明けましておめでとうございます。
とうとう700投稿に行きつきました。
今年も、ぼちぼち覗いていきます。
村上変電所(交直)とデッドセクション 元旦 正月特集号
(目の付け所が変電・饋電(き電)・通信です)
グーグルマップで表示名がでない
アプローチ:村上駅 容易
東北電力66kV 1回線受電 かつては、平林変電所からのき電補助線40kV 2回線で受電
ATき電変電所と整流ポストが置かれていた。
概要
以前は、154kV受電の平林変電所からのAC40kV き電補助線2回線(T座、M座)で受電。一部を単相逆スコット結線変圧器で降圧1200Vにしてシリコン整流器で直流き電(村上整流ポスト)。
また単巻変圧器(AT)で20kVに降圧しATき電を行っていた。また平林変電所脱落時には、100km遠方の酒田変電所からのAC20kVのACき電線を使い、村上変電所で、これを整流用として運用。中条変電所までの救済き電が行われるようになっていた。(今も酒田変電所は154kV受電である。)
村上変電所(交直)
交直車上切替のデッドセクションの両端に直流1,500Vおよび交流ATき電20,000Vを供給している。羽越線電化当初は近隣の平林変電所(直流)から き電補助線(交流)40kVで受電していたが、今は東北電力からの66kV受電である。
直流変電所の機能は無いとのWebでの紹介もあるが、そのWebの画像でAT出力端の脇に直流変電所に設置される直列リアクトルが見えるので直流は、供給されていると踏んでの現調であった。
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同じ構図なのに驚く シンクロニシティか! |
今回 700投稿記念として元旦に記事を公開する。(取材は10月に実施)万感を排して過去の文献の紹介と、その検証の報告を行う。
紹介文献では、村上は整流ポストとしての位置づけであり、平林変電所から8kmほど離れているので末端の電圧降下に対応している。今回直流き電線は、村上駅構内でT分岐されて変電所に途中ケーブル化されて引き込まれている。ケーブル端には、交流の誘導電流を逃すコンデンサが組み込まれている。運用としては、やはり末端電圧降下の補償用であろう。
村上変電所は、66kV降圧1200Vの整流用変圧器とATき電を行うため40kVの不等辺スコット結線変圧器が設置されている。末端の変電所なので、スコット結線変圧器が使えないためであり、約40km先の温海き電区分所までの き電を受け持つため不等辺スコット結線変圧器のo,t,m相には、電力補償用のコンデンサとリアクトルが断路器でつながっている。同様な例は、阿武隈急行線の保原変電所が該当する。
保原変電所は、阿武隈急行線 市場⇔槻木き電区分所間約47kmのき電を受け持つ。そのため不等辺スコット結線変圧器のo,t,m相には同様に補償用コンデンサとリアクトルが組み込まれている。 仙台の空港鉄道変電所も不等辺スコット結線変圧器であるが、き電距離が短いため不等辺スコット結線変圧器のo,t,m相には、何もつながっていない。
また常磐線の藤代変電所は、交流区間末端の変電所であったが三相の内二相を使っ単相変圧器2台でき電を行っていた。
牛久き電区分所に、き電区分を跨るRPC装置が設置されたため、き電区分間の電力の融通ができるようになったが、単相変圧器を変則的に利用しているため電力の逆流が起こり一次側の電圧変動が需要家の許容範囲を超える恐れがでたため、現在不等辺スコット結線変圧器に交換される途上である。
黒磯変電所も三相の内二相を利用した単相変圧器であるが自営送電線を利用しているので、不平衡の問題はネグれている。
328. JR東日本 黒磯変電所(BTき電・交流・直流) 小山⇔黒磯間のJR送電線に繋がる変電所
閑話休題 不等辺スコット結線変圧器の二次端は40kVでありこれを、き電用遮断器を通して単巻変圧器で中性点をだして20kV のATき電線とトロリ線用にしている。建屋き電線のブッシング直近に単巻変圧器が設備されている。この2本がデッドセクションの温海側に伸びている。
デッドセクションの直流側は、複線になっているが村上駅の平林方は単線であるので複線間は上下一括き電である。また直流側には、エーアセクションが上下線ともに設備されており、き電区分が行うことができる。
直交デッドセクションと交直デッドセクションは、若干の距離をおいて設備されている。FRP製のセクション上は、ポリマ碍子であるが、これは村上駅が海に近いため塩害をなるべく避けるためと強風が吹くため軽量化したものと思われる。デッドセクション交流側は、村上変電所からのき電線が、トロリ線につながるが、複線区間のため、負荷断路器が備えられており、上下線の交流き電を切替えることができる。同様な負荷断路器は複線末端の間島駅付近にも設備されており、この負荷断路器と連動して切り替えができる。
それでは、各部を見ていこう。
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駅のはずれに変電所 |
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変電所銘板がない |
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66kV 1回線受電 東北電力 |
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右 受電最終鉄構 下に断路器、遮断器、MOF、所内母線 66kV受電だが塩害があるため碍子数が多い |
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左 不等辺スコット結線変圧器 66kV受電40kV降圧、整流用変圧器66kV受電1.2kV降圧
真ん中 避雷器 |
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不等辺スコット結線変圧器 66kV受電40kV降圧 |
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不等辺スコット結線変圧器 66kV受電40kV降圧 二次側o,t,m相 |
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断路器でリアクトルとコンデンサにつながる |
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リアクトルとコンデンサにつながる |
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き電用遮断器が収められた建屋 |
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右 ブッシングから断路器を経て単巻変圧器につながる 温海方 |
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左 トロリ線用き電線 真ん中 保護線単巻変圧器の中点につながる 右 ATき電線 |
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左 直流き電用直列リアクトル 単巻変圧器出力20kV 両側の碍子様のものは、接地断路器 |
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上部端子と下部のバーが回転して端子間を接地 |
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直列リアクトル 小容量 |
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デッドセクション方に伸びる手前トロリ線につながるき電線、奥 ATき電線 |
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インピーダンスボンド中性点につながる帰線 |
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インピーダンスボンド中性点につながる帰線 |
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左 トロリ線につながるき電線、右 ATき電線 交流20kV表示 |
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電留線入口には、直流セクションが見られない |
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なぞの標識G/の組み合わせ
電留線 セクション区分無し 接地無し(Ground)? |
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なぞの標識G/の組み合わせ 直流加圧ビーム
電留線 セクション区分無し 接地無し(Ground)? |
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駅構内の交直切換区間表示 |
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直流き電線がこの部分でケーブル化 交流誘導電流を逃すコンデンサ 駅側から俯瞰 |
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平林変電所からのき電線にT接続 |
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直流き電線がこの部分でケーブル化 交流誘導電流を逃すコンデンサ 変電所側から俯瞰 |
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平林変電所からの直流き電線にT接続 |
過去の平林変電所と村上整流所(整流ポスト・RP=Rectification Post))
699. JR東日本 平林変電所 羽越本線 直流 かつては154kV受電であった ブログリンク
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過去の平林変電所と村上整流ポスト(RP=Rectification Post)の関係 文献より |
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平林変電所から交流40kV2回線(T座、M座)を8㎞のき電補助線で村上整流所所(村上整流ポスト)送電 |
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かつて40kVACのき電補助線が電柱の頂部にあったため、上部が長い歪な構造
平林変電所から村上変電所間 |
参考
内房線 佐貫町変電所からのき電補助線敷設の状況 このように上部に送電線が張られていた
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竹岡方面 き電補助線33kV、配電線、き電線 共架
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過去の村上整流所設備
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シリコン整流器(油入り)直流部ブスバーに貫通型CTと直流き電用避雷器 |
デッドセクション部
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デッドセクション 構造
村上 間島間のデッドセクションは、スパン間が広い |
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下り方 切換表示と 架線死区間予告標識 |
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下り方 再度 架線死区間予告標識 |
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「いなほ」 直流方から交流方に進行 デッドセクション部 |
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「いなほ」 直流方から交流方に進行 デッドセクション部 ライトが消えない |
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下り線 架線死区間標識と直交デッドセクション |
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架線死区間標識の電照は、近隣の東北電力の電源 制御はJR東日本 実は両面照明方式 |
架線死区間標識の電照は、両面表示である!!
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下り線側は、単線運転対応で架線死区間標識が両面電照式となっている(直交デッドセクション側)
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機関車用力行標識 |
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直交デッドセクションの無電圧トロリ線直下にあるレール絶縁部分 |
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直交デッドセクションの奥にある負荷断路器 左 村上変電所からのATトロリ線が負荷断路器まで伸びる
間島駅 近傍にも同様な負荷断路器があり連動している |
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間島側 負荷断路器 見つけるのに苦労した |
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左 村上変電所からのATトロリ線が負荷断路器まで伸びる
負荷断路器部分でT分岐 一部は負荷断路器に入る
上り線 村上変電所事故時 負荷断路器開放
温海き電区分所 延長き電を行い 下り線を使って村上駅まで逆進運転可能とする設備
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左 村上変電所からのATトロリ線が架線柱までのびて
交直デッドセクションの交流側にき電分岐線で繋がる。上部を通過しているのはATき電線
架線ブラケットは、新型耐塩用可動ブラケット(ポリマ碍子PACH2) |
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負荷断路器を経た き電線が下り線側に伸びる |
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直交デッドセクションの交流側に負荷断路器を経た き電線がつながる |
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奥 直交デッドセクションの手前側にある交直デッドセクション スパン間に設置 ポリマ碍子形
架線死区間標識の裏面は、無い |
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交直側 上り線 架線死区間標識 こちら側は裏面は無い |
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交直デッドセクション直下のレール絶縁部 直流側 |
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交直デッドセクション直下のレール絶縁部 左 直流 右 交流 |
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村上駅 構内直前にある上下線のエアーセクション
断路器開放によりエアーセクション間を区分 |
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村上駅 構内直前にある上下線のエアーセクション
上空を通過するトロリ線き電線とATき電線 |
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絶縁距離を短くするためFRPセクションを使用 |
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断路器は、接地型だが接地極に接地線が無い |
参考文献
手塚房男ら;日本国有鉄道羽越本線電化変電設備:明電時報,1973,Vol.112,No.5,pp.19-23
牧野秀臣:交直デッドセクションの現状;鉄道ピクトリアル:1977,Vol.27,No.9,pp41-43
渡辺 寛:交・直セクションの長さ決定のルーツと現状;電気鉄道:1978,Vol.32,No.11,pp21-23
若木 力;羽越線交流電化区間の塩害対策;鉄道と電気技術,2005,Vol.16,No.11,pp.25-28