2020年8月10日

993. JR東日本 山形線・山形新幹線 大石田補助き電区分所 SVCが設備されている補助き電区分所 AT305

大石田補助き電区分所 SVC(Static Var Compensator )が設備されている補助き電区分所


アプローチ:大石田駅 容易
 過去に、デッドセクションがあったようだが確認のしようがない。山形新幹線開通時1999年にTSC方式のSVC(Static Var Compensator)が設けられた。この場所以外にTSC方式のSCVが設備されている場所は、羽前千歳変電所、大曲き電区分所があるが、どちらもデッドセクションを設備的に持っている。
 奥羽本線電化当時のき電系統図にデッドセクション記号があったので、現状は、どうなっているかGoogle Street Viewで見たところ、エアーセクションのようでもあり、またSVCが設備されているので、現調した。 SVCは設備されている機器の銘板を読むと1999年に設置されているので、山形新幹線新庄延伸時に設備された。

912. 東北巡検その七 JR東日本 院内変電所(ATき電)ブログリンク

以下 再掲
文献より引用 真室川SSP セクションの記号が新庄き電区分所(SP)と同じ三本線
同様に大石田も3本線 山形新幹線開通前の奥羽本線 電化時の構成

 電化当時のき電区分系統図 大石田、新庄、真室川にデッドセクション記号がある。
新庄はSP(き電区分所)なので羽前千歳変電所:院内変電所の突合せでデッドセクションがあるのは、当たり前。
では真室川SSPにデッドセクションがあるのは?
 
電化当時の新庄SPは、現在の新庄SPより山形方にあったため、院内SSが脱落すると、山形⇔新庄の行き来ができない。そのため真室川にデッドセクションを設けき電区分できるようにした。山形県内の経済活動範囲 米沢⇔新庄圏を生かすため(真室川⇔院内方向は山間部に入り経済活動が少ない)と思われる。
 では、最初から新庄SPを現在の新庄駅以北に設ければ、真室川SSPにデッドセクションを無くても対応できるのではと考えるが、ATき電区間100㎞の中間部にき電区分所(SP)を置くと言う不文律 羽前千歳SS⇔新庄SP間 54.5km 新庄SP⇔院内SS間 49.7km
羽前千歳SS⇔院内SS間 104.2km AT(単巻変圧器)は10㎞置きに設置。を律儀に守ると新庄駅手前に電化当時の新庄SPが設置されたものと思われる。

989. JR東日本 奥羽本線 真室川補助き電区分所(SSP) 補助き電区分所なのにデッドセクションがある補助き電区分所(SSP) ブログリンク

991. JR東日本 奥羽本線・山形新幹線 新庄き電区分所(SP) デッドセクションが無い き電区分所(SP) ブログリンク


では大石田SSPにデッドセクションがあったと思われる理由は?
大石田SSPは、大石田駅の新庄方にある。ここでき電区分すると新庄には行けない。 これまた山形県内の経済活動範囲 米沢⇔尾花沢・大石田圏を生かすためと思う


別の文献 やはり 豊里(真室川)SSPと大石田SSPはデッドセクション記号がある。 
CRはCR装置と思われる 湯沢は院内変電所を差す (山形新幹線開通前の状況)

当該部分拡大 〇部分がAT(単巻変圧器)
羽前千歳は、変電所から離れた場所にATがある。これは第一ATと呼ばれる方式で、他に秋田変電所、青森西変電所でも見られる形式である 豊里が現在の真室川。 釜淵、東根SSPは、斜線のエアーセクション 大石田、豊里(真室川)SSPはデッドセクション記号(山形新幹線開通前の状況) 新庄SPの位置は、現在と違い新庄駅手前にある。
CRはCR装置(HMCR)


国土地理院 空中写真 整理番号CTO7615-C28ー17 
1976年 400dpi画像から加工
電化当時の大石田き電区分所付近
1976年 奥羽本線電化時はSVCは設備されていない
山形新幹線 新庄延伸時の羽前千歳変電所、真室川補助き電区分所の運用形態
 山形線・山形新幹線のき電系統は、もともと東北電力側の短絡容量が小さく電源電圧変動が懸念される変電所ばかりであったため、、
1.赤岩き電区分所を設けて峠変電所を救済、さらにTCT方式のSVCを設ける。
2.米沢変電所は近傍の変電所直結の給電、
3.中川変電所これまた短絡容量が小さいのでTCT方式のSVCを設置、
同様に
4.羽前千歳変電所にはTSC型のSVCを設置(ATき電側に設備)
5.仙山線の作並SPにはACVRを設置(AVCRには極性があり、東仙台SS、羽前千歳SSどちらかのトロリ線電圧を上昇する動作を行う)
6.大石田SSPにもTSC方式のSVCを設置
等 電源の強化を図った経緯があるため、変電所脱落時の対応として特殊な運用を図っているものと思われる。ただし現状E3系統は力率1 回生ブレーキ利用等で変動要因は小さくなっているが、東北電力のバックボーンが強化されない限りはSVCの運用を避けることはできない。
運用の形態(多分このような形態で運用されていると思われる)


現状の大石田SSP
デッドセクションは無い、SVC(TSC型)が設けられている。理由は前述。




踏切側から俯瞰

SVC設備 手前 サイリスタスイッチ盤、コンデンサバンクと続く
全体の構成

羽前千歳SS方 TF,AFき電線引き入れ

院内SS方 TF,AFき電線引き入れ

AT(単巻変圧器)AT305

踏切方よりAT(単巻変圧器) AT305(羽前千歳ATから数えて5基目)


単巻変圧器 銘板 線間容量 4000kVA

大石田SSP エアーセクション部 通常のSSPのエアーセクション 踏切より俯瞰
奥 新庄方(院内SS方) 手前 羽前千歳SS方



エアーセクション間のAF,TFき電線から分岐するケーブルヘッド SVC装置へ
右にAT、左にCT

左 TFの電流測定用CT 中心 ケーブルヘッドを挟んで AF,TFの線間電圧測定用VT

SVC CT(電流測定)
先に分岐したケーブルヘッドが立ち上がるSVC装置部分 断路器を経由

左端 ケーブルヘッド立ち上がり 断路器の後はVCBへ 右 変圧器

SVC用変圧器 42000V? 降圧2700V 右端にVCBが位置する 左 コンデンサバンク

別角度 SVC用変圧器 二次側 2700V

左端にVCBが覗く

コンデンサバンク

コンデンサ銘板
コンデンサバンク 左にサイリスタスイッチ

サイリスタスイッチ盤

SCVは運転しているかどうか不明 Thy=Thyristor

表示灯が点灯していない

SVC制御用VT(トロリ線電圧測定) 電圧でバンクの入り切りをサイリスタで行う


判りやすい回路図があったので記載 T(TF)(トロリ線)とR(レール)間の電圧を測定
バンク切替を実施

大石田SSPに設置された無効電力補償装置の方式 サイリスタ方式

 大曲SPにあるSVC(TSC方式)
911. 東北巡検その六 JR東日本 大曲き電区分所(ATき電)ブログリンク
大石田SSPの約2倍の二次側電圧で作動させている。5400V
静止型無効電力補償装置(SVC,TSC方式・Thyristor Switched Capacitor) 
左 変圧器 中心 コンデンサ 右 サイリスタ 一番右 油冷冷却装置
 大曲SPのSVC作動原理
大曲SPの静止型無効電力補償装置(SVC,TSC方式・Thyristor Switched Capacitor) 回路構成
DSは断路器 GCBはガス遮断器
定格容量10MVA(5MVA×2) サイリスタの開閉によりコンデンサを投入する。制御は架線電圧値監視-V制御による段階的制御、投入制御は架線電圧18,200V以下で1バンク コンデンサ投入1バンク投入状態で再度架線電圧18,200V以下となった場合2バンク目投入。開放制御は架線電圧20,600V以上で段階的にバンク開放

但し、2016年再度検討したところ、上記の運用で臨時列車の運行時 秋田変電所脱落時に秋田泉き電区分所の最低電圧が16,000Vと電圧変動範囲下限値を割り込んでいることが判明、現行の大曲き電区分所のSVC投入整定値18,200Vでは、大曲き電区分所以遠に負荷が集中場合の電圧降下が大きいことが課題として明らかになり、SVC投入電圧を19,000V開放電圧を21,000Vとすることが提言されている。

羽前千歳SSにあるSVC
671. JR東日本 羽前千歳変電所 BT・ATき電 奥羽本線(山形線)仙山線 ブログリンク
 羽前千歳SSのTSC方式 左 高インピーダンス変圧器 隣 コンデンサ 右サイリスタスイッチ群 SVC装置 全景
大曲より規模が小さいが同じ構成

交流電化区間のき電区分所、補助き電区分所について整理
BT電化区間(在来線)
き電区分所:
 変電所間の異相突合せ部分、概ね両端の変電所の中間地点に設備される。工事、事故時の 限定き電区分も担う。デッドセクション必須、上下タイき電も行うことがある。片方の変電所が落ちた場合延長き電を行う設備がある。
 変電所から重ね15~25㎞毎(変電所間隔30~50㎞)に置かれる。ACVRが置かれる場合もある。特殊な例として新幹線のき電区分所で採用されているSNセクション(中セクション)を挟んだき電区分所がある(赤岩)

補助き電区分所:
 変電所からき電区分所までの距離が長い場合、途中に補助き電区分所を設備する。上下タイき電を行うこともある。工事、事故時の限定き電区分を担う。
 ほとんどの補助き電区分所は、エアーセクションで構成されている。ACVR設置の場合は、電位差が大きいのでデッドセクション化される。

AT電化区間(在来線・新幹線)
き電区分所:
変電所間の異相突合せ部分、概ね両端の変電所の中間地点に設備される。工事、事故時の限定き電区分も担う。デッドセクション必須、上下タイき電も行うことがある。片方の変電所が落ちた場合 延長き電を行う設備がある。
 変電所から重ね在来線45~55㎞毎、新幹線25~35㎞毎(変電所間隔:在来線90~110㎞、新幹線50~70㎞)に置かれる。AT(単巻き変圧器)が必須で置かれる。(通常時 き電末端となるため)SVC(TSC型)やACVRが置かれる場合がある。新幹線の場合は、SN(中セクション)を挟んだき電区分所となる。

補助き電区分所:
ATき電の場合 新幹線は8~10㎞置き、在来線は10~12㎞置きにATを置き誘導障害対応、き電電圧担保が必須となっている。そのため、ATのみを置いている場所もある。ATP=(AT Post)ATが置かれている場所は、補助き電区分所として設備され、工事、事故時の限定き電区分を担ため、エアーセクションが構成される場合もある。上下タイき電も行うことがある。通常時エアーセクション両端の電位差は無いので、エアーセクションでの融通が可能であるが、ACVR設置の場合は、電位差が大きいのでデッドセクション化される場合がある。SVC(TSC型)が置かれる場合がある。






参考文献
石塚紘彰ら;奥羽本線・羽前千歳--秋田間の電化:鉄道ジャーナル,Vol.9,No.12.pp42-45.1975
石塚紘彰;奥羽本線・羽前千歳--秋田間電化開業:鉄道ピクトリアル,Vol.26,No.1.pp40-43.1976
松本 将卓ら;峠変電所の静止型無効電力補償装置についての考察:電気学会研究会資料,2013,LD-13-54,TER-13-15
渡辺信行;静止型無効電力補償装置(SVC)の有効性について:電気学会研究会資料,2016(38-57):2016.7.7pp.73-78

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