佐藤
充ら「66kV東北連絡送電線の廃止に向けた電鉄用変電所の切換工事概要について」
鉄道と電気技術,Vol.37,No.7,pp.41-45,2024
東北本線 電化の際の高崎線 桶川変電所から分岐した黒磯変電所までの国鉄自営送電線は、JR東日本内では「66kV東北連絡送電線」と呼ばれていることが判明。
工事記録には66kV東北連絡送電線の名称は使われていない。
同様に 高崎線電化の際に大宮変電所から岡部交流変電所を経由、高崎変電所まで自営送電線が敷設されていた。これも66㎸高崎連絡送電線と呼ばれていたのだろうか?
この高崎までの送電線はTEPCO化されることもなく線路沿いのトラフに自営地中送電線(一部架空送電線)として生き残っている。
投稿された報告内容と以前ブログ投稿した記事と整合性がとれているかを確認することにした。
当該文献の引用文献は、東北本線上野・宇都宮間電化工事記録日本国有鉄道東京電気工事局/編 -- 日本国有鉄道東京電気工事局 -- 1958 -から引用されているので当ブログで引用したものと同じ。
これまで書いた記事 新着順(一部内容重複)
1380. 国鉄 東北本線の宇都宮以南の電化工事 自営送電線径路 2024年7月
1372. JR東日本 黒磯変電所 TEPCO受電中 2024年6月
1371. JR東日本 矢板変電所 TEPCO受電は、まだまだまだ先 2024年6月
1370. JR東日本 蒲須坂変電所 TEPCO受電は、まだ先と栃那線No.90 2024年6月
1368. JR東日本 宝積寺変電所 TEPCO受電開始直前と烏山線増強線、喜連川線との接続点 栃那線No.101鉄塔 2024年6月
1329. JR東日本 宇都宮以北の直流変電所
受電源の思考実験(TEPCO受電)一部最新情報に書き換え 2023年11月 宇都宮以北の受電がどのようになるかの思考実験
TEPCOの烏山線増強線の計画は知らなかった。
1328. JR東日本 西那須野変電所 TEPCO電源に切替済 2023年10月
1233. JR東日本 小金井変電所⇔雀宮変電所間 自営送電線 バルーンで撤去 2022年7月
1232. JR東日本 小金井変電所 自営送電線撤去作業にドローンを使用 2022年7月
1034. JR東日本 小山変電所から 矢板変電所経由 黒磯変電所までのJR送電線 TEPCO乗換の現実
黒磯変電所まで 2021年4月
1032. JR東日本 小山変電所から 矢板変電所経由 黒磯変電所までのJR送電線 TEPCO乗換の現実
宇都宮変電所まで 2021年3月
334. JR東日本 雀宮変電所(直流)小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所 2015年8月
333. JR東日本 宇都宮変電所(直流)小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所 2015年8月
332. JR東日本 宝積寺変電所(直流)小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所 2015年8月
331. JR東日本 蒲須坂変電所(直流)小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所 2015年8月
330. JR東日本 矢板変電所(直流)小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所 2015年8月
329. JR東日本 西那須野変電所(直流)小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所2015年8月
328. JR東日本 黒磯変電所(BTき電・交流・直流) 小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所 2015年8月
かなり以前から関連記事をUpしていた。
JR東日本の記事にはTEPCO烏山線強化線のことは一切触れられていない。一言 電力インフラの改善とだけ述べられている。
ただTEPCO烏山線強化線があったらこそ、宝積寺、蒲須坂変電所の切替ができたことは確かなことである。
主要送電線路の整備計画(66kV) TEPCO資料 但し烏山線強化線については内容が途中で変更されている経緯は以下に詳細が書いてある。
1368. JR東日本 宝積寺変電所 TEPCO受電開始直前と烏山線増強線、喜連川線との接続点 栃那線No.101鉄塔
烏山線増強線は完工が2025年となっているが既に、JR宝積寺変電所付近まで運開となっている。鬼怒川の渡河の架空送電線が未着工(2024年6月時点)となっている。
小山変電所以南の東北連絡送電線のことは、1996年 蓮田-小山間の4変電所の受電切替を行い亘長55.3㎞を廃止した旨の簡単な記載がある。
2020年には小山-宇都宮間の4変電所の受電切替を行い亘長30.3kmを廃止した旨の簡単な記載がある。
2025年の送電線路廃止(亘長60.5㎞)に向けて現在5カ所の切替工事を行っているとあるので宝積寺(切替寸前)、蒲須坂、矢板、西那須野(切替済)、黒磯変電所(切替済)が該当する。
宇都宮変電所は既に切替済 それ以北の変電所が現在切替工事中(宝積寺、蒲須坂、矢板)か切替完了(西那須野、黒磯)資料より引用 |
これにより1967年(ブログ主・修正1957年が正しい)より東北本線への電力供給を行ってきた東北連絡送電線は役目を終えることになると結んでいる。
宇都宮以南の送電線切替についても一部記事がある。 |
切替前は、TEPCO小山変電所66㎸受電、TEPCO片岡開閉所栃那線154㎸分岐矢板変電所受電の2箇所から受電。各変電所が東北連絡送電線でカースケードに繋がっていたため検査・修繕等で送電線路を平均で月3回程度 停電作業する際の調整が大変だったようだ。TEPCO受電回線を停止する際は、系統構成を大きく変更する必要になり、また長距離送電区間での電圧降下があるため運用制限も行われていた。
このTEPCO切替により各変電所は2回線受電(1回線予備)となり検査・修繕等も楽になるとのこと。TEPCO受電の為には各変電所にMOFを置かなければならない。そのスペース確保と受電回線が地中送電線路となること、時代の趨勢によりC-GIS受電盤が多くの切替変電所で使われている。
今回の切替工事でC-CIS盤を使わない変電所は154㎸受電(154㎸受電は廃止)の矢板変電所だけになるはずである。(ブログ主現地確認)
既存のGISがあったのは宇都宮変電所だけだったので既存GISに繋ぎこみを行った関係上C-GISではない構成となっている |
宇都宮変電所 同部分 |
東北連絡送電線の外観で引用されている画像の場所特定 雀宮変電所2回線引込部分 架空地線の鉄塔が上部に出ているのがここだけ |
多分反対側から撮影 左右に送電線が分岐している |
設備写真の場所特定 左 奥に何もなので蒲須坂変電所の2回線引込、中 奥に新幹線橋脚があるので雀宮変電所 左 154㎸降圧66㎸は矢板変電所 現在切替工事中の画像は切替工事概要の記事の中には無い。 |
切替の手順 どれも変電所母線を示している〇は断路器、遮断器を示す STEP2 受電回線引込C-GIS盤まで 連動試験、耐圧試験を実施 STEP3 C-GIS盤の母線と既存変電所内母線に繋ぎこみ STEP4 連絡送電線切離 |
STEP3直前の状況 宝積寺変電所 C-GISからのケーブルヘッド 変電所内母線の下に設備 送電端には接地線が繋がっている 何時でも上部の変電所母線にジャンパ線で繋げられる状況 |
STEP4 連絡送電線廃止 C-GIS受電盤の母線を変電所母線に繋ぎこみ 右側にC-GISの受電盤 上部架空送電線は東北連絡送電線の末端 切断済 |
鉄道と電気技術,Vol.37,No.7,pp.41-45,2024