新白石き電区分所
新白石き電区分所 |
新白石き電区分所 地図リンク
新福島変電所⇔新仙台変電所間の異相き電区分所 この間は距離があるので
新福島変電所ー新藤田補助き電区分所ー新白石き電区分所ー新大河原補助き電区分所ー新槻木補助き電区分所ー新仙台変電所となり変電所間に3補助き電区分所と1き電区分所が入っている。
NHK Webニュースからキャプチャ引用 |
さて、Webでは多くは変電所と言う名称で呼ばれているが、正式名称は、き電区分所が正しい。
変電所とは、国土交通省運輸局では「構内以外の場所から伝送される電気を変成し、これを構内以外の場所に伝送するために設置する整流器、変圧器及びその他の電気設備を設置した場所」と言う定義に当てはまるものを示す。工事は運輸局認可事項として取り扱われる。
このき電区分所、単巻変圧器(AT)が上下線で4台あり画像では直列に並んだ4つの白い建屋を示す。しかし変圧器があるからと言って変電所には該当しない。変電所の要件としての「構内以外の場所から伝送される電気」は、無く ATき電線(F)及びトロリ線(T)からの受電のみ・構内で完結しているので変電所の定義には当てはまらない。その他2つの白い建屋は延長き電用の遮断器が収容されている。
新幹線は、変電所間の異相き電区分を力行で通過するため中間にSNセクションを持つ。切替開閉器で2つのエアーセクション間をSNを跨いで繋いでいる。切替開閉器は100%の予備を持ち、この新白石き電区分所では高架下に設備が収容されている。
き電変電シリーズ 変電所一般一部資料改変 52FCLの部分 元は89FCLであった |
力行で変電所異相区分を通過する新幹線の切替開閉器動作内容 き電変電シリーズ 変電所一般から引用 |
新矢吹き電区分所 新白石き電区分所と同じ構成 大きな長方形の建屋が切換開閉器が収容された建屋 但し新白石き電区分所は高架下の建屋内に切替開閉器が収容されている。 3本のブッシング(角が出ている部分)が1組の切替開閉器に対応し2組あるため100%予備 |
以下
福島県沖で発生した地震による東北新幹線の被災確認状況について 20220318Version
JR東日本プレスレリースから引用
白石蔵王駅手前福島方の新白石き電区分所付近の被害が大きい |
JR東日本 記事差し替え20220321 Version
電柱損傷が無くなっている JR東日本 資料より切り取り |
やはり、電柱損傷の場所は、新白石き電区分所の場所ではなかった。
先頭部は、中セクションを抜けて、新仙台変電所方に抜けている。 理由 T、SNセクションのき電線が見えない F(ATき電線だけが見えてる) JR東日本 資料より切り取り |
現場は、周辺が田畑なので重機を入れて釣り上げるよりは、軌道が壊れていないので1両ずつジャッキアップが最適の工法だろう。
脱線車両は下り線に該当し丁度SNセクションを抜ける部分で脱線している。先頭車両は、エア―セクションを抜けている。後部車両は切替セクション内にある。切替セクションンの長さは約1200mその両端にエアーセクションがある。これは切替セクションのき電線が福島方に伸びていることから確認できる。
地震発生の場合、沿岸に設けられている地震計、及び変電所、き電区分所に設けられている地震計で初動のP波を検知。変電所のき電遮断器を開放して停電となる。新幹線は停電を感知すると自動的に緊急ブレーキをかけ列車を最速で停車させる。今回の地震では車両が白石蔵王駅停車のため減速中の停電であり停止後の揺れで脱輪脱線が発生しているので、車輪による軌道の損傷は少ないとみられている。
き電区分所の付近は、エアーセクションと中セクションが入り組んだ構成となりき電線の本数が多い。
問題は、高架下に収容されている切替開閉器建屋の損傷が有るか、無いかである。高架橋の土木構造物個所に損傷が見られることから、もし損傷があれば使えないことになる。この場合 新福島変電所もしくは新仙台変電所からの延長き電で、き電区分所をスルー化してき電は行える。(エアーセクションのエアージョイント化)
これと似たき電区分所のスルー化(エアージョイント化)は、浸水被害を受けた新赤沼き電区分所が切換開閉器が揃えられないので、新坂城変電所からの延長き電で新長野変電所までき電している。
その他 ストラクチャ損傷部分
これも3枚とも同じ場所で撮影されたもの 電柱損傷は、地震直後のもの ストラクチャ損傷は、その後の余震でコンクリ片が道床にこぼれている。 場所は古川手前でATが写りこんでいることから新三本木補助き電区分所と思われる。 JR東日本資料から引用 |
補助き電区分所の役割は、事故等による限定き電区分とATき電で必要なAT(単巻変圧器)を10㎞毎に置くこと。御多分に漏れづここも変電所では無く、補助き電区分所となる |
参考
北海道新幹線の在来線区間にある中小国、木古内き電区分所は、異電圧のき電区分所であるので、現在25㎸から20㎸に降圧するダウントランスが置かれている。
中小国き電区分所は、青森西変電所が落ちた場合25kV降圧20㎸で新幹線今別変電所電源でき電救済を行う。
木古内き電区分所は、五稜郭変電所が落ちた場合25kV降圧20㎸で新幹線吉岡変電所電源でき電救済を行う。
このダウントランスの設備により先の運輸局の判断「構内以外の場所から伝送される電気を変成し、これを構内以外の場所に伝送するために設置する整流器、変圧器及びその他の電気設備を設置した場所」の定義に該当することになり工事は、運輸局認可工事として取り扱われた。両き電区分所は常時き電区分所として機能するので、施設の名称は「き電区分所」とすることで運輸局の了解を得ている。
延長き電時のイメージ 資料から引用 |
参考資料
山本 弦矢ら;台風19号で被災した北陸新幹線電気設備の復旧について:鉄道と電気技術,Vol.32,No.9,pp.8-14,2021
北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)北海道方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.385-408、第13編共用区間pp.472-530
き電変電シリーズ 変電所一般 日本鉄道技術電気技術協会編