秋田総合車両センター 変電所
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#秋田総合車両センター、#単巻き変圧器
前置き
これから始まる、東北巡検の内容は、現地取材第一主義をモットーに自家用車・レンタカーを使わず行った。
Googleのストリートビューで現地に出向かなくても安易に目的画像を得ることは可能だ。しかし、詳細は判明しない。
仙台・村上ライン以南JR東日本在来線変電所は、全てクリアした。だが残っているのが交流変電所で、かつその多くは村上仙台・村上ライン以北なので、おいそれとは取材できない。特に今年度は、特別に出費が多い状態が続いている。
今回の巡検も1回で多くの設備を巡検できるようプランを立てたが、熱いのと夜明けから日没まで、歩く距離が半端でないので途中熱中症で倒れかけた。
JR東日本全334箇所(2018年度有価証券報告書記載)変電所中(新幹線も含む交流及び直流変電所)残り22箇所まで減らした。閑話休題
秋田総合車両センター公開に参加するみなさんは、車両を目的とする人が大多数だと思う。「変電き電通信のもろもろ」としては、AC 20kVの供給地にある直流機を扱う秋田総合車両センターの電源がどのような仕組みか確認するのが目的である。秋田総合車両センターは略号ATであるがどうしても ATき電を連想してしまう。
まずはじっくり事前調査。
Webで調査しても秋田総合車両センターの変電所の情報は皆無である。若干センター内の車両を撮影した中に、き電線や接地回路付き断路器が写りこんでいたり、画像のキャプションに変電所の文字が散見できるだけである。
さて秋田総合車両センターの変電所は、敷地外に別棟で設備されており、地中送電線受電であった。送電元はどこであろうか?
近隣の東北電力変電所は、土崎変電所であり設備を調べると
66kV 2回線架空送電線(333C・土崎支線)
66kV降圧6.6kVの配電用変圧器(LT)が3台
66kV降圧33kVの変圧器(専用線)1台
66kV地中送電線2回線(333D・八橋北線)
が設備されている。33kVは、該当する架空送電線が送出されていないので地中送電線(333E・専用線)での送出である。66kV地中送電線2回線(333D・八橋北線)の先は、八橋変電所が有り他社発電所が繋がっている。
東北電力 土崎変電所周辺の系統図 東北電力の系統図中にあるくねくね線は地中送電線を表す。 上記資料から部分引用 |
東北電力 土崎変電所 配置 |
現場確認
東北電力 土崎変電所 正面から見ると奥のケーブルヘッドにJRの文字 やはりこの変電所から秋田総合車両センターへ供給されている。
東北電力 土崎変電所 銘板 |
結界が張られていて近づけず |
JR土崎線 33kV 1回線 秋田総合車両センターへ |
33kV変圧部分 上部鉄構に表示あり |
33kV E線と読める |
裏側 左 八橋変電所へ繋がる八橋北線 66kV 2回線 333D 右にかすかに見えるケーブルヘッドは、配変66kV降圧6.6kV変圧器へのケーブルヘッド |
八橋変電所へ繋がる八橋北線 333D 66kV 2回線 ポリマー碍子 奥のケーブルヘッドは変わった形 |
土橋支線 66kV 2回線受電 333C |
事前に目星をつけた、単巻き変圧器とデッドセクションがある部分に移動。通常ATき電区間は、AT(単巻き変圧器)が約10km置きに設置されている。単巻き変圧器(AT)は、AFライン(秋田SS)から単巻変圧器でTF(トロリ線)を取り出すのだが、TFの出力先は2分岐され断路器を経て複線のトロリ線に繋がっており、秋田総合車両センターへは分岐してなかった。
ATき電設備 単巻変圧器 |
ATき電線から分岐 デッドセクションマーク あり |
ATのTF側 出力は断路器で2分される |
断路器で2分されたTFは、奥羽本線 複線部 上下線に分配される |
AT部 全体 俯瞰 |
デッドセクションは通常のセクションタイプであり特殊な構成ではない。
左方 秋田総合車両センター方面
秋田車両総合センターへの入口にあるデッドセクション |
秋田駅から土崎駅を経て追分駅までは、複線である。しかし秋田SSからのき電(AF)は、1回線のみなので1回線を上下線でシェアする同一電源分離き電方式のようだ。追分駅秋田方手前のエアーセクションでき電が区切られる構造を有している。
デッドセクションは、秋田総合車両センターへの入口にあり、この地点から秋田駅寄り踏切部分までが試験線としてのAC・DC印加が可能な構造である。DCは1500VなのでAC20kVの絶縁等級であれば楽々クリアできる。また踏切部分から秋田総合車両センターの各工場棟に向かう架線もAC/DC印加可能な構造である。
土崎駅方 交流側デッドセクションの手前に、デッドセクションのセンター方のき電が交流or直流のどちらかであるかを示す表示器がある。中央架線柱 四角い箱
デッドセクションの長さからすると、走行しながらの交直切替は、行えないので、単にトロリ線加圧状態が、直流であるか交流であるかを表示し、直流加圧時には、進行ができないことの明示・確認と、そばの信号機での進行・停止が行えるようになっている。
秋田総合車両センターにおいては、工場棟の中の展示なので、特段 AC/DC電源に関する発見事項は見当たらない。特高機器の工場の中に、VCBや電気機関車の断路器の部品があった。
電気機関車用断路器 |
交流電車の要 VCB |
電動機回転中 接触子部分 |
定電圧供給装置 |
インバーター |
調べるべきものが無いので、踏み切り側の秋田総合車両センターへの導入部へ移動。
秋田総合車両センター変電所
アプローチ:土崎駅 容易
33kV1回線受電(333E回線東北電力 土崎変電所経由)
33kV降圧6.6kV変圧器1台
DC1500V変成設備 たぶん1500kWシリコン整流器1台が設備されている。
工場内変台へ6.6kV配電
変電所からの引出は大型ブッシングであり、AC20kVは優に耐えられる構造である。
秋田総合車両センター 変電所 奥 東北電力 土橋変電所からの33kV 1回線受電ケーブルヘッド 手前にMOFが見える |
拡大 JR土橋と読める |
秋田車両総合センター 変電所 |
変電所前の通路上の標識 き電線が横切る 奥 高配6.6kV 配電線 鉄塔 |
変電所 き電線 引き出し部 碍子が4連なのは、海に近いための塩害対策 |
検修庫方面と読める ブッシング部 |
かつては、大宮にも試験線があったが廃止されて、今は碍子にAC20kV加圧時代の片鱗が見られる。
大成ビル方面に伸びる20,000V対応試験線跡 大宮総合車両センター |
過去に交流20,000Vを印加した架線とき電線 大宮総合車両センター |
そして、この変電所建屋の中には、直流の変成設備があるはずである。DCはこの変電所から出力されるがACは、どこから拾ってきているかを調べると、踏切付近の上り線のトロリ線から導出されており、こちらは大電流が必要とされないので、通常の径のき電線である。
赤のライン 変電所に向かうAC20kV き電線 |
変電所に向かうAC20kV き電線 赤ライン |
変電所に向かうAC20kV き電線 赤ライン 右に変電所がある |
この架線柱で変電所に方向を変える AC20kVき電線 赤ライン 手前 変電所 この部分で通常の交流き電線が太線化される |
別角度 この電柱で向きを変える AC20kVき電線 この部分から太線化する 既に太線化されているき電線は、AC/DC き電線となる |
右 踏切付近の奥羽本線 上り線から繋がるAC20kV供給き電線 左 建屋内の遮断器でAC/DCが加圧できるようになる検修庫方面 き電線 |
変電所建屋内でAC加圧・DC加圧を切り替えている。直流機は大電力を利用するので、き電線は、途中でトロリ線に並列に分岐する箇所がある。
試験線に分岐するAC/DC加圧 き電線 |
試験線に分岐するAC/DC加圧 き電線 右 断路器が試験線にAC/DCを加圧す最終断路器 接地型 |
上 通常のAC20kV き電線の太さの比較 下 秋田車両総合センター内 AC/DC加圧き電線 太さが違う 但しこの下の太いき電線の先は、碍子引き止めで どこにも繋がっていない |
この奥の断路器が試験線側にき電する断路器 現在投入中 左 踏切側ポイントを経て試験線(デッドセクションがある部分) 右 各種検修庫へ繋がる 中央上 途中碍子で引き止まられているき電線 変電所 AC/DC 左ブッシングに繋がる |
検修庫へ向かうき電線は、途中色々な箇所に分岐されている。
左 検修庫に引き入れられるAC/DC加圧き電線 |
検修庫内にはEF81 141が鎮座 |
各工場棟に向かうき電線は、棟手前でセクションインシュレーター(交流用)により分離されているトロリ線に繋がり、セクションインシュレーター間は、接地回路付き交流断路器がかましてある。
この部分のトロリ線は、セクションインシュレーターが2重に咬ましてある |
拡大 パンオーバー対策が取られている 2重セクション部 |
ブッシングを使わず検修庫内へき電 現在 二重のACセクションインシュレーターに挟まれた部分は、接地中 パンオーバー対策済 |
この部分のACセクションインシュレーターの奥側は、AC/DC側で常時加圧のようだ 加圧状態は、変電所で切り替える |
当日は、台風後だったので潮風で運ばれた塩分で、一部20kV碍子は、チリチリと音を立てていた。