2025年5月19日

1490. 北陸巡検1 JR東日本 北陸新幹線 新長野変電所 新赤沼き電区分所撤去への対応

 新長野変電所 新赤沼き電区分所撤去への対応

1257. 信州巡検18 JR東日本 北陸新幹線 被災新赤沼き電区分所の現状 延長き電の実態

 2022年付の記事 この記事では新坂城変電所からの延長き電で、並列き電は行われず片送り、新長野変電所で突合せではないかと述べていた。

 ところが東海道新幹線の60周年記念記事で変電所、き電区分所などの調査を行なった際に並列き電が、開業当初から盛り込まれて運用されていた事実を知ってしまった。そして2025年においても一部東海道新幹線では並列き電(もしくは片送りき電で変電所で突合せ)を行なっていることが文献で判明している。 以下の記事

1430. 国鉄・JR東海 東海道新幹線 BT電化からAT電化最終形態までの変電所、き電区分所、補助き電区分所の変遷(開業60周年記念) 2025年3月記事

 そしてこの東海道新幹線の記事をUpした後 新長野変電所と新坂城変電所の上位変電所が同じ系統で運用されているので、ひよっとして並列き電が行われているのではないかと推測している記事をUpした。

1439. JR東日本 新赤沼き電区分所 一時撤去 長野基地変電所1回線受電に変更  北陸新幹線 2025年3月記事

 これは、実際に調査しなければならない欲求に苛まれて恒例黒部立山アルペンルートの通り抜けの際に新長野変電所を含めた北陸巡検を実施した。

 北陸新幹線(長野以北)はJR東日本の新長野変電所だけが275kV受電の変電所で残りは基地変電所の一部を除いて154㎸受電となっている。JR東日本は275kV受電の新幹線線変電所は多くあるがJR西日本の北陸新幹線変電所は全て154kV以下の受電である。これは変電所の管理技術者要件で275㎸受電が第一種電気主任技術者が必要なことに関連していると思われる。

 調べる部分は新長野変電所のき電用遮断器室の前後の断路器 き電用遮断器は建屋内に収容されているので遮断器の状態「入、切」を知ることはできないが、前後の断路器ならば「入、切」の状態が外部から観察できる。幸い 新長野変電所は盛り土の上ではなく丘を切り開いた部分にあるので外部からの観察は容易であることを予めGoogle Street Viewで確認した。

最寄り駅は飯山線 立ヶ花駅
東信変電所と系統は同じ



左 紅白鉄塔から分岐275kV 2回線 中部_東信新北信線


JR東日本の北陸新幹線最終の変電所

変電所構内へ


奥が2L 断路器は「入」 
コンデンサ形VTと避雷器を経て断路器、遮断器へ

遮断器の次はCVTと表示があるVT(コンデンサ形電圧計)

CVT(コンデンサ形電圧計)とCT(変流器・電流計)でMOF(電力量計)を形成


再び避雷器を経由(サージ電圧を変圧器に加えない対策)右はCT

ルーフデルタ結線変圧器 275kV降圧60kV 二次側A座、B座

ルーフデルタ結線変圧器 一次側275kV 大きさからして60MVA位か


275kV受電なので中性点直接接地方式



二次側はA座、B座でF(AF)とT(TF)が引き出される60kV(標準電圧は50kV)

OT(所内変圧器・逆スコット結線変圧器)の両側にはGPT(接地変圧器・EVT)
その前にLA(避雷器)を経由(4本のラインポスト碍子が避雷器)
手前がB座、奥がA座

2回線受電なので同じ物が奥にもある。 2Lから受電しているので奥側が加圧中


1L側のき電電流A,B座(F,T)を測定するCT(変流器) 奥に2L側の同じもの
今回は2L側受電しているので奥側が加圧中


A座、B座のT,FはCT(変流器)、断路器を経由してき電母線に繋がる


左奥の4本のブッシングが出ている建屋(下りき電用CB室)にき電用遮断器が収容されている

き電母線部 
 1L,2Lのき電用変圧器からの2次側が集約 上下線別 A、B座F(AF)とT(TF)に分かれる
手前側1Lは、受電断路器開放で加圧してないので母線への断路器(緑)A,B座F(AF)とT(TF)は開路、奥2L側は受電断路器投入で加圧しているので母線への断路器A,B座F(AF)とT(TF)は閉路、左 下り方 F(AF)、T(TF)は断路器投入(赤)




 き電母線部 
 左奥の4本のブッシングが出ている建屋(下りき電用CB室)に繋がるF(AF)とT(TF)の断路器は閉路 2Lからの電源で加圧中 1Lからのき電母線に繋がる断路器(緑)は開路

き電用CB室と表示 CB=circuit breaker
奥が上り方 12,14のき電線用、手前が下り方 11,13のき電線用の遮断器が収容


き電用設備 右から左への流れ
右 変圧器、逆スコット結線変圧器(OT)とGPT、CT、1L,2L二次側のき電母線集約部

ここからATが噛むため碍子等級が下がる き電用遮断器 負荷側
手前 下り 11(新坂城変電所方),13(新上越変電所方)き電線に繋がるA(AF)、T(TF)が引き出されている。 
奥 上り 12(新坂城変電所方),14(新上越変電所方)電線に繋がるA(AF)、T(TF)が引き出されている。
 新坂城変電所との区分にあたる新赤沼き電区分所は撤去、新上越変電所方との区分 新高田き電区分所は通常運転の状態


 中央 鉄構で隠れているが下り(新坂城変電所方)断路器11(緑)が開路 つまり新長野変電所からはき電していない。 左の赤は11,12き電線のA(AF)、T(TF)をタイ接続する負荷断路器89FTは閉路。


別角度 右に下りき電用遮断器室
 13き電線へは断路器投入(赤)でき電 11き電線は断路器開路(緑)でき電していない。さらに上り方12き電線と11き電線は負荷断路器(赤)でタイき電を行なっている。


タイき電用負荷断路器 
赤 閉路 11,12(新坂城変電所方)F(AF)、T(TF)はタイき電中
緑 開路 13,14(新上越変電所方)F(AF)、T(TF)はタイき電を行なっていない


 つまり、新坂城変電所からの延長き電(新赤沼き電区分所撤去)ため 11及び12き電線のF(AF)、T(TF)は新長野変電所内でタイき電を行ないかつ、新長野変電所は片座(A座)でき電中ということになる。新長野変電所 直下の切替開閉器は、新長野変電所電源(13,14)と新坂城変電所電源(11,12)で切替動作を行なっていることになる
 
 これが並列き電となっていたら11及び12き電線のき電用遮断器室 負荷側の両断路器は投入されている。しかし片方(新上越変電所方)だけのき電用断路器が投入されているので並列き電とはなっていない

AT部

奥に見える切替開閉器は二組あり、一組は予備器として運用されている
右 紫丸は、下りSN(中セクション)短絡用断路器 開路 切替開閉器故障時投入


このAT11は新坂城変電所の末端ATとして機能している


このAT13は新長野変電所の第一ATとして機能している


各AT(単巻変圧器)には切り離し用断路器が3基ついている(F(FA)、N、T(TA))


各AT(単巻変圧器)には切り離し用断路器が3基ついている(F(FA)、N、T(TA))



AT(単巻変圧器)の各端子にはVT(電圧計)が付いている


切替開閉器を通ったSN、F(AF)、T(TF)き電線がトンネル内に引き込まれる
赤は、予備回線


上下線 き電線トンネル内引込部 
右 11,13き電線とSN1が引き込み 左 12,14き電線とSN2が引き込み

一般的なき電回路の構成
最初は、緑で新長野変電所突合せでき電していると考えていた。
その後 東海道新幹線の情報を得て青で並列と考えた。
そこで 新長野変電所の調査が必要となり北陸巡検を行なった

新長野変電所で新坂城変電所突合せであることが判明した。
新長野変電所のルーフデルタ結線変圧器は片座しか使用していない

 基幹送電線275kVに繋がっているため、もしJRの変電所で並列き電を行なっていて事故が起こり波及した場合多大な影響を基幹送電線に繋がっている変電所に及ぼすため、無難な突合せを選択したのだろう。
 JR東日本で同じ系統に繋がっている新渋川変電所と新箕郷変電所は、並列き電を行なっていない。新新箕郷変電所の直ぐ側に新八木き電区分所があるが切替開閉を行なっている。

はくたか566号 充電器の電源OFFの確認時間 SIVで電源が切れないかと思ったが切れる。
富山駅発     14:22
新黒部SS     14:31電源断
黒部宇奈月温泉駅発14:33
新糸魚川SP    14:47電源断架線周波数50Hzへ
新糸魚川駅    14:48
新上越SS     14:57電源断
新高田SP     14:58電源断架線周波数60Hzへ
上越妙高駅    15:01
新長野SS     15:14電源断
長野駅      15:22
新赤沼SP      ー
新坂城SS     15:31電源断
新軽井沢SP    15:43電源断架線周波数50Hzへ
新箕郷SS     15:57電源断
新八木SP     15:58電源断
高崎駅      16:03
新高崎SP     16:05電源断
新熊谷SS     16:13電源断
新鴻巣SP     16:19電源断
新大宮SS     16:21電源断



参考資料
変電所一般 き電変電シリーズ:日本鉄道電気技術協会 表3.4.1引用

御籐憲行ら;北陸新幹線(長野・金沢間) 変電設備・配電設備・電車線設備紹介:明電時報Vol.344,No.3,pp23-24,2014

須貝孝博;北陸新幹線(長野・金沢間)の電気設備について:J. IEIE Jpn.   Vol. 35 No. 8,pp3-6,2015



















































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