基地用変電所受電を那須線から行い線路沿いにトラフ・管路収容で黒磯変電所まで引き込む。
(JR東日本 小山新幹線車両センター那須電留基地用変電所受電はTEPCO那須線No.49鉄塔から架空送電線で基地変電所へ引き込み No.49は分岐鉄塔として移転建植されている)

3.豪勢に那須変電所から直接引き込む(架空・地中)(那須変電所は変圧器バンク1台増設可能の設計になっつている)

4.矢板変電所の154㎸受電は、そのまま残しJR東日本 小山新幹線車両センター那須電留基地用変電所電源として黒磯変電所から線路沿いにトラフ・管路収容で引き込む

5.TEPCO那須線66kV回線 No.52鉄塔引き下し 地中送電線路経由 



参考資料
東北本線上野・宇都宮間電化工事記録
日本国有鉄道東京電気工事局/編 -- 日本国有鉄道東京電気工事局 -- 1958 -

東北本線宇都宮福島間電化工事記録
日本国有鉄道東京電気工事局 編-- 日本国有鉄道東京電気工事局 -- 1958 

天野 一郎;東北線大宮-宇都宮間及び山陽線西明石-姫路間の電気運転設備について:電気鉄道,Vol.12,No.4,pp.2-9,1958 

高橋 哲夫;東北本線上野-宇都宮間電化工事の概要:電気鉄道,Vol.10,No.10,pp.2-7,1956