2024年1月29日

1349. JR東日本 どうすれば新幹線は、大宮折り返しができるか(き電系から見た夢想)

  端的に言えば新与野き電区分所⇔新大宮変電所間のき電を東京方で新与野き電区分所を縁切りすれば良い(ATき電線及びトロリ線・上越新幹線トロリ線き電線)

 但し単なる縁切りだと末端にAT(単巻き変圧器)がないので誘導障害、線条電圧の上昇、インピーダンスの上昇があるのでAT(単巻き変圧器)を設置して通常時切離しておく。

 折り返し事案発生時 新与野き電区分所縁切りとAT(単巻き変圧器)投入を行う。

 せっかく新田端変電所を高額な費用をかけて分散二重化したのに大宮駅⇔新与野き電区分所間の架線事故で折り返しが不可能なのは、あまりにもお粗末。

250. JR東日本 新田端変電所1,2号棟(新幹線・ATき電、同軸き電)

 架線事故が新与野き電区分所の東京方で発生した場合は、新与野き電区分所でき電分離すれば折り返し運転は可能だった。

 武蔵浦和近辺に新大宮変電所と新田端変電所の半分に位置だから き電区分所を置けば良いとのWeb記事もあるがAT(単巻き変圧器)は約10㎞置きに置かなくてはならず、また大宮の特殊性を考慮していない。武蔵浦和駅周辺はカーブしており、エア―セクション部は直線である必要があり。全体でセクションは直線で約1.2㎞の距離が必要なので、南与野方か北戸田方になってしまう

以下に折り返しできない理由を述べたが判りずらいので図で説明することにした。

1348. JR東日本 2024/1/23 東北・上越・北陸新幹線はなぜ大宮折り返しができなかった

基本は、大宮以北暫定開業時のき電系統を踏襲すれば良い

この場合は上越新幹線用で1台、東北新幹線用で1台のAT(単巻き変圧器)で運用


大宮駅折り返し設備 通常状態


折り返しき電設備の概要
1.新与野き電区分所⇔大宮駅間の本線上にエア―セクションを設ける
2.新与野き電区分所を縁切りするため東北新幹線、上越.北陸新幹線のATき電線、上越・北陸新幹線用トロリ線き電線に負荷断路器を挿入する。
3.上越・北陸新幹線上下、東北新幹線上下に負荷断路器で切り離せるAT(単巻き変圧器)を設備する。

単純に言えばATポスト(ATP)を置くことになる。

 負荷断路器ではなく遮断器でも良いが大きさの点と場所的な面、そして価格面で負荷断路器が妥当だろう。

 通常運用は、負荷断路器(SDS)は閉極し、AT(単巻き変圧器)は切り離した状態にしておく

大宮駅折り返し運用(新大宮変電所から大宮駅構内き電)

 折り返し運用は、負荷断路器(SDS)は開極し、新与野き電区分所を縁切り、大宮駅近傍のAT(単巻き変圧器)接続して末端ATとして機能させる。場所的には以前補助き電区分所があった大成付近

 折り返し運用時 初めから多数の列車を捌けない状況ならば、各上下線にあるATを4台運用から2台運用とする配線を行う。この場合上下タイき電設備を導入する。

 JR東日本の新幹線は、通常運行時でも上下パラき電(変電所以外のき電区分所等)を行っている。

 大宮駅構内配線図は、配線略図ネット(https://www.haisenryakuzu.net/)から引用いたしました。いつも大変お世話になっております。


参考資料
以下の資料は個人向けNDLライブラリーのインターネット閲覧で読める。

磯谷維辰;東北新幹線・大宮間電気設備概
電気鉄道:Vol.38,no.3,pp.13-16,1983    

小山義夫;東北新幹線上野・大宮間変電設備概要;電気鉄道:Vol.38,No.3、pp.p10~12,1983

鎌原今朝雄ら;新幹線におけるAT故障時の系統運用マニュアル:電気鉄道 Vol.
33,No.11,pp.7-9,










2024年1月25日

1348. JR東日本 2024/1/23 東北・上越・北陸新幹線は、なぜ大宮折り返しができなかったか?

 端的に言えば新大宮変電所のき電範囲で新与野き電区分所までが き電範囲だったから。停電すると大宮駅構内も停電するため折り返し運転ができない。

 新与野き電区分所の位置は新大宮変電所から約10㎞また新戸田補助き電区分所から約12km、新田端変電所ー新戸田補助き電区分所から約11㎞ 10㎞間隔でAT(単巻き変圧器)を置くATき電の基本を逸脱していない。

1347. JR東日本 新幹線停電事故 2024/01/23 新与野き電区分所の大宮方での架線垂下(随時更新)

14.  JR東日本 新与野キ電区分所SP 位置と機能

新幹線の枝分かれする部分に設けられた新幹線初めてのき電回路であり
1.常時電力供給と事故時のき電分離
2.渡り線部分でのエアセクション間電位差軽減
3.列車が渡り線通過時の出合いがしらの停電によるセクションオバー
4.延長き電、電源切替などの時に異電源交差の防止
このためき電区分所の位置は大宮駅近傍でなければならなかった。もちろん通常の新幹線の変電所間隔(50~60㎞)であれば中間点にき電区分所が設けれる。ただし約10㎞置きにAT(単巻き変圧器)を置かなくてはならないので若干の前後は発生する。


 大宮駅約31k 旧与野き電区所の大宮方き電点(約28K)の大宮側約3㎞の区間の上り線での滑車式張力調整装置の架線誘引部の破断 き電区分が新与野でしかできないので折り返しは無理。

 その後旧新与野き電区分所は更に北与野方に移転してる。

572. JR東日本 新与野き電区分所 分散二重化? ハタマタ移転は移転


それでは、大宮暫定開業時(大宮折り返し)のき電系統をみてみよう

大宮暫定開業の項を注目
 新大成補助き電区分所を設けて大宮末端のAT(単巻き変圧器)を設備していた。この暫定開業時は新与野き電区分所はできていなかった。ATき電の弱点は、末端にAT(単巻き変圧器)をつけなくてはいけない。トロリ線末端がAT(単巻き変圧器)を経由してAT(F)き電線と繋がっている必要がある。

 それでは、大宮折り返しを可能になる方策はあるのか? 回答は以下にある

252. JR東日本 秋葉原仮設き電区分所跡(新幹線・同軸き電)

 これは、上野東京ライン工事時 下を運行している新幹線に工事で障害が起こった場合に設け上野折り返しを目論んだ設備である。幸いに実際に使われてはいない。

 本線上に秋葉原駅にエア―セクションを設けて き電区分し上野折り返しに対応させる設備となっている。末端ATは同軸き電なのでない。

 つまり、大宮駅東京方で本線が2本になる地点にエア―セクションを設け本線及びき電線(F)に断路器(負荷断路器25,000V用)を設備。以下25,000V対応負荷断路器

951. JR北海道 大平SDS(ATき電25kV) SDS=Section Disconnecting Switch

 大宮駅 新大宮変電所方に補助き電区分所を付ければ き電区分ができる。このき電区分所も本格的なものではなく新大成補助き電区分所のような簡単な構造のもの。場所的には以下のJR東日本 大宮車両センター内の空地

 架線柱間隔もちょうど引出鉄構のように間隔が短い 昔この場所にあった? 大成地区に近い。

 末端AT停止時(新与野き電区分所・機能停止)の対応として新大成補助き電区分所では、上下タイき電(遮断器での対応)、線条のクロスボンドで1台のAT(単巻き変圧器・通常時切離し)での対応も可能となる。但しATの容量は大きくしないと温度上昇が著しい。


 末端にAT(単巻き変圧器)がない場合。この場合新大宮変電所の第一ATからの直接き電となり末端のインピーダンスが高くなる。またレール電位も大きくなるがRPDC(レール電位抑制装置)で低減できる。誘導電圧も惹起されるので誘導障害が発生する。

文章だけでは分かりにくいので図を作成した。
1349. JR東日本 どうすれば新幹線は、大宮折り返しができるか(き電系見た夢想)

JR東日本は、大動脈の大宮折り返しの対応設備を設けるか?

でも結局のところは、架線の損傷が起きれば終わり。また新幹線で滑車式自動張力調整装置(BTS)が使われているところは新幹線基地内だけだと思っていたが本線上でそれも高頻度の運用がなされている路線で残っていたとは…

 最高速度が抑えられている区間とは言え滑車式自動張力調整装置(BTS)から ばね式自動張力調整装置(STS)に本線上は置き換わっているものと思っていた。

 新与野き電区分所 上野方は両方とも中セクションは ばね式自動張力調整装置(STB)が使われている。

 

新与野き電区分所 大宮方中セクション出口 この先で大宮方架線損傷している
上下 中セクションは ばね式自動張力調整装置(STB)が使われている。


事故現場の滑車式自動張力調整装置(BTS)


新幹線用新型ばねバランサーの開発 JR東日本テクニカルレビュー


電車線の 自動張力調整装置 公益財団法人鉄道総合技術研究所


参考資料
磯谷維辰;東北新幹線・大宮間電気設備概
電気鉄道:Vol.38,no.3,pp.13-16,1983    
小山義夫;東北新幹線上野・大宮間変電設備概要;電気鉄道:Vol.38,No.3、pp.p10~12,1983
鎌原今朝雄ら;新幹線におけるAT故障時の系統運用マニュアル:電気鉄道 Vol.
33,No.11,pp.7-9,

2024年1月23日

1347. JR東日本 新幹線停電事故 2024/01/23 新与野き電区分所の大宮方での架線垂下(随時更新)

 東北・上越・北陸新幹線 一部区間運転見合わせ 停電の影響 NHK Webニュースから引用

以下引用

JR東日本によりますと、東北新幹線の東京駅と仙台駅の間、上越新幹線の東京駅と新潟駅の間、北陸新幹線の東京駅と長野駅の間のそれぞれ上下線で運転を見合わせています。

上野駅と大宮駅の間で架線に何らかのトラブルがあり、停電が発生した影響だということで、今のところ運転再開の見通しは立っていないということです。

引用終わり


 大宮以南がやられている。NHKの報道ヘリの画像から推定すると新与野き電区分所の大宮方での架線損傷でブラケット(架線を支える腕木・碍子製)も折れていることから回復には相当時間が掛かる。 原因は自動張力調整装置の破損



 北与野駅-南与野駅間の中セクション入口部での事故 北与野駅が中セクション(SN部)大宮方出口、南与野駅が中セクションの上野方出口 新与野き電区分所と実際のき電区分箇所は離れている。

ここ 南与野駅付近 上野方中セクション入口


上野方は両方とも中セクションは ばね式自動張力調整装置(STB)が使われている。


 与野本町駅 大宮方中セクション出口 この先で大宮方架線損傷している
上下 中セクションは ばね式自動張力調整装置(STB)が使われている。



事故発生位置 中セクションを抜けた大宮方   


 コンパウンドカテナリー式の架線の吊架線が切れて、補助用吊架線とトロリ線が垂下している。またコンパウンドカテナリー架線を支えるブラケットも一部損傷して折れているものもある。作業員感電現場ではこの補助用吊架線とトロリ線が垂下していたが、25,000Vが通電していたとは… 考えらえない事故である。

運転回復の方策 
  新与野き電区分所での大宮方縁切り作業を行い大宮以路線北の大宮駅での折り返し運転  新幹線リレー号の登場か? 上空からの画像を良く観察すると新与野き電区分所の中セクションを抜けた大宮方部分での架線損傷なのでこの縁切り作業は無理。新大宮変電所き電範囲

大宮折り返しの方策はある。但しJR東日本がコストを掛ければ…

 小山折り返しか熊谷折り返しでさばけるか 
新大宮変電所き電停止、新戸田補助き電区分所大宮方き電停止。
新戸田補助き電区分所⇔東京駅間で止まっている新幹線は電力を供給しながら乗客救出。
新大宮変電所⇔新鴻巣き電区分所間及び新大宮変電所⇔新久喜き電区分所間はき電停止。新鴻巣き電区分所及び新久喜き電区分所以北で止まっている新幹線は電力を供給しながら乗客救出。(駅まで移動)

 14時45分ごろ作業員の感電事故が発生 検電接地の大原則は守られてなかったのか 新大宮変電所はき電停止してなかったのか? 作業員の無事を祈る。 ご安全に 

 垂下していたトロリ線になぜ加圧されたいたか
1.新田端変電所が生きていて新田端のトロリ線と中セクションが近接していたエアーセクションに誘導電圧が中セクションに表れて、中セクションと大宮方エアーセクション(間隔50㎝)間にも誘導電圧が惹起されていて加圧されていた。ただし誘導電圧なので25,000Vの電圧が掛かっていたわけではない。⇒放電で発火するほどの電圧ではない。
2.単純に新大宮変電所が加圧していた。大宮停車の新幹線に加圧するため⇒通常では考えられない。放電で発火する。
3.新田端変電所が生きていて新田端のトロリ線と中セクションが事故で接触していたためエアーセクションの電圧が中セクションに表れて、中セクションと大宮方エアーセクション(間隔50㎝)間にも接触していて加圧されていた。25,000Vの電圧が掛かっていた。発火するほどの電圧が印下されていた。

新田端変電所が生きていた理由は下り線に在線していた新幹線を駅に誘導するため。

新田端変電所と新戸田補助き電区分所が共に生きていた。新戸田補助き電区分所でき電区分ができていなかった。

いろいろ考えられるが感電事故は事故の瞬間より後で色々障害が出始める。

 事故原因がWTB式の自動張力調整装置のロッド破損と言うことで破損したWTBを示す


手前が最新のばね式自動張力調整装置(STB) 奥が旧型の滑車式自動張力調整装置(WTB) いずれも新幹線で使用。

こちらは、両方とも滑車式自動張力調整装置(WTB) エアジョイント間での利用
この上り線側が破損した模様


 同様な事故例


2024年1月15日

1346.  JR四国 琴平駅出発を待つ EF210-312+ザ・ロイヤルエクスプレス+マニの電源事情

 ロイヤルEXP運行に向けて準備始まる カギは安全運行、運転士講習2023年朝日デジタル

以下引用

 私鉄大手の東急(東京)の豪華観光列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」が来年1~3月、初めてJR四国の路線を走る。3泊4日で96万円以上と破格の高価格帯のツアーで、カギを握るのが安全運行だ。運転士の講習が実施されるなど、本番に向けた準備が本格化している。(中略)

 ザ・ロイヤルエクスプレスは架線から電気を取るパンタグラフやモーターのついた電車だが、JR予讃線には、車両の大きさに比べて断面積が小さいトンネルがあり、パンタグラフを取り外さなければ通過できない。このため、全区間を電気機関車が牽引(けんいん)する。

 担当するJR四国の運転士は電気機関車の運転免許を持つ40~60代の6人。児島―高松間はJR西日本所有のEF65形電気機関車、高松―琴平間、多度津―松山間、松山―今治―高松間はJR貨物所有のEF210形を使う。

引用終わり


 JR四国の電化路線の変電所は一部を除いて3,000kWシリコン整流器1台の設備である。これは10㎞間隔に変電所があるとしても弱い き電設備である。そのため高松貨物ターミナルができた際のEL入線のために新しく、鬼無変電所が増設された。JR四国 高松変電所からの自営送電線22㎸で受電されている。
 ザ・ロイヤルエクスプレスが運行される児島ー高松間の き電は四国連絡橋部分が上下方面別き電 宇多津き電区分所から高松駅までが上下一括き電、宇多津き電区分所から丸亀駅までが上下方面別き電で丸亀駅の宇田津方で上下方面別き電線が1本にまとまり上下一括き電となっている。

 さて 琴平駅まで電化されている土讃線には変電所は無い。分岐点の予讃線 多度津変電所からの き電を行っている。つまり琴平駅-多度津駅間11.3kmは予讃線 多度津変電所からのき電のみで電車を運行している。多度津変電所から片送り11㎞は末端で電圧降下を起こす。

土讃線 多度津ー琴平間のき電状況 Google my Map

  ここにELのEF210形が単独入線すると末端の琴平駅で運転時にどれだけ電圧が下がるか概算してみた。EF210形は1パンタで入線。直吊架線方式なので2パンタにすると押上力が強くなるため。
 文献よりトロリ線は110㎟、き電線は硬アルミ撚り線510㎟×2条、き電分岐装置は250m間隔。距離11kmとした。但しき電線とき電分岐装置間の抵抗値は0Ωとした。またパンタ摺板とトロリ線に間の抵抗も0Ωとした。直吊架線方式なので吊架線の抵抗は無い。帰線となるレールの電気抵抗も0とした。車輪とレール間の電気抵抗も0とした。

抵抗率 トロリ線 110㎟ 0.1592Ω/km 
    硬アルミ撚り線510㎟ 0.05463Ω/km/1条 

 トロリ線250m分の抵抗と硬アルミ撚り線250m2条の抵抗の並列抵抗値を算出して直列に44個(11㎞/0.25㎞)繋げた場合の抵抗を算出

250m分の抵抗 0.00582Ω
トロリ線250mの抵抗値0.03955Ω 
硬アルミ撚り線の抵抗値0.01366Ωが2条並列で0.00683Ω
これが並列接続された時の抵抗値を求める。

 250m分の抵抗(き電線510㎟×2+トロリ線110㎟) 0.00582Ωこれが44個直列に繋がると0.2561Ωとなる。

V=IRで電圧降下を算出 ちなみに硬アルミ撚り線510㎟2条で約1,860A流せる(常用温度)
多度津変電所の送出し電圧は1,600Vで2,000Aまで定電流・定電圧とする。(タップ切替で電圧を高め設定していると仮定)

 文献によると3,000kWのシリコン整流器が設備されているので1,600V 1,875Aが通常定格となる。但しシリコン整流器の定格はE種なので電流は120% 2時間までは耐えられる

末端で起動時1,000A消費された場合 0.2561Ω×1,000A≒256V
1,600V-256V=1,344V末端電圧

末端で起動時1,500A消費された場合 0.2561Ω×1,500A≒384V
1,600V-384V=1,216V末端電圧

末端で起動時2,000A消費された場合 0.2561Ω×2,000A≒512V
1,600V-512V=1,088V末端電圧


 ちなみにJIS 60㎏/mの断面積77.50㎠の鋼の線条11㎞の抵抗値は0.1419Ωとなる。線条だから2本並列繋げると0.07095Ωとなる(鋼の抵抗率を抵抗率 ≒10.00×10-8 [Ωm])但し漏れ電流もありこの計算通りにはならないので省いた。

 帰線電流を考慮する場合 架線+き電線の合成抵抗値と線条抵抗値を直列にしたことに単純化できるので0.2561+0.07095=0.3271Ωとなる。末端で1,500A消費された場合
0.3271Ω×1,500A≒491V 1,600V-491V=1,109Vとなる。

 EF210形 定格出力 3,390kW(主電動機565kW×6) 1,500V 2,260A 1C1M×6で制御
でVVVFインバーターが働く最低電圧は約1,100Vとすると力行電流1,500Aが最高値になる。1C1M制御で6個の電動機を制御して架線から取る電流を1,500A以下にしないといけないので土讃線運行時は当然ノッチ制限が掛かる。

 多度津変電所は、土讃線だけでなく予讃線にも き電しているのでEF210形が電力を多く使うと繋がっている予讃線も電圧降下を起こす。このため使用電力が大きいサンライズ瀬戸(編成出力220kW×8 = 1,760kW)や今度入線するザ・ロイヤルエクスプレス EF210牽引(3,390kW)が入ると土讃線の電車運用が一部気動車運用になる。

 多度津変電所は以前は3,000kWのシリコン整流器2台で運用していたが現在では1台運用となり四国電力からの回線も66㎸2回線から1回線に変更になっている。2台運用なら余裕だと思うが、設備減縮のため1基停止、受電契約も1回線にしている。

JR四国 多度津変電所 1Lから受電 但し2021年時のGoogle street View
 四国電力の66㎸系統図でも四国電力 多度津変電所66㎸ 需要家線(No.84)1回線受電となっている。
手前 断路器(開路)と上部母線間のジャンパ線は取り外されている
奥にあるのは整流用変圧器、横のキュービクルはFL(電力沪波器)だが頭頂部のき電線が無い
但し2021年時のGoogle street View

 奥に見えるのは現在運用中の変成設備 3,000kWのシリコン整流器と正極負極母線断路器
2基の変成設備があるが1基だけで運用。2基目の整流用変圧器からの交流1200V線は取り外されておらずシリコン整流器に繋がる。シリコン整流器からの正極、負極母線は取り外されていて無い。 但し2021年時のGoogle street View

2024年のGoogle street View上空画像
2021年と比較して変化が無い 変成設備(整流用変圧器・シリコン整流器)は1基で運用


参考資料
小林健蔵;電車線路電気抵抗はなぜ距離に比例するのか-1- :鉄道と電気,Vol41,No.9,pp.
57~60,1987
小林健蔵;電車線路電気抵抗はなぜ距離に比例するのか-2- :鉄道と電気,Vol41,No.11,pp.
63~68,1987
小林健蔵;電車線路電気抵抗はなぜ距離に比例するのか-3- :鉄道と電気,Vol41,No.12,pp.
43~53,1987
小林健蔵;電車線路電気抵抗はなぜ距離に比例するのか-3- :鉄道と電気,Vol42,No.01,pp.
52~59,1987

2024年1月13日

1345. パイプ型地中送電線の敷設跡 その後 撤去作業

 パイプ型地中送電線(PGCケーブル)の径路は過去に記事にしてきた

983. JR東日本 パイプ型地中送電線の敷設跡 2020年

1026. JR東日本 パイプ型地中送電線の敷設跡 その後 トレンチ確認 2021年

 青のラインが旧道を経由していたパイプ型地中送電線(PGCケーブル)ライン途中から都市計画道路 道場三室線になる

 今回中山道から旧中山道間のパイプ型地中送電線(PGCケーブル)の撤去作業が行われた。あらかた撤去されているが、浦和変電所への径路はまだ撤去作業が始まっていない。歩道にトレンチを掘って調査は行われている。

2023年12月末日で作業は一旦終了


中山道近くの埋設標

埋設標は続く

撤去跡

撤去作業中 仮舗装


調査用トレンチ跡 JRの印
この部分は現在パイプ型地中送電線が撤去されて仮舗装されている


別角度 パイプ型地中送電線は1本の埋設
この部分は現在パイプ型地中送電線が撤去されて仮舗装されている


調査用トレンチ跡 JRの印 
この部分は現在パイプ型地中送電線が撤去されて仮舗装されている

調査用トレンチ跡 JRの印
この部分は現在パイプ型地中送電線が撤去されて仮舗装されている


この部分は現在パイプ型地中送電線が撤去されて仮舗装されている


旧中山道 パイプ型地中送電線は2本となる まだ撤去されてない部分

奥が線路でその奥がJR東日本 浦和変電所

埋設標

トレンチ跡 四角い印は人孔を設置するため?
NTTは深さ2.6mに管路が埋設

Gはガス管?1.23mに埋設 JRの管路は1.92mに埋設

奥が線路でその奥がJR東日本 浦和変電所

その後(調査後?)元に戻った


埼京線高架下の旧南与野線埋設標 この周辺は手つかず


埼京線高架下の旧南与野線埋設標 この周辺は手つかず

埼京線 高架下に資材置き場があった。

 パイプ型地中送電線(PGCケーブル)の内部に収容されていた送電線の含侵絶縁体の絶縁油は低濃度のPCBが含まれていたようだ。


 このPGCケーブルは、防食した鋼管を直接埋設し、その鋼管内にケーブル心線3条を引き込み、管内に圧力を掛けた窒素ガスを封入したもので、ケーブル重量及び長尺引き込みが可能な国鉄で初めてものであった。(OFケーブルのオイルの代わりに窒素ガスが使われているようなもの) 常時ガス圧をモニターしなけばならない欠点があった。そのためこの箇所以外に敷設されたことはない。絶縁紙に含侵された絶縁油に微量PCBが含有されていたことになる。

 さいたま市の低濃度PCB保管場所一覧に、このパイプ型送電線の敷設ルートに沿った地名が記載されている。道路下に一時保管されていたとの見解であろう。

令和4年度末 PCB廃棄物保管状況等(低濃度)
事業所名称:東日本旅客鉄道株式会社 エネルギー企画部 道場三室線
住所(市区)さいたま市浦和区
住所(市区以下)常盤3・7・8丁目先、中央区大戸4・5・6丁目先
届出者:東日本旅客鉄道株式会社
区分:※1 数量状態フラグ・・・1:保管中のみ
   ※2その他数量フラグ・・・○:集計基準単位以外に集計される数値が存在する  

令和5年12月末には部分的に撤去されているので年度代わりには状況が変化すると思う


多分 パイプ型地中送電線(PGCケーブル)パイプに内蔵されていた送電線のぶつ切りが管理保管されている倉庫 パイプ型送電線パイプ部鋼管は、直接ケーブルと触れていない(補強層、プラスチック層、カーボン層がある)ので、この倉庫には送電線のぶつ切りが管理保管されていると思う

立て看板

拡大

埋設標 これがパイプ型送電線の上の道路に点々と埋まっていた

パイプ用架台 V部分にパイプを載せる



2024年1月3日

1344. JR東日本 蕨交流変電所 2号系154㎸降圧66㎸変圧器 運開?


1310. JR東日本 蕨交流変電所 2号系154㎸降圧66㎸変圧器搬入終了 その他現状観察 

 7月に主変2号が搬入されており、それから約5か月経過した。その間 チョクチョク観察していたが12月には運開になったようである。

1138. JR東日本 蕨交流変電所 火災 号外 2021年4月発災

その時点以降のTEPCO鳩ケ谷変電所154㎸電源端の状態

2021年3月 発災前のJR東日本 蕨交流変電所行き送電端 
左が鳩塚線2号 右が鳩塚線1号
ケーブルヘッド奥の断路器は両回線とも断路器は閉路

2022年9月 発災後のJR東日本 蕨交流変電所行き送電端 
左が鳩塚線2号 右が鳩塚線1号
ケーブルヘッド奥の断路器は鳩塚線2号が開路(横棒が見える・2点切)
鳩塚線1号は断路器は閉路

2023年3月 発災後のJR東日本 蕨交流変電所行き送電端 
左が鳩塚線2号 右が鳩塚線1号
ケーブルヘッド奥の断路器は鳩塚線2号が開路(横棒が見える・2点切)
鳩塚線1号は断路器は閉路

 さてTEPCO鳩ケ谷変電所側は現在はどうなっているかは、見に行ってない。Google street viewも新しく更新されてない。


燃えた主変2号の撤去は終わってない

鳩塚線2号の接続部仮設ケーブルが入っているコルゲート管

露出を上げるとトラフ内にはまだ154㎸のケーブルは収容されてない
コルゲート管内に154㎸ケーブルは収容されている
この金属箱が接続部となる。多分RBJ(ゴムブロック絶縁型接続箱)による接続

新しい主変2号の土台に人孔が無い 主変2号設置前 旧変電所鉄構基礎台の位置に注目

主変2号設置後 人孔ができている 別角度 後付け?

東芝エネルギーシステムズ 主変圧器2号 154㎸降圧二次66㎸、
三次側22kVは不明 LTC付かも不明
154㎸受電端側 内部に変圧器本体が収容されている
燃えた主変2号と主変1号が10万KVAなので主変2号も10万KVAなのだろう。
10万kVA=154㎸×√3×約375A=66㎸×√3×約873A
蕨交流変電所から66㎸回線は浦和線2回線 上野-蕨線2回線、赤羽-蕨線1回線が出ている。
更に武蔵境交流変電所と途中戸田開閉所を経由して繋がっている。


154㎸ 保護回路は中性点接地方法で補償リアクトル接地NGLが設備




主変2号の反対側には中性点接地方法で抵抗接地NGRが設備 

今回の主変2号はNGRとNGL両方で保護している
 TEPCO鳩ケ谷変電所からのケーブルはCVTに交換されている。ケーブルは静電容量が大きいので今回の主変2号は抵抗接地とリアクトル接地を組み合わせた補償リアクトル法が取られている。

主変1号の左側にも2個の装置が繋がっているのでNGLとNGRが設備されているのだろう


CVTケーブル接続部 左上はGPT、右に設置開閉器89P2Eがある

154㎸ CVTケーブル接続部


もうCVTケーブル接続部は見えない


NGLの左に66㎸ケーブル引出口がある
引出部の幅が広いので3次22㎸も一緒に引出か?

通常の母線からの66㎸1回線引出部 幅が狭い


66㎸ケーブルは接続されてC-GISの主変2号盤につながる
ケーブルは2本しか見えない

反対側全体像


66㎸ケーブル引出口も蓋がされている。
R、S、Tの記号が見えるので66㎸専用だろう


多分この部分が遮断器となっているようだ

154㎸ 鳩塚線2号はトラフに収容された
ここから新しく設置された主変2号に向かっているようだ

鳩塚線2号接続部



154㎸鳩塚線2号は大きく迂回して燃えた主変2号のケーブル接続点に向かっている
なぜ?こんなつなぎ方
 鳩塚線1,2号は正面人孔から構内に引き入れられている。そこから主変2号につなげれば良いのに大きく迂回している。ひょっとして洞道が主変1号、2号の下を通っている?

鳩塚線2号のトラフはここでピットに収容されている

人孔内部はボックスカルバートで構築されていてそこに154㎸鳩塚線2号が収容されている


人孔



120主変2号ユニット、720ユニット境-蕨2号受電の張り紙が外されている
ロック中の板も外されている

発災後の張り紙

完全に主変2号は復活したようだ。

主変2号の154㎸引き込み口に張り紙

まだ完全に制御系は完成していない

今回の主変2号関係の機材は東芝エネルギーシステムズからの納品

この部分に接地開閉器、断路器、遮断器、断路器、避雷器、CT、MOF?が集約されている


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