2019年9月23日

912. 東北巡検その七 JR東日本 院内変電所(ATき電)

院内変電所

  #変電所、#単巻変圧器、#AT、#ルーフデルタ結線変圧器、#デッドセクション、#き電区分、#き電、#交流、#AC20kV、#275kV、#変形ウッドブリッジ結線変圧器

非電化化が検討されている




アプローチ:院内駅 容易
き電:奥羽本線
受電:東北電力 奥羽幹線0188分岐 0199専用送電線 275kV

JR東日本 国鉄初の275kV受電の変電所

奥羽本線電化の際、羽後千歳SS以降秋田SSまでの長いATき電区間に対応するため、超高圧or 特別高圧の変電所の運用が決定された。受電は154kVもしくは275kVを考えたが、154kVは長距離の送電線を敷設しなければならず、近傍を通過する275kVに白羽の矢が立った。

この変電所では、2回の変圧器取替えが行われている。

初回 変形ウッドブリッジ結線変圧器 2台運用(昇圧変圧器付き・A座、B座)
2回目 ルーフデルタ結線変圧器 1台運用(A座、B座)

最初はACVRが設備されていたが、ルーフデルタ結線変圧器に交換された際にACVRは撤去されている。

超高圧受電のため一次側 中性点の接地が必要

単線の在来線の変電所としては、贅沢な作り

デッドセクションは、変電所から大きく離れた場所にあるので車中から確認

奥羽本線 羽前千歳-秋田間 電化当時の変電設備状況

秋田-羽前千歳間 200km AT電化の際に検討された
中間点の変電所 当時は湯沢近辺に設ける予定だった。
154kVは、日本海沿岸の羽後幹線から約50kmの敷設距離
275kVは、近傍の奥羽幹線から4kmの敷設距離

羽前千歳-秋田間 200km電化 中間点に院内変電所設備 275kV受電
東北電力の送電線が通っていないので、ATき電を選択
当時100㎞超えのATき電はかなりの長距離き電となる



上図と同じ筆者
現在の秋田新幹線開通時の大曲SP、羽後境SSPも同じ場所
この図で気づいたことは、真室川SSP及び大石田SSPの記号がデッドセクションの記号であることである。

部分拡大



別の文献 やはり 豊里(真室川)SSPと大石田SSPはデッドセクション記号がある。 
CRはCR装置と思われる 湯沢は院内変電所を差す



当該部分拡大
羽前千歳は、変電所から離れた場所にATがある。これは第一ATと呼ばれる方式で、他に秋田変電所、青森西変電所でも見られる形式である 豊里が現在の真室川
Google で確認したところ
真室川SSPには、デッドセクションが存在した。ただ設備的にはATしか設備されていない。

デッドセクションの標識あり



大石田SSPはエアーセクションのようだ。但しAT以外にも変電設備がある。

AVCRが設備されていると、セクション間で電位差が発生しデッドセクションが必要と書いているWebもあるが、一概には言えない。その後の調査でACVRではなくTSC方式のSVC設置であった。TSC=Tyristor Swiched Capacitor SVC=Static Var Compensator

大石田SSPの設備 ATだけでは無い ACVRとみてよいだろう TSC方式のSVC設置 TSC=Tyristor Swiched Capacitor SVC=Static Var Compensatorが設置されている



大石田SSP 新庄方 エアーセクションが見える
デッドセクションでは無い デッドセクションの表示が見えない
TSC方式のSVC設置 TSC=Tyristor Swiched Capacitor SVC=Static Var Compensatorされているためエアーセクションとなっているようだ

き電区分所、補助き電区分所は、やはり見て回らないと詳細は判明しない。

定本:電気鉄道のセクション;持永芳文によると
ACVRの記載がpp.76にあるが、ACVRは、1200Vないし2400Vの昇圧を行い電位差があるのでデッドセクションが必要であると述べられている。ACVRの箇所は全国で10箇所程度 主にき電区分所に設備されているのでデッドセクションを兼ねて設備されている。
単独のACVRは、肥後おれんじ鉄道の昇圧ポスト(ATP)、日豊本線(直川)のSSPに設備されていると記載があった。



かつての院内変電所

湯沢に275kV降圧44kV変形ウッドブリッジ結線変圧器をもうける際の結線図
FTr=変形ウッドブリッジ結線変圧器
STr=昇圧変圧器
湯沢=院内と読み替え



275kV 2回線受電 現在と変わらず

右 変形ウッドブリッジ結線変圧器 左 昇圧用変圧器 

AVCR装置 左奥 建屋
今しも、ルーフデルタ結線変圧器に交換の最中

275kV 奥は、受電変更工事中 碍管にオレンジの保護カバー
手前の鉄塔では、アークホーンの取り付け工事中
この工事により、変形ウッドブリッジ結線変圧器2台運転からルーフデルタ結線変圧器 1台へ運用が替わった。

拡大 アークホーンの取り付け工事中

現在の院内変電所

275kV 2回線受電

右 ポリマー碍子の避雷器 左 CVT コンデンサ型計器用電圧計(電力線搬送用結合装置を兼ねる?)


避雷器下部 280kV LAr 磁鋼片が見える


ブロッキングコイルを経て断路器


断路器 嵌合中
右 接地用の回路が存在(丸い球部分)断路器下部の金具が立ち上がり丸い球部分と篏合する


1回線は、コロナリング付きのラインポスト碍子で奥の遮断器右に繋がる
2回線受電が纏まる

遮断器 巨大なブッシングに萌え


遮断器の後は、MOF部 CVT(コンデンサ型電圧計)とCT(電流計)が組みで機能

275kV降圧44kV ルーフデルタ結線変圧器
アンバランス感に萌え

二次側一番手前 中性点接地用ブッシング その奥A座、B座各AF,TF



 中性点接地用ブッシングの接地状況

A座、B座 母線 左 ATへ 右 ルーフデルタ結線変圧器、力率改善コンデンサ、リアクトル
中心奥 44kV降圧6.6kV 配電用変圧器DTr

力率改善コンデンサ、リアクトル、放電コイル A,B座に設備

院内変電所では、交流き電変電所に付き物の直列コンデンサは、見当たらない

かつてこの前の空間にACVRが設備されていた。

A座、B座 母線 左 ATへ 右 ルーフデルタ結線変圧器、力率改善コンデンサ、リアクトル

ルーフデルタ結線変圧器より 母線 左 TF,AF B座 右 AF,TF A座 

A座、B座母線より左 AT及び延長、タイき電用断路へ
右 手前 力率改善用コンデンサ、リアクトル 奥 ルーフデルタ結線変圧器からのA,B座

A座44kV降圧6.6kV 配電用変圧器DTr

ATがA,B座母線からのき電線(AF,TF)に繋がる

ATの中性点に繋がるGP装置 A、B座共通

B座 AF,TF 秋田方

A座AF,TF 羽前千歳方
羽前千歳脱落時は、延長するのか?

変電所より引き出し
左 秋田方 右 羽前千歳方
奥 院内方 手前 秋田方 デッドセクション 

拡大 導入部に振れ止めがあるデッドセクション



奥 秋田方  手前 羽前千歳方 デッドセクション 
参考文献(順不同)
石塚紘彰ら;奥羽本線・羽前千歳--秋田間の電化:鉄道ジャーナル,Vol.9,No.12.pp42-45.1975
石塚紘彰;奥羽本線・羽前千歳--秋田間電化開業:鉄道ピクトリアル,Vol.26,No.1.pp40-43.1976
世良昌司ら;新電化線区の新しい電化設備:鉄道電気,Vol.26,No.2,pp.32-34,1973
電気鉄道のセクション;持永芳文著

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