浅草変電所(仮称)と花川戸機器棟(仮称)
まだ工事着工前の情報がgoogle map street viewで出てくる
|
黄色マーキングで囲んだ部分 選択部分を拡大表示すると 工事中のgoogle
map street viewがでてくる。 隅田公園側 変電所 道路側 機器棟
|
|
工事概要 東京地下鉄 住民説明資料から抜粋
|
東武浅草駅周辺を探索していたら、隅田公園の地下に新しい変電所が設備されることが判った。これは現在ある浅草駅奥の留置線3本を延長するために用意されるとのことであった。
資料によると、浅草、上野間の列車増発と遅延防止のため、現在行っているホーム折り返しによる交差支障2分10秒、最小運転間隔2分の差分によるボトルネックを、留置線2線を約210m延長し、列車到着後、奥に入庫して折り返す方式で対応し1時間当たりの列車本数の制約を取り除くことを目的としている。そのため変電所末端の浅草駅に変電所を増設し、本数増加による第三軌条の電圧低下を解消する必要があるため変電所を建設するとのこと
現在の銀座線の浅草方 最終変電所は、日比谷線との交点に設けられている上野変電所となる。ここから浅草まで約2㎞、最終変電所(上野)と次の変電所神田までは、約2㎞ 銀座線は当初から2~3㎞間隔でき電用変電所が設けられている。
上野変電所は、浅草方、神田方両方にき電を行っているので、増発する浅草方のき電電圧が低下するため、末端の浅草方に新たな変電所を設ける必要が出てくる。
東京地下鉄の受電電圧は、変電所出力を10,000kW以下にすることで、ほとんどの変電所はTEPCOから22kV受電を行っている。特別な例として66kV受電を行っている変電所もあるが通常は22kV受電である。この新設される浅草変電所も受電は22kVとのことである。ではこの22kVをどこから引っ張ってくるかだが、東京地下鉄は地下鉄隧道内を自営22kV連絡送電線で結んでいる。
現に上野変電所は、神田変電所に22kVで自営連絡送電線を隧道内を敷設している。神田変電所は、この上野変電所からの自営連絡送電線と、日比谷線秋葉原変電所から地中送電線で22kV2回線受電を行っており、さらに神田変電所は、自営連絡送電線で日本橋変電所、地中送電線で丸の内線、大手町変電所送っている。
一番簡単なのは、現有の上野変電所から隧道内に自営連絡送電線を敷設することだが、上野変電所は、すでに神田変電所に連絡送電線を敷設しているので、容量的に不足することが推測される。上野変電所の受電は、根岸変電所(上位の田端変電所)からである。通常地下鉄の変電所は1系統が受電停止でももう一系統から受電できる2回線受電が基本である。
神田変電所は、4系統 連絡送電線で上野、日本橋、秋葉原、大手町から受電可能
上野変電所は、2系統 連絡送電線で神田、TEPCO根岸変電所から受電可能
|
資料自体は古いが変電所と系統は変わらない
|
|
資料自体は古いが変電所と系統は変わらない(無関係な書き込み有)
|
新設される浅草変電所も2系統受電を行うと考えると、1系統は隧道内上野変電所からが順当な設計となる。ではもう1回線はどこから持ってくるかだが、周辺の鉄道変電所を調べると
都営地下鉄浅草駅(駒形変電所)隧道内をTEPCO蔵前変電所から22kV受電
つくばエクスプレス浅草変電所 TEPCO蔵前変電所から22kV受電
が見つかるのでTEPCO蔵前変電所から網の目のように伸びている地中送電管路を使って引き込むのが順当な手段と思われる。但し、TEPCO蔵前変電所の22kVは、上述の都営、つくばEXのほかに日比谷線秋葉原変電所にも送電を行っているので、すでに容量が上限に達している可能性がある。
この設計されている浅草変電所。ただの変電所22kV受電としては規模がに対して大きい。今の変電所はC-GIS化されて小型化されるのでTEPCO66kV受電で降圧して22kV給電も考えられる。この場合、近隣の66kV受電6.6kVの配電用変電所の66kV側を分岐して持ってくる可能性があるが近隣の配電用変電所は、
TEPCO(カッコ内数字は座標)
浅草変電所(35.71368, 139.79158)
橋場変電所(隅田川沿い・35.72326, 139.80801)66kVルートとしては最適
松葉町変電所(35.71378, 139.78752)
稲荷町変電所(銀座線隧道近接 この場合隧道内に66kVケーブルを引き入れ浅草変電所まで伸ばすことでケーブル敷設も容易・35.70996, 139.78307)
があり、あながち不可能ではないと思われる。
又は、電力洞道もしくは人孔内でモールド型YJ分岐を行えば引き出せる。
浅草変電所の換気塔がビル屋上まで伸びているが非常用タービン発電機が設置される可能性は高いと思う。また留置線部分が長いのでこの部分の換気も必要になる。
丸の内線、銀座線は将来的に600Vから750Vに昇圧する計画もあり、現に配車されている地下鉄車両はSiCーSBDインバーター制御で両電圧に対応できる車両もある。敷設されている第三軌条は、750Vにも耐えられるし、き電線も750Vは耐圧範囲である。大阪の地下鉄で第三軌条の地下鉄は標準電圧750Vで運行されているので設備全取り換えの必要なく、整流用変圧器も一次側タップ切替で二次側750V対応できると思われる。
また防災対策として変電所に列車駆動用救済電源の設備も予定されていることから、新設する変電所にはリチウムイオン電池等の蓄電設備が設備される可能性もある。
銀座線開業当時の上野変電所の位置は、今の上野検車区の免震構造ビルの位置にある。
東京地下鉄道史. 坤』東京地下鉄道(国立国会図書館デジタルコレクション)リンクより引用
|
上野車庫・修繕工場の位置 55‰の勾配も同じ 現在の位置と変わらない
|
|
上野駅と上野車庫の位置関係
|
|
浅草駅終端 開業初期は延長線がなかった。(点線部)
|
|
上野方にシーサスクロッシングがあるのみ
|
変電所関係
|
銀座線開通時の上野変電所のき電受電系統 回転変流機2台 根岸変電所より22kV受電、下谷変電所より22kV受電 連絡送電線で神田変電所に送電しているのは現在と同じ
|
小石川には総合指令所が置かれており、運行データ管理を行っているので免震構造となると
留置線が増えることで、夜間本線停電(工事等)を切り離して運用するために、末端に変電所を設ける必要が出てくる。
留置線増設のため、信号機器室の新設、換気のための換気装置(換気塔、送風機)の設備、乗務員等の連絡のため隧道内は第三軌条があり、また狭隘な場所もあることから地上への出口も必要となる。
|
再掲 |
|
東武鉄道のガードしたから約210m延長となる
|
変電所は全体が地下化されるが、防火上 ビルとの間には防火隔壁を設け、別入口が隅田公園上にできる。また消防隊用の送水口も設けなければいけないので、フルフラットではなく建屋が必要となるが、小規模の構成となる。
|
半蔵門線 押上変電所例示
|
この延長工事のほかにバリアフリー化 東武鉄道への円滑な通路等整備される予定である。
参考資料
東西線大規模改良・銀座線ニューリアル・日比谷線20m車置き換え…東京メトロの今;鉄道ジャーナル社:鉄道ジャーナル,Vol.50,No.11,pp.58-69,2016
原川 顕;交通営団 電力指令所;電気鉄道,Vol.35,No.2,pp31-33,1981
新井
巧一;電力供給システム 営団地下鉄の送電系統の考え方とその運用;鉄道と電気技術,Vol.11,No.5,pp.12-15,2000
大久保
一衛;地下鉄日比谷線北千住ー中目黒間の電気設備概要について:電気鉄道,Vol.18,No.9,pp14-19,1964
藤村
愛ら;銀座線浅草駅機能増強計画について:地下空間シンポジウム論文・報告集,Vol22,No.1,pp.207-212,2017