2025年1月23日

1419. 東急電鉄 司令所 鷺沼ヘ移転(運輸司令所・電気司令所)と鷺沼 地下鉄基地・東急車庫

 新しい司令所

長津田検車区鷺沼車庫の隣

窓が無い建物 屋上の機器に注目
建物自体は2017年に建設開始。2019年には完成していた。
2021年8月セキュリティ強化が行われて司令所として運用開始
Google Earthから

新司令所に設けられた非常用発電機と防雷システム
右の防護壁と架線が見える点に注目

屋上の機器の特徴が一致 非常発電機の形状と防雷システムが一致

この建物が司令所 屋上の防雷システムが同じ
防雷システムが4基もあることから重要な建物

拡大


防雷システムは電荷中和型で上の金属ボールが雷の電位と反対の電位に帯電して中和する
避雷針より防御範囲が広い 京王高尾山口駅でも採用
東急電鉄 上町変電所でも大型の装置が稼働中

窓が少ない免振構造

入口はカードキー 赤外線侵入監視装置が建物を取り囲んでいる


入口 インターホンとカードキー 電気錠



建屋に引き込まれるケーブルダクト たまプラーザ方
全駅の情報が集約される。


ダクトに収容されて司令所に向かうケーブル 宮崎台方

構内を通過

このハンドホールから建屋に引き込まれる


外部電源の引込 光ケーブル 赤の防護テープ TEPCO系 青の防護テープ NTT系
もちろん東急電鉄の通常のA,B系の6.6kVも引き込まれている



奥沢にあった古い司令所1973年から稼働 
それまでは東急電鉄本社と奥沢変電所(電力)で分散配置
奥沢変電所(電力司令)が統合されたのが1977年

奥沢駅構内

旧奥沢司令所 右塔屋が写真-2の部分(先端放電方式)


この位置では放電ワイヤは見えない



写真-2はこの方向から写している
ここが旧奥沢司令所(既設司令所)だった。いまは運用していない。
Google Earthから

放電ワイヤが見えた(先端放電方式)

もう片方の塔屋 放電ワイヤが見える(先端放電方式)

 この新設の鷺沼にある司令所のほかに第2指令所が変電所にあり予備のサーバーが監視制御サーバとして運用されている。この第2指令所がダウンした際には可搬型のPCを変電所に設置することで複数の変電所を直接制御できるシステムとなっている。

 渋谷変電所以外全部の東急電鉄の変電所を巡った中で電力監視制御しやすい第2司令所が置かれる場所としては元住吉変電所が一番怪しい。

 これらは光回線で結ばれていてTCP/IPを基に制御されている。

東急電鉄の光回線網
東横線・目黒線リング、田園都市線・大井町線リング、池上線・多摩川線リングがある
これらと接続される基幹リングで構成

長津田検車区鷺沼車庫通称・鷺沼留置線・鷺沼北留置線)へのき電 緑の部分

上り渡り線の先 2方向分岐の先に車庫へのき電用断路器(左)がある
上下一括き電線から分岐 一端 右に引き込まれる


普通の断路器を経由 また右にケーブルは伸びる


断路器の下部に表示がある


この断路器は東急電鉄 鷲沼車庫全体のき電を統括する


右に伸びたケーブルは接地回路付き断路器2台の電源側にT接続
 右の断路器の負荷側から2本ケーブルが伸び1本は左のき電線2本がタイ接続になっている部分に繋がる。このき電線はこの先で1本に纏まる。もう一本は直下のトロリ線にき電分岐装置で繋がる
 左の断路器の負荷側から2本のケーブルが引き出され1本は上のき電線へ、もう一本はき電分岐装置に繋がる




奥と手前にセクションインシュレーター
先ほどの断路器を接地側に切り替えるとセクションインシュレーターの左側が接地される



加圧表示はこのスイッチで断路器と連動して表示内容が替わる
現在は投入中 電圧の有無で表示が出るわけではない。



加圧表示 7~2は手前の右の断路器 1は左の断路器
上部をき電線2本(右の断路器)1本(左の断路器)が通過する
加圧表示7~2の下にあるのはパンタ摺り板検査用カメラ


入口で2本に分かれたき電線は電留線2~7の接地回路付き断路器に繋がる
この架線柱で2基の断路器がある この架線柱右側にも接地回路付き断路器がある


上の架線柱の右側にも接地回路付き断路器が2台あり2,3を区分している
1は車庫入口で区分済


車庫入口からのき電線2回路が上を横切り接地回路付き断路器にT分岐している



電留線 加圧表示 1~6まで 7は左端なので隠れている


7部分 更に奥にも接地回路付き断路器がある


奥の接地回路付き断路器

電留線が長いので2編成 直列に停車 各々に個別に接地回路付き断路器がついているようだ


鷺沼車両基地東京地下鉄 半蔵門線)へのき電 赤の部分

東急電鉄 上下一括き電線から分岐 基地の規模が大きいので2本一組で分岐
断路器を経由して地下鉄基地内へ 責任分界点はこの断路器

基地内に2本一組で引き込まれる
このままだと基地内で地絡事故発生時に波及で東急側も停電する

 通常 大きな電車基地は、近隣の変電所から専用線で引き込まれる例が多いが、ここでは東急と同一のき電線から分岐されている。東急側が停電したら基地内全停電となる。もっとも東急側が停電すれば入出庫できない。

 東京地下鉄基地内で車両電力を消費するはずであるが分岐点には電力量計が無い。基地内に開閉所的な施設があるかは不明なのでGoogle Street ViewとGoogle Earthを駆使して調査。

右 地下鉄線断路器から左にき電線2本一組
左 架線柱で引止られて架線柱トラス上を右に移動
Google Street View


右 架線柱で引止られて架線柱トラス上を左に移動
左 建屋に2回線引き込み

左 架線柱で引止られて架線柱トラス上を右に移動
どうやらこの建物が開閉所(直流高速度遮断器と電力量計が収容)らしい


開閉所からは基地内に3回線で分岐 ケーブルラックで架線柱に配線



基地内電留線へのき電分岐 3分割 21~23 22だけ「切」
接地回路付き断路器 電留線まではケーブル配線

電留線用断路器は色別で区別されている 22だけ「切」接地されている
開閉所11Fき電線からき電

左 断路器からのき電線立ち上がり電留線に個別にき電 左にセクションインシュレーター
地下鉄では加圧状態を「入・切」ではなく色で識別
赤=入 緑=切

地下鉄側のパンタ擦り板検査カメラ

地下鉄側のパンタ擦り板検査カメラ


参考資料(順不同)

鬼窪重美ら;東急電鉄の電気司令所移転に伴う電力管理システムの切替について:鉄道と電気技術Vol.33,No.8,pp.20-24,2022

松原優平;鉄道事業者の変電設備(17):鉄道と電気技術Vol.35,No.2,pp.82-85,2024

相原茂;東急電鉄の電力設備における雷害対策の取組み:鉄道と電気技術Vol.20,No.9,pp.30-34,2009

斎藤浩;運転指令業務と列車運上システム(21)東急電鉄における運転司令業務と運行管理システム:運輸協会誌Vol.57,No.12,pp.40-43,2015

配線略図については以下の資料を引用
出典(「配線略図.net」・アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)



正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

1409. 正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

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