2020年5月15日

969. JR東日本 中央線12両化 駅舎改良工事における検電接地装置の利用 その他利用箇所

 駅舎等上物を構築する際は、速やかな検電・接地が行えるようにすることが望まれている。また、電車の屋根に登る際(雪下ろし等)電車線の検電接地を速やかに行えるよう動力式検電接地装置が導入されてきている。

 本稿では中央線12両化にともなう駅舎改良工事での検電接地装置の設置状況と、たまたま見つけたトンネル部における検電接地装置について記す。

このブログでの検電設置装置の初紹介は、新宿駅大規模工事に伴うもの以下引用
山手・埼京・中央・総武線 代々木駅
36.  JR東日本 代々木駅とその周辺(検電設置装置について初めて言及)

具体的動作(参考資料より抜粋と追記)
(1) 初期状態:接地器は解放
(2) 検電接地装置の操作扉を鍵で解放すると扉スイッチが入り、加圧検知を開始(検電作業)
(3) 加圧中の場合には「接地取付」ボタンを押しても接地器を投入できない
(4) 停電責任者は電力指令へ停電作業に着手申込を行い作業許可を得る(電車線路停電)
(5) 電車線路停電後、停電責任者が「接地取付」ボタンを押すと接地器が投入される
停電責任者が指示する接地取付作業に相当
(6) 停電工事(作業)開始
(7) 停電責任者が作業責任者から作業終了報告を受ける
(8) 「接地取外」ボタンを押すと接地器が解放 
停電責任者が指示する接地取外作業に相当 
(9) 停電責任者は電力指令へ停電工事終了報告を行う
(10)所定の時刻で電車線路に送電

(2)~(8)における状況は回転灯・表示装置により表示 音声応答装置から音声により通知

総武線 長浦駅舎改良工事
315. JR東日本 長浦変電所(直流)ブログリンク

山手・京浜東北線 新橋駅 総武線 千駄ヶ谷駅
803. JR東日本 駅改良工事 新橋駅・千駄ヶ谷駅 動力式検電接地装置 ブログリンク

総武・中央線 お茶の水駅駅舎改良工事
448. JR東日本 御茶ノ水駅 改良工事 動力式検電接地装置 ブログリンク

中央線 高尾駅 雪下ろし
183. JR東日本 高尾変電所(直流)とその周辺 動力式検電接地装置の恒久的運用


武蔵野線 根岸トンネル 武蔵浦和方入口 たまたま見つけた。
 設置されている理由は、根岸トンネルが中間部に鉄製の覆いがあるため?

西船橋方面き電線にケーブルがボンド

府中本町方面 き電線にボンド

き電線から引き出されたケーブルは架線柱を垂下

奥の装置が動力式検電接地装置

 今回 中央線12両化に伴う駅舎改良工事が行われているので、公用外出のついでに調査を行った。

高円寺駅
総武線側 中野方ホーム上
快速線側には設置されていない。快速線側ホーム延長で邪魔になるから
総武線 ホーム上に設置
中央架線柱にケーブル2本が垂下している

動力式検電接地装置 本体

銘板

内部が見える

富士電機製 HN46シリーズ 電磁接触器が使われている。
富士電機 カタログ 高圧真空電磁接触器 HNシリーズカタログ

接地線がレールにボンド 但し施工不良状況 本当は中央ナットを外す必要がある

阿佐ヶ谷駅
中央快速線側 高円寺方


き電吊架線にケーブルがボンド

レールに接地線がボンド

西国分寺駅
中央線 国分寺方
き電吊架線にケーブルがボンド 下り線

き電吊架線にケーブルがボンド


拡大

動力式検電接地装置 右架線柱からコルゲート管で1500V引き込み

頭頂部に回転発行体が無いタイプ

接地線がレールにボンド 正しい施工例

本来は、取り付け後ナットを外す。高円寺のものは、ナットが外されていない

2020年5月14日

968. 番外 新型コロナウイルス感染症 抗原検査試薬の臨床試験成績 (中医協資料を引用)

昨日承認され保険適応された富士レビオ抗原検査試薬の臨床試験成績と使用法

以下は中医協資料から引用

SARS C o V 2 抗原検出用 キット の活用に関するガイドライン (案) pdf注意
中医協資料から引用

抗原検査については、過去記事がある。
962. 番外 新型コロナウイルス感染症の検体検査 雑感 随時加筆 ブログリンク
この記事の中でSARS CoV用の過去に取得されたMoAbを使う可能性について言及したが
申請内容を読むと、全くその通りで共通の抗原認識部位をもつSARS CoV用MoAbが使われていることが判る。

富士レビオは過去にSARS が広がった際にSARS-Con検出用にMoAbを作っていたので、ためしにSARS CoV-2組換え体抗原で検出できるか反応性をみたら当たったので急遽 組み合わせを選んでキットを組み上げている。その後 臨床検体、感染研パネルを当てて感触を掴み、申請承認に漕ぎつけた。

添文を読んでみてもMoAbがSARS-Covのどの部位を見ん指揮しているかは書かれていない。通常 新しく抗原に対するMoAbを取るには2か月以上は係る。短時間で上市できた理由はSARS CoV用MoAbを利用したことに尽きる。

また感度に関しても、RNA100Copy以上で83%、400Copy以上で93%、1600Copy以上で100%の陽性一致率となり感度的にはPCRよりも劣る。←初期の検討データ
どれくらいのCopy数があれば感染が成立するかは、まだ臨床的に明らかにされていない。

 6/16 PCR法との相関が、感染初期に一致することが判明しPCR法にとって代われると厚労省が使用基準を変えた。検体は、現在 呼吸器スワブ検体であるが、唾液検体の治験も行われているようであり、そのうち唾液でも検査できるようになる。

抗原検査の使用方法の見直しについて  厚労省発表リンク

川崎市健康安全研究センターデータ引用
○抗原検査キット(エスプライン)の添付文書に記載されている臨床性能試験の概要では、RTPCR法と抗原検査キットの陽性一致率は、 1,600 copy 以上の検体に対して一致率100%(12/12 例)、 400 copy 以上の検体に対して一致率 93 14/15 例)である。
引用終わり

 6/16の厚労省の使用基準変更に伴いイムノクロマト法による抗原検査とPCR法が感染初期では同等の検出となるので、これより感度が高い全自動高感度測定法(ルミパルス)は、将来的にPCR法にとって代われる存在になる可能性が高い。

感度上昇への方策
 富士レビオは、全自動高感度免疫測定装置(化学発光:CLIA)ルミパルスをイムノクロマトとは別にプラットホームとしてもっているので、高感度対応の抗原検出試薬が申請されるのも時間の問題であろう。実際 申請された。
富士レビオのイムノクロマト法は、BCIP発色基質を利用したアルカリフォスファターゼ(ALP)標識抗体を利用している。ルミパルスは同様に化学発光基質AMPPD(ALPで加水分解すると発光する)を利用しているので、イムノクロマト法で確立したMoAb(ALP標識MoAb)を利用すれば組み替えは容易となる。感度は、PCR法と同等のようだ。
6/25 保険収載され、使用可能となる。

6/19大臣会見内容 引用
加藤大臣会見概要 (令和2年6月19日(金)  11:13~11:44) リンク
二点目でありますが、新しいコロナウイルス感染症の検査についてです。抗原量の測定ができる、富士レビオ社が開発した検査試薬を薬事承認いたしました。これによって抗原検査としての検査が行われることができます。この検査は、従来の抗原簡易検査キットよりも感度は高い、いわゆるPCR検査と同様の対象者に使用することができるというわけであります。鼻咽頭検体については、有症・無症を問わず全ての対象者に、また、発症から9日目以内の有症状者に対しては、唾液検体も可能となりまさにPCRと同じ適用ということになります。
 この検査には、専用の検査機器が必要です。多少機能性の高いものと低いものがあるようでありますが、既にトータル800台くらい設置されているということであります。それから検査に要する時間は30 分程度と非常に短いということです。1時間あたり60件から120件の検査が可能と聞いております。
 この抗原検査は定量で測ることができます。これまでの簡易キットは陽性か陰性かしか分かりませんが、これはどのくらいの量があるのか、ということを測ることができます。こうしたことによって我が国の検査能力の向上に寄与するものと考えております。先般の唾液もそうでありますけれども、様々な技術が開発されております。我々としても積極的に、そういったものを取り入れて検査能力の拡大を図っていきたいと思っております。
引用終わり


以下中医協のデータを引用する。
新型コロナウイルス感染症診断薬の承認について医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課 発表 PDF注意

以下部分引用
2.審査の概要
(1)臨床性能
○本品の臨床性能に関して、主に以下2つの試験の結果が提出された。この他に国内検査検体を用いた試験成績が参考資料として提出された。

①国内臨床性能試験
国内で行われた、RT PCR 法との 比較に基づく臨床性能 試験成績( n= 72例 )は、陰性一致率 98 % 44/45 例)、 陽性一致率 37% 10/27 例 )で
あった 。陽性検体についての陽性一致率を、 RT PCR 法テスト試 料中の換算 RNA コピー数 (推定値 に応じて比較すると、 100 コピー テスト以上の検体に対して 陽性 一致 率 83% 5/6 例) であった 。

②国内検査検体を用いた試験
RT PCR 法との 比較に基づく 試験成績( n=124例 )は、 陰性一致率 100% 100/100 例)、陽性一致率 66.7 %16/24 例)であった。
陽性検体 についての陽性一致率を、 RT PCR 法テスト試料中の換算 RNA コピー数 (推定値 に応じて比較する と、 1,600 コピー テスト以上の検体に対して一致率 100% 12/12 例)、 400 コピー テスト以上の検体に対して一致率 93%14/15 例)、 100 コピー テスト以上の検体に対して一致率 83% 15/18 例) であった。

審査においては、限られた例数における検討であるものの、本品は一定量以上のウイルスを有する検体に対して約8~9割の陽性一致率( 100 コピー テスト以上 で約 80 %、 400 コピー テスト以上 で約 90 %)を示し、また、陰性一致率はほぼ 100% であった。

このため、本品は、RT PCR 法と比較して感度は低いものの、一定の症状を有する患者等に対し、陽性判定をもとに感染診断を行うこと の臨床的有用性を期待できるものと考えられる。さらに、現時点で、本邦においてSARS CoV 2 抗原の迅速かつ簡便な検出が可能な 体外診断用医薬品は 存在しないこと 、医療機関等での検査能力の迅速な拡充が求められていることを踏まえると、

i )製造販売 後に実臨床での臨床性能の検証を求める承認条件を付すこと

ii )添付文書で偽陰性の可能性等を情報提供すること、

を前提として、本品を臨床現場に提供することは 許容可能と考えた。

(2)交差反応性
〇本品は 、遺伝子組換えヒトコロナウイルス抗原 SARS CoV と反応 を示したが、遺伝子組換え ヒトコロナウイルス抗原( MERS CoV 、 HCoV 229E 、 HCoVOC43 、 HCoV NL63 、 HCoV HKU1 及び不活化インフルエンザウイルスInfluenzavirus H1N1 、 Influenzavirus H3N2 、 Influenzavirus B )とは反応を示さなかった。 1)

〇 本品は、 SARS CoV 以外、交差反応の可能性がある主な抗原で反応を示さなかったことから、本品の開発の緊急性を鑑み、 SARS CoV との反応性を添付文書で注意喚起すること、追加で検討が必要な交差反応性試験を今後速やかに実施することを前提に、 本品を臨床現場に提供することは許容可能と考えた。


(3)安定性
○本品の安定性については、実保存条件での長期安定性試験成績は提出されていないが、同 社の 類似の 検査薬 に基づき、暫定的に有効期間が設定 された。

審査においては、本品の開発の緊急性を鑑み、 製造販売後に 本品 の長期安定性試験 を実施することを前提に 有効期間を暫定的に付与することは可能 と判断した。


(4)その他
○本品を使用する上で必要な注意喚起については、添付文書に記載することとした。
(5)専門協議
○専門協議を実施し、(1)から(4)の判断は支持された。なお、(1)について、非感染の確定診断のための PCR 検査等の追加実施の必要性を添付文書で明確に注意喚起すべきとの意見があり、これに対応した。
引用終わり

1 )この他、ヒトコロナウイルス( HCoV 229E (ATCC VR 740) 、 HCoV NL63 (AmsterdamI) HCoV OC43 ATCC VR1558) HCoV OC43 (Tokyo/SGH 36/2014) HCoVHKU1 (Tokyo/SGH 15/2014) 培養液と反応を示さなかった。



5/19 もう一つの新型コロナウイルス感染症 抗原検査 イムノクロマト法が研究試薬として発売された。
新型コロナウイルス抗原テスト 株式会社マルコム リンク

これらの製品は、SD BIOSENSOR INC.社製のイムノクロマト法を用い高速テストを可能とした製品

「ヒト鼻咽頭に存在するSARS-CoV-2の特定核タンパク質抗原を判定します」とあるのでSARS-CoV-2特異的なMoAbを利用していると思われる。
以下引用
新型コロナウイルスSARS-COV-2抗原開発の際には、これらのウイルスの遺伝子組み換え技術を使用・応用し短時間に抗原を開発、これを使用することで特異性の高い最適な抗体の開発に成功した。
引用終わり

ちなみに 富士レビオの抗原検出試薬は、SARS-CoVの抗原に対するMoAbを使い同じく核たんぱく質を標的としたものである。SARS-CoVとSARS-CoV-2の共通配列部分を使用している。


検出感度
TCID50(TCID50(Median tissue culture infectious dose, 50%感染量)とは、ウイルスを細胞に感染させて細胞が変性する%が50%となったときの希釈倍数を示す単位。
PCR法のCopy数とは比較できない単位

2020年5月13日

967. JR東海 電力設備不具合 名古屋~岐阜駅間不通 碍子吊り金具の腐食落下事故(高抵抗地絡)

JR東海公式発表 以下引用
【05月13日 14時18分現在】 電力設備不具合による火災が発生しており、現在は消火活動を行っています。名古屋~岐阜駅間の運転再開目途は立っていません。
引用終わり

これは、旅するトロツキー@ソードフィッシュ教」さんTwitter記事をみると、正面向かって左のき電線 1本が碍子から離れ架線柱の鉄ビーム部分に接触している典型的な高抵抗地絡の事故

 ちょうど避雷器の部分のき電線が碍子1個を残して、落下しビームに接触している。
よく見ると、奥はJR東海の大口径き電ちょう架線の施工部分となる。

以下の画像は、同様な施工例の個所を示す
シンプルカテナリー部からき電ちょう架線への移行部分
ちょうどこの画像の奥側から見た構図となる
「旅するトロツキー@ソードフィッシュ教」さんが画像をUpしている
この画像は、JR東海 吉原き電区分所付近の別画像
732. JR東海 大口径き電吊架線とは ブログリンク

712. JR東海 吉原き電区分所と東海道本線のき電吊架線 JR東海キヤ95系気動車(部分)ブログリンク


旅するトロツキー@ソードフィッシュ教 Twitter 記事 固定画像リンク
以下画像
旅するトロツキー@ソードフィッシュ教さんのTitter記事から引用
架線柱 左のき電線2本のうち1本が落下 ビームに接触し高抵抗地絡が発生している状況
まだき電停止には至っていない状況 右架線柱上部にアーク発生
き電吊架線方式と従来のき電線方式での違いが明確に表れている
左端の碍子は、き電ちょう架線本体を引っ張ってるワイヤが引き留められている
旅するトロツキー@ソードフィッシュ教  Twitter 記事 動画 

同様な事故記事は以下参照 JR東日本で頻回に起こっており、碍子を磁製から合成樹脂製のポリマー碍子への交換が進んでいる。
484. JR東日本 東海道線 架線柱 架線 火災 事故 原因 ブログリンク
631. JR東日本 宇都宮線 輸送障害 地絡 停電事故 考察 号外 ブログリンク




JR四国 本四備讃線(瀬戸大橋)で架線切断で立ち往生

1394. JR四国 本四備讃線(瀬戸大橋)で架線切断で立ち往生 2024/11/10 随時記載

 NHKによると以下引用 JR瀬戸大橋線で列車が立往生 架線断線 車内に乗客約150人  11/10  以下引用  10日午前、JR瀬戸大橋線で架線が断線し、高松発岡山行きの快速列車が瀬戸大橋の上で立往生し、5時間あまりにわたって乗客およそ150人が列車内に残さ...

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