北春日部き電開閉所とその周辺
青い建物が き電開閉所(JRで言うところのタイポストに該当)
車両基地に供給している上りき電線と下りき電線との間で負荷にアンバランスが発生するため上下き電線を直流高速度遮断器を介して繋げ、電力の有効利用による電圧低下の軽減と平均化を行うために設備されている。
上りき電線からT分岐 左ダクトに入る 右ダクトは下りき電線 |
下りき電線からT分岐 右ダクトに入る |
インピーダンスボンド中性点に繋がるき電区分所内機器用接地線 |
検修庫前 検電接地機能付き電動き電開閉器
(JRで言うところ動力式検電接地装置と同じ機能)
検修庫前の3つのキュービクルが検電接地機能付き電動き電開閉器が収容されている。
検修庫での現状での検電接地作業の簡素化を行うために考案された設備
現状
1.列車検査線へ車両を入庫
2.列車補機電源等を断にする
3.パンタグラフ降下
4.断路器開放
5.検電器で加圧無しを確認
6.接地器を取り付け、作業開始
7.作業終了後接地を取り外す
この操作中 4、5、6を自動で行い、遠方操作盤でキースイッチによるインターロック機構を導入して人為的ミスの発生を減らす目的で設備されている。
車両区内き電母線からケーブル分岐ダクトに入る |
ダクト中き電ケーブルはこの検電接地機能付き電動き電開閉器に入る |
架線柱ダクトから検電接地機能付き電動き電開閉器を経たき電ケーブルが各架線に繋がる |
改良型FRPインシュレーター
通常のセクションインシュレーターが車両基地には多量に使用されているが、降雨時 断路器「開」の状態でも検電器が鳴動することがあったため、雨天時の電流漏洩対策として撥水性に優れた水切り形FRPセクションインシュレーターが開発された。
従来型セクションインシュレーターでは、通常加圧状態で1684Vの電圧を示したが汚損したセクションインシュレーターだと乾燥時6V、雨天時548Vの電圧が観測された。
改良型セクションインシュレーター |
使用例 |
インシュレーター本体は、山形になっているが、FRPスライダーに隠されて見えない |
このFRPスライダーの奥の部分が水切型インシュレーターとなっている |
硬点緩和型き電分岐装置 本線上に設置
き電武器装置とトロリ線の接続箇所は硬点となり、パンタグラフが跳躍し離線によりトロリ線の電気的摩耗が進むため、パンタグラフの押し上り量が一定になるようフィードイヤーの重量を軽くして硬点に掛る重量を軽くした分岐装置が開発されている。 |
電車区外 本線 高速運転区間に設備されている。 |
基地内での送電支障事故が発生した場合の対応
基地内のき電は、定位上り線側から取得しているが、基地内での送電支障事故が発生した場合基地内き電停止をする断路器が遠制で設備されている。定位 上り線だが下り線および上下線からもき電できる断路器が設備されている。
基地内のき電線は多くの電留線に分配される断路器が設備されている。
上り線側からT分岐 |
下り線からT分岐 |
左からのき電線 手前 上りき電線 奥 下りき電線 右 基地内き電線 現在は定位 上り線き電 電車が多数出庫される場合は上り線の電圧が低下するので、先に述べた き電開閉所の直流高速度遮断器を投入し、上下き電線の不均一化を解消する。き電開閉所が機能不全の場合は、この部分の下りき電線の断路器を「閉」にして対応する。基地内送電支障事故の場合、定位 上り線の断路器を「開」として基地内き電停止をおこなう。 |
断路器動力式駆動装置(遠制) |
基地内き電線 画面 左から右 |
基地内き電線 画面 左から右 |
左から下りき電線、上りき電線ともに本線用、電車車庫脇 き電線基地き電線 |
途中基地き電線は、電留線に2つの断路器で分配される |
この断路器2つは1~10番線を受け持つ |
さらに基地き電線は、電留線に3つの断路器で分配される |
断路器上部が並列接続下部が各電留線へ |
この断路器3つは11~49番線を受け持つ |
その他
中野駅の東京メトロで見た分岐部冷却装置 スプリンクラーで手動対応
スプリンクラー部 |
水道の水栓から供給 |
電車区の車庫で多く見かける帰線自動開閉装置
帰線電流が車庫内に流れ込まないよう電食防止のための設備。
渡部 洋平;鉄道事業者の電車線路設備:鉄道と電気技術,Vol.32,No.3,pp51-55,2021
関根 利文;東武鉄道の本線電力管理システム:鉄道と電気技術,Vol.22,No.2,pp.17-22,2011
千徳 通利;現場だより 東武鉄道 杉戸電気管理所:鉄道と電気技術,Vol.21,No.7,pp.71-74,2010
東武鉄道(株)電気部電力課;電力設備の概要:鉄道ピクトリアル,Vol.58,No.1(臨増),No.1,pp106-109,2008
橋爪 良敬ら;検電接地機能付きき電開閉器(キュービクル式一体型)の導入:鉄道フォーラム論文集,25th,pp.33-36,2012