東洋経済の記事 以下引用
「JR内房線で採用された整流ポストによる交流き電で直流電化は実現可能だ」
東洋経済 Web記事リンク JR「ダイヤ改正」から読み解く各社の損得勘定
が如何にどんな意見であるか調べてみた。
交流変電設備とは、変電所、き電区分所 、補助き電区分所とする。
以下道内電鉄変電所をざっと調べてみた。
JR北海道の在来線電化区間は、駅間で示すと以下のようになる。
1.室蘭本線 室蘭駅⇔沼ノ端駅間 ATき電 20kV
2.千歳線 沼ノ端駅⇔白石駅間 ATき電 20kV
3.函館本線 函館駅⇔新函館北斗駅間 ATき電 20kV
小樽駅⇔旭川駅間 BTき電 20kV
4.海峡線 中小国駅⇔木古内駅 ATき電 25㎸
5.学園都市線 BTき電 20kV
となっている。
このほかに北海道新幹線ができたため
道南いさりび鉄道が
木古内駅⇔五稜郭駅 ATき電 20kV
となる。
交流電化区間の在来線は、BTき電方式で変電所間隔は30~50Km ATき電方式では60~100Km間隔となりATき電方式のほうが変電所間隔は長くなっている。
直流鉄道は、供給容量にもよるが都市部で約5~10km間隔 地方で約15km間隔となる。
これを道内にあてはめたら、多数の直流変電所(連絡送電線:き電補助線を設けた)を置かなくてらならず現実的ではない。 多数の直流変電所+直流車両作製で初期費用が増大する。
整流ポストは
1.簡易的な設備で、設置費用を安くする。(親変電所からの制御)
2.直流変電所を設けなければならないが、近辺に電源用の送電線が引かれていない。
との状況で設置された。
ATき電区間は、JR北海道の在来線の場合約10km置きにATをATポスト、変電所中間にき電区分所を置いているので、大体の感覚であるが、以下のピンク点に直流変電所を置かなくてなならなくなる。
BTき電区間は、約30㎞置きに変電所、中間部にき電区分所が置かれているので、同様にピンクの点に直流変電所を置けばよい。
各直流変電所には、フル装備のシリコン整流器と整流用変圧器、直流高速度遮断器をセットし、かつ交流側に遮断器、断路器を設ける形となる。
内房線の整流ポストの設置理由は、鹿野山の観測所の地磁気測定に影響を及ぼさないよう、かつ直流電化のコストが最小限になるような構成と間隔で設置された。また整流ポストが置かれた君津、大貫、竹岡各整流ポスト付近にTEPCOの送電線が無かったことも一因である。現在 君津には、近傍にTEPCO送電線があるので、そこから受電している。
整流ポストに直流高速度遮断器を置かない構成は、保安上問題が大きくなるので現在は、直流高速度遮断器を設置して変電所に格上げされている。
これらかつて整流ポストとよばれた変電所群は、き電補助線と呼ばれる連絡送電線33kVで結ばれているが、山越え送電線の保守等問題があり、JR東日本では、電力貯蔵装置の利用を考慮して実験を行っている。しかし一部のき電補助線の山越え部分は、線路際のケーブル送電に切り替わっている。
114. JR東日本 君津変電所(直流)とその周辺 ブログリンク
116. JR東日本 大貫変電所(直流)ブログリンク
115. JR東日本 佐貫町変電所(直流・交流) ブログリンク
117. JR東日本 竹岡変電所 ブログ リンク
750. JR東日本 内房線 直直デッドセクションはあるか 大貫変電所 回生電力貯蔵装置の実態 ブログリンク
また、かつて福島⇔米沢間の直流電化の際に、連絡送電線を設けて変電所間で回生電力を融通したことがあったが、これは勾配が続く区間だったため回生電力の融通を考えてのことである。
662. JR東日本 福米線電化の道筋(直流→交流、狭軌→広軌)ブログリンク
羽越線の村上駅にも村上整流ポストがおかれたが、これは村上駅近傍に東北電力の送電線が無かったためである。現在は、村上整流ポストは、東北電力からの66㎸受電に切り替わっている。
700. JR東日本 村上変電所(交直)とデッドセクション 羽越本線 700投稿記念 元旦号 ブログリンク
699. JR東日本 平林変電所 羽越本線 直流 かつては154kV受電であった ブログリンク
縮尺は、3枚の画像は大体同じにしてある。
函館本線 小樽駅⇔旭川駅間 BTき電 20kV、学園都市線 BTき電 20kV き電区分所を含む
札幌都市部の緑の直流変電所の分布で考えると、内房線のかつて整流ポストと呼ばれたような小容量の変電所の場合 数多くの新設直流変電所を設けなければならない。
AT電化区間 変電所 き電区分所
室蘭本線 室蘭駅⇔沼ノ端駅間 ATき電 20kV、千歳線 沼ノ端駅⇔白石駅間 ATき電 20kV
説明を追加 |
ATき電
海峡線 中小国駅⇔木古内駅 ATき電 25㎸、函館本線 函館駅⇔新函館北斗駅間 ATき電 20kV、道南いさりび鉄道 木古内駅⇔五稜郭駅 ATき電 20kV
ポイントが重なっている部分は、北海道新幹線 関係のトンネル斜坑位置も含むため
個別のポイントの変電所名は以下のWeb参照
×が鹿野山の観測所
鹿野山測地観測所と直流変電所 グーグルマップ リンク
結論
新たな直流変電所(連絡送電線:き電補助線を設けた)を構築し、直流車両を導入する意義はない。
ただし、現有交流電化区間も運行頻度が低い、室蘭本線 室蘭駅⇔沼ノ端駅間、函館駅⇔新函館北斗駅間、木古内駅⇔五稜郭駅は、交流電化設備の老朽化があるので、場合によっては交流電化廃止も考えられる。この場合の運行形式としては、男鹿線で取り入れられた交流蓄電池車(JR東日本EV-E801系電車:ACCUM)の導入、ディーゼル(ハイブリッド)車の導入が考えられる。
901. 東北巡検その二 JR東日本 男鹿変電所 男鹿線 EV-E801(ACCUM)用 AC20kV ブログリンク
貨物は、青函トンネル以外はDL運行
運行頻度の高い 小樽、札幌、旭川(△)は、BTき電のまま。千歳線は、AT電化設備の更新がおこなわれているので現有ATのままで維持するのが吉である。
(個人の見解です)