2025年1月27日

1423. 東急電鉄 長津田検車区(長津田車庫開閉所)、横浜高速鉄道長津田開閉所、長津田車両工場き電室 田園都市線・こどもの国線

 長津田検車区(長津田車庫開閉所)


長津田車庫全体のき電を担当する直流高速度遮断器が設備されている建屋

上下方面別き電の時の長津田車庫のき電切替の状態
新玉川線建設誌の車庫編から引用

 長津田車庫全体をき電する長津田車庫き電所があり、田奈変電所方の下り2回線、上り1回線赤丸の断路器で切替使用していた。定位は下り方き電線2回線からき電分離 このころは本線は硬アルミ撚り線510㎟を使用、現在はCVケーブル500㎟を使用。き電所に分離するケーブルはCVケーブル325㎟2本一組を使用して引き込んでいた。
引込部分が長津田20号の架線柱。
下り方2回線が1回線に纏まるのが長津田12号の架線柱。
こどもの国線用き電線が架線柱用賀7号で分岐して断路器を経てこどもの国線へ
緑四角で囲んだ部分がこどもの国線(横浜高速鉄道)へのき電用断路器となる。

 1968年長津田 - つくし野間開業 こどもの国線は1967年開業。この時点まだ長津田車両工場は建設されてない。そのため断路器での供給で問題なかった。そして新玉川線建設誌にも長津田開閉所は書かれていない。
 1970年長津田工場操業を目指していた。しかし東急の検査入出場車両が走ることが1972年まで許認可が下りなかった。工場が操業数すると電力量も多く使用することと工場内事故で地絡が発生すると本線まで波及停電を起こすことから長津田開閉所を設けて直流高速度遮断器を設備して対応したと推測する。

 現在は上下一括き電き電なのでこの図の本線渡り線のセクションインシュレーターは無い。ただこどもの国線と車庫線の部分は本線と区分のためセクションインシュレーターがある。  
出典(「配線略図.net」・アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)

長津田駅の授受線については過去に記事にしている。
661. JR東日本・東急電鉄 長津田駅 授受線 セクション 2017年の記事



2024年時点 長津田車庫開閉所と思われる建屋 表示がない
左にハンドホールとき電分離用断路器盤がある

2024年時点 ダクトで引き入れられている。


 2024年時点 き電分離用断路器盤


2017年時点では柵が高くなかった
右建屋のハンドホール構築物がない。右建屋下に引込用の開口部2ヶ所がある

なぜここが開閉所かと判断した理由。
ちょうど奥の架線柱が長津田20号でき電線が引き下ろされている


2017時点 田園都市線 長津田20号架線柱からき電線の引込がある
き電線は硬アルミ撚り線510㎟ この時はもう上下一括き電が行われていた

2017年時点 高架から降りるき電線ケーブル 500㎟×8本

2017年時点 トラフから開閉所に向けてケーブル立ち上がり

2017年時点 トラス部を渡り開閉所に引き込まれる

このころは硬アルミ撚り線510㎟が使われていた。タイボンドはOC400㎟のケーブル


2012年時点 開閉所は右の建屋だった。
高架から引き下ろされるケーブルがトラスを渡って引き込まれている
Google Street Viewから

2016年4月 まだ新しい開閉所は無い
Google Street Viewから

2017年6月 新開閉所が建設完了 ケーブル引き込みは未了
この時点の開閉所を2017年11月に取材していた
Google Street Viewから

2018年1月 ケーブル引き込み作業開始 コルゲート管が右建屋に引き込まれいる
ケーブルドラムが左にある
Google Street Viewから

2019年8月 ケーブル引き込み箇所のハンドホールができている
Google Street Viewから

さてこの引き込まれているケーブルはどこからきているか

つきみ野方の上下タイき電の元上り線側から2本一組
2024年時点き電線は硬アルミ撚り線510㎟からCV500㎟のケーブルに交換されている


つきみ野方の上下タイき電の元下り線側から2本一組
2024年時点き電線は硬アルミ撚り線510㎟からCV500㎟のケーブルに交換されている



架線柱下の開口部から4本

ラベルが貼付されている
左 き電ケーブル 長津田12号 右 き電ケーブル長津田20号と記載
左は この架線柱20号の手前側12号からの引込
右は この架線柱20号直上からの引込

開閉所には、つきみ野方のき電線と架線柱12号からのき電線が引き込まれている。

それでは架線柱12号を調べてみよう

2017年時点では、ここはまだ硬アルミ撚り線510㎟が使用されている
左電柱上部に細い硬アルミ撚り線が上部に1本引き止められている。どこにも繋がって無い
 電車線区分標があることから本線は、この部分で田奈方とつきみ野方でエアーセクションでき電区分されている。

一括き電のき電線に碍子が割り入れられていて左右のき電線が区分されている。
田奈方のき電線から500㎟のケーブル4本が引き下ろされている。また細いケーブル2本も同じ田奈方き電線から引き下ろされている。
つきみ野方き電線からケーブル2本が引き下ろされている。
つきみ野方、田奈方との直近でタイボンドされている。

硬アルミ撚り線510㎟をOCケーブル400㎟でタイボンド
2017年時点

先ほどの長津田車庫開閉所に引き入れられている左線路脇の架線柱12号からのケーブルは田奈方と考えてよろしかと思う。
 
 開閉所で上下一括き電の田奈方とつきみ野方のき電区分が直流高速度遮断器で行われていると推測する。
 ではつきみ野方の2本引き下ろされているき電線はどこにつながっているのだろうか、また田奈方の細いき電線2本はどこに繋がっているのだろうか?この4本は同じダクトに収容されている。つきみ野方は先の架線柱20号で既に引き下ろされているので再度引き下ろすことはない。別の場所に引き込まれていると推定する。

架線柱11~12号 田園都市線下り方に電車線区分標があるのでエアーセクションが有る
2017年時点

 架線柱11号にダクトがありき電線2本がトラスを渡り上り側に移動している。これが架線柱12号でつきみ野方から分岐した2本と推測できる。ではこの2本のき電ケーブルはどこへ?

それでは2024年時点の架線柱12号での分岐がどうなっているかを見てみよう
2017年との相違は架線柱上部に引き止められていたき電線が田奈方に繋がっていることだけ
田奈方からの3本のき電線がここで引止められている。それぞれタイボンドここが田奈方末端
き電線がCV500㎟のケーブルに交換、接続部に保護カバーが付いている。

反対側から見た架線柱12号 2017年と変化はない

細いダクトが右側に伸びている(つきみ野方の2本と田奈方の細いケーブル2本)
大きいダクトには田奈方の4本が線路沿いのトラフに収容されている。このトラフを追うと架線柱20号の部分行きつく

太いダクトの表示は高圧注意

ダクトとトラフ接続部はRがある方が架線柱20号なので架線柱20号に伸びているのは確実

長津田車庫開閉所の予想単結線図

想定図 付帯する断路器は省いた
想定の根拠
新玉川線建設誌でも長津田車庫は定位が田奈変電所き電で3本(実際は500㎟ケーブル6本)で12号架線柱まで引かれていた。
新玉川線建設誌でも長津田車庫開閉所(き電所)は直流高速度遮断器が設備されていた
新玉川線建設誌では長津田12号架線柱に開閉器(断路器)があることが示されていたが装柱が断路器を置ける構造なので上下方面別き電のき電区分を行なう想定がされていた。そのため長津田車庫開閉所内に無停電で区分できるよう上下一括き電用の直流高速度遮断器を置いた。
長津田車庫開閉所には、無停電で田奈方、つきみ野方受電を行なえるように田奈方、つきみ野方に直流高速度遮断器を置いた。
長津田車庫開閉所の工場側のき電線は車庫内の接地回路付き断路器群につながっている

12号架線柱でつきみ野方、7号架線柱で田奈方から分かれたき電線の行く先は次に述べる。


横浜高速鉄道長津田開閉所


おさらい
 1968年長津田 - つくし野間開業 こどもの国線は1967年この時点でまだ長津田車両工場は建設されてない。そのため断路器での供給で問題なかった。そして新玉川線建設誌にも長津田開閉所は書かれていない。長津田7号架線柱に断路器がある。
 1970年長津田工場操業を目指していたが東急の検査入出場車両が走ることが1972年まで許認可が下りなかった。
 横浜高速鉄道が認可を受けた路線なので会社間を分けるためもある。工場が操業すると電力量も多く使用することと工場内事故で地絡が発生すると本線まで波及停電を起こすことから長津田開閉所を設けて直流高速度遮断器を設備して対応したと推測する。

横浜高速鉄道が最初の路線開設者のため 表示が横浜高速鉄道となっている

全体としては大きい 高配の開閉所も兼ねている

2本のき電線が長津田工場方に伸びている
そこから1本分岐して長津田駅方に伸びている



2本(実際は510㎟2本)ともう1本(510㎟)が合わさって工場方面に伸びている
硬アルミ撚り線510㎟ 1本で約930A 3本で約2,800A 工場でそんな電流必要か?
き電線を追うと2本になっていた。



長津田開閉所から工場方に出ているき電線は2本
入ってくるき電線が無い
長津田駅方に1本のき電線硬アルミ撚り線510㎟が伸びている

駅方に伸びる1本のき電線硬アルミ撚り線510㎟



拡大して追うと引止められてケーブル化され引き下ろされている

さて架線柱11号で上り方に移動したつきみ野方500㎟のケーブル2本の行方は如何に?

架線柱11号でダクトから引き出されトラス上を上り線側に移動

反対側からみた架線柱11号ダクトから引き出されて上り方に移動


上り線側架線柱11号で架空ケーブル配線となる
黄色のラベルが見える


長津田架線柱12号のCV500㎟のケーブルがきている
つきみ野方の上下一括き電線から分岐したもの

もう1本も同じ
書いてある内容は長津田12~長津田開閉所89‐1
89は断路器なので長津田開閉所内の断路器に繋がっていることで確定


架空ケーブル化されたまま(一番下の平行2回線のケーブル)駅方へ

長津田架線柱8号で引止められてダクトへ収容


ダクトからトラフへ収容 手前方にある長津田開閉所側に向かう

ダクトを追うとトラフになり長津田開閉所にトラフが収容されていた
架線柱12号のつきみ野方き電線は長津田開閉所に繋がっていた


田奈変電所からの3回線き電線はケーブル化されて跨線橋を潜る
500㎟のケーブルは5本
こ線橋を潜った先駅側 架線柱8号 田奈方き電線


次の架線柱7号でT分岐され2回線が上り方に移動
新玉川線建設誌では、この7号柱は こどもの国線へのき電線と断路器があった場所

ホームから別角度で見る 架線柱7号から右方に引き出されている

架線柱7号で引き下ろされてダクトに収容

表示 長津田架線柱7号~長津田開閉所

 予測は、当たり田奈方 架線柱7号、つきみ野方 架線柱12号から2つの方面別き電線は横浜高速鉄道の長津田開閉所に引き込まれていた。 長津田車庫開閉所と同じように田奈方、つきみ野方両方のき電線を引き込んでいる。定位は田奈方き電

余談 こどもの国線の留置線のき電区分

左奥の架線柱 長津田特7号で長津田開閉所から延長してきたき電線が引止められている
先ほどの長津田7号は手前の架線柱となる

拡大 留置線にセクションインシュレーターがあり き電区分している。


別角度から見る


左 架線柱7号特からき電線が2本引き下ろされてダクトに収容される
ダクトは右 キュービクル

長津田特7号架線柱から引き下ろされているき電線は断路器盤に収容されている


き電区分断路器盤と書いてあるので留置線のトロリ線のき電区分を行なっている。
接地回路付き断路器が収容されている

2017年 以前は接地極付き断路器だった 赤丸内
その右 架線柱7号から田奈方き電線が引き下ろされている


こどもの国線 ホーム終点寄りにあるセクションインシュレーター
左上 本線上り線とのき電区分

セクションインシュレーター部拡大
JRなどは上部碍子は2つ割り入れられているがここでは一つ


上下方面別き電の時の長津田車庫のき電切替の状態

 以前は架線柱7号から引き下ろされていたが、この結線だと田奈変電所方からのき電しかこどもの国線にはできないことになる。1972年 長津田工場稼働時 田奈方、つきみ野方両方からき電できるようになったと推測する。(長津田車庫開閉所と同じき電構成)そのため架線柱7号からのき電線を横浜高速鉄道長津田開閉所に引き入れてあるのが妥当設計。

長津田車庫内のき電線 外部から伺えるのは最小限
新玉川線 車庫編では2本のき電線で全体をき電している

最終の接地回路付き断路器群
12台の断路器群9台が接地極付き断路器 上部電源側がカスケード接続 
引止められた2本のき電線からの供給
もう1本のき電線は一番左の断路器に繋がっている










この引止められた2本のき電線の出処は
長津田車庫開閉所なのだが、この場所は車庫の奥にあたる


先のき電線2回路分(2本一組と1本)はこの車庫入口の架線柱で引止め


奥側は留置線の1に繋がるようだ

長津田検車区(長津田車庫開閉所)、横浜高速鉄道長津田開閉所のまとめ前段階

想定図
こどもの国線及び長津田工場き電は電源容量の大きい田奈変電所方を定位とした
付帯する断路器は省いた

???が付いている細いき電線2本の行く先が判らない。撮りためた各方面の架線柱を虱潰しに精査。

追っているのは架線柱12号のこの細いケーブルの先


架線柱11号に向かうつきみ野方500㎟のケーブルより細い 325㎟が妥当か
主き電線より分岐するき電分岐装置用だろう


長津田駅構内 中心2本が車庫への入出庫線 田奈方き電
上下一括き電なのでセクションインシュレーターが無い
車庫線との区分があるのでどこかにセクションインシュレーターがあるはず
本線は 左奥の電車線区分標が見える架線柱11号からエアーセクションとなる
車庫方面を拡大して精査
緑丸 下り方 本線のエアーセクション部 添線で強化されている
その左側にダクトから立ち上がる細いき電線2本がある。上部をクリートで固定され左へ
この部分は架線柱15号

この架線柱15号の左にある入出庫線をよく見ると
赤丸の架線分岐装置が2個と奥に緑丸のセクションインシュレーターが見える


架線柱15号のダクトから立ち上がる架線柱12号の細い田奈方き電線2本
下り線上部をクリートで固定され入出庫線の地上部へ

入出庫線に繋がっていた。ここまでは田奈方き電

入出庫線下り方にき電分岐装置で架線柱12号からの細いき電線が繋がる


入出庫線上り方にき電分岐装置で架線柱12号からの細いき電線が繋がる
奥の高架上の架線柱は架線柱15号

これで12号架線柱から分岐するき電線の接続先全てにけりが付いた。

長津田検車区(長津田車庫開閉所)、横浜高速鉄道長津田開閉所のまとめ 最終版



長津田車両工場き電室
 工場内での事故時こどもの国線に波及しないよう設けられている。


画像中央の小さい白い建物が長津田工場き電室(ドアに書いてある)

Google Earthから 矢印の先の小部屋がき電室
ドアにき電室と書かているのだがカメラで撮影できなかった


き電室

別角度 こどもの国き電線からT分岐

T分岐されたき電線はき電室に入り直流高速度遮断器とつながり
また引き出されて断路器の電源側とつながる

断路器部拡大 
断路器上部端子電源側にき電室から直流高速度遮断器を経由したき電線が繋がる
負荷側はき電線が2本に分岐して上に引き上げられる
工場内へ2本のき電線が伸びる
 
 黄色の保護カバーが付いているのがこどもの国き電線硬アルミ撚り線510㎟×2からT分岐したき電線
2本の工場内き電線はここで1本がT分岐して主トロリ線に繋がる


工場内き電線2本は奥の接地回路付き断路器に繋がりトロリ線に繋がる



 主トロリ線から分岐して各接地回路付き断路器に繋がる

主トロリ線から分岐して各接地回路付き断路器に繋がる


こどもの国き電線から行き違いトロリ線にき電

奥の断路シャッター付き車庫へのき電は車庫に右の接地回路付き断路器からき電
電源側を追うと工場内主トロリ線から受電されている。

断路シャッター

一番右 主トロリ線から受電して左接地回路付き断路器の電源側に繋がり負荷側(接地側)が2本に分岐してシャッター付き車庫とその隣のトロリ線に繋がる


工場内には8500型のカットモデルが置いてある
休憩所?
余談

 長津田車庫線と本線は、電車の運行本数の出庫後は大きく違う。車庫線と下り本線間での線条の電位差が発生する恐れもあるのでインピーダンスボンドがクロスボンドされている箇所がある。


奥の入庫線と下り線のインピーダンスボンドの中性点がクロスボンド

手前下り線方 インピーダンスボンドの中性点のクロスボンド接続点



奥 入庫線方 インピーダンスボンドの中性点のクロスボンド接続点


奥の入庫線絶縁繋目の絶縁板の状態

手前下り線側の絶縁繋目の絶縁板の状態
手前と奥にアーク痕があるようだ


1308.  東急電鉄 日吉駅構内 発煙事故 考察 帰線電流(電位)差 記事修正(元住吉駅目黒線帰線部修正)








参考資料(順不同)

配線略図については以下の資料を引用
出典(「配線略図.net」・アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)

東急電鉄新玉川線建設誌 東急電鉄リンク  車庫の部分を参照している

松原優平;鉄道事業者の変電設備(17):鉄道と電気技術Vol.35,No.2,pp.82-85,2024








































正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

1409. 正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

新年 明けましておめでとうございます 今後も ゆっくり更新していきますので、よろしくお願いいたします I`d like to wish you a better New Year Than 2025 and stay safe. We will continue...

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