目次と免責事項

2024年7月29日

1382. JR東日本 山形新幹線(山形線) 山形駅―大石田駅間 8/1運行開始時のき電系統

  法面崩落個所は、芦沢-舟形間。芦沢ー舟形間は複線区間となっている。ならば芦沢駅での折り返しも可能と思われるが、法面崩壊箇所で架線柱も崩落している。そのためき電停止措置が取られているものと思われる。また芦沢駅はホームの有効長が無いのと駅前広場が無い。

日テレNEWSNNN Webから引用
元記事
山形新幹線 来月1日から一部区間で運転再開

 山形線は、羽前千歳駅の羽前千歳変電所の新庄方からAT電化区間となり末端は、新庄駅となる。新庄駅にはき電区分所が設けられており、院内変電所と羽前千歳変電所の電源突合せとなっている。但し線路はつながっていない。

991. JR東日本 奥羽本線・山形新幹線 新庄き電区分所(SP) デッドセクションが無い き電区分所(SP)  AT308,307

 大石田駅での折り返しは、大石田駅の新庄方に大石田補助き電区分所が設けれらエア―セクションで き電区分ができ、かつ末端としての単巻き変圧器(ATP)が機能できることから選ばれたことも理由となるだろう。

993. JR東日本 山形線・山形新幹線 大石田補助き電区分所 SVCが設備されている補助き電区分所 AT305

 芦沢駅だと末端は単巻き変圧器(ATP)は舟形となり、この間がき電停止のため末端にATPが置けない。区切りが良いのは大石田駅となる。

 新庄SP・AT307-舟形ATP・AT306-大石田SSP・AT305-神崎ATP・AT304-東根SSP・AT303-天童ATP・AT302-羽前千歳SS・第一AT301と約10㎞間隔でATPが置かれている。SPはき電区分所、SSPは補助き電区分所、ATPは単巻き変圧器設置場所



2024年7月21日

1381. あまり話題にならなかった埼玉高速鉄道の発煙事故

あまり話題にならなかった、埼玉高速鉄道の発煙事故の時系列から読み解く変電所の運用

 埼玉高速鉄道は、以前記事にしていたが接続する南北線は、ホームドアが天井までほぼ完全にホームを被う川崎重工業製[21]半密閉式フルスクリーンタイプなので取材に行ったが画像を取得できない唯一の路線となっている。そのため資料はあるが記事がない。

事故の経緯

埼玉高速鉄道 埼玉スタジアム線の運転再開のお知らせ(お詫び)【第三報】 埼玉高速鉄道

記事引用

8:35 埼玉高速鉄道全線(浦和美園終点)と南北線駒込駅間が停電

 南北線は、埼玉高速鉄道側は、駒込と王子に変電所がある。本来は南北線は停電の余波を受けなかったはずである。しかし接続点の赤羽岩淵に開閉所が川口元郷方あり、電力の融通を行っている。赤羽岩淵までが埼玉高速鉄道の範囲にはいるため王子変電所だけの停電ではなく駒込変電所まで停電となった。地絡発生で連絡遮断装置が働き埼玉高速鉄道全線と駒込までが波及停電した。

 復電と地絡部分の切り分けで赤羽岩淵開閉所を開放し王子変電所、駒込変電所再閉路(復電)が通常の手法と思われる。

 埼玉高速鉄道側も随時変電所を復電して8:39き電設備を再閉路したところ赤羽岩淵-川口元郷で8:44発煙が認められたため再度停電(たぶん一被非常を掛けたものと思われる)

 8:35から8:44までは事故現場は、高抵抗地絡状態となっていた。

 埼玉高速鉄道の変電所は、元郷、鳩ケ谷、浦和変電所の4箇所と受電所1カ所を持っている

862. 埼玉高速鉄道 元郷変電所 鳩ケ谷変電所からの22㎸連絡送電線で受電

861. 埼玉高速鉄道 鳩ケ谷変電所 66㎸受電

860. 埼玉高速鉄道 戸塚変電所 鳩ケ谷変電所と浦和変電所からの22㎸連絡送電線で受電

859. 埼玉高速鉄道 東大門受電開閉所 66㎸受電引き込み口 浦和変電所へ66㎸送電

858. 埼玉高速鉄道 浦和変電所 浦和変電所からの22㎸連絡送電線で受電

この間で関係する変電所は元郷変電所が赤羽岩淵開閉所間をき電

 剛体架線(剛体電車線)は、一ヶ所吊り下げ用の碍子が破損しても剛体架線(剛体電車線)自体はトロリ線のように垂下はしない。埼玉高速鉄道側の発表では碍子の割れがあったとのこと。

別の新聞情報では「「川口元郷駅から赤羽岩淵駅間を進行中の電車から発煙がある」とのこと

また別の情報では以下の経緯

8:30頃 南北線 赤羽岩淵〜後楽園間停電の為、運転見合わせ

8:45頃 南北線 全線運転再開

8:50頃 埼玉高速鉄道線 安全確認の為、南北線·埼玉高速鉄道線運転見合わせ

9:00頃 埼玉高速鉄道線内安全確認→赤羽岩淵〜川口元郷間架線発煙に変更

9:10頃 南北線 白金高輪〜駒込間 折返し運転

 駒込で折り返しするためには王子変電所が復電しなければ折り返しできない。王子変電所は片方は駒込方き電。もう片方は赤羽岩淵開閉所までき電してる。

 赤羽岩淵駅でも折り返し運転ができるはずであるがやってない理由は?
赤羽岩淵開閉所付近の剛体架線エアーセクション部での碍子破損ならば、赤羽岩淵で折り返しができない。それとも赤羽岩淵の川口元郷方での碍子破損でエア―セクションまでき電されるため安全のためにき電停止(王子変電所-川口元郷間)を行ったか

 赤羽岩淵ー川口元郷間は、荒川を潜るのでV字の急こう配が続く。発煙を発見した電車はトンネル内での停車を避けるため駆け上って停車したと思われる。川口元郷で消防車が止まっているX画像もあるが、電車自体は燃えてない。この間は複線シールドトンネルなので「川口元郷駅から赤羽岩淵駅間を進行中の電車から発煙がある」とのことから赤羽岩淵駅から川口元郷駅間の反対線路での発煙を発見。そのため川口元郷駅に消防車が止まっていたのか
 

赤羽岩淵ー川口元郷間 複線シールド V字勾配

8:39再送電 8:44発煙発見

8時44分前後の赤羽岩淵⇒川口元郷間の時刻表 
8:35⇒8:37
8:38⇒8:41
8:43⇒8:46
8:47⇒8:49
8:51⇒8:57

8時44分前後の赤羽岩淵⇐川口元郷間の時刻表
8:33⇒8:36
8:37⇒8:40
8:40⇒8:43
8:44⇒8:47
8:49⇒8:52

かなりの本数の電車が走行している。この間の電車で発煙を確認したものと思われる。

12:03 南北線は駒込ー赤羽岩淵間と埼玉高速鉄道全線は運転再開をしている。

 赤羽岩淵開閉所は将来的8両運転時に変電所化する構成で建設されている。しかし現在8両運転でも変電所が追加されたと言う情報はない

参考資料

南北線建設史 メトロアーカイブ

南舘 義徳,埼玉高速鉄道の電気設備;鉄道と電気技術:2001,Vol.12,No.1,pp.50-54
吉田真琴、鉄道公団の施工管理-埼玉高速鉄道;鉄道と電気技術:1999,Vol.10,No.9,pp.19-22
島田時男ら、国内情報 埼玉高速鉄道の機械設備概要について;R&M:2001,Vol.9,No.4,pp.53-58
岩野邦雄ら、埼玉高速鉄道線の工事概要;SUBWAY:Vol.118,No.7,pp77-82
鉄道・運輸機構ホームページ アーカイブ 埼玉高速鉄道編 参照

2024年7月18日

1380. 国鉄 東北本線の宇都宮以南の電化工事 自営送電線径路

 東北本線の宇都宮以南の電化工事の詳細は以下の資料で調べることができる。

『東北本線上野・宇都宮間電化工事記録』(日本国有鉄道東京電気工事局/編  1958)

栃木県立図書館所蔵

以前にも宇都宮以南の記事を書いている。

1329. JR東日本 宇都宮以北の直流変電所 受電源の思考実験(TEPCO受電)一部最新情報に書き換え

以北と書いてあるが実際は全線の電化について触れている。

以下引用

 大宮以北の東北本線が電化されたのが昭和33~34年にかけてであった。その当時大宮変電所の次の変電所は蓮田であり、順に久喜、栗橋、間々田、小山、小金井、雀宮、宇都宮であり電化営業開始は昭和34年4月14日であった。

その当時 東北本線沿いに適当な東電の送電線66㎸がないため自営送電線を引いている。

 1956年の計画時は国鉄掛川変電所と東電小山変電所、および東電雀宮線から受電を計画してた。定位は東電小山変電所で両方向に送電し、桶川変電所、東電雀宮線は予備としていた。

 変電所間隔は10㎞。また矢板変電所に東電片岡開閉所から154㎸を導入して宇都宮以南の電源としていた。矢板変電所からの66㎸送電線は、将来宇都宮以北が電化されるこを考慮して経路が決められていた。つまり矢板変電所からの154㎸降圧66㎸を蓮田-黒磯間に給電していた。

 当初の矢板変電所の154㎸降圧66㎸変圧器は小千谷発電所から移設さてたものを使用している。途中小山変電所で予備電源として東電小山変電所からの66㎸1回線受電を行えるようにしていたが、矢板変電所で降圧された66㎸と高崎線桶川変電所からの66㎸1回線を各変電所(蓮田、久喜、栗橋、間々田、小山、小金井、雀宮、宇都宮)は受電していた。

 自営送電線の長さは123㎞ 鉄塔533基、木柱9基、1.6㎞の地中送電線路(桶川周辺)で蓮田-矢板を繋げた。

 今回これらの自営送電線網がすべてTEPCO受電に切り替えが進められている。宇都宮以南は既に切替が終了。現在以北の切替が進んでいることは記事にしてUpしている。

さて既に切替が終わった部分

現在は
東大宮変電所(JR自営送電線・地中送電線)大宮変電所から送電 新設 

蓮田変電所 TEPCO受電 1回線は、旧国鉄の送電線をTEPCOが利用して架空送電線引込、
      2回線目は同じ送電線の違う場所から地中送電線で引込   

白岡変電所(JR自営送電線・地中送電線) 蓮田変電所から送電 新設

久喜変電所 TEPCO受電 旧国鉄の送電線径路をTEPCOが利用して引込。電化当時は気中引
      込であったが現在引き下ろし鉄塔からの地中送電線引込         

栗橋変電所 TEPCO受電 地中送電線受電。電化当時は気中引込

間々田変電所 TEPCO受電 架空送電線 電化当時は南側から架空送電線で気中引込1回線
       T分岐。その後北側からのTEPCO受電に切替 TEPCO JR間々田線はT分岐の箇
       所が2回変更されている。理由は、TEPCO野木変電所が運開して総和線が引
       き出されたため
             

 過去の自営国鉄送電線径路(黄色のラインと点)の確認は、今昔マップを利用し過去の国土地理院の地図を利用して送電線経路の緯度と経度を確認してGoogle MyMapの検索部分に経度と緯度を打ち込みポイントをMyMap上に表してポイントとポイントを線で結んでポイントを消して径路を書き込んでいる。 現存している自営送電線は、鉄塔の場所をポイントで示してある。

以下Google MyMapからの切り出し
TEPCO小山変電所からの国鉄自営送電線の径路が現在のTEPCO小北線、間々田線とほとんど同じ径路を通っている。TEPCO小北線、間々田線は実体、国鉄自営送電線は経度と緯度。

 現在のTEPCO小北線、間々田線は国鉄自営線の径路上を利用して建て替えて送電線を引いたのではないかと推測している。そのため一時的にT分岐している旧国鉄自営線とTEPCO JR間々田線が繋がっていたのではないかと推測している。

  JR間々田変電所への送電線切替は、途中に野木変電所が割入れられたため66㎸TEPCO回線が間々田線から総和線に変更になったためと思われる。154kV受電は小北線T分岐、佐野線、八千代線は小北線とT接続(https://maps.app.goo.gl/4NP3ziCvYe6hc1jm8)、野木線。 66㎸送電は、友沼線、間々田線、総和線となっている。 間々田線は小山変電所と連絡しているが途中で常時開放されて切れている。(TEPCO送電系統図より)

 ちなみに野木変電所は1982年には出来上がっており、東北新幹線新野木変電所へ154㎸の送電を行っている。東北新幹線の試験線の時代は、TEPCO新筑波変電所からの自営154㎸2回線が引かれていた。その経路はTEPCO野木線として使われている。


南小山変電所 TEPCO受電 新設 架空送電線
    
小山変電所 TEPCO受電 計画では、国鉄掛川変電所、東電小山変電所から受電とされたが
               矢板変電所に154㎸降圧66㎸の変電設備で受電、予備がTEPCO小山変電所とな
                    った。

かつて自営送電線 蓮田方と矢板方の回線が繋がっていた矩形鉄塔 もうない
矢板方が残っていた時の画像 奥が変電所

かつて自営送電線 蓮田方と矢板方の回線が繋がっていた矩形鉄塔 もうない
矢板方が残っていた時の画像 奥が矢板方


青枠 TEPCO小山変電所からの架空送電線受電部
赤枠 TEPCO小山変電所からの地中送電線受電部
構成は、断路器、遮断器、MOF、断路器で構成
このTEPCOの架空送電線受電も地中送電線受電にその内変更になるだろう


 手前 TEPCO 小山変電所からの受電、その隣に空きがあるが蓮田方に自営送電線が繋がっていた。一番右は矢板方の自営送電線が繋がっている。現在 この空き部分にTEPCO小山変電所からの地中送電線のケーブルヘッドが建ちあがている。
  
 小山変電所では架空送電線で自営送電線2回線とTEPCO受電の1回線構成だったが、小山以南がTEPCOに切り替わったので自営送電線1回線とTEPCO送電線1回線になり、その後TEPCO送電線(架空・地中)2回線になった。

小金井変電所 TEPCO受電 地中送電線受電 電化当時は架空送電線で気中受電

雀宮変電所 TEPCO受電 地中送電線 電化当時は架空送電線で気中受電

宇都宮変電所 TEPCO 地中送電線 電化当時は架空送電線で気中受電

電化当時から3箇所の変電所が増設されている。
大宮-約5㎞-東大宮-約5㎞-蓮田-約4㎞-白岡-約6㎞-久喜-約11㎞-栗橋-約9㎞-間々田-約6㎞-南小山-約5㎞-小山-約11㎞-小金井-約11㎞-雀宮-約11㎞-宇都宮

 自営送電線の長さは123㎞ 鉄塔533基、木柱9基、1.6㎞の地中送電線路(桶川周辺)で蓮田-矢板を繋げた。(実際の工事記録・1958)


 小さくて判りずらいが国鉄変電所 蓮田は1回線、久喜、栗橋は2回線引込、間々田はT分岐1回線引込、東電小山からは途中で自営送電線と合流して、矢板方が合流する地点で東電単独送電線。蓮田・矢板方送電線は2回線鉄塔で引き込まれている。雀宮、宇都宮2回線が引き込まれている。

 蓮田、白岡、久喜、栗橋、間々田、小山の変電所が電化当初の変電所 約10㎞間隔 間々田は南方向から引き込まれている。久喜と栗橋が計画とは違いπ分岐となっているが過去の経度と緯度で調べた自営送電線の引込はV字引込になっている。小山は一旦東電小山付近までひきこまれてから小山に向かっている。(1956年計画時の資料)



参考資料
東北本線上野・宇都宮間電化工事記録日本国有鉄道東京電気工事局/編 -- 日本国有鉄道東京電気工事局 -- 1958 -

高橋 哲夫;東北本線上野-宇都宮間電化工事の概要:電気鉄道,Vol.10,No.10,pp.2-7,1956


2024年7月13日

1379. JR東日本 新幹線 田端基地変電所解体廃止

 2023年度のJR有価証券報告書 2024年6月発行

JR東日本有価証券報告書 2024年 3月期  リンクpdf注意 2023/4/1~2024/3/31まで

毎年 6月の株主総会後に発表される有価証券報告書の設備の項を分析(2015年度から毎年)

 東北新幹線の項目で変電所数が18⇒17になり 1箇所減っていた。新幹線の変電所で減らせる場所は、田端基地変電所しかない。

 当初 新田端変電所1カ所で基地45回線(架空),46回線(ケーブル)で基地は受電していたが新田端変電所停電作業時(夜間・事故)は基地の電留線の電源が切れてしまう。そのため巣鴨-田端開閉所間の22㎸地中送電線をT分岐して単相25㎸に昇圧して夜間滞泊時の補機にき電を行う目的で急遽設けられた。

 
1993年 新宿ー池袋からの22㎸地中送電線は巣鴨までしか届いていなかった。

1994年 田端に運行司令所が新設され、その地下に田端開閉所と田端配電所が設けられて
     22㎸ 地中送電線は王子ー田端開閉所ー上野間が完成。運行司令所はTEPCO鳩ケ谷
       電源(蕨交流変電所)、自営浜松町電源(新鶴見交流変電所)の2箇所から受電で
             きるバックアップ体制が完成した。

2001年   自営武蔵境電源(新宿-池袋経由)の22㎸地中送電線が巣鴨から田端開閉所に延長
     され運行司令所は3ケ所からのBackUp電源を受電できるようになった。その際に巣
     鴨ー田端開閉所間からT分岐で田端基地変電所が設けられた。ちょうど事故で新田
     端変電所が停電した時期と重なる。   
                 
 当初の新田端変電所(1985年使用開始)は、今の新田端変電所1号棟の部分であった。管路形のGIS設備で構成されていたが、GIS内部の避雷器の地絡事故(2001年)が発生。避雷器本体がGIS設備の中に組み込まれていため切り離しに時間がかかり多くの運休をだした。


 JR東日本では、この事故を契機に新田端変電所の重要性を鑑み、同一の設備を2組用意して交互に運転を行い、故障時の対応を2重化した。新田端変電所が新田端変電所1号棟になり、グーグルマップでJR東日本東京機械技術センターと表示されるところが新田端変電所2号棟となっている。

分散2重化は2012年運開となっている。

 田端基地変電所は2001年運開から22年経過し、また分散二重化した新田端変電所から基地き電を受けることに成り、その重要性は薄れていったため2023年度を持って廃止となった。

田端基地変電所

田端基地変電所

解体途中の田端基地変電所 2023年11月時点 建屋が撤去
cafenorthlightさんのインスタグラムから切り取り引用

外観からみると函館基地の不等辺スコット結線変圧器に似ている


田端基地変電所跡 左の建屋が撤去 内部の変圧器撤去

田端基地変電所跡  右のキュービクルも撤去
配線トラフ跡には砂利が充填





2024年7月12日

1378.  JR東日本 中央本線は大月ー初狩間で電力ケーブル火災のため大月ー甲府間の上下線で運転を見合わせ 7/12

 TBS NewsDIGによると以下引用

TBS NEWSDIGJR中央本線 運転再開は午後4時20分ごろの見込み 甲府ー高尾間で運転見合わせ 【午後3時50分現在】 リンク切れ注意

JR東日本によりますと、中央本線は大月ー初狩間で電力ケーブル火災のため大月ー甲府間の上下線で運転を見合わせています。

引用終わり

 大月ー初狩間で電力ケーブル火災とあるが、き電線はケーブル化されておらずケーブル化されているとすればトンネル内通過の高配ケーブル6.6㎸となる。調べてみたが大月ー初狩間にトンネルはない。あとは信号用変圧器がある引き下ろし部分、駅構内等の引き下ろし部分がケーブル化されている。

 Webの分析では初狩タイポストが燃えたとの情報があるが引込口までは裸線で内部にケーブル引き込みがされている。ケーブルが燃えてとすると引込口から直流高速度遮断器までの間に敷設されているケーブルが燃えたことになる。ちなみに初狩には変電所は無い

初狩タイポストが燃えたとしても切り離せば問題はなくなるので、長時間の運転停止はない。

よって高配系の電力ケーブルが燃えたものと推測する

燃えたのは高配専用の引き下ろし電柱部分と確定(追加)

植物のツルが巻き付き出火か JR中央本線で電力ケーブル火災 甲府ー高尾で一時、運転見合わせ U ワク UTYから引用

12日午後、山梨県大月市のJR中央本線で線路内の電力ケーブルが燃える火事があり、甲府と高尾の間の上下線が一時、運転を見合わせました。

植物のツルが巻き付いたことが火災の原因とみられています。

引用終わり

場所 特定 Google street view  より 
丁度草刈りの最中 過去画像 毎年 草が生い茂る場所であった。


参考

439. JR東日本  初狩タイポスト(直流)

 引込口までは銅線で引き込まれている。ここでケーブル化されて内部にある直流高速度遮断器に繋がる

碍管部分まではき電線が引き込まれているので燃えない
325㎟2条だから約2,000Aが上限


これは村井タイポストの内部構造
中央右上のDCLA(避雷器)と書かれている部分(外側に突起がある部分が碍管)からき電線が引き込まれてケーブル化される
89Lは断路器 DC-CTは電流計 DC-PTは電圧計
54Fが直流高速度遮断器 この間ケーブル接続


以前に燃えたタイポストは相模湖タイポストがある。


参考資料
志々目浩一;東日本旅客鉄道㈱篠ノ井線村井タイポスト機器の更新:明電時報:2014,Vol.344,No.3,pp51-53


2024年7月8日

1377. JR東日本 磐越西線 一部 非電化に伴うき電・変電設備の状況 非電化化はどこから?

3/28付けの福島民報朝刊で2024年7月以降に会津若松-喜多方間の非電化が随時行われるニュースがあった。以下参照

磐越西線・会津若松~喜多方で7月以降に架線撤去の方針 Web 4号車の5号寄り 2024/04/13 11:05記事

 当方としては、2021年に以下の記事を書いている。そのためで2024年7月になったので少し早いが状況を確認しに現地を訪問した。

1088. JR東日本 磐越西線 喜多方ー会津若松 非電化化 変電所位置から見た考察 2021/08/04記事


 電化末端の喜多方から架線の撤去が始まった。考えてみればめんどくさい会津若松付近は後回しにされるのが常套手段。


 磐越西線が喜多方方と郡山方に分かれる、上荒久田跨線橋の近くにエア―セクションがある。

 このエアーセクションは、郡山方、喜多方方と会津若松構内をき電分離するために設けられている。ちなみに会津若松変電所は、広田-会津若松間にあるので会津若松までき電するためには現在延長き電中で上戸変電所からき電している。

エア―セクションの会津若松方にある。会津若松構内の喜多方方と郡山方のトロリ線同士を結ぶ均圧線

反対側

奥 会津若松構内 左奥郡山方 左手前喜多方方
エア―セクションの区分表示が見える。

左の断路器が「開路」になっている。ここを開路にすると喜多方方のき送電が停止する
その隣の 断路器は会津若松構内のき電を司る

 右 碍子の傍の架線からき電線が立上りコイルを巻いて上部き電線から左の断路器上部の会津若松駅構内、喜多方方共通母線につながる。そこから各断路器を経由して会津若松駅構内、喜多方方にき電している。
断路器部拡大 上部は共通化 下部は2分割

正面から撮影


会津若松方 断路器下部からのき電線が架線に繋がる

断路器部 左 喜多方方断路器(開路) 右 会津若松駅構内断路器(閉路)
断路器上部は共通母線だが下部は中間に碍子が入り回路を分断している。
左 断路器下部から上部にき電線が伸び喜多方方の架線に繋がる


手っとリばやい方法は、喜多方方エア―セクションの架線をこの部分で外し、断路器までの配線を撤去する。会津若松駅構内からの架線に架線末端表示を付けて終わり



 手前架線碍子が付いている方(喜多方方面の会津若松方)の架線は残して、付いてない方を外す。ちなみに 喜多方方面の会津若松方架線は、ここではき電されていない。先に述べた均圧線で加圧されている。

 上部から喜多方方への断路器下部からのき電線が架線に繋がっているので、この架線の引き留め部分(右側架線柱)を外し、上部き電線を切ればこの部分の架線は撤去できる。碍子がある方はこの左先で引き留められている。

先ほどのエア―セクションの会津若松方にはこのような架線引き止め方もある。
この部分は均圧線の会津若松方にある。

更に構内に進むと喜多方方と郡山方の架線は一体化しているので簡単には分離できない
構内渡り線(郡山方から喜多方方)もある。


 現在 7月に断路器が切られてかは不明。2023年12月の電車運行廃止後に切られていた可能性もある。
左の断路器が「開路」になっている。ここを開路にすると喜多方方のき送電が停止する
その隣の 断路器は会津若松構内のき電を司る

過去 喜多方通電時の断路器部分 左断路器が投入されて「閉路」となっている


会津若松構内の架線撤去(喜多方方)は金が掛かかるので現実的ではない。このままの状態が続くと判断する。渡り線やECの車庫のへの線路上には架線が必要となる。

 では喜多方 非電化(架線撤去)はどこから始まるか?
順不同
保守に手間がかかるデッドセクションの撤去と架線化。翁島き電区分所は、エア―セクション化して翁島補助き電区分所になる可能性もある。(翁島以北の事故対応で猪苗代折り返しの可能性対応)
翁島き電区分所、会津若松変電所のき電部分の運用停止と撤去
喜多方方の架線撤去 電化末端の喜多方から架線撤去が始まった。
だろう

2024年7月7日

1376. JR東日本 磐越西線 一部 非電化に伴うき電・変電設備の状況 会津若松変電所(仮死状態)

3/28付けの福島民報朝刊で2024年7月以降に会津若松-喜多方間の非電化が随時行われるニュースがあった。以下参照

磐越西線・会津若松~喜多方で7月以降に架線撤去の方針 Web 4号車の5号寄り 2024/04/13 11:05記事

 当方としては、2021年に以下の記事を書いている。そのためで2024年7月になったので少し早いが状況を確認しに現地を訪問した。

1088. JR東日本 磐越西線 喜多方ー会津若松 非電化化 変電所位置から見た考察 2021/08/04記事

 結論から書くと66㎸受電中 しかし記事にも書いたが き電停止。但しき電用変圧器は励磁状態。高配用変圧器があるので受電停止できない。これは先にき電停止 非電化化された長崎本線と同様な状況

郡山-喜多方間の高低差 
上戸変電所と翁島き電区分所を境に両端に25‰の勾配
資料より引用


過去の記事


受電:東北電力 6E3B線 66㎸受電1回線 東北電力 会津若松変電所-会津変電所間T分岐
き電:停止 上戸変電所延長き電中

東北電力 6E3B線

東北電力 6E3B線
 東北電力の系統図ではなるべく記号で表す傾向がある

左 断路器 ガス遮断器(VCB)

ガス遮断器(GCB)は「入」


左 MOF MOFの後高配用変圧器 真ん中断路器をへて右 き電用変圧器へ


MOFは東北電力の所有 電力量計 計量法により交換が必要


断路器から直で避雷器経由き電用スコット結線変圧器へ

き電用変圧器からM座T座に分かれる
NFは変流器(CT)が各座に繋がり片方上方へ、もう片方はラインポスト碍子で直列コンデンサの投入断路器に繋がる
直列コンデンサと保護装置
T座が上戸変電所側となっている。M座が喜多方方
右 断路器は「閉路」
つまりき電用変圧器の一次側断路器も閉路で、き電用スコット結線変圧器は励磁されている
NFの片方は直列コンデンサを経由してもう片方のNFへ繋がる
NF側直列コンデンサと保護回路間で若干の電流消費があるはず。
なぜ き電用スコット結線変圧器を切り離さないかは不明右 
直列コンデンサの裏側にPT(電圧計)がT座に繋がる

別方向からNFに繋がる直列コンデンサ NFの引出が1回路なので直列コンデンサも1組


左 き電用スコット結線変圧器からのM、T座き電線 断路器は「閉路」
CT(変流器)をへて次の真空遮断器(VCB)の状態が判らない ここまで加圧中
真空遮断器後の右 断路器は「開路」
き電用遮断器(VCB)は「切」
「切」

「切」

き電用断路器「開路」 左 延長き電用断路器「閉路」
会津若松駅構内は、上戸変電所き電

き電用断路器は「開路」 延長き電用断路器は「閉路」
 避雷器は2台とも上戸変電所き電

正面 延長き電用断路器「閉路」
両側に並んでいるのはPT(電圧計)


変電所 直下のデッドセクション 両端は上戸変電所延長き電状態
上戸変電所き電は、翁島き電区分所、会津若松変電所とも延長き電中


奥に変電所と会津若松駅
デッドセクションの奥に会津若松駅がある


会津若松 停車後の架線電圧22㎸ 低下していない
つまり 現状 会津若松変電所をき電停止しても問題ない

会津若松変電所が受電停止できない理由は高配用変圧器で66㎸降圧6.6㎸にしているから
翁島方 高配設備


喜多方方高配設備 上戸変電所と同じ設備内容

おまけ



喜多方方線路上の架線は郡山方線路上の架線と同一電位
有名な4線跨用片持式ビームと加圧ビームの混合


架線を保持する加圧ビームが黄色の色で表示されているのは同一電位で加圧されているから

喜多方方線路の奥にはDCの車庫とECの車庫がありECの車庫は接地極付き断路器がある


 会津若松構内の架線撤去(喜多方方)は金が掛かかるので現実的ではない。このままの状態が続くと判断する。渡り線やECの車庫のへの線路上には架線が必要となる。

 では喜多方 非電化(架線撤去)はどこから始まるか?
まずは、
保守に手間がかかるデッドセクションの撤去と架線化
翁島き電区分所、会津若松変電所のき電部分の運用停止と撤去
喜多方方の架線撤去
翁島き電区分所は、エア―セクション化して翁島補助き電区分所になる可能性もある
だろう

 会津若松変電所の66㎸受電と高配変圧器の運用は、東北電力からの受電に切り替わっていくだろう。66㎸受電と6.6㎸受電では手間と保守に大きな差が出て来る。
 上戸変電所と同じ高配用変圧器なら500㎸Aなので力率0.9として450kW 高圧小口受電で間に合う。6.6kVで約76Aの単相交流を利用(中性点をNGRで接地・GPTで保護)




参考資料
 戸石泰司ら;磐越西線郡山・喜多方間電化電車線路設備について:電気鉄道,Vol.21,No.8,pp. 2~7,1967
NDLのデジタルコレクションで個人送信データで内容が読める。https://dl.ndl.go.jp/pid/2313711/1/8