ユーカリが丘線に関する記事で、空調が無い理由(中の人に聞いた話との注釈で)
・床下機器がでかい
・床上には冷房置けない
・置けても変電所が逝く
が挙げられていたので、調査。
ちょうど銚子電鉄の変電所容量の記事を書く予定で、国土交通省のH29年版 変電所設備表の内容を全国での直流変電所抜き出し、ソートしていたデータを作っていた。
ちょうど銚子電鉄の変電所容量の記事を書く予定で、国土交通省のH29年版 変電所設備表の内容を全国での直流変電所抜き出し、ソートしていたデータを作っていた。
1000. 銚子電気鉄道は、空調の夢をみるか (シリーズ第三弾)1000号記念 ブログリンク
山万のデータを調べると、容量的にはそんなに低くないことが判明したのと、過去に文献も引っ這ってあったので、まとめを記載
山万のデータを調べると、容量的にはそんなに低くないことが判明したのと、過去に文献も引っ這ってあったので、まとめを記載
まずは、山万 ユーカリが丘線 ユーカリが丘変電所 画像が更新されており変電所更新後の画像ととなってしまった。道路高架下の空地が元変電所があった場所
1338. 山万ユーカリが丘線 公園変電所 設備更新 2021年に変電設備一括更新された。
アプローチ:ユーカリが丘線 公園駅
受電: TEPCO 6.6kV2回線 同一の変電所から受電 地中送電線 自動切換
き電:750V Tき電 電圧降下対策のき電線は、敷設されていない。(剛体架線のため)
国土交通省 鉄道統計年報 変電所設備表(H29版)では
300kW×3台のシリコン整流器、340kW×3台の整流用変圧器 3台
変成設備容量としては、最大で900kW 銚子電気鉄道の300kWより はるかに多い
変電所設備は、住友電気が一括受注
左 変成用設備盤 右 2回線受電盤(更新済) |
TEPCO2回線受電6.6kV TEPCO志津変電所より受電 |
2回線受電盤 自動切換え(更新済) 表示灯 左が赤 右が緑 |
3台の整流用変圧器とシリコン整流器が並列接続 最大で900kW 常時 2台で運用 選択は手動(1~3バンク中2バンク) 整流用変圧器とシリコン整流器は、一体化 |
整流用変圧器とシリコン整流器は、一体化されており 油冷で循環する絶縁油は、活性アルミナのカラムで活線洗浄されている |
開業当時と変わらず 奥から高圧引き込盤 一番右 電流測定装置 |
整流用変圧器とシリコン整流器が一体型となっている 300kW×3 窓枠が付いた機器は絶縁油浄化装置 シリコン整流器の定格はC種 150%2時間 200%1分 (通常電鉄用はD種、E種の過負荷容量の大きなものが使われる) |
アルソ(活性アルミナ)を使った活線浄化装置(絶縁油) シリコン整流装置(整流用変圧器+シリコン整流器・一体型)3台分の絶縁油を浄化 |
直流き電盤1~3号 CTと直流高速度遮断器、断路器を収納 一番左の電流測定装置については後述 |
運行前、直流き電起動前に、別の直流電源から750Vを電車線に加圧して、漏れ電流を測定し、ある一定の値を超えた場合は、き電系の点検を実施する。
漏れ電流の最大値は0.25Aのようだ |
正き電線は、剛体架線(ステンレスアルミ複合) 負き電線は、案内軌条I鋼上部の鉄丸棒 |
き電線は、変電所部分で1か所き電 Tき電状態 54は、直流高速度遮断器を表す |
正き電線と負き電線が電車線に繋がる 正き電線は、剛体架線 負き電線はI鋼に繋がる |
負き電線325㎡ 2条 |
電車線諸元 負電車線の桁上に16㎜の表示 鉄丸棒を溶接で結合 I鋼は、鉄材をI型に溶接したものを使用 |
案内軌条 負極側 |
案内軌条 I鋼に鉄丸棒(直径16㎜)を溶接したものが負極側 丸棒は半分以上すり減っている |
I型鋼材を利用 鋼材同士を銅撚り線でボンド |
剛体架線 アルミステンレス複合 剛体架線 |
住友電工が開発したアルミステンレス複合剛体電車線(SUSAL-1200) 1500Aは流せる |
住友電工が開発したアルミステンレス複合剛体電車線(SUSAL-1200) 1500Aは流せる 公称断面積1,200㎟ SUS304ステンレス部分が中心構造体にかぶっている 駅部なので上部にカバーが掛かている |
構造的には3バンク構成であるので1200Aも可能な設備であるので、変電所が脆弱とは言えない。剛体架線も1200Aは可能
20㎞加速時で200A |
発車時で最大400A |
変電所 直流き電盤 750V 自記記録計には1500Aまでの目盛り 現在400A |
よって「空調設備は置けても変電所が逝く」とは言えない。銚子電鉄のプロパガンダに相乗りしているだけ。銚子電鉄は300kWで運行本数も多く、予備機も無い状態 故障したら即運行停止。 ユーカリが丘線は、予備機に切り替えれば運行はできる。
但し、最近の安全報告書を見ると、設備後40年近く経過しているのでバスタブ曲線の後半のようにき電系の故障が増加している。
山万ユーカリが丘線安全報告書 2018年 pdf注意 2号バンク故障
・床下機器がでかい
・床上には冷房置けない
は合っている。
は合っている。
正き電線は、剛体架線(ステンレスアルミ複合) 負き電線は、案内軌条I鋼上部の鉄丸棒 |
車両の操行は中央案内軌条を1軸当たり4個の案内車輪で挟む強制案内1軸ボギーであるので床下に空調機は入れられない。
電動機は150kWのものを電動制御車の床下に各1台 合計2台 300kWであるので
力行時400Aは合っている。動力は推進軸で差動歯車機構付き減速機を介して走行車輪を駆動している。(上図参照)
空調機を置けるとしたら、座席をつぶして、窓部分を放熱ガラリとしたものが入れられるだろが(実際ナローゲージの車体では行われている)動かすためにはSIVを新たに入れなくてはならない。重心の位置も変わる。
設備後40年経過している車体には酷な改装であろう。そろそろ新型車両を考えないといけない時期、変電所も40年近く運用して丁寧に使っているが、設備更新時期に掛っている。
よって「コアラ号」は空調の夢をみることは出来ない。
参考
急こう配が、かなりの箇所でつづく 雪の日は運行に苦労している |
軌道転回 分岐部 |
水平回転式 走行、案内の主桁が電動で転換 17秒で解錠、転換、鎖錠が行われる |
転換中 |
転換終了 鎖錠 |
参考文献
小沢 容ら;ユーカリが丘新交通システムの電力設備と剛体電車線:
住友電気,Vol119,No.9,pp.107-117,1981
鈴木 稔;ユーカリが丘鉄道(新交通システム)の概要:
建設の機械化:Vol.378,No.8,pp22-26,1981