2021年10月10日

1138. JR東日本 蕨交流変電所 火災 号外

 JR東日本 蕨交流変電所 火災

NHKニュースより引用

JR 首都圏の複数路線運転見合わせ 埼玉の変電所火災と関連調査 リンク切れ

蕨交流変電所における火災に係る原因及び今後の対策について JR東日本のプレスリリース 2022/04/12発表

その後


以下引用

 JR東日本によりますと、10日午後1時前、停電が起きた影響で、山手線や京浜東北線、常磐線など、複数の路線で運転を見合わせています。消防などによりますと、埼玉県蕨市のJRの変電所で火事が起きたということで、JRが関連を調べています。

NHK NEWS Webから引用 GIS部は右のパイプ部分(154㎸側)
引用終わり

火災を起こしたのはTEPCO鳩ケ谷変電所からの154㎸降圧66㎸変圧器の部分 赤丸部分(鳩塚線2号)154㎸側はGIS化され露出部は無い

 緑丸(鳩塚線1号・もう一系統ある鳩ケ谷変電所からの系列)の部分は生きているので、点検を終了後緑部分で受電再開すれば復旧は早い。前回の停電は、緑丸下のC-GIS部分の点検ミスなので今回は問題ない。蕨変電所構内は、以前のチャネル鉄構からC-GISに切替ているので、今回は切替前の気中接続部が燃えているだけ。変圧器の内部圧力を逃すパイプから炎がでているので変圧器内部に相間コイルショートから圧力上昇 吹き破り弁を破り絶縁油もれ発火。66kV側ブッシング繋目の脆弱部分から絶縁油もれ発火 154㎸降圧66kV損傷だと交換に時間が掛かるので当面は、片肺運転(片方の154㎸降圧66㎸変圧器は生きている・鳩塚1号)
 
 鳩塚線2号の接続先は、主変圧器 LTC付10万kVAでかなり前の設備になる。今回の地震での特殊な揺れが関わっているかもしれない。 1981年設置 40年経過
燃えた154㎸降圧66㎸/22㎸ 10万KVA LTC( 負荷時タップ切換器・LTC:on-Load Tap Changer)付変圧器  鳩塚2号線接続

 蕨変電所は、以前の点検時ミスで首都圏で大停電が起きているが、今回は火災発生なので場所によっては復旧には、長時間掛る恐れがある。各ニュースから現場画像を拾うと、二重化されている受電部の片方が火災を起こしているので切り離せば、回復は早い。蕨変電所は、架空送電線で武蔵境交流変電所から66㎸受電、TEPCO鳩ケ谷変電所から154㎸受電を行っており、浦和変電所、赤羽変電所、王子変電所に送電を行っている。これらはC-GIS化設備で変電所への給電を行っているので、復旧は早いはず。

 154㎸受電片方が火災、その他武蔵境からの66㎸は問題ない。所内母線のC-GIS部も問題ないので、当座の運転は可能と思われる。

 変電所の変成設備が損傷を起こしたのではないので、母線切替を行い送電開始すれば、京浜東北、高崎、宇都宮線は運転可能となる。

 JR浦和駅が長期に停電したのは。TEPCO電源ではなく、浦和変電所に送電していいるケーブルをT分岐して浦和配電所で66㎸降圧6.6kVにして駅に供給しているため。
但し、浦和駅、付随するアトレには自家発があるので起動させれば停電は免れた。前回の事故の時は、自家発を起動させたら白煙が多く出て、浦和駅火災と間違われていた。

推定のまとめ
1.TEPCO鳩ケ谷変電所からの154㎸OFケーブルは、現在はCVTケーブルに交換済み
2.同様に上野方面に向かう66㎸ケーブルもほとんどがCVT化されている
3.4年前の事故は紫部分の所内母線の試験中の事故
4.古い2重母線のチャネル鉄構からC-GISへの転換工事中
5.鳩塚線2号は1981年設置の古いLTC付10万kVAの変圧器 多分交換対象となっているはず
6.鳩塚線2号の154㎸降圧66㎸の66㎸側は、ブッシング引き出しで直ぐにケーブルヘッドに接続されC-GISの母線部に向かう。
7.LTC付とは負荷時電圧調整機能によりタップを切替て電圧を一定に保つ
8.変成設備(整流用変圧器・シリコン整流器)もケーブル接続で極力充電部をなくす工事中
9.古い変成設備は、新しい変成設備に変更中 現在変更されているかは不明
10.発災部分の鳩塚線2号を切り、LTC付変圧器を母線から切り離せば、即復旧可能
11.TVでの映像を見ていると変圧器内部の圧力上昇で破裂弁のパイプから油が噴出着火
12.変圧器ブッシング部も油浸なので脆弱部で圧力が上がり油噴出着火
13.変圧器横のキュービクルもやられているが、多分ここはLTCのタップ切替装置があったと思う。

追記 2021/10/13 朝日新聞デジタル版から引用

以下引用
 火元とみられるトランス室にあった変圧器は変電所内部の設備用だったことが、同社への取材でわかった。所内には首都圏の鉄道に送電するための別の変圧器があり、火災による直接的な被害はなかったとみられるが、安全のために停止させたという。同社は機器のトラブルが出火原因とみて、詳しく調べている。
 火災は10日午後0時50分ごろに発生。変圧器などの電気設備を収容しているトランス室(22㎸降圧6.6㎸)が燃え、約30分後にほぼ消し止められた。火災の影響で、山手線など首都圏の10路線が停電により運転を見合わせ、23万6千人に影響が出た。
引用終わり

 変電所の所内電源は、高圧配電用変圧器が別にあり、66kVから6.6kVに降圧して、信号用電力、付帯設備用電力として自他の変電所に配電している。

 LTC付10万kVAの変圧器からの発火状況をみると、内圧が高まったときに作動する破裂弁(破裂板)が破れ絶縁油がパイプから噴出白煙が上がると同時にブッシング部からも噴出その蒸気状になった絶縁油にトランス室の火が引火の経過である。だから主変圧器のブッシング部と絶縁油が噴出したパイプ部が発火のため黒色になっている。
 主変圧器の内圧上昇の原因がまだ究明されていない。トランス室は主変圧器のための付帯設備(22㎸降圧6.6㎸)であるので、変電所全体の付帯設備を担っているものではない。LTC付の主変圧器なのでLTCを動かすスイッチの制御部がトランス室にあるはず。

 
追記 2021/10/18 東京新聞 Tokyo Web
埼玉県蕨わらび市にあるJR東日本の基幹変電所で10日に火災が発生し、京浜東北線など9路線が最大7時間ストップする事態が起きてから1週間。首都圏の交通網まひを招いた一因は、同社の送電網の仕組みにあった。火災があった基幹変電所から送電を受ける変電所の一部について、バックアップ体制が不十分だった。専門家は「複数の送電ルートを確保する必要がある」と指摘する。(加藤益丈)
引用終わり

東北線、東北貨物線、京浜東北線を運行する場合
 蕨交流変電所が落ちた場合、直流部の延長き電で蕨交流変電所を飛ばして運用できるのだが、浦和変電所への66㎸送電2回線が蕨交流変電所からの盲腸線だったので浦和変電所が落ちてしまった。そのため浦和変電所からの直流き電ができなくなった。これを回避するためには、大宮変電所からの分岐を浦和変電所に引っ張ってくることが必要で、当初の東北新幹線建設時には、その案があった。浦和変電所が大宮からの電源で生きれば蕨を飛ばして赤羽変電所での直流き電で浦和ー蕨(延長き電)ー赤羽の流れができた。但しき電容量が限られるので、ノッチ制限が必要となる。
 
 浦和変電所は、以前は蕨変電所と南与野変電所からの2回線受電であったが、南与野変電所と浦和変電所を結ぶ送電線が特殊な地中送電線であったため、さいたま市の都市計画道路計画時に撤去されている。


 基幹変電所のループ化は、埼京線沿いの送電線66㎸2系統(TEPCO宮原開閉所受電)が赤羽を経由しているので赤羽に開閉所を置き蕨交流変電所からの送電線と結べは上野方面への送電も可能であり、現に赤羽開閉所建設の案もあるのだが、実行されていない。
 池袋変電所(66㎸受電に建て替え中)は、現在は22㎸受電であるが新宿交流変電所からの66㎸2回線工事が進んでいるので66kV化される。池袋からさらに延長して赤羽にもっていけば、宮原電源、蕨電源が赤羽開閉所を通じて導入できるし、その逆の新宿電源も上野方面にもって行ける。

その他
スラド
10日、JR東日本の基幹変電所で火災。首都圏の複数の路線の運転に一時影響

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