東北本線の宇都宮以南の電化工事の詳細は以下の資料で調べることができる。
『東北本線上野・宇都宮間電化工事記録』(日本国有鉄道東京電気工事局/編 1958)
栃木県立図書館所蔵
以前にも宇都宮以南の記事を書いている。
1329. JR東日本 宇都宮以北の直流変電所 受電源の思考実験(TEPCO受電)一部最新情報に書き換え
以北と書いてあるが実際は全線の電化について触れている。
以下引用
大宮以北の東北本線が電化されたのが昭和33~34年にかけてであった。その当時大宮変電所の次の変電所は蓮田であり、順に久喜、栗橋、間々田、小山、小金井、雀宮、宇都宮であり電化営業開始は昭和34年4月14日であった。その当時 東北本線沿いに適当な東電の送電線66㎸がないため自営送電線を引いている。
1956年の計画時は国鉄掛川変電所と東電小山変電所、および東電雀宮線から受電を計画してた。定位は東電小山変電所で両方向に送電し、桶川変電所、東電雀宮線は予備としていた。
変電所間隔は10㎞。また矢板変電所に東電片岡開閉所から154㎸を導入して宇都宮以南の電源としていた。矢板変電所からの66㎸送電線は、将来宇都宮以北が電化されるこを考慮して経路が決められていた。つまり矢板変電所からの154㎸降圧66㎸を蓮田-黒磯間に給電していた。
当初の矢板変電所の154㎸降圧66㎸変圧器は小千谷発電所から移設さてたものを使用している。途中小山変電所で予備電源として東電小山変電所からの66㎸1回線受電を行えるようにしていたが、矢板変電所で降圧された66㎸と高崎線桶川変電所からの66㎸1回線を各変電所(蓮田、久喜、栗橋、間々田、小山、小金井、雀宮、宇都宮)は受電していた。
自営送電線の長さは123㎞ 鉄塔533基、木柱9基、1.6㎞の地中送電線路(桶川周辺)で蓮田-矢板を繋げた。
今回これらの自営送電線網がすべてTEPCO受電に切り替えが進められている。宇都宮以南は既に切替が終了。現在以北の切替が進んでいることは記事にしてUpしている。
さて既に切替が終わった部分
現在は
東大宮変電所(JR自営送電線・地中送電線)大宮変電所から送電 新設
小さくて判りずらいが国鉄変電所 蓮田は1回線、久喜、栗橋は2回線引込、間々田はT分岐1回線引込、東電小山からは途中で自営送電線と合流して、矢板方が合流する地点で東電単独送電線。蓮田・矢板方送電線は2回線鉄塔で引き込まれている。雀宮、宇都宮2回線が引き込まれている。
蓮田変電所 TEPCO受電 1回線は、旧国鉄の送電線をTEPCOが利用して架空送電線引込、
2回線目は同じ送電線の違う場所から地中送電線で引込
白岡変電所(JR自営送電線・地中送電線) 蓮田変電所から送電 新設
久喜変電所 TEPCO受電 旧国鉄の送電線径路をTEPCOが利用して引込。電化当時は気中引
込であったが現在引き下ろし鉄塔からの地中送電線引込
栗橋変電所 TEPCO受電 地中送電線受電。電化当時は気中引込
間々田変電所 TEPCO受電 架空送電線 電化当時は南側から架空送電線で気中引込1回線
T分岐。その後北側からのTEPCO受電に切替 TEPCO
JR間々田線はT分岐の箇
所が2回変更されている。理由は、TEPCO野木変電所が運開して総和線が引
き出されたため
過去の自営国鉄送電線径路(黄色のラインと点)の確認は、今昔マップを利用し過去の国土地理院の地図を利用して送電線経路の緯度と経度を確認してGoogle MyMapの検索部分に経度と緯度を打ち込みポイントをMyMap上に表してポイントとポイントを線で結んでポイントを消して径路を書き込んでいる。 現存している自営送電線は、鉄塔の場所をポイントで示してある。
以下Google MyMapからの切り出し
TEPCO小山変電所からの国鉄自営送電線の径路が現在のTEPCO小北線、間々田線とほとんど同じ径路を通っている。TEPCO小北線、間々田線は実体、国鉄自営送電線は経度と緯度。 |
現在のTEPCO小北線、間々田線は国鉄自営線の径路上を利用して建て替えて送電線を引いたのではないかと推測している。そのため一時的にT分岐している旧国鉄自営線とTEPCO JR間々田線が繋がっていたのではないかと推測している。
JR間々田変電所への送電線切替は、途中に野木変電所が割入れられたため66㎸TEPCO回線が間々田線から総和線に変更になったためと思われる。154kV受電は小北線T分岐、佐野線、八千代線は小北線とT接続(https://maps.app.goo.gl/4NP3ziCvYe6hc1jm8)、野木線。 66㎸送電は、友沼線、間々田線、総和線となっている。 間々田線は小山変電所と連絡しているが途中で常時開放されて切れている。(TEPCO送電系統図より)
ちなみに野木変電所は1982年には出来上がっており、東北新幹線新野木変電所へ154㎸の送電を行っている。東北新幹線の試験線の時代は、TEPCO新筑波変電所からの自営154㎸2回線が引かれていた。その経路はTEPCO野木線として使われている。
南小山変電所 TEPCO受電 新設 架空送電線
小山変電所 TEPCO受電 計画では、国鉄掛川変電所、東電小山変電所から受電とされたが
矢板変電所に154㎸降圧66㎸の変電設備で受電、予備がTEPCO小山変電所とな
った。
かつて自営送電線 蓮田方と矢板方の回線が繋がっていた矩形鉄塔 もうない 矢板方が残っていた時の画像 奥が変電所 |
かつて自営送電線 蓮田方と矢板方の回線が繋がっていた矩形鉄塔 もうない 矢板方が残っていた時の画像 奥が矢板方 |
青枠 TEPCO小山変電所からの架空送電線受電部 赤枠 TEPCO小山変電所からの地中送電線受電部 構成は、断路器、遮断器、MOF、断路器で構成 このTEPCOの架空送電線受電も地中送電線受電にその内変更になるだろう |
手前 TEPCO 小山変電所からの受電、その隣に空きがあるが蓮田方に自営送電線が繋がっていた。一番右は矢板方の自営送電線が繋がっている。現在 この空き部分にTEPCO小山変電所からの地中送電線のケーブルヘッドが建ちあがている。 |
小山変電所では架空送電線で自営送電線2回線とTEPCO受電の1回線構成だったが、小山以南がTEPCOに切り替わったので自営送電線1回線とTEPCO送電線1回線になり、その後TEPCO送電線(架空・地中)2回線になった。
小金井変電所 TEPCO受電 地中送電線受電 電化当時は架空送電線で気中受電
雀宮変電所 TEPCO受電 地中送電線 電化当時は架空送電線で気中受電
宇都宮変電所 TEPCO 地中送電線 電化当時は架空送電線で気中受電
電化当時から3箇所の変電所が増設されている。
大宮-約5㎞-東大宮-約5㎞-蓮田-約4㎞-白岡-約6㎞-久喜-約11㎞-栗橋-約9㎞-間々田-約6㎞-南小山-約5㎞-小山-約11㎞-小金井-約11㎞-雀宮-約11㎞-宇都宮
自営送電線の長さは123㎞ 鉄塔533基、木柱9基、1.6㎞の地中送電線路(桶川周辺)で蓮田-矢板を繋げた。(実際の工事記録・1958) |
小さくて判りずらいが国鉄変電所 蓮田は1回線、久喜、栗橋は2回線引込、間々田はT分岐1回線引込、東電小山からは途中で自営送電線と合流して、矢板方が合流する地点で東電単独送電線。蓮田・矢板方送電線は2回線鉄塔で引き込まれている。雀宮、宇都宮2回線が引き込まれている。
蓮田、白岡、久喜、栗橋、間々田、小山の変電所が電化当初の変電所 約10㎞間隔 間々田は南方向から引き込まれている。久喜と栗橋が計画とは違いπ分岐となっているが過去の経度と緯度で調べた自営送電線の引込はV字引込になっている。小山は一旦東電小山付近までひきこまれてから小山に向かっている。(1956年計画時の資料) |
参考資料
東北本線上野・宇都宮間電化工事記録日本国有鉄道東京電気工事局/編 -- 日本国有鉄道東京電気工事局 -- 1958 -
高橋 哲夫;東北本線上野-宇都宮間電化工事の概要:電気鉄道,Vol.10,No.10,pp.2-7,1956