2026年6月24日

1570. 北陸巡検11 JR西日本 北陸新幹線 敦賀車両基地変電所 独自調査

  

【注意】本記事は現地の独自調査結果を、これまでの経験と実績に基づいて読み解いたもので、不正確な部分を含む可能性があります。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が北陸新幹線(金沢・敦賀)の電気工事誌を公開すれば、その一次資料に基づいて訂正記事を上げる予定です。

 敦賀に昨年 北陸巡検の際に立ち寄った。主目的は敦賀変電所と交直デッドセクションの特殊な運用方法の確認。そのついでに敦賀車両基地付属の基地変電所を調査対象とした。ところが中身が見えにくい構造なので、前回の白山車両基地のようには簡単にいかなかった。

 どうせ中身は白山車両基地変電所と同じで不等辺スコット結線変圧器があって き電用遮断器室と切替開閉器室(中セクション用)と延長き電用遮断器室が定番の配置であるものだと高をくくっていた。

 ところが全然構成が違うので記事にできなかった。今回白山基地変電所の詳細調査を行なった際の情報を基に画像を見直して記事Upにこぎつけた。

 肝心なところは基地変電所と本線を繋ぐ入出庫線に必ずある中セクションの長さが新幹線列車長+αの最低800m以下の約150~170m(精査前)の長さしかない。これでは中セクションを跨いで列車が運行した際に、両側(異電源)を橋絡して事故にならないのか?

 区分セクションの常識からは、まず成り立たない長さである。それをどう成立させているのか、調査と検証に時間が掛かった。

 このような短い中セクションで一番確実なのは、夜間滞泊時は基地変電所から基地にき電、始発から終電までは本線き電での基地全体き電。つまり異電源の境界を跨がない運行。幸い10㎞手前の金沢方にはJR西日本の新敦賀変電所があるので、基地き電には電力的に余裕があると思っていた。これなら短い中セクション(セクションオーバー事故を防ぐ)を跨いでも問題ない。

  しかし基地全体を一旦停電(線条変圧器の電源も落ちる)再度加圧を毎日繰り返す操作が入るのは列車や基地設備に負担が大きい。信号電源(線条変圧器)も一旦落ちてしまうのは問題がある。

 基地での事故が波及してJR西日本の新敦賀変電所も落ちてしまうのはリスクが大きい。またその逆で本線の事故が基地に波及してしまう。

 夜間基地が停電した場合、本線の変電所も夜間定時停電しているので運行に支障をきたす(本線夜間定時停電の本線変電所の再開も手間がかかる)これは諦めるしかない。

 そう考えると、基地と本線は別系統き電で賄うほうが冗長性の点でも有利だ。しかし中セクションが約150~170m(精査前)しかない。これをどうやって解決しているのか ここが本記事の要となる。

まずは上空画像から基地全体像を探る

敦賀基地変電所上空画像 Googles Street Viewから


敦賀基地変電所上空画像 Google Street Viewから
判る範囲で機器名称を記入

 通常の基地き電では、き電用遮断器室45の左上の建屋が切替開閉器室となるのだが建屋からのブッシングが2本組で出ている。切替開閉器室ならば3本1組が2組(常用・予備)があるはずであるが、それが無い。ここで????

赤色で囲んだ部分

基地外部からの77㎸2回線部 避雷器、断路器、遮断器。VCT(電力量計)が1L、2L毎に設備

 VCTから母線に繋がる。各母線1L,2L間には断路器がある。母線から配電用(高配用)変圧器2台と不等辺スコット結線変圧器1台に断路器、遮断器、避雷器を経て繋がる。

水色で囲んだ部分(ここが基地変電所の要)

 77㎸母線から断路器、遮断器、避雷器を経て不等辺スコット結線変圧器の一次側に繋がり二次側からM,O,T(各座)の出力30㎸が出る。

 避雷器を経てM,O,Tの出力から逆不等辺スコット結線変圧器OTで所内電源(三相)を生成。次に相間電圧M-O,T-Oを測定するVTが入る。そしてM,及びT座にCTが並列で入り電流測定。

 その後 基地き電の最終段階 、き電用遮断器室(45)に入る。そのき電用遮断器室両端には断路器が入っている。さらにき電用遮断器室から負荷断路器3台を経由して基地内にき電される。(この辺は白山基地変電所と同じ構成・但し白山基地変電所は不等辺スコット結線変圧器が2台であるためき電用遮断器室(46)がある)

緑色で囲んだ部分(JR西日本の新敦賀変電所の末端)

 敦賀駅は、JR西日本の新敦賀変電所の末端なので敦賀基地変電所内に終端AT(単巻変圧器)が置かれている。各ATにはAT故障時の切り離し用断路器が設備されている。北陸新幹線は常時タイき電を行うことで、上下線間の電力融通と電圧の均一化を図るとともに、帰線電流の分散によるレール電位の抑制を図っている。

 AT1に繋がっているのは、下り線のATき電線11Fとトロリ線の11T、そして中性線N。同様にAT2に繋がっているのは、上り線のATき電線12Fとトロリ線の12T、そして中性線N。タイき電用負荷断路器で11Fと12F、11Tと12Tが常時接続されている。

ここからが各部の画像

陸電敦賀変電所からの
上部陸電 東洋紡線、下部 第二東洋紡線

この辺の陸電敦賀変電所の情報は以下にUpしてある。この敦賀変電所 隠し回線がある!

1505. 北陸巡検5 JR西日本 北陸本線 交直末端の敦賀駅 敦賀変電所スコット結線変圧器の運用は?及び全体調査


陸電敦賀変電所からの陸電東洋紡線、第二東洋紡線

2回線受電でケーブルヘッドが見える

西日本敦賀車両基地支線 77㎸

順番から見ると第二東洋紡線からの受電のようだ

ケーブルは引き下ろされてピットに収容

ケーブル敷設方向

道路を潜って基地変電所 受電部へ
                  

77㎸ケーブル埋設標

敦賀基地変電所 受電側全景

77㎸母線部 この部分は大体同じ構成なので面白くない

奥にケーブルヘッド、手前が避雷器

別角度 左にケーブルヘッド(77㎸回線立ち上がり)とコンデンサ結合型電圧計VT
ケーブルヘッドの頭頂部がT分岐しているが、さらに左に避雷器があるため

ケーブルヘッドからコンデンサ結合型電圧計(VT)、そして断路器、遮断器、VCT(MOF)

遮断器からVCT(MOF・電力量計(陸電の取引計量器))VCTから断路器を挟んで77㎸母線へ 上の画像の広域版 左に断路器が見えるがこの先には高配用変圧器がある


中心部VCT(MOF・電力量計(陸電の取引計量器))とR,S,Tの77㎸母線部

高配用変圧器と避雷器、遮断器半分

不等辺スコット結線変圧器から単相を取り出す部分 ここからが肝

不等辺スコット結線変圧器  奥上部鉄構(二次側)に左からT,O,M表示
不等辺スコット結線変圧器本体には左からW,V,U表示 手前の遮断器は左からT,S,R表示


不等辺スコット結線変圧器 二次側が引き出されている

不等辺スコット結線変圧器二次側の避雷器3基と逆不等辺スコット結線変圧器(OT)


鉄構にT,O,Mの表示 右にCT(変流器)と相間電圧測定用VTが見える


さらに拡大 鉄構にT,O,Mの表示 OはM-O、T-Oの相間電圧測定のみに使用されている


OTの一次側表示 なぜかV,O,U V-T,O-O,U-Mが結線の状態
これはV・O・Uは「2相+共通」の口であって、「三相の口」ではない。だからこの表示は逆スコットとなる。逆スコットという結論は、V・O・Uの「Wが無く中点共通」という形から導かれる

これが白山基地変電所の同部分の単結線図 FTr1が不等辺スコット結線変圧器
OT1が逆不等辺スコット結線変圧器 三相側と不等辺側の巻線が同じ


中央左 き電用遮断器室(45)両側にブッシングと断路器が付属

右がTで左がM  不等辺スコット結線変圧器の二次側は右がMで左がT
この理由は後述する

ドアに表示


白山基地変電所と同じき電用遮断器室(45)が表示


き電用遮断器室 表示が右がTで左がM。不等辺スコット結線変圧器の二次側は右がM座で左がT座なので、この手前の鉄構で配線の順番替えを行なっている

き電用遮断器室を経由した基地へのき電分岐部分

奥にある建屋がき電用遮断器室(45)
手前の建屋との間で基地用き電線41T~43Tが負荷断路器経由で引き出されている
これは見えていない
奥 建屋右に相間電圧測定のVTと変流器(CT)が見えている

別角度 機器の奥に基地き電用の3台の負荷断路器と変流器が見えている
これが基地用き電線41T~43Tの分岐部 き電用遮断器室(基地側)Tからの分岐
一番右が41T、中心が42T、一番左が43Tと推定

緑〇の基地き電41T及び42Tと赤で囲んだ負荷断路器 43Tは見えない
き電用遮断器室の奥に配置

JR西日本の新敦賀変電所の末端AT(単巻変圧器)設備
 
AT電化区間では末端に必ずATが置かれ終端の役目をしている。

建物の間からAT1(右・黄)とAT2(左・白)が見える


網が邪魔して良く見えない
ATが2台 鎮座している

各ATの前にはAT故障時切り離しの断路器が設備されている

左にAT、切り離し断路器、T11(トロリ線)電圧測定VT、
右側に負荷断路器2台(上下線タイき電用)、鉄構直下に避雷器

別角度 
 T11(トロリ線)電圧測定VTが良く見える。碍子の長い方がT11に繋がり短い方が中性線Nに繋がる

負荷断路器2台は T11とT12、F11とF12をタイ接続する Tはトロリ線 FはATき電線を表す
太いき電線4本がT11,12とF11,12き電線

タイき電用負荷断路器 断路器部のブレードは嵌合つまりタイき電中


網があってよく見えない。ラインポスト碍子を上手く利用

一番右のATに繋がる11Tと11F 避雷器が2台


左のATに繋がる12Tと12F 避雷器が半分見える


さて興味津々 中セクション(上りセクションSN4、下りセクションSN3)

SN4及びSN3は左断路器を介してTに繋がっている。断路器は「閉」
お馴染みSNに繋がる切替開閉器室に繋がっていない
SN3,4の下には避雷器

TがSN3及びSN4にT分岐する部分 T字形の圧接ジョイントで接合 感熱テープで温度確認

拡大 SN3,4の断路器 左右のブレードが嵌合

ChatGPTによるAI画像処理 嵌合していると判断できる(以下の類似例参照)


例示 手前 断路器 嵌合 奥 断路器 開放

例示 左 断路器 開放 右 断路器 嵌合


中セクション(SN)としては存在しているのだがSN3,4は同一のTに繋がっている。????

説明が残っているこの建屋

 2つのブッシング間は建屋内の遮断器に繋がっている。左2つのブッシングには62,右は61の番号が振られている。
 ラインポスト碍子で引き出されているき電線は中心の柵から左はT11 右がT12に繋がっている。もう片方は共通のTに繋がっている


ラインポスト碍子で引き出されているき電線左はT11(つまり一番奥)右はT12につながる

奥 き電用遮断器室のTもラインポスト碍子で左の建屋前まで引き出されている
そして建屋前で建屋と平行のき電線に繋がる これが前述のT


つまりこの建屋は不等辺スコット結線変圧器のT座からき電用遮断器室45を経由してくるき電線Tに繋がる本線からの延長き電用遮断器が収容されている建屋となっている。

以上をまとめて単結線図化したものが下記の図

基地き電の心臓部の単結線図 断路器、遮断器は全て「開」で表示してある
出典(「配線略図.net」「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用改変
中セクションは、まだ確定していないので170mとしている


運用は以下の通り

 敦賀駅は、JR西日本 新敦賀変電所の末端にあたるためATが基地変電所の中に置かれている。AT1下り線用 AT2上り線用
 敦賀駅から車両基地までは複線だが上り線側は下り線側と平面交差しており、入出庫線自体(複線)は下り線側き電となる。
 その為 基地変電所まで駅から上り線のFき電線12FとTき電線12Tが個別敷設されている。北陸新幹線は常用で上下タイき電が定位。そのためATの前の負荷断路器で上下線のタイき電を行なっている。

通常運用の場合 
 延長き電用遮断器61,62は開放。き電用遮断器45は投入。SN3,4の断路器投入(基地き電加圧) 基地き電(不等辺スコット結線変圧器)との突合せは中セクションで行うが中セクションの長さが約150~170m(精査前)しかない。(通常 中セクションは最小で800m 列車長約300mの2倍以上を取る。また中セクションの切替は切替開閉器(VCB)で行っている。)
 ところが、この敦賀基地変電所の場合SN3,4の断路器は営業時間内投入で基地内の不等辺スコット結線変圧器からのき電Tで加圧されている。 ここがこの敦賀基地変電所の面白いところ!

 負荷断路器41T~43Tは基地内同一き電のき電区分(交流同相セクションインシュレーター)をき電している。(不等辺スコット結線変圧器側からき電)

 夜間は、SN3,4の断路器を開放。無加圧区間を作り、セクションオーバー事故を回避と推定

基地停電の場合 
 き電用遮断器45は開放。 延長き電用遮断器61もしくは62又は両方を投入し本線と基地内を同位相でき電を行なう。つまりJR西日本の新敦賀変電所のT座き電が基地内き電となる。SN3,4の断路器投入(新敦賀変電所き電)

参考
 ここで初めて新敦賀変電所のT座き電がでてきた。電気工事誌(金沢)までを追うと以下の組み合わせが浮かび出てくる。

M新黒部T-SP-T新高岡M-SP-M新白山T-(SP-T新坂井M-SP-M新敦賀T-)括弧で括った部分は推定 並び方に規則性があるとして新敦賀までのばして推定

敦賀基地変電所の引出部
奥から下りF11,T11,N,上りF12,T12,SN3,SN4 合計7回線
次の鉄塔41T,42T,43T,N1,N2 合計5回線


この以下の部分は基地変電所外の基地管轄範囲になる

前述の鉄塔と対向の位置にある鉄塔


基地部分
41T系は一旦下に下がる

41T系は断路器上部でT分岐して右に移行後入出庫線にき電しているようだ。またT分岐し右の避雷器と電圧測定用VTに繋がっている。
さらに41Tは接地極付き断路器を経由(水色)。この先が不明だがどうやら臨時修繕線にき電しているようだ。


42T系は一旦下に下がる

42Tは接地極付き断路器2台(赤)と変流器(緑)を経由している
白山基地変電所にも同様な構成があった

43T系は横にそのまま引き出される


そのまま横に引き出されて独立して基地方向へ向かう43T 
Google Street View


独立して基地方向へ向かう43T

43系統注意の表示と43T 上の電線は中性線

43Tは最終的に基地内 仕業検査庫内3線にき電
 仕業検査庫内部には交流同相セクションインシュレーターがあり屋外のき電系統41Tと分離43Tでき電。トロリ線は接地極付き断路器で点検時停電操作ができる。 
Google Street View

 確認は以下の動画確認。9:58から10:22の間
 メディア初潜入 新幹線の“健康診断”に密着! 福井・敦賀車両基地でミリ単位の異常も見逃さない検査の全貌 福井テレビチャンネル YouTube



直近の変電所からの基地き電線(左)から引き出される奥43T(橙)と手前48T(赤)49T(青)のき電線

以下推定
 42Tき電線は接地極付き断路器と変流器で2分されるのでこれが48Tと49Tになったと考えるのが妥当。

基地方向に向かう43T(橙)、49T(青)、48T(赤)

 43Tき電線が保持されている電柱に交流同相セクションインシュレーターがあるが、これは臨時修繕線に相当する。ここへのき電は、41Tの接地極付き断路器側で行う(セクションインシュレーター間を繋ぐ接地極付き断路器が見当たらないので)
 この臨時修繕線は基地変電所まで架線が伸びているので ここにき電線が見当たらなくても41Tでき電できる。(基地の受電部で41き電線は、T分岐して片方は接地極付き断路器に繋がっている)


基地方向に向かう43T(橙)、49T(青)、48T(赤) 
加圧ビームに碍子の割り入れがないので同一系からのき電41T

基地内 在来線側からみたき電線接続点 赤の48Tが妥当
Google Street View

基地内 基地側からみたき電線接続点 青の49Tが妥当
Google Street View

以上の結果をまとめると以下のようになる(推定を含む)
基地内き電系統想像図
この図は北陸新幹線(金沢・敦賀間) の概要 鉄道運輸機構から引用改変

白山車両基地のき電系統 実際のき電系統と比較して敦賀基地を推定

理由 
基地変電所からは3系統 41T、42T、43Tの系統がき電系として存在する(事実)
以下は推定
基地内の鉄構上で41Tは直接入出庫線(複線部にき電するのが妥当)にき電
41Tから分岐した接地極付き断路器経由のき電線は臨時修繕線へのき電が妥当(修理時停電可)
Wクロス部は同一き電とする(インシュレーターを入れない)のが保守上有利
43Tは、き電線を追うと寄り道せず仕業検査線及び融雪線がある収容庫に引き込まれている
42Tは、基地内鉄構上で2系統に分かれそれぞれ接地極付き断路器と変流器を経由して基地に向かう48T、49T
在来線側から見たき電線接続点が48Tとすると位置的に妥当(着発線1~4)
残るは49Tだが基地内配線図を見ると着発線5~6が妥当
白山基地の着発線も2系統に分かれている
仕業検査庫及び着発収容庫内は接地極付き断路器で停電作業を各線で行うことができる。
白山車両基地でも41は入出庫線、42が2分割で着発線、43が庫内線にき電されていた。


本線側 
本線 SN部(中セクション)上下、上りT12(トロリ線)F12(ATき電線)、N上り、下りT11(トロリ線)F11(ATき電線)の順に並んでいる





みんな大好き 基地変電所では中セクションSN3,4、基地内では上下セクション 
敦賀基地中セクションSN部の構造



駅側 中セクション SN3,4 赤の部分にスライダーの白線が見える
緑の部分がエアーセクション部交点 
エアーセクションを短く運用するためデッドセクションを入れている
Google Street View


駅側 中セクション SN3,4 赤の部分にスライダーを支える碍子が見える
緑の部分がエアーセクション部交点 
エアーセクションを短く運用するためデッドセクションを入れている
Google Street View


基地側 中セクション SN3,4 赤の部分にスライダーの白線が見える
緑の部分がエアーセクション部交点 
エアーセクションを短く運用するためデッドセクションを入れている
Google Street View

基地側(変電所部) 中セクション SN3,4 赤の部分にスライダーを支える碍子が見える
白のスライダー(デッドセクション)が見える 
エアーセクションを短く運用するためデッドセクションを入れているのでパンタは触れない
Google Street View



左上 SN3,4側のデッドセクション(赤部分)が見えている。電車線区分標も存在(青部分) 在来線側からの確認なので在来線の架線き電線が入り組んでいる


SN3,4側のデッドセクションが見えている 変電所側からの確認
碍子で吊り下げられたデッドセクション部(但しパンタグラフは触れない)

これらエアーセクションの構造は以下のようになっている
構造的にはこうなっている。赤がデッドセクションスライダー 緑がエアーセクション交点

下から見上げると 赤がデッドセクションスライダー 緑がエアーセクション交点
Google street View

肝心の中セクションの長さなのだが以下の部分が該当(精査後)

上が駅側、下が変電所側 長さは約130m エアーセクションの交点の間隔
W/E7系のパンタグラフは3,7号車にあり、その間の長さは最大約100m以下
両パンタグラフは中セクション内に収まる。
Google street View

 パンタ間隔 100m< 中セクション長130m なら、前パンタが基地側のき電に触れる時には、後パンタは既に本線側を離れている。つまり両パンタが同時に中セクション内に収まる瞬間があり、前後のパンタが本線側と基地側のき電を同時に橋絡することがない。だから跨いでも短絡しない。しかし敦賀基地の中セクションは基地側電源で営業時間内加圧されているので、本線側と基地側が同位相でなければ、橋絡して異相を跨ぐので短絡してしまう。つまりここを通過するためには同相で進行か惰行でなければ通過できない。
 
 白山車両基地の入出庫線の中セクションの長さは約800m 普通の変電所やき電区分所は1000m以上ある。それにしても敦賀基地の中セクションは、130mで短すぎないか?そもそも中セクションと言えるのか? (SN3,4は営業時間帯は基地き電Tで加圧中と考えると)

 敦賀車両基地で800mの距離を最低取るとすると以下の部分となる。

中セクション800mでは駅構内に入ってしまう 実質不可能 Google street View
き電区分制御軌道回路装置の長さを入れると優に1000m以上にはなる

 また前述したようにSN3,4(中セクション)は断路器でT側に営業時間帯は接続されている。切替開閉器での運用ではない。

 つまりJR西日本 新敦賀変電所のスコット結線変圧器の敦賀側T座と敦賀基地変電所の不等辺スコット結線変圧器のT座は同相で、突合せの位相差ほとんど0°なので切替開閉器を必要としない構造となっていると推定する。

 では上位電源がどうなっているかを確認すると以下の系統が浮かび上がる


陸電の154㎸、275㎸系統図に赤で77kV系を追加記入
 
 JR西日本 新敦賀変電所は、敦賀火力275㎸を南条変電所で154㎸で降圧。H061敦賀線154㎸を経由して受電している。しかしH061敦賀線は陸電新敦賀変電所には繋がっているが遮断器は常時「開」での運用となっている。つまりH061敦賀線はJR西日本 新敦賀変電所専用線となっている。

 JR西日本 敦賀基地変電所は、敦賀火力の275㎸母線に繋がる連係変圧器(Y-Δ)から分岐したF084東浦線77㎸で陸電新敦賀変電所へ送られ共通母線からF086敦賀連絡線77㎸経由で陸電敦賀変電所に送られて共通母線からF088第二東洋紡線77㎸から受電している。つまりJR西日本新敦賀変電所受電の電源と基地受電の電源の位相差は受電部で30°ある状態である。

 敦賀火力(275㎸)が落ちた場合、南条変電所は、越前変電所からの受電に切り替える。H061敦賀線154㎸の末端にある陸電新敦賀変電所の常時「開」となっている遮断器を「閉」にする。陸電新敦賀変電所の154kV 降圧77㎸がY-Δ結線となっていればJR西日本の敦賀基地変電所が敦賀火力から受電していた電源と位相が同じになる。敦賀火力(275㎸)が落ちた場合でも位相に変化はない。但しJR西日本新敦賀変電所受電の電源と基地受電の電源の位相差は受電部で依然に30°ある状態のままである。(補足 超高圧の降圧変圧器は一次側Y結線で中性点接地が連係の基本)


敦賀火力 連係用変圧器増強 1Gは500MW、G2は700MW  合計1,200MW=120万KW

 連係用変圧器の増設理由は、連係用変圧器故障の場合敦賀市内が全停電する。冗長性を保つための増設。そしてもう一つ理由があるそれは原発群への維持電力の供給。この単結線図から見るとYーΔ結線で275㎸系とは30°の位相差が出る。

 火力発電所1G,2Gトリップの際は275㎸を受電端として連係用変圧器で所内電源確保。では1,2Gトリップ及び連係用変圧器重故障の場合は、ここには書かれていないが77㎸系から所内電源確保の予備変圧器が77㎸降圧22kV及び77㎸降圧6.6㎸があるはずである。原子力発電所は、そのような体制を取っている。

敦賀火力の出力部 上側が77㎸送り出し 右側が275㎸送り出し 全体がGIS化
連係変圧器は中心部分に2台、左下の建屋横から昇圧された発電機出力275㎸が275㎸母線に繋がりさらに2つの連係変圧器に繋がっている。そして連係変圧器からGISで22kVが引き出され左下の建屋に収容されている。77㎸側の左端は別の所内電源用の変圧器が繋がっているようだ。(あくまで推測)Google street View

画像が見つかったので対比 推測は合っていた

 本ブログでは、二つのき電電圧同士のなす角を「位相差」と呼び、受電部(受電地点間)の位相差と突合せ部(つき合せセクション)の位相差を、必ず位相を明記して区別する。両者は別量である。技研の旧文献はこれを電圧相差角と呼ぶが、近年の新幹線電力分野では位相差が一般的なので、本稿も位相差で統一する。

 両変電所は同じ北陸電力60Hz系に同期し、いずれも敦賀火力に遡るので、電源同士の位相差は時間で動かず一定である。そしてJR西日本新敦賀変電所受電の電源と基地受電の電源の位相差は受電部で30°ある状態である。

 決め手は運用だ。通常、中セクション(SN部)は基地側不等辺スコット(三相単相)のT端で加圧——SN3,4を投入し片座Tを接続する一方、本線側の61,62は開放で、本線T座と基地T座を恒久的に並列しているわけではない。両者は中セクションの端で突合せているだけである。この突合せが切替開閉器なしで成立している以上、両T座はほぼ同相でなければならない。異相なら突合せ部で横流・短絡が生じ、切替セクションが要る。


通常の基地使用状態
出典(「配線略図.net」「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用改変

 ではなぜ、その突合せが切替開閉器なしで成り立つのか。まず、受電部の位相差(電源同士)と、突合せの位相差を切り分けておく。敦賀火力発電所の連係変圧器のY-Δが生む30°は、基地が受ける77kVと、本線が南条変電所の275kV降圧単巻変圧器(位相変位0°)で受ける154kVとの、受電部すなわち電源同士の位相差である。これはT座同士の突合せの位相差ではない。突合せの位相差は、その先の結線とスコット変圧器の型——本線は標準スコット、基地は不等辺スコット、一次はR=U・S=V・T=Wの素通し——まで含めて決まる、別の量である。

 技研(日本国有鉄道鉄道技術研究所)の文献は、この受電部の電源同士の位相差(技研の旧文献では電圧相差角と呼ぶ)について、10°以内なら一時並列して切替えられるが、10°を超えれば切替を要する、としている。ところが敦賀の受電部は、前述のとおり連係変圧器のY-Δで30°ある。技研の基準に照らせば、これは切替を要する側に立つ。

 ところが現場は切替開閉器を持たない。基地変電所は断路器(SN3,4)の常時投入で突き合わせ、エアセクションを列車が橋絡しても短絡せず、無事故で運用が続いている。技研の基準では切替を要するはずの受電部30°が、切替開閉器なしに成り立っている。これが両立する道はひとつしかない。受電部の30°が、突合せ部にそのまま現れていないことである。すなわち突合せ部の実効的な位相差は、切替を要しないほど小さく収まっている。これは推論ではなく、切替開閉器なしで無事故に常時投入できている事実そのものが示す結論であり、技研の基準も裏側から同じことを指している——受電部で30°あれば本来は切替が要る。その切替が要らないのなら、受電部で30°あった差は、突合せ部では切替の要らない程度まで小さくなっているはずだ、ということである。

 では、受電部で30°ある位相差が、突合せ部ではほぼ現れないのは何によるのか。連係変圧器が30°を生む側であること、両スコットの一次相割当が60°刻みでこの30°を直接は消せないこと——ここまでは言えるが、ではその30°が突合せ部までにどこでどう【小さくなる】のか、その機構は、現物の銘板の結線記号か内部結線図がなければ同定できない。本稿はここに数値も担い手も当てない。確かに言えるのは二つ。受電部の電源同士には30°の位相差があること、そして突合せ部ではそれがほぼ現れずに成り立っていること——【後者は運用がそれを証明し、技研の基準もそれを要求している】ということである。

 
【では、突合せが成立する必須条件とは何か。】
 位相から始める。本線のT座を0°に取る。基地の電源は連係変圧器のY-Δで−30°。標準スコット変圧器のT座は相割当で60°刻みにしか動かせないから、本線を基準にすると基地の標準T座は {−30°+60k} に並び、0°に最も近いのは±30°である。−30°は60°の倍数でないので、相割当をどう選んでもこの30°は消えない。しかも突合せは同座同士(T-T)である。座の食い違いがM座対T座なら90°級の開きになるが、ここは同座ゆえ、【小さくすべき】差は座のずれではなく電源の30°そのものに限定される。

 その受電部の30°が、突合せ部では小さくなっていることを、運用が示している。エアセクションを列車が橋絡する瞬間、その列車は両区分をまたぐ低インピーダンスの橋となる。突合せ部の位相差が大きければ橋絡電流は短絡同然に膨れるが、敦賀基地変電所は切替開閉器を持たず、断路器の常時投入で突き合わせ、無事故で運用が続いている。橋絡が短絡にならないという事実は、突合せ部の位相差が小さいことを示す。技研の基準は受電部で10°を超えれば切替を要するとしており、受電部の30°はこれを超える。それでも切替なしで成り立つのだから、受電部で30°あった差は、突合せ部では切替の要らない程度まで小さくなっている。標準位置では受電部の30°がそのまま開いているはずのところが、実際の突合せ部ではそうなっていない。この「突合せ部までに小さくなる量=約30°」は、ここまででかなり強く言える。

 電圧でも同じ壁が確かめられる。なお、横流の基本——異電源を接続すると電圧ベクトル差に応じて横流が生じ、その差が小さければ一時並列して切替えられる——は渡部ほかの現地検証が同相を前提に述べているが、横流が小さければ一時並列できるという同相前提の考え方は渡部ほかの現地検証が示している。突合せ電位差と位相差の関係そのものは技研(林、1963)が「30kVき電で5.5kV/10°、20°で11kV」と与えており、本稿はその厳密形 Vs=2V·sin(Δ/2) で位相差のある場合を扱う突合せ部の電位差は Vs=2V·sin(Δ/2)。標準架線電圧 V=25kV で見ると、 Δ=30° では Vs≈12.9kV——トロリ線電圧の半分強で、橋絡すれば短絡同然。Δ=10° で Vs≈4.4kV、(技研の30kVき電基準では5.5kV/10°に対応)の残差数度なら Vs≈1kV以下で、橋絡しても許容に収まる。位相の壁(30°は不可・10°未満なら可)が、電圧の側からもそのまま出る。

 この30°の差を埋める方策は、例によってsin・cosの話になるのでClaude Opus 4.8に頼った——閉じるべきは約30°、それだけだ。当初はその先の内訳まで答えらしきものが出たのだが、人間側の指摘でハルシネーション(幻覚)と判明し、有効な結果には至らなかった。幻覚だったのは内訳の同定であって、約30°という量ではない。これはこちらのプロンプトの読み込ませ不足によるものでもあり、反省点である。この『閉じるべき約30°』の内訳については、多角的なプロンプトを与えて改めて別項で扱う予定である。ここまで辿り着くのにClaude opus4.8と議論して約1週間かかった。

 【ここで陥りやすい誤り】 新敦賀変電所もT座、基地変電所もT座——どちらもT座なのだから位相差は0°(同位相)だろう、と考えたくなる。実は私も最初そう誤った。これは「座」と「位相差」を取り違えた誤りである。
 M座・T座は、スコット結線変圧器の二つの単相出力(主座とテーザー座)に付けた巻線の呼び名にすぎず、位相の値ではない。その証拠に、同一の変圧器の中でもM座とT座の位相差は0°ではない(標準スコットなら90°)。座が位相そのものなら、同じ変圧器の二つの座が90°も離れているのは説明がつかない。

 二つのT座の位相は、それぞれ自分の変圧器の受電相(一次にどの三相R/S/Tを割り当てたか)と結線・巻線の向きで決まる。だから両者の受電相と結線が揃っていなければ、ともにT座でも位相差は0°にはならない。位相差0°(同位相)かどうかは「座が同じ」では言えず、受電相と結線を共通電源まで遡って初めて言える。上位系統まで辿るのは、まさにこの位相差を見定めるためである。

【補足】 基地変電所には不等辺スコット結線変圧器が用いられる。M座・T座を直列にした斜辺S座でき電する三相単相変換で、基地全体を同位相に保つ方式である。基地内は複数のき電区分(41T〜43T)に分かれ、渡り線や分岐も多いが、各区分が同相であるため、その境界は交流同相セクションインシュレーターで足り、パンタグラフは加圧のまま通過できる。
 もし異相でき電すれば、これらの境界は、ことごとくデッドセクション(無加圧・惰行)とせざるを得ず、構内の運用に支障をきたす。同位相き電はこれを根本から不要にする。基地き電にこの不等辺スコット結線変圧器を用いる常套的な理由である。
 
基地から本線までの入出庫線上のき電線
ここは簡単に
入出庫線上のき電線


 入出庫線は下り線を複線使用しているため、上り線側のF12とT12をき電線として引き込んでいる。下り線のTは架線そのもの。


入出庫線は下り線を複線使用しているため、上り線側のF12とT12をき電線として引き込んでいる。下り線のTは架線そのもの。

別角度


本線上のき電線 奥の架線柱から上り方のF12とT12を基地側に送っている


左から2番目の架線柱で上り線側のトロリ線がき電線化(T12)されている。上部を通過するのはF12(ATき電線)。右の架線柱で向きをかえて入出庫線方にき電線を移動させている

不明瞭なので色付き拡大 赤がT12、青がF12

末端部分 上り線のき電線F12とT12が入出庫線側に移動する部分


 入出庫線の上りが一旦下り線を平面交差して上り線側に移動する部分。渡り線上にはエアーセクション交点(緑)がありデッドセクション(赤)で絶縁間隔を短くしている


下り線と平面交差する上り線の入出庫線 左部分
新大阪まで延伸の際もこのままなのだろうか?何20年以上先の…


入出庫線から下り線を平面交差して上り線側にはいるW7系
もっともその先は20年以上先


つまり敦賀基地変電所の特殊性は
①新敦賀T座と基地不等辺スコットT座がほぼ同相突合せ(位相は、ほぼ0°)
②中セクションSN3,4を基地側T座で営業時間帯(昼間)は断路器で常時投入・加圧(本線とはほぼ同相突合せ)
③3両目、7両目の両パンタが中セクション内に収まる(E/W7系)
④夜間はSN3,4開放で無加圧化(セクションオーバー対策だと推定)
⑤中セクションは。精査前は150〜170mと見たが、実測で約130mはであった。そしてパンタグラフの間隔(100m以下)より長いと言える。
④JR西日本新敦賀変電所との三相の位相差は30°ある

と書いてきてふと気が付いた。田端車両基地変電所(現在は無い・廃止)も中セクションは約520mあるが切替開閉器が無かった。田端車両基地は現在分散二重化された新田端変電所でき電されている。最初の頃の記事なので知識が無かったため深追いはしてなかった。今 田端基地変電所及び新田端変電所の記事を読み返すと中セクションがある画像があった。

田端基地変電所部分を全面書き直した




以下 敦賀基地き電の三形態

通常の基地使用状態
出典(「配線略図.net」「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用改変


夜間 基地24時間き電
出典(「配線略図.net」「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用改変

基地変電所トリップ
出典(「配線略図.net」「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用改変

参考資料(順不同)
鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社 編;北陸新幹線電気工事誌:2016.3


渡部哲至 et.al;「新幹線切替セクションにおける電源並列切替方式の現地基礎検証」:平成20年電気学会全国大会, 5-067, p.107 (2008)

渡部哲至 et.al;「交流電気鉄道の異電圧セクションの異電圧セクションにおける電源並列切替方式の検討」:平成19年電気学会産業応用部門大会, 3-21, Ⅲ-183. (2007)
(両文献は同相前提で、異電源間の電圧ベクトル差による横流が小さければ一時並列して切替えられる、とする。突合せ電位差と位相差の関係は技研(林)が5.5kV/10°として与えており、本稿はその厳密形2V·sin(Δ/2)で位相差のある場合に用いる)

林 正己:(2)き電系統 東海道新幹線に関する研究(第4冊),pp342-344,1963

塩崎 敦;敦賀火力発電所における連係用変圧器の増設による信頼性向上計画:火力原子力発電 別冊(CD-ROM)平成24年度火力原子力発電大会論文集2013年2月

日本国有鉄道鉄道技術研究所 編;東海道新幹線に関する研究. 第4冊 1963

日本国有鉄道鉄道技術研究所 編;高速鉄道の研究 : 主として東海道新幹線について 1967

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