2019年9月8日

907. 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 変電所 9/1施設公開日 番外

高エネルギー加速器研究機構 変電所 9/1施設公開 番外
#KEK、#加速器、#変電所、#原子核、#コッククロフト、#シンクロトロン、#GIS、#154kV
 


過去に理研の加速器も見学したのでKEKも見学してみたが9:00~16:00まででは、すべてを見切れない。見学拠点間は、バスで移動できるが、歩いてみることで色々なことが知ることができた。

149. 独立行政法人 理化学研究所特高受電所(交流)番外 ブログリンク

 夏は、電力が逼迫することもあるので、大型加速器を持つところでは定期点検・修理・組換に入るのが通例である。J-PARCも同じ。その期間に一般公開が行われている。

J-PARCと同様な154kV 2回線受電 全体がGIS化されている。メイン154kV降圧66kVは、負荷時タップ切替変圧器2台 容量が違うようだ 一次側中性点は、抵抗接地型でこれもGIS化されている。

66kVは所内にある特高変電所へ地中送電ケーブル2回線で供給されており、そこでさらに6600,400,200,100Vに降圧される。

確認したところ特高変電所が5箇所あるようだ。
PS(Proton Synchrotron)特高変電棟 66kV 2回線
AR(Advanced Ring)特高変電棟 66kV 2回線
日光特高変電棟 66kV 2回線
大穂特高変電棟 66kV 2回線
PF(Photon Factory)エネルギーセンター 66kV 2回線


各特高受電変電所の特徴は、進相コンデンサバンク、高調波抑制用のコンデンサバンクが多数設置されていることである。電圧は低いが電流は大きい。

契約電力 92,730kW 使用電力553,377,840kWh/3年間 入札の情報から

154kVで受電 一回線(1回線予備)で約600A 最大 505,368kWh/日 
換算すると約6万世帯/日の平均電力 使用量 ピーク時は更に増大 

ほとんどが空調・機器冷却・高周波発生・電磁石等で消費。KEKは巨大な電源装置の塊=電気ヒーターで投入された電力が熱に変換される。

ちなみに理研は66kV受電でおおざっぱで50MVA=50,000kW、コジェネを導入しているがKEKでは導入されていない。



変電所全景 154kV 2回線受電




中心の円筒形部分は、アレスタ(避雷器)


154kV側 母線 奥 66kV側母線 右 負荷時タップ切替変圧器

TEPCO財産部分のMOF

碍子洗浄用スプレー装置操作盤 内陸なのに??

負荷時タップ切替変圧器 防音建屋入


真ん中タップ切替操作装置

154kV降圧66kV 変圧器全体構成

中性点 抵抗接続部分 GIS化されてる。 左接地線引き出しブッシング


所内各特高受電変電所へ向かうGIS化されたケーブルヘッド
日光特高変電棟 66kV 2回線
大穂特高変電棟 66kV 2回線
PS(Proton Synchrotron)特高変電棟 66kV 2回線
AR(Advanced Ring)特高変電棟 66kV 2回線
PF(Photon Factory)エネルギーセンター 66kV 2回線

裏側 66kV 母線部分

別角度

66kV 降圧6.6kV変圧器 GIS化

別角度

コンデンサ群

J-PARCでは、MRの加速器を運転すると、そのパルス状の運転電圧の変動から6.6kV系でフリッカが発生している。また高強度のエネルギーを取り出す際に、受電系外に変動をもたらすので対策が必要となっている。

 

PS(Proton Synchrotron)特高変電棟 66kV 2回線

 中ほどにあるPSProton Synchrotron)変電所は、現在改修工事中で、隣接した場所に新しい変電所が設備されている。12GeVPSは既に役目を終えJ-PARCに研究は引き継がれている。
 PS変電所は、受電1系統が停止中で、66kV受電のケーブルヘッドには接地線が取り付けられている。敷地内には、運用を停止している空気遮断器(ABB)が特徴的な姿で、捨て置かれている。66kV級の他の受電はGIS化されているのが普通であるので、設備交換の時期が来ているのであろう。いかにも老朽化している。

Proton Synchrotronは、既に役目を終え、前置加速器のコッククロフト・ウォルトン型加速器は取り壊される運命にある。



66kV 2回線受電 ここにも碍子洗浄用のスプレー装置が設備されている
左ケーブルヘッド 断路器 右 CT

かつて使われていた所内鼻尖 66kV部分

66kV 受電部分

66kV受電 設備改修中 ケーブルヘッドに接地線

大きな空気タンクを持つ空気遮断器(ABB)

かつて使われていた母線部分

66kV 降圧6.6kV変圧器 運用停止中 断路器 開路

キュービクル群 ケーブル引き直し中

キュービクル群

非常用発電機

発電機 試運転用水冷ダミーロード

Proton Synchrotron変電所の隣に新しい変電所 構築中
右にコンデンサ群


66kV 降圧6.6kV変圧器 ケーブル接続未施工

66kV側 ケーブル接続部

この変電所の受電盤

やはりコンデンサは、多い

AR(Advanced Ring)特高変電棟 66kV 2回線



色別で変電所を識別している コンデンサが目立つ

色別で変電所を識別している コンデンサが目立つ

66kV降圧6.6kV 変圧器 6.6kV側

66kV 2回線受電端 GISケーブルヘッド



日光特高変電棟 66kV 2回線




右 66kV 2回線受電端 奥66kV降圧6.6kV変圧器GIS型

左 コンデンサ群

大穂特高変電棟 66kV 2回線



66kV 2回線受電端


奥 66kV降圧6.6kV変圧器 右 受電端

やはりコンデンサ群はたくさんある

PF(Photon Factory)エネルギーセンター 66kV 2回線

時間切れ
この建屋の向こう側に受電設備



各種電源棟


キッカー電源


40MeV電源棟

Proton Synchrotron用

ブースター電源棟

ブースター電源 変圧器

ブースター電源 コンデンサ

ブースター電源 変圧器とコンデンサ 



Proton Synchrotron 補助電源棟









コッククロフト・ウォルトン型加速器 1号機 萌え

前世紀の、歴史的加速器。説明者に聞くと来年には、もうないかもしれないとのこと
単純に言えば、倍電圧整流器の多段型 Proton Synchrotron(陽子加速器)の前置加速に用いられていた。加速器は、静電型と言われ直流の高電圧を印加して加速するもので、高電圧(±800kV 合計1600kVの機器もあった)であればあるほど、加速ができるが、絶縁の問題もあり、高周波で加速するシンクロトロンの台頭で廃れた。同様にバンデグラフ型加速器も廃れた。

 初期の加速器競争の時代は、雷で加速するアイデアもあった。 近年 雷が天然の加速器であることが発見されている。初期のころは、その高電圧だけが注目されていた。

 入力は、50Hzではなく350Hzの交流(発電機)を使い、変換効率とリップルを抑えている。発電された350Hz ACは、前置変圧器で100kVまで昇圧されて、コッククロフト・ウォルトン高圧発生部に供給される。

 倍電圧整流器には、セレンが使われており、コンデンサは、ひょっとしたらPCB入りかもしれないとのこと。非対称型のラダーで構成されている。(2号機は、対称ラダー)

 装置自体は、2つの部分から構成されており、コッククロフト・ウォルトン高圧発生部と粒子を打ち出すイオン源からなる加速管部がある。

 イオン源部分には、高圧下での電源が必要なため発電機と電源装置がフローティング電源として設備されており、装置下部から絶縁シャフトドライブで駆動されて実験に必要なイオン源電源を確保している。計測に関わる情報は、光ケーブルでやり取りする(絶縁確保のため)

 今回は1号の展示で如何にも前世紀の歴史的構造物の態を呈していた。装置が収まる部屋は、全体がシールドルームになっている。

天井の一部は、開閉可能な形であり、クレーンで装置の組立てが行える構造


 タンタンの「めざすは月」の挿絵の原子力研究所の挿絵にコッククロフト・ウォルトンの電源装置があり、X線の透写に使われていたりする。結構正確な模写。

福音館書店 タンタンの冒険旅行
エルジェ作川口恵子訳
「めざすは月」pp.23より引用
コッククロフト・ウォルトンの装置が結構正確に書かれている
福音館書店 タンタンの冒険旅行
エルジェ作川口恵子訳
「めざすは月」pp.13より引用
初期の黒鉛炉を使い天然ウランをプルトニウムに転換すると説明にはある。

隣には2号機があるが、こちらは開放されていない。どちらかと言うと2号機の方が近代的で最近まで運用されていた形跡がある。

コッククロフト・ウォルトン装置 電源部

1号機 350Hzの発電機から昇圧変圧器で10万Vへ
コッククロフト・ウォルトン回路で80万Vへ


高電圧発生装置模型
右 1号機 非対称型 左2号機 対称型
中心のハンドルを回すと9V電池の極性が交互に替わりACとなり
コッククロフト・ウォルトン装置に加わる構造

コンデンサと整流器の関係

別角度

昇圧変圧器100kV 350Hz

単相
出力部u、V


整流器 奥の黒い円筒形の物は、セレン整流器本体 碍管に収められている

コッククロフト・ウォルトン高圧発生器 頭頂部の放電間隙
500kΩの抵抗間を間隙が挟む

イオン源へ加圧電圧を送る10MΩ抵抗部分


分圧抵抗器


左イオン源と加速管右
 


中心部分が絶縁シャフト 頭頂部のイオン源用電源を駆動
冷却水の絶縁パイプも通っている

イオン源のカットモデル




コロナリングの中身

今回の展示は1号機 隣室に2号機が対称型コッククロフト・ウォルトン装置



コッククロフト・ウォルトン 2号機 管制卓


2号機 全体像

各部説明



高電圧分圧抵抗器 

前段加速器の部分がコッククロフト・ウォルトン加速器の部分

PF(Photon Factory)


左 中性子線線量計 左 ガンマ線線量計 (空間線量の測定)

蓄積リングの停止後の放射化状態のモニター結果
多くの放射光取り出しポートが円周上に分散している

各種測定ポート 引き出し実験装置


各種測定ポート 引き出し実験装置

放射線シールドは必要(運転時)

放射線シールドは必要(運転時)

PF(Photon Factory)管制卓



各種ポートの位置を示す



リングに向かうドア

鉛シールド衝立

加速器へ向かうドア

リング本体 加速管





放射光取り出しポート

 

MR(Master Ring)

陽電子・電子加速装置

右下の陽電・電子直線加速器で加速された粒子をMRに打ち込みさらに加速してBellⅡ検出器部分で衝突させる。
L字型の部分は、クライストロン(高周波発生)で加速に必要なエネルギーを粒子に与える
青が電子リング 赤が陽電子リング
直線加速器部分にあるリングは、陽電子ダンピングリング(形を整える)


巨大リング加速器(MRMaster Ring)外周約3km リングと名前が付いているが、八角形の形をしている。高周波注入部は、直線部分にあり 1Fにあるクライストロンからの導波管がアレス空洞のタンクから入り、加速空洞内(直線加速器)へ放出される。1クライストロンが1加速空洞に対応している。
MR12施設のMR電源(電磁石用)棟がある。

そして筑波・大穂・富士・日光の4箇所の実験設備が直線部分に設備されている。また筑波・大穂・富士・日光実験設備棟の両端にクライストロンが設備されており、この部分は

MR電源と共用されている。

 

37 日光 34 筑波 35 大穂 36 富士の4つの実験場があり、そのうち34 筑波に衝突実験装置BeLL Ⅱがある
4つの実験場の両脇にあるのがクライストロンが設備されている建屋で8か所ある。
実験場の名前は、その延長線上にある観光地を示す

地下11mへの機器搬入口(理研にも同様な縦穴がある)

11m下から見上げた開口部

MRの形 8角形
クライストロン電源 変電所

クライストロン建屋


高周波加速部 

後にアレス空洞 電磁エネルギー貯蔵空間から引き出された高周波が手前の加速空洞に放出される

別角度



アレス空洞は、予備もあり調整を行っている



加速管 2本 陽電子・電子用




右にビーム輸送管 陽電子用

分岐部 ビーム輸送管 右 陽電子



分岐部 ビーム輸送管 右 陽電子

直線加速器からの入射経路 陽電子











部分的には20μSv/hの放射化されたものがある







MR 陽電子・電子 衝突部 Bell Ⅱ検出器


放射線防御のブロックの向こうに検出器本体が鎮座している

水色の部分は、左右に開く

衝突部分を取り巻く各種検出器

検出器の配線がとぐろを巻く

検出器上部には各種クレートがありデータを処理し、測定機器室まで光ケーブルで送る

左右にある放射線防護隔壁


加速トンネルからの入射部


加速トンネルからの入射部

検出器データ アクイジションシステム

超伝導クライオスタットと電磁石電力入力ポート




計測機器室 台車に載っており左方向に移動できる

別角度 計測機器室 台車に載っており右方向に移動できる

別角度 計測機器室

  Bell Ⅱ検出器と計測機器室

陽電子と電子を高速で衝突させ放出される各種粒子を検出する検出器の塊、検出器からの信号(パルス)は2組ありandを取ることでデータの正確性を担保している。信号はその後ADCを通り波高、スパン、発生時間位置情報等がデジタル化されて光ファーバーで計測機器室へ送られる。
 
計測機器室は、放射線により誤検知しないよう放射線防護のシールドで囲まれている。この内部では、送られてきたデータに一次的な篩を掛けている。計測機器室からのデータは10Gbpsの帯域を持つLAN多数(リンクアグリゲーション)で計算機センターへ送られ二次的な篩を掛けられて保存され解析を待つ。この測定機器室はElectronics Hutと呼ばれている。Electronics Hutは、検出器本体から分離できる構造になっている。

Bell Ⅱ検出器から外された放射線防護ブロック


超伝導加速空洞試験設備 ILC加速器用加速空洞の開発を行う



組み立てた加速空洞

このクライオスタット(冷却魔法瓶)に先の組み立てた超伝導加速空間を入れて
冷却し実際に高周波を加え、試験する設備



各種クライストロン 左に導波管 黒鉛シールドカーテン

別のクライストロン

高圧電源からのケーブル

クライストロンに繋がる 鉛シールドで覆われている

導波管地下の超伝導加速器に繋がる

別のクライストロン 電源部

コンデンサ 赤 抵抗器が見える 高周波なので網目外には電波が漏れないスケルトン電源

同調間隙

同調器




800kWクライストロン 導波管部

鉛シールドで覆われた電極部

高周波なのでアース線がプレート

地下の超伝導加速器へのアクセスポート

インターロック機構

加速空洞が置かれている場所からの持ち出し時 放射線測定器
やはり放射化は、避けられない


加速器が置かれている空間

レーサー励起 電子銃部分

高周波同調回路

1F クライストロンからの導波管 立下がり部
導波管
導波管



加速されたビームのストッパー部分 ビームダンパ 一番放射化が起こる部分


ロシア製ダミーロード水冷式 電波を吸収して熱に変える

超伝導加速器が収まるクライオスタット

 

尖端加速器試験棟

ビームを絞り込む方法を研究している


インターロック

持ち出し物品の放射線化モニター

人間用ハンドフットモニター 放射線検出



除染用シャワー室







終端のビームダンプは、やはり高放射化が起こる

加速器の交差部も放射化は起こる


高周波供給導波管 鉛レンガで防御


直線加速器部分

クライストロンからの導波管

導波管内部は、高真空 分子ポンプで最終排気







加速部

加速部に繋がるクライストロンからの高周波導波管



円筒形の機器は、スレッドと言い高周波溜めて一気に放出する
MRのアレス空洞と同じ





リングに打ち込む分岐

リングに向かうビーム管

ビームダンプ部 直線加速器の終端 高放射化する


ビームダンプ 鉛レンガで防御

リング部分 鉛レンガで外周部を防御

リング交差部


リング交差部




放射線防御用 鉛レンガ1個10kg





交差部






最終的に高品質なビームを生成させる終端部


この奥がビームダンプ 18μSv/hの放射化されている部分


終端側からリング方向

放射線防護のための曲がりくねった通路

加速器がおさまっている放射線防護壁 1F部分

その他


陽子シンクロトロントンネルへの機器搬入口


陽子シンクロトロントンネルへの機器搬入口

陽電子・電子 直線加速器トンネルへの機器搬入口


環境放射線検出器 中性子線とガンマ線用



環境放射線検出器 中性子線とガンマ線用



コンクリート製放射線防護壁 BGとかいてあるので加速粒子で放射化された後、取り外されて野外放置 BG=バックグラウンドレベルまで放射能が低下したもよう


PCBは、コンデンサや変圧器の絶縁油として使われていた時代があり
KEKでも環境報告書でPCG処理が書かれている



コンデンサが多用されているのでPCB汚染保管場所が、あちらこちらにある


進相コンデンサや高調波除去のコンデンサ、高圧コンデンサ、変圧器等の絶縁油にPCBを使用したものもしくは、絶縁油に微量PCBが検出されたものの特別産業廃棄物保管倉庫



こっちだよの呼ぶ声で歩いていたら花を手向ける場所にぶつかった。 不思議な気持ち









 

 



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