門司変電所
改定箇所 直流電化時点の門司駅構内 直流き電ヶ所 資料提供:ksysblogさん
鉄道資料箱 Author:ksysblog
受電:66kV 2回線 九州電力 門司変電所 門司原町線No.8
66kV 地中送電線2回線から
分岐
以前は1回線受電だった。
き電:山陽本線上下(直流)、門司港方面上下、門司駅構内上下、折尾貨客方上下
北九州貨物ターミナル全線、門司機関区及び入出区線(すべて交流・BTき電)
交流部 スコット結線変圧器 2台 8回線
直流部 シリコン整流器 多分4,000kW×1 二重三相ブリッジ結線 2回線
次変電所
直流 山陽本線 下関変電所 シリコン整流器 6,000kW×2
交流 鹿児島本線 小倉き電区分所 折尾変電所
日豊本線 西小倉き電区分所 朽網変電所
交流電化当初 20kV 2回線受電
直流 水銀整流器3台、整流用変圧器3台で直流を強化
交流 単相変圧器1台 4回線 小倉き電区分所
折尾変電所(スコット結線変圧器)2台
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交流電化開始時のき電系統 日豊本線はまだ電化されてなかった
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関門トンネルの開通は1942年(昭和17年)7月1日(下り線)、1944年(昭和19年)8月8日(上り線)で1944年(昭和19年)9月9日直流電化で運転が開始された。また門司駅構内で電気機関車と蒸気機関車に付け替えが行われていた。そのため戦前の門司駅は直流電化で
き電が行われていた。戦後 九州地区では交流電化を行なうことが決定されて門司駅での交直車上切替が1961年(昭和36年)から行われている。
大抵の交直接続駅に付随する交流変圧器(黒磯、青海)は、単相変圧器が多かったが最近では不等辺スコット結線変圧器が増えている(村上、藤代・以前は藤代も単相変圧器だった)この門司変電所は、まったく別の発想でスコット結線変圧器を使いM座T座を利用していた。
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門司原町線No.8 66kV 2回線この鉄塔から地中送電線化
Google Street View
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門司原町線No.8 直線部が架空送電線 キザギザが地中送電線 △マークが需要家線でNo.8から分岐するのがJR九州 門司変電所
九州電力 門司地区 送電系統図から引用
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門司変電所内き電線 配置
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こちらは以前の受電部1回線
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別角度 ポリマ碍管のケーブルヘッドがC-CISに繋がる
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C-GIS化された母線配分盤ここから各変圧器に分配される 一番左は受電盤で2号地中送電線が直で繋ぎこまれている(断路器・遮断器収容)
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601 VCT盤(MOF)回線ごとにMOFがある豪勢な作り
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601盤(1号受電)以前からの受電経路で受電
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602TP盤(2号き電用変圧器・スコット結線変圧器)へ
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601TP盤(1号き電用変圧器・スコット結線変圧器)へ
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605TP盤(高配変圧器)へ
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601GP盤(整流器)整流用変圧器へ
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2回線目受電 602盤(2号受電)左の盤に直接地中送電線繋ぎ込み
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602VCT盤(MOF)回線ごとにMOFがある豪勢な作り
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ケーブル接続整流用変圧器(左)とバスダクトで繋がるシリコン整流器(多分4,000kW位)
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直流 負極母線断路器 右 整流器側 左 インピーダンスボンド側 右 シリコン整流器
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ケーブルで繋がる高配用変圧器 一次側
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左 スコット結線変圧器 2台 断路器でき電母線へ繋がる 中心 T座・NF、NF・M座母線 左 直列コンデンサと保護装置
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1台目 スコット結線変圧器 u,ou=M座 ov,v=T座 1次側はケーブル接続
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2台目 スコット結線変圧器 u,ou=M座 ov,v=T座 1次側はケーブル接続
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断路器 手前側は開極状態 後ろ側は閉極状態 後ろ側でき電中 断路器からの電線が上部母線に繋がる 一番手前ov,v=T座側が奥のT座側に繋がっている
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T座、M座のNFは小さいラインポスト碍子(左下)で直列コンデンサに繋がる
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M座 直列コンデンサ左と保護装置 断路器の位置は直列コンデンサ投入中
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T座 直列コンデンサ左と保護装置 断路器の位置は直列コンデンサ投入中
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この表示 両サイドのDS(断路器)投入で直列コンデンサ投入になる 短絡用DSは開放状態
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M座、T座(右)でそれぞれの直列コンデンサを経たNFは上部で1本化される
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力率改善用並列コンデンサ 左M座 右T座 NFは共通 断路器を経て遮断器で投入
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力率改善用並列コンデンサ、リアクトル 右 放電器にTのラベル
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いよいよ各線区にT座、M座を分配する部分に入る
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各線区にき電線分配
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T座 右から門司港方面下り線213、門司港方面上り線214、間にタイき電断路器(開路) 門司駅構内上り線216、門司駅構内下り線215、間にタイき電断路器(開路)
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T座 右から、門司港方面上り線214、門司駅構内上り線216、門司駅構内下り線215 北九州貨物ターミナル全線242、門司機関区及び入出区線241
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M座 右から、折尾方面客・貨上り線218、折尾方面客・貨下り線217、 間にタイき電断路器(開路)
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右鉄構から
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T座 213 |
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T座 214 |
この遮断器群の裏に遮断器と負荷断路器が隠れている
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赤丸 負荷断路器 |
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赤丸 負荷断路器
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負荷断路器 ラインポスト碍子で配線されている
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負荷断路器 ラインポスト碍子で配線されている
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負荷断路器 ラインポスト碍子で配線されている
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赤丸 負荷断路器
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遮断器 2台
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遮断器 2台 |
画像を精査すると2台の遮断器(VCB)と6台の負荷断路器が配線されている。
スコット結線変圧器でM座、T座、両座が門司駅構内に配線されていることになるので、それを考慮に入れた単結線図を作成してみた。M座、T座の部分は普通の交流変電所の基本配置となっているので作図は簡単であるが、奥に隠れた2台の遮断器(VCB)と6台の負荷断路器をどのように配置させるかが難しい。
前提条件
1. 上下タイき電を行なう
2. 回線は、避雷器、VT、断路器、遮断器、断路器で母線に繋がる
3. NFは1回線ですべてを賄う
4. 変流器は無い
5. 遮断器の両端には必ず断路器がある
多分 このようになっている。
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門司駅構内 配線図とき電系統図(推定) 出典(「配線略図.net」アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用改変
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交直デッドセクション位置と折尾の異相区分デッドセクションと負荷断路器及び門司港方き電は合っている。変電所部分は門司変電所 単結線図を90度傾けて使用
門司駅 構内上り線 5番線の端にある同相セクションの役割が不明
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門司駅 構内上り線にある同相セクションの役割が不明
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交流部
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変電所 線路挟んで対面 門司港方上りき電線引出部 門司港側 左奥 門司港
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門司港上り方き電線214 変電所から引き出し部 NFも引き出されている 左 門司港
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過去に折尾方上りき電線が引き出されていた名残 NFは引き出されている 折尾側
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変電所から引き出されるM座218き電線 ここで反転して右 折尾方に伸びる 左は、前項の鉄構に引き止められている
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上記 画像 右架線柱上部の標識
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M座218き電線 折尾方面 客・貨 上り線 奥門司変電所
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直流部
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門司方 下り、上り 2回線引出
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コルゲートチューブを通って引出部に ラベルの表示のないのが帰線
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トラス部をコルゲートチューブで移動 手前架線柱2本で門司トンネル方に送られている
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門司トンネル側へ伸びる直流き電線 中心は 直流き電 き電分岐装置から直流き電線に繋がる。 交流の誘導電流を逃すコンデンサは直流き電線には設備されていない
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関門トンネル 上り線き電線の直流部遠制動力式断路器 止水扉の部分に設置
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関門トンネル 下り線き電線の直流部遠制動力式断路器 止水扉の部分に設置
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架線柱に帰線部の銅板があり、3分されている。
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銅板部は絶縁テープで巻かれている
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合計4本の帰線はコルゲートチューブに収容
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藪からコルゲートチューブの端が見える 多分 この藪の中に帰線が繋がるインピーダンスボンドが有るのだろう
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門司変電所 スコット結線変圧器 M座、T座に使い分け箇所
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門司変電所 スコット結線変圧器
M座T座の異相セクションは5基ある
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門司駅構内、貨物ターミナル、機関区はM座き電、この異相デッドセクションからT座き電折尾方貨・客上下がM座き電となる。
変電所から来たき電線217,218はここで負荷断路器で2分され折尾方旅客線、貨物線に分岐する。
この負荷断路器の役割が判明
下り線側デッドセクション
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折尾方 異相セクション 手前T座、奥M座 左 旅客線、右 貨物線 上部を通過するのは217 折尾方客・貨のき電線
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別角度 |
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門司変電所からのM座217き電線はここで一端BTを経由して誘導障害を軽減後 異相デッドセクションの折尾方客・貨のトロリ線に繋がる
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負荷断路器と異系統(M座)注意の表示
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貨物下りに負荷断路器からのき電線217が繋がる
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旅客下りに負荷断路器からのき電線217が繋がる
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これと同じ構成のものが上り線にある。
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上り線側デッドセクション
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貨物下り線のデッドセクション 上り線の中に混じっているので見分けにくい
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門司港方のき電線接続部
時間が無かったので Google Street Viewで対応
門司変電所から送られてきたT座214き電線門司港方上り
BTを経由して門司港方上りに繋がる
Google Street View
エアーセクション部
Google Street View
門司変電所から送られてきたT座213き電線門司港方下り
BTを経由して門司港方下りに繋がる
Google Street View
単なるエアーセクション部
Google Street View
交直デッドセクション部
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現在の門司駅配線略図 出典(「配線略図.net」アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)から引用
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交流電化当初の門司駅構内配線図 デッドセクションの位置は変化していない 11番線まであった。貨操へ行く路線が2本 トンネル経由があった。
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直流電化時点の構内配線図 部分 鉄道資料箱 Author:ksysblogさんから拝受
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交流電化当時の主要配線図と直流運用時の配線図は細かな前後抜線が交流電化時の配線図から簡略化されて抜けている。ほとんど全てが交流電化のため組み替えられたと推測できる。その当時の交流電化の苦労が偲ばれる。
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門司駅直流電化全体像クリックすると拡大します 鉄道資料箱 ksysblogさんから拝受
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門司の交直デッドセクションは双単線運転も考慮され26mに統一
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交流電化当時の交直デッドセクションの構造 上りと下りで構造は同じだが上り線の支点がスパン線で支持されていた 現在は3基の交直デッドセクションは同じ支持方式になっている。
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交流電化当時の交直デッドセクション
鉄道ピクトリアル誌から引用 キャプションは、「交直セクションに進入する421系電車」中島広S36-4-16試運転電車5209レ |
左に変電所に送電している鉄塔が見える。右の架線が交流架線、デッドセクション左の架線が直流架線なので、これから関門トンネルに向かう上り線走行中と一端推定した。
しかし、後方の山の位置及び工場の煙突の位置を国土地理院の空中写真で確認すると現在の貨物線のデッドセクション相当に位置するようだ。右線路の分岐位置からも貨物線方のデッドセクションのようだ。デッドセクションは樫製 保持方法はスパン線方式
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ホーム端から一番見えやすい交直デッドセクション 直流から交流になるので表示は直交注意
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下り線方 若干の下り勾配
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デッドセクション26m長 直流変電所からの帰線もこの部分でレールに繋がる
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別角度 |
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こ線橋から遠望 何か問題があるらしく電力係員がデッドセクションを注視中
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貨物列車を通過待ち |
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電力係員に注視されているデッドセクション
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下関側ホーム端に「交→直」の表示
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下関側 デッドセクション 上り方 下り方が見えずらい
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下関側 デッドセクション 上り方 拡大
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下関側 デッドセクション 上り方 右の電車線区分標はWクロス部(直流部) トンネル入り口の止水扉が開いている。防水隔壁が立ち上がっているのが判る
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上下兼用 デッドセクション 左にデッドセクション 縦並び
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上下兼用側デッドセクション 右後ろに 上り方デッドセクション 中心部に上り方デッドセクション標識が小さく写っている
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上り方デッドセクション部拡大 見えずらい 左に上下兼用デッドセクション部の一部が写る
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別角度 上り方デッドセクション部標識 奥に下り方を走行する50mレールを載せるロングレール運搬車の本州側から送り込みに遭遇 JR貨物黒崎駅からJR長万部駅(北海道長万部町)まで約2100キロを運行
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上り方 デッドセクション部 拡大
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上下共用デッドセクション部 拡大
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上下共用デッドセクション部 さらに拡大
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おまけ
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EF510-312がちょうど止まっていたので観察
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EF510-312がちょうど止まっていたので観察
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EF510-312がちょうど止まっていたので観察 2024年06月に製造
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高圧ブッシング部 左右パンタグラフ用
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縦型保護接地スイッチ 空気圧作動 電磁弁は電気信号
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銘板拡大 心眼で保護接地スイッチ
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参考資料(順不同)
門司駅現在の構内配線図出典(「配線略図.net」アドレスhttps://www.haisenryakuzu.net/」)から引用
石原達也;鹿児島本線電化工事の概要:交通技術Vol.15,No.7,pp22-24,1960
森
忠治;交直デッドセクションについて:電気鉄道:1969,Vol.23,No.10,pp.27-29,1969
牧野秀臣;交直デッドセクションの現状:鉄道ピクトリアル:Vol.27,No.9,pp41-43,1977
渡辺
寛;交・直セクションの長さ決定のルーツと現状:電気鉄道Vol.32,No.11,pp21-23,1978
能木貞治ら;北九州国鉄交流電化用変電設備:三菱電機Vol.35,No.3,pp.104-102,1961
門司駅構内配線図(直流電化時点)
Author:ksysblog
斎藤雅男;鹿児島本線電車運転計画:鉄道ピクトリアル:Vol.11,No.6,pp4-7,1961