目次と免責事項

2026年9月13日

目次 微に入り、細に入り 免責事項 2026年5月8日 改良

「X」に参加中 登録日2023年10月

 変電所 き電区分所 補助き電区分所   グーグル マイマップリンク

上記 グーグルマイマップ(リンク)について
 ベースは、富士川以北 北海道までの電鉄系 変電所 位置(き電区分所・補助き電区分所・変圧ポスト・タイポスト・区分開閉等を含む)に新幹線の変電所・き電区分所・補助き電区分所をレイヤーで表示させている。

 総Point数が6000を超えるので表示が遅い。JR東海、JR西日本(新幹線を除く)、JR四国、JR九州(新幹線を除く)、第三セクター(旧JR)を追加でUp
  
 内容は、随時追加している。あまりのにも情報量が多いのでラインの色が変えられなくなり青一色しか使えない。

 訪問した き電変電設備で記事があるものは、地図上のポイントを選択すると記事に飛べるようになっている。しかしまだ完全ではない。

 


新しい自営送電線網に特化したグーグルマイマップリンク

 変電所 き電区分所 補助き電区分所 グーグルマイマップを基に自営送電線網を書き入れた新しいマップ 内容は、随時追加している。まだ情報量が少ないので色の変更、アイコンの変更はできる。 

 但し自営送電線で供給されている変電所のみが記載されている。TEPCO電力振替受電の変電所は記入していない。


JR東日本 在来線路線別の変電所リスト 右端に各路線別変電所名をクリックすると記事に飛ぶ仕様 
2024年度 川越線 南古谷変電所新設306ヵ所から307ヵ所へ更新
2025年度 307ヶ所から305ヶ所に減少。内房線 大貫変電所、竹岡変電所廃止

最新50件の解析記事(自動更新)

読み込み中...

その下に今までUpした全記事のリンク 
 ブラウザのキャッシュを利用して1回に読み込む数を制限して表示。そのため初回は全記事の表示に時間が掛ります。時々 一番下の再読み込みを押して最新記事にして下さい。

記事一覧を生成しています...少々お待ちください。


 
ラベルについて
 当初ラベルを付与していたが、分類を多くしたため、途中で破綻している。その内に作り直す予定のため2026年2月19日 非表示にした。

 グーグルマップ、グーグルストリートビューは、不定期に更新されてる。たとえば画像下部に2017年と表示されていても、それ以前の画像であったり、3D表示にすると更新されている場合もある。
 グーグルストリートビューは撮影位置を少しずらすと別の日付の画像が表示されることもある。 
 Web上でグーグルマップを引用して表示していても時間が経過すると改変されている場合があるので注意が必要。仕様変更で座標がずれている箇所もある。またゼンリンとの関係が終了したので、過去ゼンリンデータで変電所名が表示されていたものが表示されなくなっています。(改悪)

   過去のグーグルマップの引用も過去に引用した画像の座標での、画像がそのまま表示されるかは保証はない。それは、あくまでその時点の画像を切り取ったものでしかありません。
 極力画面キャプチャーで、その時点の画像を示しますが、引用されている座標軸の画像は、随時グーグルの仕様で変更されることを念頭に見てください。

免責事項・プライバシーポリシー・利用規約

最終更新日:2026年2月19日


1. 本ブログについて

 私は、電気の専門家ではありません。鉄道関係者でもありません。また電気に関する仕事はしていません。 医療関係者です。

 本ブログは、個人の視点による現地確認およびインターネット上の公開情報の収集・分析・再編集を行ったものです。

 本ブログのモットー Omnia explorate; meliora retinete (すべてを検証し、良いものを保持せよ)


2. 情報の性質について(OSINT)

本ブログに記述されている内容は、いかなる保証もない、誰にでも入手できる公開情報(Open Source Intelligence:OSINT)を利用しています。

 その情報を丹念に検索・収集・分析し、また調査(現地調査、取材調査および文献調査等)を行った内容を基に記述されております。

ただし、以下の点にご留意ください:

  • 仮定や考え・推測に基づき記述されている部分があり、不確実性を含んでおります
  • 誤字・脱字・誤記が含まれる可能性があります
  • さまざまな要素により、将来的に記述した内容が変化することがあります
  • 参考資料は明示しておりますが、原本はご自身で入手・確認してください

3. 免責事項

 本ブログに記述されている情報について、特定の目的への適合性を含め、明示的にも黙示的にも、一切の保証をいたしません。

 本ブログに記述されている情報の使用および使用結果について、正確性、真実性等、いかなる表明・保証も行いません。

それゆえ、以下を含む全ての損害に対して、状況の如何を問わず一切責任を負いません:

  • 直接的損害
  • 間接的損害
  • 偶発的損害
  • 結果的損害
  • 逸失利益
  • 懲罰的損害
  • 特別損害

 本ブログを利用(閲覧、投稿、外部での再利用など全てを含む)する場合は、自己責任で行う必要があります。


4. 著作権について

本ブログのコンテンツ

本ブログに掲載されている文章・写真・図表等のコンテンツの著作権は、引用部分を除き、管理人(Nori Tada)に帰属します。

引用・転載について

  • 引用:適切な出典明記(ブログ名・URL・記事タイトル)を条件に、著作権法の範囲内での引用を許可します
  • 転載:事前の連絡なく全文転載することを禁止します
  • 画像の二次利用:禁止します

参考資料について

本ブログで参照している参考資料は、すべて合法的に入手したものであることを表明いたします。


5. AI・機械学習に関する方針

本ブログのコンテンツ(文章・画像を含む)を、AI(人工知能)や機械学習モデルの学習データとして使用することについて、以下の方針を定めます:

  • 検索エンジンによる通常のインデックス作成は許可します
  • 商用目的でのAI学習データとしての大規模収集は、許可しません。

6. プライバシーポリシー

使用しているサービス

本ブログは以下のサービスを使用しています:

  • Google Blogger:ブログプラットフォーム
  • Google Analytics 4:アクセス解析
  • Google AdSense:広告配信

収集する情報

本ブログでは、Google Analytics 4およびCookieを使用して、以下の情報を収集しています:

収集項目 説明
閲覧者数 サイトへの訪問者数
閲覧ページ数 閲覧されたページの数
滞在時間 サイト内での滞在時間
訪問回数・訪問頻度 再訪問の状況
サイト内移動経路 ページ間の遷移状況
検索キーワード 流入元の検索語
来訪前経由サイト リファラー情報
閲覧開始・終了ページ 最初と最後に開いたページ
技術情報 画面解像度、ブラウザ、回線種類、プロバイダ
地域情報 アクセス元の国・地域

これらの情報を使用して個人を特定することはできません。

Cookieについて

本ブログはCookieを使用しています。Cookieを無効にすることで、データ収集を拒否することができます。

Cookieの設定方法は、ご使用のブラウザのヘルプをご参照ください。

Google AnalyticsでCookieを利用しデータが収集・処理される仕組みについては、以下を参照してください: Googleのサービスを使用するサイトやアプリから収集した情報のGoogleによる使用


7. リンクポリシー

本ブログへのリンク

  • 本ブログへのリンクは、原則として自由です。事前の許可は必要ありません
  • ただし、フレーム内での表示など、本ブログの内容が他サイトの一部であるかのような表示は禁止します

本ブログからのリンク

  • 本ブログ内で引用している外部リンクには、直接リンクしないでください
  • リンク先の内容については、本ブログは一切の責任を負いません 

8. 改定について

 本規約は、必要に応じて予告なく改定することがあります。改定後の規約は、本ページに掲載した時点で効力を生じるものとします。


変電・饋電(き電)・通信のもろもろ 管理人:Nori Tada

             
記事ノ日付ハ季節感ニ基ヅク完成見込ニシテ太陽ノ運行トハ必ズシモ平行セズ

 本ブログの記事は、原則 最寄り駅からの徒歩で取材しております。徒歩で周辺を取材することで、車では判らない微細な取材対象が、浮かびあがる場合もあります。自家用車は、使用していませんし持っていません。


2026年9月12日

1594. JR東日本 新潟基地変電所(新幹線)再訪

  新幹線 新潟車両センターに き電を行なっている新潟基地変電所は過去に訪問したことがある。今回 次記事を補強するための情報取集のために再度訪問した。

648. JR東日本 新潟基地変電所(直接き電)交流 2017年Up この時はき電側は仮設工事中

古い機器の交換作業中 不等辺スコット結線変圧器は古いまま、154㎸遮断器上側交換
建屋左のき電周りは仮設機器が配置されている。敷地内に重機を入れるため鉄板で補強

現在の基地変電所 不等辺スコット結線変圧器交換、受電側遮断器GCBに交換済
建屋左のき電周りはあまり変化してない

アプローチ:大形駅 歩く 
24時間活動の新幹線基地にき電 単相・直接き電  本線とは切替開閉器で中セクション経由区分
受電:
東北電力 中新潟線0678分岐0679線 154kV受電2回線 
き電:30kV降圧 不等辺スコット結線変圧器 
新幹線新潟車両センター・新新潟き電区分所(新中之条口変電所の末端ATPと基地き電区分所を兼ねる)
 本線停電時は、本線へのき電は行わない。(但し、新潟駅滞泊時の照明・暖房を確保するため新鳥屋野補助き電区分所までサービスき電を行なう場合もある)また基地停電時は本線からき電を行なう。

154㎸受電2回線 前回と変化無
避雷器、断路器、ブロッキングコイル、遮断器(GCB)、VT(電圧計)、CT(電流計)

不等辺スコット結線変圧器に入る前に避雷器

奥 不等辺スコット結線変圧器収容防音建屋 ここから斜辺で取り出すM,O,Tが出る

30kV側避雷器を経由、T,M相にCT(電流)2LのT,M間にOT

2026年製 交換されたばかり


M,TはCT(電流計)を経由、Oは直接断路器へ そして1L,2Lの集合母線へ

奥 O,M,Tの補償装置用断路器 3線一括
手前 1L側 M,T 2線一括

奥 O,M,Tの補償装置用断路器の一部、中間 45B M,T断路器(T1側)、46B M,T断路器(T2)側
左の建屋 き電用遮断器と補償用コンデンサ、リアクトル収容  

補償装置へ向かう断路器 T,O,M 3線一括操作 投入状態 今回の調査目的 断路器状態

断路器下部に300PCB パラレルコンデンサブレーカー?
以前と表示は変わらず

今回の調査目的 不等辺スコット結線変圧器の銘板の再確認 前回は2017年約9年前

今回の調査目的の銘板の部分

き電しゃ断器室

き電遮断器室から引き出されるT,Mき電線 Tはトロリ線 MはN中性線となる
極間電圧30㎸


右 建屋から引き出されるT2,T1き電線とN(中性線)
以前は中性線は2条だったのが不等辺スコット結線変圧器の容量減で1条

き電母線 一番右がT2、隣がT1、そして中性線(昔は2条)
右 T1(黄色)と赤色(N)間にVT、その他となりGP装置がNに繋がる
ラインポスト碍子はT1と対をなすMがN(中性線)に繋がる
その隣T1とNの間に所内変圧器(OT)

所内変圧器の左横 T1とT2を繋ぐタイ断路器(開路)そしてT1,T2の電圧を計るVT2台
左にある構内分岐部にT1、T2、Nが伸びる

T2は、CT、断路器経由しないで新幹線新潟基地方へき電(仕交検庫方面)
T1は3回路に分岐してCT、断路器を経由して
SP401方面(新新潟き電区分所)、着発線A402方面、着発線B403方面

着発線A402方面、着発線B403方面、仕交検庫方面


新幹線基地変電所からのき電母線T2


構内き電区分用断路器群 各き電線に変流器(CT)が付く
左の変圧器様のものは電圧計(VT) 構内き電母線の電圧を計測
左 基地変電所からのき電線T2 左から2番目VT、避雷器が付いているのが基地変電所からのき電母線 ここで各本仕業・交番検査庫と研削線用に分離するので変電所側でCTが無かった
右から3本仕業・交番検査庫用2本と研削線 用1本

参考
647. JR東日本 新潟新幹線車両センター 一般公開と基地内デッドセクション

開業当時の新幹線新潟車両基地
現在とほぼ同じ着発線14線、本仕業・交番検査庫6線 本来は20線収容だった

 左上の新新潟き電区分所は、本線側にATが新中之口変電所の末端ATPとしての機能と基地電源の異相区分の切替開閉器を収容している機能を持っている。基地変電所からは30㎸直接き電なのでATが無い。また基地き電線には、このき電区分所でき電用遮断器室(表からは抜けている)が入り切替開閉器も常用・予備の2組体制



新潟基地変電所 単結線図 現在と不等辺スコット結線変圧器が変更になったくらいで同じ
但しM,O,Tに繋がるコンデンサ、リアクトルが追加(コンデンサは2基あるが1基は撤去)
画面中央左 不等辺スコット結線変圧器の隣

参考資料
日本鉄道建設公団編『上越新幹線工事誌 大宮・新潟間』日本鉄道建設公団、1984年3月(国立国会図書館デジタルコレクション)。新潟車両基地変電所の初代設備の単結線図および諸元。同線各変電所の受電端容量。



























2026年9月10日

1593. スコット結線変圧器から不等辺スコット結線変圧器へ ―― 斜辺から取り出すということ

 さて今回は、このスコット結線変圧器の分類に入る不等辺スコット結線変圧器の紹介

スコット結線変圧器から不等辺スコット結線変圧器へ

 交流電気鉄道は、電力会社の三相系統から電気を受け、単相の交流を架線に送り出す。三相から単相を取り出すという、この一点に交流き電のややこしさが集中している。

 その変換を担う結線のひとつがスコット結線変圧器であり、そこから派生したのが不等辺スコット結線変圧器である。両者は同じ巻線の組み方をしていながら、出てくるものがまったく違う。本ブログでは、一次側66kV・二次側22kVという条件を固定して、単相変圧器2台の組み合わせから不等辺スコット結線変圧器に至るまでを順に追う。

1. 単相変圧器2台によるスコット結線
 交流電化の最初の時点。仙山線での交流電化試験後の仙台まで交流電化の際に国鉄東仙台変電所に単相変圧器2台のスコット結線変圧器が用いれられている。

まず、単相変圧器2台で組む場合を示す。

前記事のM座=主座は同じことを差している。

 スコット結線は、もともと単相変圧器2台を組み合わせて構成するものである。
 1台目を主座変圧器という。その一次巻線を三相のU相端子とW相端子の間に接続する。したがって主座の一次巻線には線間電圧66kVがかかる。この巻線の途中にタップを設け、これをM点と呼ぶ。
 2台目をT座変圧器という。その一次巻線を、残るV相端子と、主座のM点との間に接続する。
一次側は66㎸ 二次側は22kV×2となる。

 驚いたことに、この単相変圧器2台を使う現物が、JR九州の折尾変電所に予備品として保管されていた。
 
1469. 九州巡検6 JR九州 折尾変電所 BTき電・ATき電 鹿児島本線・福北ゆたか線 4つの並行デッドセクション

JR九州折尾変電所の予備 単相スコット結線変圧器 

左 T座変圧器 右 主座変圧器 
 主座変圧器は、左が一次側(U、W、M)右が二次側M座 
T座変圧器は、左が二次側T座で右側が一次側で(V、M)となっている。



この変圧器は、特殊仕様で一次側電圧が110㎸と66㎸。二次側が22㎸(BT)と44㎸(AT)の複電圧


 このT座用変圧器の銘板には主座との接続、前記事のM点アレスタが書き込まれている。上部がT座変圧器、下部が主座変圧器でM点が繋がり途中にアレスタが書き込まれている。

以下の説明は一次66kV・二次22kVの場合として読んでいただきたい。
M点の導出
図1a  一次側電圧ベクトルにおけるM点とO点    正三角形

 ではM点は巻線のどこに取るべきか。これは「二次側の2系統が互いに90°の位相差をもつこと」という要求から一意に決まる。

 一次側の三端子U・V・Wは、線間電圧を \(V\) とすると一辺 \(V\) の正三角形をなす。U-W間を実軸にとり、その中央を原点として

$$\mathrm{U} = \left(-\frac{V}{2},\ 0\right), \qquad \mathrm{W} = \left(\frac{V}{2},\ 0\right), \qquad \mathrm{V} = \left(0,\ \frac{\sqrt{3}}{2}V\right)$$

と置く。主座巻線上のタップ位置を \(\mathrm{M} = (x,\ 0)\) とすると、V相端子からM点へ向かうベクトルは

$$\overrightarrow{\mathrm{VM}} = \left(x,\ -\frac{\sqrt{3}}{2}V\right)$$

である。一方、主座巻線の方向は

$$\overrightarrow{\mathrm{UW}} = (V,\ 0)$$

 この二つが直交する条件は内積がゼロになることであり、

$$\overrightarrow{\mathrm{VM}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{UW}} = xV + 0 = xV = 0 \quad \Longrightarrow \quad x = 0$$
 すなわち \(\mathrm{M}\) は主座巻線のちょうど中点でなければならない。90°の位相差を要求した時点で、タップ位置は中点に一意に決まるのであって、中点であることが先にあるのではない。中点以外にタップを取れば、二次側の2系統は直交しない。

 幾何学的にいえば、M点は正三角形の頂点Vから対辺UWに下ろした垂線の足である。正三角形では垂線の足が対辺の中点に一致するため、結果として50%タップになる。

M点とO点は別の点である

 同じT座巻線の上には、もう一つ名前のついた点がある。電気的中性点、すなわちO点である。前記事でO点を扱ったため、両者を取り違えないよう位置を確認しておく。

 M点は垂線の足であり、正三角形では対辺の中点にあたる。これに対しO点は重心である。正三角形では頂点から対辺の中点へ引いた中線が重心を通るから、O点もまた同じT座巻線の上に乗る。ただし位置は違う。重心は中線を \(2:1\) に内分するので、底辺UWからの高さは全高の \(1/3\) である。

$$\overline{\mathrm{MO}} = \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}V = \frac{\sqrt{3}}{6}V$$

$$\overline{\mathrm{VO}} = \frac{2}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}V = \frac{V}{\sqrt{3}}$$

  \(V = 66\ \mathrm{kV}\) を入れると

$$\overline{\mathrm{MO}} = \frac{\sqrt{3}}{6} \times 66 = 19.053\ \mathrm{kV}$$

$$\overline{\mathrm{VO}} = \frac{66}{\sqrt{3}} = 38.105\ \mathrm{kV}$$

 合計すればT座巻線の全電圧57.158kVに戻る。O点はM点より38.105kVだけV相端子側、T座巻線の下から \(1/3\) の高さにある。

O点は、三相電圧が平衡しているときに大地電位と一致する点である。三相の電圧が対称であれば、その対称の中心がここに来る。超高圧受電では変圧器一次側の中性点を接地することが求められるため、接地すべき点として意味を持つ。

 ところがスコット結線では、この点をタップとして引き出せない。主座巻線の巻数を \(N_M\) とすると、O点はV相端子から \(N_M/\sqrt{3}\) ターンの位置にある。 \(N_M\) が整数でも \(N_M/\sqrt{3}\) は無理数であり、巻線は整数ターンでしか作れないから、正確なタップにならない。 \(N_M = 1000\) ターンなら577.35ターンという値になる。

 さらに、この位置が正しいのは三相が平衡しているときに限られる。二座の負荷が偏れば電気的中性点そのものが移動し、巻線上のO点とは一致しなくなる。仮にタップを出して接地しても、そこから大地へ電流が流れることになる。

 これがスコット結線が超高圧受電に採用されない理由のひとつで、詳細は前記事で述べた。66kV受電の本記事では中性点接地は問題にならない。以下で使うのはM点のみである。


 66kV受電の本記事では中性点接地は問題にならない。以下で使うのはM点のみである。


V相には66kVが加わっているのではないか

 ここで多くの人がつまずく。V相端子には66kVが加わっているはずなのに、そこから引いたT座巻線が57.158kVとは何事か、という疑問である。

 混乱のもとは「V相に66kVが加わっている」という言い方にある。これは二通りに読める。

対地電圧 V相端子と大地の間 38.105kV

線間電圧 V相端子とU相端子の間、あるいはV相端子とW相端子の間 66kV

 66kVという値は、V相端子とU相端子という二つの端子の間の電位差である。V相端子が単独で66kVを持っているわけではない。電圧は常に二点間にしか存在せず、「どこから見た値か」とセットでなければ意味をなさない。

 同じV相端子でも、大地から見れば38.105kV、U相端子から見れば66kV、M点から見れば57.158kVである。どれも正しく、互いに矛盾しない。

〔図1b O点を基準にした対地電圧とV–M間電圧〕

M点は大地電位ではない

 ここが要点である。M点を大地と同じ電位だと思ってしまうと、V–M間は38.105kVのはずだという結論になり、57.158kVという値が理解できなくなる。

 M点は主座巻線の中点だが、中点であることと、電位がゼロであることは別である。大地電位にあたるのは前項で述べたO点(重心)であって、M点はそこから19.053kVだけ離れた位置にある。しかもV相端子とは反対側にはみ出している

〔図1c V相端子・O点・M点の電位関係〕


V相端子・O点・M点の三つは、電圧ベクトルで見ると一直線上に並ぶ。同じ向きの量であるから、そのまま足せる。

$$V_{VM} = 38.105 + 19.053 = 57.158\ \mathrm{kV}$$

 これに対しV相端子とU相端子は120°ずれているため、足し引きが使えない。

$$V_{VU} = \sqrt{3} \times 38.105 = 66.0\ \mathrm{kV}$$

 同じ「二点間の電位差」でありながら、向きが揃っているかどうかで計算の仕方が変わる。三相交流でつまずきやすいのはこの一点である。

 三つの値を並べると

$$38.105 < 57.158 < 66.0$$

 T座巻線が受け持つ57.158kVは、対地電圧より高く、線間電圧より低い、その中間の値である。M点が大地電位よりV相と反対側へ19.053kVはみ出している分だけ、対地電圧より大きくなっている。

巻線はそれぞれ自分の二点間電圧に合わせて作る

 主座巻線はU相端子とW相端子の間に張られている。この二点間は66kVであるから、主座巻線は66kV用に作られる。

 T座巻線はV相端子とM点の間に張られている。この二点間は57.158kVであるから、T座巻線は57.158kV用に作られる。

 それだけのことである。V相端子に66kVが「加圧されている」わけではなく、V相端子とU相端子の間が66kV、V相端子とM点の間が57.158kVというだけで、どちらも同じV相端子の話をしている。

〔図1d 主座巻線とT座巻線が受け持つ電圧の波形〕

 波形で並べると、二つのことが同時に読める。振幅の違いが66kVと57.158kVの差であり、ゼロを通るタイミングのずれが90°の位相差である。
 一方が山にあるとき、他方はちょうどゼロを通る。この90°が、次項で内積を用いて確かめる直交関係の、時間軸における姿である。

 なお両者の差 \(66 - 57.158 = 8.842\) kV には物理的な意味がない。90°ずれているため両者が同時に山になることはなく、引き算した結果がどこかに現れるわけではないからである。意味を持つのは比のほうで、
$$\frac{57.158}{66} = 0.86603 = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
 この比が、次に述べる巻数の設計を決める。

V相端子からM点までの電圧

 M点が中点と決まったので、V相端子からM点までの距離は

$$\left| \overrightarrow{\mathrm{VM}} \right| = \frac{\sqrt{3}}{2}V$$

したがって

$$V_{VM} = 66 \times \frac{\sqrt{3}}{2} = 66 \times 0.86603 = 57.158\ \mathrm{kV}$$

となる。この \(\frac{\sqrt{3}}{2}\) という係数は結線の幾何そのものであって、以後どの方式に進んでも変わらない。

 同一鉄心では1巻あたりの電圧が等しいから、巻数は電圧に比例する。T座一次巻線の巻数は、主座一次巻線の全巻数の \(\frac{\sqrt{3}}{2}\) 倍とすればよい

巻線比

 二次側は、M座・T座ともに22kVを出力するものとする。

 主座(M座)の巻線比は

$$\frac{66}{22} = 3.0000 = 3$$

 T座の巻線比は

$$\frac{57.158}{22} = 2.5981 = \frac{3\sqrt{3}}{2}$$

二次側が90°の位相差をもつ理由

 M座の二次電圧は、主座一次巻線にかかる電圧、すなわちU-W間の電圧に比例する。T座の二次電圧は、V相端子からM点へ向かう電圧に比例する。この二つが直交することは、前項で内積を用いて示したとおりである。

 こうして、三相1系統の入力から、90°位相のずれた単相2系統の出力が得られる。これがスコット結線の本来の姿である。

 東仙台変電所の2台構成は、外部配線でM点を結んでいた。これを1台の器内で済ませたのが次の形である。

2. 1台構成のスコット結線変圧器へ
 主座巻線とT座巻線を同一の鉄心に収め、M点の接続を器内で済ませれば、1台の変圧器で同じ結線が実現できる。一次側の外部端子はU・V・Wの3端子となり、M点は表に出ない。
 
M点を外部に出さなくて済む手法は、前記事で既に述べている。

 電気的な結線は2台構成とまったく同一である。変わるのは実装だけで、据付面積が小さく、無負荷損が減り、一次側の口も3つで済む。現在のき電用変電所で見かけるスコット結線変圧器は、ほぼこの1台構成である。(古いスコット結線結線変圧器はM座を引き出しアレスタが付いているが、これは淘汰されるであろう)

 2台構成が残っているのは、移動用変圧器のように輸送・据付の単位を小さくしたい場合や、片座ずつ予備を融通したい場合である。

3. 不等辺スコット結線変圧器へ


 ここまでの二次側は2系統であった。不等辺スコット結線変圧器は、このM座巻線とT座巻線をo点で直列に接続し、斜辺(スラント)の両端t–m間から単相を1系統だけ取り出す。

 なぜそうするのか。二次側が2系統あると、その2つは90°の位相差をもつため、両者が接する箇所には必ず異相区分が要る。車両基地のように構内に渡り線が多数あり、全体を同一位相でき電したい場合、2系統では構内のあちこちに異相区分を作らねばならず成立しない。斜辺から1系統だけ取り出せば、構内はすべて同位相となり、区分は同相セクションインシュレーターで済む。

90°位相差の巻線を直列にしてよいのか

 直列接続の可否を決めるのは、同じ電流が流れて差し支えないかという一点である。二つの巻線は互いに独立しており、直列にしても閉ループができないから、循環電流は生じない。

 位相差があると打ち消し合うのではないか、という懸念は当たらない。打ち消し合いが起きるのは位相差が180°の場合であって、90°ではベクトル和がそのまま合成電圧になる。並列接続なら位相を揃える必要があるが、直列接続にその制約はない。

o・t・m間の電圧はピタゴラスの定理で決まる
 o点を共通点として、o–t間の電圧 \(\dot{V}_{ot}\) とm–o間の電圧 \(\dot{V}_{mo}\) は直交する。斜辺t–m間の電圧は
$$\dot{V}_{tm} = \dot{V}_{to} + \dot{V}_{om}, \qquad \dot{V}_{to} \perp \dot{V}_{om}$$
であるから、その大きさは
$$V_{tm} = \sqrt{v_{to}^{2} + v_{mo}^{2}}$$
となる。
 直角三角形の斜辺そのものであり、ピタゴラスの定理がそのまま当てはまる。「斜辺」という呼び方は比喩ではない。
 
 現行のPWMコンバータ搭載車は力率がほぼ1であり、この設計点では二次電圧の配分が \(v_{to} = v_{mo}\) の1対1に固定される。斜辺との角度でいえば45°である。したがって
$$v_{to} = v_{mo} = \frac{V_{tm}}{\sqrt{2}} = \frac{22}{\sqrt{2}} = 15.5563\ \mathrm{kV}$$
 二辺が等しくなったので、この三角形は直角二等辺三角形である。斜辺との角度が45°になるのはそのためである。
$$\sqrt{15.5563^{2} + 15.5563^{2}} = 22.000\ \mathrm{kV}$$
と、斜辺がちょうど22kVに収まる。

巻線比の作り直し

 ここで注意すべきは、標準のスコット結線変圧器の二次巻線をそのまま直列にしても使えない、ということである。各座が22kVのままなら、斜辺は

$$\sqrt{22^{2} + 22^{2}} = 31.11\ \mathrm{kV}$$

となってしまい、22kVのき電電圧に合わない。二次巻線電圧を \(1/\sqrt{2} = 0.7071\) 倍に作り直す必要がある。

 不等辺スコット結線のM座(m–o間)の巻線比は

$$\frac{66}{15.5563} = 4.2426 = 3\sqrt{2}$$

 同じくT座(o–t間)の巻線比は

$$\frac{57.158}{15.5563} = 3.6742 = \frac{3\sqrt{6}}{2}$$

 いずれも標準スコット結線の \(\sqrt{2}\) 倍である。M座とT座の相互の比は両方式とも

$$\frac{2.5981}{3.0000} = \frac{3.6742}{4.2426} = \frac{\sqrt{3}}{2} = 0.8660$$

で変わらない。変わるのは絶対値だけである。

4. 三相側の不平衡は、これでは直らない

標準のスコット結線が三相を平衡させる仕組み

 単相交流では、電圧も電流も向きが絶えず入れ替わる。50Hzなら1秒間に100回、60Hzなら120回、電圧がゼロを通る瞬間が訪れる。電流も同様である。両方がゼロに近づく瞬間、その瞬間に流れている電力もゼロに近づく。つまり単相負荷が電源から引く電力は、大きくなったり小さくなったりを絶えず繰り返しており、一定にならない。

 一方、三相交流は3本の電線が互いにタイミングをずらして働くため、合計すればいつでも一定の電力が流れる。

 標準のスコット結線変圧器は、90°ずれた2つの単相を作る。M座の電力が山にあるとき、T座はちょうど谷にある。両座に等しい負荷が乗っていれば、山と谷が正確に打ち消し合い、合計は常に一定になる。三相電源から見れば、あたかも三相の平衡負荷が繋がっているように振る舞う。これがスコット結線の平衡化能力である。

直列にすると、打ち消す相手がいなくなる

 不等辺スコット結線では、M座巻線とT座巻線が直列であるから、両巻線には同じ電流が同じ位相で流れる。負荷は斜辺に繋がった1つだけである。山と谷を打ち消し合う相手が存在しない。
 結果として、三相側の線電流は次の比になる。
$$I_U : I_V : I_W = (\sqrt{3}+1) : 2 : (\sqrt{3}-1) \fallingdotseq 1.366 : 1 : 0.366$$
 66kV受電・負荷15MVA・力率1で数値を入れると、
$$I_U = 253.5\ \mathrm{A}, \qquad I_V = 185.6\ \mathrm{A}, \qquad I_W = 67.9\ \mathrm{A}$$
となる。3線の電流が大きく食い違っており、三相側は平衡していない。不等辺スコット結線変圧器を採用しただけでは、三相側の不平衡は大きくは解消しない。

JR東日本 男鹿変電所 不等辺スコット結線変圧器
スコット角45度 不等辺スコット結線変圧器 二次出力がt,o,m
補償装置無
一次側6.6kV  三相側の電流が不均衡 U=169A、V=124A、W=45.3A
検証 V=1としてU=124A×1.366=169.4A W=124A×0.366=45.4A 

5. 三相のうち二相を取り出す方式との比較

 交流電化の末端などでは、三相のうち二相をそのまま単相として引き出す方式(二相き電)も用いられてきた。旧藤代変電所や黒磯の設備がこれにあたる。この方式では、負荷電流は2線だけを流れ、残る1線は無通電となる。
$$I_U : I_V : I_W = 1 : 1 : 0$$
 同じ15MVAなら
$$I_U = 227.3\ \mathrm{A}, \qquad I_V = 227.3\ \mathrm{A}, \qquad I_W = 0\ \mathrm{A}$$
である。
 三相側の電圧不平衡率の評価には、JRの212-1表が用いられる。単相結線と三相/二相変換結線とで式が分かれており、
単相結線では
$$K = Z P \times 10^{-4}$$
三相/二相変換結線では
$$K = Z \lvert P_A - P_B \rvert \times 10^{-4}$$
である。 \(Z\) は受電点の10000kVA基準の%インピーダンス、 \(P\) は連続2時間平均負荷、 \(P_A\) ・ \(P_B\) は両座の負荷である。

JRの212-1表

 なお212-1表が三相/二相変換結線として挙げているのは、スコット結線、変形ウッドブリッジ結線、ルーフデルタ結線などであり、不等辺スコット結線を名指ししてはいない。ここでは三相を二相に変換する結線として、同じ式を適用している。

 この \(Z\) は、受電点の短絡容量 \(P_s\) と
$$Z\ [\%] = \frac{1{,}000{,}000}{P_s}$$
の関係にある。これを単相結線の式に代入すると
$$K\ [\%] = \frac{100\,P}{P_s}$$
となる。後述する第7節の \(K_v \fallingdotseq W/P_s\) と同じ式であり、212-1表と短絡容量による評価は別の枠組みではない。

 不等辺スコット結線では、負荷が力率1で斜辺に接続されるとき、両座が分担する有効電力は
$$P_M = P_T = \frac{W}{2}$$
と等しくなる。したがって \(\lvert P_A - P_B \rvert\) は小さく抑えられる。

 これに対し二相き電では \(K = Z P\) がそのまま効いてくる。同じ負荷であれば、二相き電のほうが三相側の不平衡は大きい。線電流の配分を見ても、1線が完全に遊んでいる二相き電のほうが偏りが大きく、この結論と一致する。
 
 牛久補助き電区分所のRPCが、藤代変電所の変圧器を二相き電の単相変圧器から不等辺スコット結線変圧器に更新するまで実用に至らなかったのは、この差によるところが大きいと推測している。

6. 三相側の不平衡を解消する方策

理論図

 残る不平衡を消すために用いるのが平衡装置である。上図に示したとおり、o–t間(T座側)にコンデンサを、m–o間(M座側)にリアクトルを、それぞれ並列に接続する。

 直列接続によって失われた「山と谷の打ち消し合い」を、コンデンサとリアクトルという外部の素子で人工的に作り直すのである。コンデンサは電流の位相を進め、リアクトルは遅らせる。この二つを適切な容量で入れると、両座を流れる電流の位相が互いにずれ、90°の関係が回復する。

 力行時に必要な容量は、負荷の力率角を \(\theta\) 、負荷電力を \(W\) として、T座のコンデンサが

$$Q_{TC} = \frac{1 + \sin\theta}{2} W$$

M座のリアクトルが

$$Q_{MR} = \frac{1 - \sin\theta}{2} W$$

で与えられる。力率1( \(\theta = 0\) )の現行機では

$$Q_{TC} = Q_{MR} = \frac{W}{2}$$

となり、両者が等量になる。必要なリアクタンスは

$$X = \frac{V_{tm}^{2}}{W}$$

であり、 \(V_{tm} = 22\ \mathrm{kV}\) 、 \(W = 15\ \mathrm{MVA}\) とすれば

$$X = \frac{22000^{2}}{15 \times 10^{6}} = 32.27\ \Omega$$

各枝の電流は

$$I = \frac{15556}{32.27} = 482\ \mathrm{A}$$

容量は各7.5Mvarとなる。

 回生時は力行時と逆になり、T座に誘導性、M座に容量性が要求される。すなわちコンデンサとリアクトルの座が入れ替わる。固定のコンデンサ・リアクトルによる平衡装置が力行・回生の双方に対して万全でないのは、この事情による。ただし不平衡率の判定が2時間平均であること、回生電力量が消費電力量に比べて小さいことから、平均でみれば実用上支障のない範囲に収まる。


212-1表との整合について

 ここで一点、補足が要る。第5節で212-1表を当てると \(P_M = P_T = W/2\) となり、三相側の不平衡は小さいという結論になった。一方、本節では不等辺スコット結線には平衡装置が要ると述べている。一見すると矛盾する。

 212-1表は各座の有効電力だけを見る式であって、各座に生じる無効電力は勘定に入っていない。力率1の負荷を斜辺に接続すると、有効電力は両座に \(W/2\) ずつ等分されるが、無効電力はT座に \(+W/2\) 、M座に \(-W/2\) と正負が分かれて現れる。平衡装置が打ち消しているのは、この無効分である。第5節の比較は有効電力の分担についての話、本節は無効電力についての話であって、両者は別の層を見ている。

実機の例

日立製 不等辺スコット結線 銘板



 藤代変電所(常磐線、日立製作所2017年製、15000kVA、66kV→22kV)の平衡装置は、日新電機製のコンデンサ 22/√2 kV・3410kvar と、同電圧のリアクトル 3410kvar からなる。コンデンサ枝には直列リアクトル(L=12%、410kvar)が付属し、高調波と突入電流に備えている。
 電圧定格の 22/√2 kV は、まさに前節で求めた15.556kVである。平衡装置は各座の巻線に並列に入るのだから、当然この電圧になる。
 
 なお容量は3410kvarであって、定格15MVAから求まる \(W/2 = 7500\) kvar ではない。平衡装置の容量は変圧器の定格ではなく、実際の負荷に対して決められる。残る不平衡を許容範囲に収めればよいのであって、常に完全平衡を狙う必要はない。

なぜコンデンサ枝に直列リアクトルが入るのか

 コンデンサ枝に直列リアクトルが入っているのは、平衡のためではない。前節で示した平衡の条件は、基本波におけるコンデンサとリアクトルの容量だけで決まっており、直列リアクトルはそこに現れない。これは実装段階で加わる部品である。

 理由は高調波共振の回避にある。コンデンサ群を裸のまま母線に並列接続すると、系統側のインダクタンスとの間に並列共振回路ができ、特定次数の高調波をかえって拡大してしまう。き電負荷は単相のPWM変換器であり、単相変換器は原理的に奇数次、とりわけ第3次の高調波を強く出す。直列リアクトルを入れると、その次数以上で枝が誘導性に転じ、コンデンサへの高調波流入と共振の拡大を断てる。JIS C 4902-2の世界では第5次対策なら6%、第3次対策なら13%前後が定石であり、藤代の12%は第3次を睨んだ選定と読める。副次的には、投入時の突入電流の抑制という役割もある。

 直列リアクトルを入れても基本波の平衡機能は損なわれない。コンデンサ単体の定格電圧は 8.84 × 2 = 17.68 kV だが、12%のリアクトルを通すとコンデンサ端子電圧は母線の15.556kVより12%高い17.68kVとなり、定格に一致する。枝全体として母線に差し出す実効容量は

$$3410 \times (1 - 0.12) = 3001\ \mathrm{kvar} \fallingdotseq 3\ \mathrm{Mvar}$$

となり、m–o間の平衡リアクトル3Mvarと釣り合う。理論が要求する容量は、この組み合わせで実現されている。

 規格番号の対応もこれを裏づける。コンデンサPCの銘板はJIS C 4902-1、直列リアクトルSRはJIS C 4902-2であり、後者はコンデンサ用直列リアクトルの規格である。対で使うことが規格の段階で前提になっている。SRの銘板が自機の410kvarとは別に「コンデンサ群容量3410kvar」と相手方の容量を記しているのも、どのコンデンサ群と組むかを指定するためである。

 ただし、直列リアクトルが常に入るとは限らない。新潟車両基地の初代機不等辺スコット結線変圧器の単結線図ではo–t間にしか補償装置がなく、函館ではコンデンサ側に直列リアクトルが入る。高調波環境は場所ごとに違うため、一律ではない。ここで言えるのは、理論図には無く、藤代の実機には入っている、という二点である。

7. 平衡装置を付けない場合がある

 ところが実機を見ていくと、不等辺スコット結線変圧器を備えながら平衡装置を持たない変電所がある。北陸新幹線の白山総合車両所変電所、敦賀の基地変電所、長野車両基地変電所などである。

 これは受電点の短絡容量で説明できる。

 三相側の電圧不平衡率は、逆相電流 \(\dot{I}_2\) が電源の逆相インピーダンス \(Z_2\) に流れて生じる電圧降下を、相電圧 \(E\) と比べたものである。

$$K_v \fallingdotseq \frac{\lvert \dot{I}_2 \rvert Z_2}{E}$$

 正相・逆相のインピーダンスがほぼ等しく、短絡容量が \(P_s = V^{2}/Z_1\) で定義されることを用いて整理すると、

$$K_v \fallingdotseq \frac{W}{P_s}$$

という簡明な形になる。同じ負荷であっても、受電点の短絡容量が大きければ電圧不平衡率は小さくなる。電気設備技術基準の解釈が定める限度は、2時間平均で3%である。

 実測値のある2例で比べる。

 白山総合車両所変電所は154kV受電、変圧器容量30MVA、受電点短絡容量は最小2100MVAである。

$$K_v \fallingdotseq \frac{30}{2100} = 0.0143 = 1.43\ \%$$

 この変電所に平衡装置はない。

 函館総合車両所変電所は66kV受電、変圧器容量20MVA、受電点短絡容量は最小930MVAである。

$$K_v \fallingdotseq \frac{20}{930} = 0.0215 = 2.15\ \%$$

 こちらには平衡装置がある。

 いずれも3%は下回るが、実際に平衡装置が省略されているのは白山のみである。1.5%前後に実務上の目安があるように見える。

 なおこれらの値は変圧器の定格容量を入れたものであり、判定に用いる2時間平均負荷はこれより小さい。したがって上限側の目安として読むべき数字である。

 長野車両基地変電所は、開業当初は平衡装置を備えていたが、受電系統の改善によって短絡容量が大きくなり、現在は使われていない。同じ変電所で、短絡容量が変わったことにより平衡装置の要否が変わった例である。

8. まとめ

 スコット結線変圧器と不等辺スコット結線変圧器を分けているのは、巻線の作り方ではない。二次側を2系統として独立に使うか、直列にして1系統として使うかという使用方法である。

•90°の位相差を要求すると、一次側のタップ位置は主座巻線の中点に一意に決まる。T座一次巻線の電圧はそこから \(\frac{\sqrt{3}}{2}\) 倍と定まる。

•二次側を直列にすることで、構内全体を同位相でき電できる。異相区分が要らなくなる。

•その代償として、三相側を平衡させる仕組みが失われる。線電流は \((\sqrt{3}+1):2:(\sqrt{3}-1)\) に偏る。

•失われた平衡を取り戻すのが、T座のコンデンサとM座のリアクトルからなる平衡装置である。

•ただし受電点の短絡容量が十分に大きければ、不平衡が残っても電圧への影響は限度内に収まり、平衡装置を省略できる。

 斜辺から取り出すという一つの選択が、き電側の利便と三相側の負担という形で、はっきりと表裏をなしている。

実例の紹介

 新幹線の基地変電所では渡り線が複数あり、通常のスコット結線変圧器(二次側がM座、T座)でき電を行なうと渡り線間にデッドセクション(無電圧区間)を設けなければならず、複雑な運用を強いられる。そこで基地内同相き電を行なう必要があった。三相のうち二相間から単相電源を取り出す方式で基地内同相き電を行なうこともできたが、三相のうち二相のみを使用する状況では三相側の電圧不平衡率を3%以下にすることは新幹線基地のような大電力を使用する場所では、不可能であった。

 また直流―交流の末端変電所では、交流側にスコット結線変圧器を使うことができず(片方の座が余ってしまうため)、三相のうち二相を使ってき電を行なっているき電変電所もある(例:旧藤代変電所、黒磯変電所、青海変電所、小山変電所)。敦賀変電所、門司変電所も直流―交流の末端変電所であるが、特殊な運用でスコット結線変圧器を使用している。村上変電所は直流―交流の末端変電所であるが、スコット結線変圧器を使用していない。

 その他、JR線以外で単線の交流電化区間を独立して運営している路線として仙台空港線(延長約7km)・阿武隈急行線(延長約55km)があるが、これらもスコット結線変圧器を使用していない。阿武隈急行線はATき電方式を採用して変電所数を削減しており、そのためスコット結線変圧器を使用していない。

 これらスコット結線変圧器を使用していない き電用変電所のうち、旧藤代・黒磯・青海・小山のような二相き電の変電所を除いた一部では、不等辺スコット結線変圧器という特殊な結線方式の三相―単相変換変圧器が使用されている。以下、、これらの変電所の記事を紹介する。

訪問順(藤代変電所は定点観測を行なっていたので、ここだけ設置開始から運用までが記載)不等辺スコット結線変圧器が記事中にでてくるもののリスト

249. JR東日本 田端車両基地変電所(新幹線・直接き電)全面書き直し

301. JR東日本 新黒磯補助き電区分所(新幹線・ATき電)

藤代変電所 始まり

554. JR東日本 藤代変電所 再訪 不等辺スコット結線変圧器の設置 2017/6/28

620. JR東日本 藤代変電所 常磐線 定点観察(BTき電・交流)66kV対応不等辺スコット結線変圧器の設置

701. JR東日本 藤代変電所 定点観察 不等辺スコット結線変圧器の現状とデッドセクション新標識

720. JR東日本 藤代変電所 定点観察 不等辺スコット結線変圧器の現状とデッドセクション新標識 調査

740. JR東日本 定点観察 藤代変電所 不等辺スコット結線変圧器

781. JR東日本 藤代変電所・我孫子変電所 定点観察

822. JR東日本 藤代変電所・我孫子変電所 定点観察  新デッドセクション標識の行方 不等辺スコット結線変圧器稼動 2018/6/21 約1年で設置完了

藤代変電所 終わり

615. 阿武隈急行 保原変電所 (ATき電・交流)

648. JR東日本 新潟基地変電所(直接き電)交流

682. 仙台空港鉄道 空港鉄道変電所とデッドセクション BTき電

694. JR東日本 仙台基地変電所 新幹線 単相き電

700. JR東日本 村上変電所(交直)とデッドセクション 羽越本線 700投稿記念 元旦号

901. 東北巡検その二 JR東日本 男鹿変電所 男鹿線  EV-E801(ACCUM)用 AC20kV

1177. 東北・北海道巡検13 JR北海道 函館本線・道南いさりび鉄道 五稜郭変電所

1216. 東北・北海道巡検37 JR北海道 北海道新幹線 函館総合車両所変電所

1258. 信州巡検19 JR東日本 北陸新幹線 長野車両基地変電所の現状

1379. JR東日本 新幹線 田端基地変電所解体廃止  

1439. JR東日本 新赤沼き電区分所 一時撤去 長野基地変電所1回線受電に変更  北陸新幹線

1563. JR東日本 北陸新幹線 長野車両センター(長野基地)出庫不能 2026/05/19 原因の推定

1569. 北陸巡検10 JR西日本 白山総合車両基地変電所と白山車両基地内き電系統 北陸新幹線 現物と単結線図との照合

1570. 北陸巡検11 JR西日本 北陸新幹線 敦賀車両基地変電所 独自調査

 このほか、JR東日本 東北新幹線 青森車両基地変電所、JR九州 西九州新幹線 大村車両基地変電所 JR九州 九州新幹線 川内車両基地変電所が調べた限りでは不等辺スコット結線変圧器を使用している。JR東海 東海道新幹線については調べてない。

き電用の不等辺スコット結線変圧器を使用している変電所

822. JR東日本 藤代変電所・我孫子変電所 定点観察  新デッドセクション標識の行方 不等辺スコット結線変圧器稼動

交直接続点
 交流末端 長い間、三相の内二相を使って単相交流にしていたが不等辺スコット変圧器に交換された。

615. 阿武隈急行 保原変電所 (ATき電・交流)

 延長55㎞あるがBTき電だと交流変電所が2ヶ所必要なところ1ヶ所で済ませるためATき電を採用 更に変電所直下の異相区分デッドセクションを省くため不等辺スコット結線変圧器1台で55㎞をき電。JRとは別会社なので電力融通は行わないが槻木き電区分所でBT(JR側)からATへの延長き電設備があり、供給電力量計も備わっている。

682. 仙台空港鉄道 空港鉄道変電所とデッドセクション BTき電

 延長約7kmの短い路線。JR東日本からの延長き電でも賄えるが独立した会社なので東北電力美田園変電所の隣に空港変電所を設け不等辺スコット結線変圧器1台でき電。

700. JR東日本 村上変電所(交直)とデッドセクション 羽越本線 700投稿記念 元旦号

交直接続点
 交流末端でスコット結線変圧器が使えないため、不等辺スコット結線変圧器でき電。不等辺スコット結線変圧器は、温海き電区分所を延長き電で大館変電所までき電する能力を持つ

901. 東北巡検その二 JR東日本 男鹿変電所 男鹿線  EV-E801(ACCUM)用 AC20kV

ACCUM充電用に不等辺スコット結線変圧器を採用 6.6㎸から20kV昇圧

1177. 東北・北海道巡検13 JR北海道 函館本線・道南いさりび鉄道 五稜郭変電所

予備変圧器として不等辺スコット結線変圧器を設備、常用はスコット結線変圧器。

新幹線基地き電用の不等辺スコット結線変圧器を使用している変電所

249. JR東日本 田端車両基地変電所(新幹線・直接き電)全面書き直し

 以前は、新田端変電所から基地き電を行なっていた。新田端変電所に夜間定時停電があるため新設されて不等辺スコット結線変圧器で変電所定時停電の際に基地き電を行なっていた。しかし新田端変電所が分散二重化されたため廃止となった。

301. JR東日本 新黒磯補助き電区分所(新幹線・ATき電)

 小山新幹線車両センター那須塩原派出所の電留線滞泊電車の夜間補機に給電(車体保温)するため特殊な不等辺スコット結線変圧器が補助き電区分所内に設けられた。

648. JR東日本 新潟基地変電所(直接き電)交流

新潟基地用 

694. JR東日本 仙台基地変電所 新幹線 単相き電

仙台 利府の新幹線総合車両センター用

1216. 東北・北海道巡検37 JR北海道 北海道新幹線 函館総合車両所変電所

函館総合車両センター用

1258. 信州巡検19 JR東日本 北陸新幹線 長野車両基地変電所の現状

 長野車両基地用 冬季オリンピック時への対応で平衡装置にSFCを追加しかし、短絡容量が大きい受電系に変更のため平衡装置の運用は停止

1569. 北陸巡検10 JR西日本 白山総合車両基地変電所と白山車両基地内き電系統 北陸新幹線 現物と単結線図との照合

白山総合車両基地用

1570. 北陸巡検11 JR西日本 北陸新幹線 敦賀車両基地変電所 独自調査

敦賀車両基地用

まとめ

 仙台空港線の使用車両はE721系を使用しIPM(素子保護機能付IGBT)素子による3レベルPWMコンバータ + 2レベルインバータなのでスコット角は45°と思われる。
 
 阿武隈急行線の使用車両は713系を使用し長い間サイリスタ位相制御だったのでスコット角は25~30°と思われる。新しく導入される車両はIPM(素子保護機能付IGBT)素子による3レベルPWMコンバータ + 2レベルインバータとなるので不等辺スコット結線変圧器がスコット45°に交換される可能性はありうる。
 
 羽越本線の村上変電所も初期は485系、EF81型のようなダイオード整流タップ制御車の運行であり、現在はPWNコンバーター・インバーターのE653系、EF510型、EH500型が運転されているので不等辺スコット結線変圧器のスコット角は45°と思われる。普通列車はDCで運転されている。

 田端、黒磯は不明点が多いので除いている。長野基地の設備(電留線数)の割に容量が大きいのは、設置当時長野までしか新幹線は開通していないので、新坂城変電所が落ちた場合 長野基地電源で軽井沢までサービスき電(空調・照明)するためである。現在は、新長野変電所がその役目を持つ。(実際は、水害で新赤沼き電区分所が無くなったので新坂城変電所からの片送りを行なっている。)

 直接き電とはき電用変圧器で電車線き電用電圧を出力しているものを示す(30kV )ATを噛ましていない状態となる。


参考資料

新井浩一「不等辺スコット変圧器による単相負荷の3相平衡法」鉄道技術研究資料 37-6(1980年6月)pp.262-267(原典は鉄研報告 No.1131、1979年11月)

持永芳文「不等辺スコット結線変圧器による交流電気鉄道用電源不平衡補償装置の開発」電気学会論文誌D Vol.110-D No.1(1990)pp.42-43

兎束哲夫;「電圧不平衡補償装置」鉄道技術アラカルト-58-+:RRR pp.34-35,2009.3 

電気設備技術基準の解釈 










Google Earth Web版でGoogle My Mapの各ポイントが閲覧可能 暫定版 3D化 グリグリ回せる

1584. これは便利 Google Earth Web版でGoogle My Mapの電鉄変電き電設備等の各ポイントが閲覧可能 ストリートビューも即見られる 暫定版 2026年2月時点のデータ

電鉄系変電設備、発電設備、その他   その場のストリートビューも直ぐ見れる。 画面をグルグル回して多方面から観察可能 開くと以下の画面が出現 そのうちにメニューに組み込む予定  組み込み時は自動更新にする予定          現時点では、2026年2月時点のデータのみ表示

人気の投稿