2019年10月9日

919. 北越急行 北越北線(ほくほく線) 津池変電所(直流)改め津池き電区分所だと思ったら廃止

津池変電所(直流)改め津池き電区分所だと思ったら廃止

#ナイトタートル、#直流変電所、#66kV、#送電ケーブル、#赤倉トンネル、#き電区分所、#き電線、#インピーダンスボンド、#津池変電所、#DCVR

内部見学ができた。
1309. きれいな設備だろ ウソみたいだろ。死んでいるんだぜ。それ ほくほく線 津池変電所

最近は、交流変電所ばかりだったので、ナイトタートルで話題の北越急行系の変電所をUp
   情報プールから書き起こした。
 

アプローチ:美佐島駅 容易 当初の駅名は津池(計画時)
東北電力 東北電力 六日町線T分岐 66kV 1回線 架空送電線
屋内式変電所 駅部は、地下約20mに位置する。
変成設備 整流用変圧器2610kVA×1、シリコン整流器3000kW×1、き電電圧補償装置(DCVR)
400kW 予備は無い 

き電電圧補償装置(DCVR)は、隣接する主器脱落時に対応すべく津池、浦川原変電所に設備されていたが、津池は廃止、浦川原は、運用停止された。そのため浦川原⇔松代変電所間は18㎞もあり首都圏JR東日本では八高線 高麗川⇔拝島変電所間に相当する。


DCVR装置の接続例 サイリスタ整流器を直列に入れて嵩上げを行う

上記 回路図と比較すると同じ配置となる
整流用変圧器から2系統のACラインがDCVR装置とシリコン整流器に入る
但し現状では廃止設備となる

 DCVR装置の原理は。直流負荷が無負荷もしくは弱負荷の場合SCRのゲート制御で、直流電流は、フライホイールシリコンダイオード(バイパスダイオード)を通過させておく。負荷が増加して変電所の内部電圧降下により出力電圧が低下しようとすると、出力電圧または負荷電流の大きさを検知して、必要とする補償電圧が得られるようにゲート指令をサイリスタに与えて位相制御し出力電圧を一定に維持する。JR東日本では、越後線 小島谷、礼拝変電所に設備されている。

807. JR東日本 小島谷変電所 越後線 ブログリンク

六日町変電所⇔津池変電所⇔十日町変電所間は、電圧降下を考慮してき電線は3条、

設計時の変電所間隔 SP=き電区分所、SS=変電所 数字はm
六日町SP-3,870-六日町SS-8,410-津池SS-5,920-十日町SS-11,360-松代SS-9,140-大島SS-8,980-浦川原SS-9,260-大潟SS-1,740-犀潟SP
概ね8~10㎞の間隔であった。首都圏周辺の直流変電所と同じ間隔

ほくほく線160㎞/h運行では、六日町-十日町間の赤倉トンネル部のき電が課題であったため土被りが一番小さい津池に変電所に変電所を、位置的に設けた。そのため津池-十日町間が短い

北越急行 北越北線 断面



現時点の変電所間隔 SP=き電区分所、SS=変電所 数字はm 大島、大潟SPは、省く
六日町SP-3,870-六日町SS-14,330-十日町SS-11,360-松代SS-18,120-浦川原SS-11,000-犀潟SP
松代SS-浦川原SS間が18㎞ほどになり長くなる。

美佐島駅と津池変電所(津池き電区分所)

最初は変電所だった。次がき電区分所だった、そして廃止へ
トンネル内ホーム設置のため、ホームに入るのに制約が掛かる。電車到着前後数分しか滞在できない。詳細は、他者に委ねる。

変電き電通信のもろもろとしては、別の視点で見ている。

 特急「はくたか」運行終了のため、変電所の機能としては停止されている。しかし き電区分所として運用と言うことで銘板は津地き電区分所となっていた。

 現地確認したところ、き電区分所としての運用も終了していた。判断した理由は以下の通り
1. 地上部変電所からの引き下ろし き電線用のダクトに引き下ろし き電線が無い
2. インピーダンスボンド中性点に繋がる帰線が完全撤去されている(64Pが不能)
3. 変電所で付き物の電車線区分標が無い。(エアーセクション表示が無い)
4. 変電所からの引き下ろしき電線が繋がる部分の、き電線が新しく張り替えられた
5. 過去の画像検索で、この部分に引き止めの碍子があったが今は無い

 直流き電区分所の役割として重要なのが以下に記す点
1. き電系統の分離
2. き電線の他の線区への分岐(浜川崎き電区分所・新前橋き電区分所・鶴見き電区分所・六日町き電区分所・犀潟き電区分所等)
3. 複線等のき電線がある場合は、タイき電を行うことで き電電圧の上昇が可能(安中き電区分所・大門き電区分所・上越線の各き電区分所等)

 ほくほく線のき電区分所の役割は、どれも当てはまらない。単線運転であり、他線区への分岐もない。それでは1のき電区分の分離はどうだろう?

 津地変電所(き電区分所)は、赤倉信号所に防災用の遠制のき電区分断路器がある。大島変電所(き電区分所)これも同様にトンネル内の信号所に遠制の防災用のき電区分断路器ある。大潟変電所(き電区分所)はJR側にき電区分所があり、この近傍(約1.8km)にき電区分所を置く意味が無い。

 ほくほく線 津地き電区分所としての機能は、1のき電区分の分離だけであり、そのために地上部の直流高速度遮断器、断路器、タイ断路器、64P地絡保護回路(変電所直流母線地絡事故対応)等を残しておくのは、保守点検作業の無駄となる。
 そこでトンネル内の き電線をスルー化し、帰線の撤去、引き下ろし き電線の撤去、64P保護の解除で保守点検作業を低減させている。設備工事は簡単だ。き電線の引き下ろし部の引き止め碍子を撤去してき電線を引き直しすれば事足りる。同様な例でき電区分所に降格したのが、大潟変電所、大島変電所があるが、こちらはまだスルー化はされていない。将来スルー化されるだろう。

機器搬入口は2F 1Fは機器搬入後密閉されている


送電鉄塔と建屋


右 受電ブッシング



引き留め碍子は、ブッシングの下の金具に付いていた。 ブッシング上部の金具は架空地線用

所在なさげに突き出るブッシング

東北電力 六日町線T分岐

過去 津池変電所だったころ ブッシング下部に長幹碍子

駅 入口の階段 65段ある

駅入り口の自動ドア

この辺の詳細は、他者に委ねる

 ほくほく本線は、その約70%(40.27km)がトンネルで、空頭5100㎜の単線型(旧国鉄1号型断面)である。明かり区間は、コンパウンドカテナリで可動ブラケット方式を採用できたが、トンネル部分は空頭5100㎜なのでコンパウンドカテナリは採用できないため、ツインシンプルカテナリで直流大電流に対応し、160㎞/h走行に対応できる架線支持装置を開発している。また架線・パンタグラフ間の共振現象による振動を吸収させるたためダンパ装置を導入している。


駅内部のツインシンプルカテナリの保持部分とき電分岐線
き電分岐線をコイルに巻くのは東急系の仕草
最近 懸垂碍子を交換している
 

駅内部のツインシンプルカテナリの保持部分とき電分岐線
き電分岐線をコイルに巻くのは東急系の仕草
この部分には、ダンパがついている


ダンパ部分

別角度
架線支持点移動による架線移動で架線構成の乱れ及び高さ不整の抑制を担保

パイプ上を滑車が移動し架線の形を保つ



上部変電所からのき電線引き下しダクト 2口  地上部変電所に繋がる部分
き電線は、新しいのは理由がある
き電線の張替対応箇所 右 圧接部
この開口部が、地上部変電所と繋がるダクト


 かつて この部分にはき電線引き止め碍子が、このように配置され左右のき電線が分離していた。そして、地上部変電所から引き下されてきたき電線が繋がっていた

インピーダンスボンド 美佐島駅 しんざ方にある
 かつて変電所より帰線が繋がっていたが、変電所から き電区分所になったときは帰線 撤去 。但し き電区分所として運用されていた時は64P(直流母線地絡検知)の導線が繋がっていた。

六日町方 トンネル開口部

 大島変電所(GIS設備)と違い建屋内に露出状態で設備機器があるので、ナイトタートルで見学するならこちらのほうが、インパクトが強い。(大島変電所と同様 駅の近傍に位置する) 
 完全に機能停止なので、昼間の見学も可能だろう。なかなか最新の機器が入った変電所を近場で見学する機会は無い


 津池変電所の設備構成は、2Fが交流受電設備、1Fが直流変成設備となっている。設備機器の撤去は、1F部分の外壁を壊さなければならないが、その形跡は無いので設備機器がそのまま残っている可能性が高い。大島変電所で見ることのできない直流高速度遮断器、断路器もあるはずである。


参考文献(順不同)
工藤智明;在来線(単線)で160㎞/h運転の認可を得たほくほく線:JREA,Vol.40,No.4,pp.51-55,1997
金子誠;北越北線単線トンネル用高速対応架線方式:JREA,Vol.38,No.8,pp8-12,1995
DC-VR装置解説 図1 き電電圧補償用整流器の構成
三浦 梓;赤穂線に設置したき電電圧補償用整流器について:電気鉄道Vol.24,No.9,pp.7-9,1970
日本鉄道建設公団編;北越北線工事誌:六日町―犀潟間、pp.510-592

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