2024年4月20日

1361. JR東日本 浦和変電所 耐震補強と き電設備更新

暫く東北本線に乗って無かったが、浦和変電所が設備更新していた。


2013年12月

11.  JR東日本 浦和変電所(直流) 2013年12月記事 10年前


 受電 2回線 蕨交流変電所より 盲腸送電線のため蕨交流変電所が落ちた場合、運用できない。そのため前回の蕨交流変電所火災の際停電して東北本線・京浜東北線等の長時間運休に繋がった。国交省より指導が入り、盲腸線解消のためもう1回線増やすことに成っている。

 東北本線輸送力強化のため1960年浦和変電所新設。最初は蕨‐大宮間の架空送電線をT分岐してPGC(Pipe Type Gas Compression)ケーブルで地中線2.5㎞(浦和支線)で電源を導入した。

 その後 埼京線ができた際 大宮-蕨間の架空送電線は、埼京線沿いのトラフに収容されたため、南与野変電所GISから浦和変電所へ分岐された。(南与野線)そしてPGCケーブルは道路整備計画により2003年3月廃止された。(蕨交流変電所から2回線受電に変更)

 その際に浦和変電所の受電は盲腸線になった。(現在PGCケーブルは、南与野変電所-浦和変電所間で撤去作業が行われている・一部埼京線高架下と浦和変電所周辺がまだ終わっていない)
 
 以前は交流66㎸母線は気中配線であったが屋外にあった断路器DS、真空遮断器VCBは屋内に収容されて、整流用変圧器・シリコン整流器・OT(含微量PCB含有絶縁油)は撤去、新しい整流用変圧器とシリコン整流器(6,000kW・各1台)が屋外に設備されている。屋外設備更新の際に内部の高圧受電設備はCーGIS化されている。

受電:蕨交流変電所 66㎸ 2回線
C-GIS 多分5盤の配置(1号受電、2号受電、ブスタイ用?高配用かもしれない、SR-1用、SR-2用のC-GIS)1FにC-GIS設備、2Fに直流高速度遮断器群の配置だろう。

き電:3線 京浜東北、東北本線、東北貨物線へ き電している。6,000kWシリコン整流器2台 ラッシュ時2台並列運転、通常時1台運転していると思う。

 一旦 浦和変電所の機器更新(シリコン整流器・整流用変圧器)は終わっていたが最近動きが見られていた。

 気中配線から変成設備入れ替え、ケーブル配線、ポリマ碍子ケーブルヘッドへ。旧整流用変圧器の土台と放熱器の土台の跡が見える。建屋中央横には圧空のタンクとコンプレッサー、左上には直列リアクトルと負極母線断路器が見える。正極母線断路器は建屋内収容されている。正極母線は建屋下に引き込まれ、負極母線は建屋周囲を回って左上の直列リアクトルに繋がっている。過去画像

 
気中配線用の鉄構はまだ残って架空地線が張られている


シリコン整流器


シリコン整流器銘板 東芝三菱電機産業システム社製
DC 1,500V 4,000A 6,000kW

整流用変圧器にはポリマケーブルヘッドで接続

CVTケーブルではなくCVケーブル3相×2回路分でケーブルヘッドに繋がる
渦電流の問題は? 

直流 正極側 2台のシリコン整流器からの直流母線が建屋内に引き込まれる
正極側4本ケーブル1組で2,000A×2で4,000A
負極側母線は建屋横を通り直列リアクトルに繋がる
負極側4本ケーブル1組で2,000A×2で4,000A

直列リアクトルに繋がるシリコン整流器からの負極母線2回路分
負極側4本ケーブル1組で2,000A×2で4,000A×2で8,000Aの直列リアクトル

 シリコン整流器 負極側母線が直列リアクトルに入り負極母線断路器に個別に分割され、線路側が負極ブスバーに繋がる

負極ブスバーから引き出された帰線はここで纏められで線路側インピーダンスボンドの中性点に繋がる。最近ここ部分の名称がレタンからリターン、直流帰線と名前が替わってきた

旧変電所の帰線側 直列リアクトルは建屋内に収容 負極母線断路器が見える

 左に見える放熱器は配電用変圧器の物か直列リアクトルのものか不明 直列リアクトルは大抵は屋外に設備されている。旧浦和変電所は屋内収容なので帰線が屋内に引き込まれている場所も近いので直列リアクトル用かもしれないが、新しい直列リアクトルが屋外に設置されても撤去されていないので配電用変圧器用かもしれない。
旧変電所の帰線側 帰線集約部 名称はついていない



以下新しい設備更新作業
アスベスト使用建材の調査と撤去作業表示
工事名称は、キ電設備新設基礎他となっている

正極母線の仮設引き込み


建屋内にあった正極母線断路器89P 2回路分が設備された
シリコン整流器側はまだ配線されていない

正極母線断路器部 拡大 シリコン整流器側はまだ配線されていない


直流高速度遮断器操作用 圧空のタンクとコンプレッサーはまだある
 昔は、直流高速度遮断器の遮断容量の増加とともに絶縁強化と動作の確実をはかるため空気駆動式が首都圏で導入されてきた。浦和はまだ空気駆動操作方式を取っている。最近は電磁操作機械保持式に変更されてきている

片方は運用を開始。もう片方のシリコン整流器への配線が行われている

片方は1500V加圧中なので絶縁を保ちつつ作業

正極母線断路器 2回路分 完成運開 下部の配線も整線されている。
但し2Fドア部から引き込んだ仮設正極母線側のコルゲート管は残っている
断路器は投入状態

今まで使われた正極母線の建屋内引込口 撤去

切り刻まれた正極母線ケーブル。細いのは64Pケーブル?


正極側母線引込口は閉鎖 正極母線は仮設配線で2Fへ
まだ正極側母線を固定していた架台は残っている。
圧空の配管が1F建屋内に引き込まれているのが判る。


昔の非常口を塞いで仮設正極母線引込

入口側2F部分の開口部を封鎖中

2F開口部の工事が終わった。金属部分の蓋は、新たにコンクリが打たれ補強されている

壁をコンクリで補強している。おそらく耐震強化 この部分が建物の繫ぎ目に該当

2012年の同部分 配線が引き込まれている。このころは気中配線で変成設備は稼働

2022年の同部分 配線が撤去されている。このころは変成設備は新しいものと交換


開口部工事部の道路側の地面部


さて、
1.正極母線断路器2回路分は、屋外に出された
2.正極母線引込口は直流高速度遮断器がある2Fに現在は仮設配線状態
3.2Fには正極母線2回路分が繋がる太いブスバーが既にあるので動かさない。ブスバーには直流高速度遮断器が京浜東北4台、東北本線4台、東北貨物線4台とZ母線用1台もしくは2台が繋がっている
4.最近の直流変電所は屋内火災の際の各回線(52F・直流高速度遮断器)切離し作業が断路器が屋内にあるとできないので外部に出す方式が取られている。(池袋変電所、籠原変電所等)
 新潟変電所火災の際は断路器部が建屋内にあったので切離し作業ができなかった。しかし浦和変電所をよく見ると外部に断路器群とZ母線がある。

新池袋変電所 き電外線断路器盤屋外設置

旧籠原変電所 この後火災発災

発災後 断路器をキュービクル収容
出て来る来る地方圏の直流キュービクルの設置(Z母線は収容されてない)

5.浦和変電所旧変圧器があった部分にピットが構築されている。




半分で7個の切り込みが見える 66㎸用はもう少し深く大きい
この部分に現在屋外にあるZ断路器群が収容されるキュービクルが設置される可能性が高い

ピット部に蓋がされた。この上にキュービクルが置かれるのだろう


6.屋内ある断路器群の屋外キュービクル(き電外線断路器盤)への移行はJR東日本の予定調和(但し浦和変電所は外部に出ている・これが謎だった)


 ここまでが2024/1/9の公開した時の記事 ここで一旦非公開にしてその後の工事進捗を見ることにした。この時点で6名の方が閲覧

 謎の解消理由は、線路側の耐震工事を行う際に支障があるため、外部キュービクルにき電線を移行させて空き空間を作るのが目的のようだ。


道路側の耐震施工(2ケ所)
 2階部分を支える梁と柱を強化したようだ。この後線路側の耐震強化を行うのだがき電用断路器群が支障するので別場所にキュービクル収容断路器を設置後、実施。


鉄筋を入れて強化しているつなぎ目部分
もう一ヶ所側壁の柱部分を強化

塗り直して耐震強化終了

もう一ヶ所 塗り直して強化終了




耐震強化に伴う内部支障位置の所内変圧器を外部に出す作業

6.6㎸CVTケーブル用の引出部を加工中
ケーブルラックの取付も進む
66㎸ケーブルを保護シートで包み乗っかって作業

トラフの左にケーブルラックが付いた

所内変圧器2台を収容するキュービクル2盤が設置された

6.6㎸ CVTケーブル 2回線が引き出されている

新しいトラフに、CVTケーブル6.6㎸ 2回線が引き込まれる

トラフには6.6㎸CVT2回線がケーブルラックに引き出されて収容される
左からくる架空配線は高配6.6㎸ の配線 
建屋内に高配関係の配電盤があるのだろう


屋外に出された所内変圧器盤(常用・予備)




以前 正極直流母線が引き込まれていた部分の架台は残されたまま
再度内部の整理が付いたら元に戻されるのだろう

所内変圧器盤の横のピット内には配線(アース線・ケーブル)がされている。
直流高速度遮断器からのき電線と思われえる。キュービクル用架台が設置されている

建屋内にあった正極母線断路器の駆動装置が撤去された

建屋内にあった所内変圧器と減流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器が表に出される
6.6㎸側が見えている

所内変圧器2台分が廃棄

左端 6.6㎸ CVTケーブルに覆いが付いてた
人が手を触れる範囲

この部分が屋外のキュービクル収容になる
Z母線用断路器は手動のようだ
右にあるのは断路器で繋がった避雷器。左にあるのがZ母線用断路器



 ケーブル4本が1つのき電線となるので3路線上下なので48本+Z母線用4本 ケーブル合計52本が建屋から引き出されている。これをキュービクルに収容するのでピット内は52本+48本 合計100本のき電ケーブルが収容されることになる。熱容量の計算が心配である。
き電吊架線365㎟×2条で最大電流1,800A。この2条のき電吊架線を4本のケーブルが支える
 
Z母線部この部分がキュービクルに収容される

旧設備時代 横から見たZ母線部の断路器 すべて開極 
現在は大きな直列リアクトルと負極母線断路器があって見えない
この画像からみるとZ断路器の操作は手動式


断路器キュービクルの搬入・据え付け

吊り込み据え付けが終わった部分
一番左のキュービクル下部分にZ母線用の貫通孔が見える

クレーン作業のため
           正極母線断路器の一部は開極 シリコン整流器は一時的に運転停止

66㎸の活線を跨ぎながらの吊り込み据え付け作業 さすがプロ

P=正極母線の太いバスバーが見える

2台の動力式駆動断路器に繋がる銅のバスバーがみえる

キュービクル後ろ側

慎重に定位置に降ろす

キュービクル本体の連結作業

10面が定位置に固定された。のこり3面
手前は既に運用中の所内変圧器用キュービクル(常用・予備)




残りあと1面 これは京浜東北線大宮方の断路器盤12盤目

12面まで設置 残るは北14F、北14Zのキュービクル

13面のキュービクルが設置された
クレーン車撤去 吊り込み作業終了 正極母線断路器投入

北13,14は京浜東北の大宮方を示す
客14は、東北本線の大宮方を示す

13面の断路器収容キュービクルの設置が終了
残りはケーブル接続と耐圧試験、動作確認(手動・電動)

盤は、右から
1. 共用25(Z母線用)
2. 北12F、北12Z
3. 北11F、北11Z
4. 客12F、客12Z
5. 客11F、客11Z
6. 貨12F、貨12Z
7. 貨11F、貨11Z
8. 貨13F、貨13Z
9. 貨14F、貨14Z
10. 客13F、客13Z
11. 客14F、客14Z
12. 北13F、客13Z
13. 北14F、北14Z

断路器を変電所とは別に置く利点(き電外線断路器盤の設置)
1.キュービクル内停電作業時の安全確保
2.変電所トラブル時のき電系からの切離しのた易用化のため
3.遠隔操作で切離ができる
4.Z母線,Z断路器で き電設備切離し後のき電線の並列接続による上下タイき電電圧降下低減
5.直流高速度遮断器故障時の共用回線への切り替え
2012年から川崎、南千住、目黒、大船各変電所に導入済
 

新潟変電所火災時 産経新聞Webからの引用
 この時点で 線路側き電線と 変電所側 き電線は手動で切り離(切断)されている。
切り離し作業が済んで一段落の感じ。一番右の新崎方面上り線(白新線14H)、上沼垂基地(電車基地23H)方が1本に纏まっている。この理由は、上沼垂基地(電車基地23H)が片送りき電なので基地内運用のため隣の白新線14Hとボンドして送電している。つまりこのような状況下でも変電所外でき電線の並列き電ができるようにするため外線遮断器盤を設置する。但し新潟変電所の場合母線並列き電にしなかった理由は、き電保護の安全確保とエア―セクション部の電圧差で並列き電を行わなかったと聞いている。


き電外線断路器盤内結線図 資料より引用 通常時

き電外線断路器盤の変電所発災時運用 Z母線断路器投入 資料より引用

首都圏と地方圏での直流キュービクルの運用の違い
浦和変電所の場合、各き電線の断路器は屋内、Z断路器は屋外で手動投入だった

沼田変電所 Z母線方式の屋外型キュービクル 直流断路器Z母線専用
一番左がZ母線(ZH) 下り11、上り12、上り14、下り13

 
籠原変電所 断路器をキュービクル収容
地方圏の直流キュービクルの設置(Z母線は収容されてない)
盤内で上下並列き電ができるようになっている。

盤面 
一番左 籠原電留線   2条 24L(36) 断路器2個
    電車区構内   2条 23L(35) 断路器2個
    熊谷貨物基地下り1条 21L(33) 断路器2個
    熊谷貨物基地上り1条 22L(34) 断路器2個

    岡部 下り   2条 13L     断路器1個
    熊谷 下り   2条 11L(31) 断路器2個 下りタイ断路器収容(岡部方)
    岡部 上り   2条 14L     断路器1個
    熊谷 上り   2条 12L(32) 断路器2個 上りタイ断路器収容(岡部方)


 残りは、現設中のZ母線断路器部分架台の撤去と線路側耐震工事だがこの記事はここまでとする。

気になる工事残 
 先に述べた蕨交流変電所からの66㎸ 2回線の盲腸送電線に+1回線増やす工事
建屋内の耐震補強、き電線の張替後、新しく空いた場所にC-GISの66㎸1回線を増やす。

 私見だが南与野変電所の耐震補強工事と同時に進行するのではないかとみている。
南与野変電所は埼京線の中で変電所更新が行われてない最後の変電所となる。この更新工事時に都市計画道路の管路を利用して浦和変電所まで66㎸ 1回線を引き込むのではないか
前例としては、以下が共同溝を利用している。


 現に南与野変電所から浦和変電所までパイプ型送電線が引かれていたが主要部分は撤去され再舗装されて綺麗になっている。まだ残っている部分は、さいたま市の低濃度PCB保管場所一覧で調べることができるがR5年度分はまだ開示されていない。(パイプ内に収容されていた送電線に絶縁油として低濃度PCBが含まれていた)


まだ残っている部分は、側道から浦和変電所までの間と埼京線高架下が撤去されてない

一応トレンチを掘って場所を確認した形跡がある。
浦和変電所構内 トレンチを掘った部分 囲いがしてある
上のハンドホールは蕨交流変電所からの66㎸2回線の線路側からの引込口

過去にこの部分から引き出されていたのだろう

歩道下の埋設物位置確認
線路を潜るのでかなり深い場所をパイプ型ケーブルが通っている


線路を挟んだ対面の側道部分 トレンチを掘ってある


工事は先なので埋め戻し


変電所側も埋め戻し



参考資料(順不同)
内田真ら;大都市圏通勤輸送区間における大電流き電回路の現状と問題点:電気鉄道,Vol.21,No.14,pp.2-18,1967

日本鉄道電気技術協会編;変電所一般 き電変電シリーズ

金子顕ら;JR東日本電機部門の輸送障害防止の取組み(電力編):鉄道と電気技術,Vol.23,No.12,pp.26-31,2012

板倉博文;鉄道事業者の変電設備(2)JR東日本の変電設備(直流)の概要:鉄道と電気技術,Vol.33,No.11,pp.60-64,2022



1360. 東京地下鉄 銀座線 浅草変電所(仮称)と花川戸機器棟(仮称)運用まじか

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