真室川補助き電区分所(SSP)
補助き電区分所なのにデッドセクションがある補助き電区分所(SSP)
補助き電区分所なのにデッドセクションがある補助き電区分所(SSP)
通常のパターンで言えば、補助き電区分所はエアーセクションでき電が区分されている。
(き電区分所は、変電所間の区分のためデッドセクションが置かれるのが常である)
ところが、この真室川補助き電区分所、デッドセクションが置かれている。
定本:電気鉄道のセクション;持永芳文によると(ACVR=架線電圧補償装置)
ACVRの記載がpp.76にあるが、ACVRは、1200Vないし2400Vの昇圧を行い電位差があるのでデッドセクションが必要であると述べられている。
ACVRの箇所は全国で10箇所程度 主にき電区分所に設備されているのでデッドセクションを兼ねて設備されている。
単独のACVRは、肥後おれんじ鉄道の昇圧ポスト(ATP)、日豊本線(直川)のSSPに設備されている。
と記載があった。
と記載があった。
院内変電所調査時に真室川補助き電区分所について、述べたがGoogle Street Viewのみの引用だったので、実際に出かけて調査した。
Google Street Viewでは、単純なATが置かれた補助き電区分所であるが、デッドセクションが置かれている。実際はどうなのか?!
一部院内変電所の項を引用
Google Street Viewでは、単純なATが置かれた補助き電区分所であるが、デッドセクションが置かれている。実際はどうなのか?!
一部院内変電所の項を引用
文献より引用 真室川SSP セクションの記号が新庄き電区分所(SP)と同じ三本線 同様に大石田も3本線 山形新幹線開通前の奥羽本線 電化時の構成 |
別の文献 やはり 豊里(真室川)SSPと大石田SSPはデッドセクション記号がある。 CRはCR装置と思われる 湯沢は院内変電所を差す (山形新幹線開通前の状況) |
当該部分拡大
羽前千歳は、変電所から離れた場所にATがある。これは第一ATと呼ばれる方式で、他に秋田変電所、青森西変電所でも見られる形式である 豊里が現在の真室川 釜淵、東根のSSPは、斜線のエアーセクション (山形新幹線開通前の状況)
CRはCR装置(HMCR) |
国土地理院 空中写真 整理番号CTO7615-C12ー31
1976年 400dpi画像から加工 空中写真を出したのは理由がある。
真室川補助き電区分所 1976年 電化当時 羽前千歳SSからの距離は変わらず |
新庄き電区分所方 院内変電所までの間の補助き電区分所
院内方から見た補助き電区分所内 設備 ATと計器用変圧器、断路器のみ |
新庄方から見た補助き電区分所内 設備 ATと計器用変圧器、断路器のみ |
新庄方から見た設備 断路器の奥にAT(単巻変圧器) AT上に避雷器 |
院内方から見た設備 断路器の奥にAT(単巻変圧器) AT上に避雷器 |
左 院内 右 新庄 ATき電線の引き込みとデッドセクション方にTFき電線が延びる |
踏切から見た デッドセクション 奥に真室川補助き電区分所 奥院内方 左 補助き電区分所からのTFき電線がトロリ線に繋がる |
車中からみたデッドセクション 奥 新庄方 |
線路際 道路から見たデッドセクション 右架線柱に引き止められたTFき電線がトロリ線に繋がる |
架線電圧(右)はデッドセクション前後で変動なし 当たり前 双方のトロリ線は、ATを挟んで同電位で繋がる |
断路器を切り替えると
院内方 断路器 開路の場合 新庄SP方末端として機能
新庄方 断路器 開路の場合 院内SS方末端として機能
となる。
この状態でエアーセクションが使えない両端の電圧差が1KV以上が発生し、すなわちデッドセクションが必要になる状態は、なんであろうか…?
ヒントは、新庄SPの現在位置が、過去の位置とは違う場所にあったためと思われる。
奥羽本線電化時の新庄SPの位置は、羽前千歳SSから54.5km 現在の新庄駅手前(山形方)にあったため、院内SS脱落時、新庄⇔山形間の運行を行うために、真室川補助き電区分所を簡易的なき電区分所として運用したためと思われる。
過去の空中写真画像 新庄駅の山形方
国土地理院 空中写真 整理番号CTO7615-C20Bー24
1976年 400dpi画像から加工
この位置のき電区分所で き電を区分(院内SS脱落)すると、新庄駅方まで山形から運行できない。
山形新幹線ができる前 奥羽本線電化時の新庄SPの位置 電化は1975年 真新しいき電区分所の設備と思われる 画面中央 羽前千歳SSから約54.5km位置 大石田SP,真室川SSPの位置は、変わらず新庄SPだけが現位置とは違っている。 |
田んぼの区画整理(大規模化)と川の流路修正が行われている
昔の新庄駅構内には、現在の新庄き電区分所は、存在しない。
国土地理院 空中写真 整理番号CTO7615-C18Bー19
1976年 400dpi画像から加工
電化当時の新庄駅 構内
電化当時の新庄駅構内 現在の新庄SPの位置は、線路になっている |
多分 こんな運用だろう。
交流電化区間のき電区分所、補助き電区分所について整理
BT電化区間(在来線)
き電区分所:
変電所間の異相突合せ部分、概ね両端の変電所の中間地点に設備される。工事、事故時の 限定き電区分も担う。デッドセクション必須、上下タイき電も行うことがある。片方の変電所が落ちた場合延長き電を行う設備がある。
変電所から重ね15~25㎞毎(変電所間隔30~50㎞)に置かれる。ACVRが置かれる場合もある。特殊な例として新幹線のき電区分所で採用されているSNセクション(中セクション)を挟んだき電区分所がある(赤岩)
補助き電区分所:
変電所からき電区分所までの距離が長い場合、途中に補助き電区分所を設備する。上下タイき電を行うこともある。工事、事故時の限定き電区分を担う。
ほとんどの補助き電区分所は、エアーセクションで構成されている。ACVR設置の場合は、電位差が大きいのでデッドセクション化される。
AT電化区間(在来線・新幹線)
き電区分所:
変電所間の異相突合せ部分、概ね両端の変電所の中間地点に設備される。工事、事故時の限定き電区分も担う。デッドセクション必須、上下タイき電も行うことがある。片方の変電所が落ちた場合 延長き電を行う設備がある。
変電所から重ね在来線45~55㎞毎、新幹線25~35㎞毎(変電所間隔:在来線90~110㎞、新幹線50~70㎞)に置かれる。AT(単巻き変圧器)が必須で置かれる。(通常時 き電末端となるため)SVC(TSC型)やACVRが置かれる場合がある。新幹線の場合は、SN(中セクション)を挟んだき電区分所となる。
補助き電区分所:
ATき電の場合 新幹線は8~10㎞置き、在来線は10~12㎞置きにATを置き誘導障害対応、き電電圧担保が必須となっている。そのため、ATのみを置いている場所もある。ATP=(AT Post)ATが置かれている場所は、補助き電区分所として設備され、工事、事故時の限定き電区分を担ため、エアーセクションが構成される場合もある。上下タイき電も行うことがある。通常時エアーセクション両端の電位差は無いので、エアーセクションでの融通が可能であるが、ACVR設置の場合は、電位差が大きいのでデッドセクション化される場合がある。SVC(TSC型)が置かれる場合がある。
参考文献
石塚紘彰ら;奥羽本線・羽前千歳--秋田間の電化:鉄道ジャーナル,Vol.9,No.12.pp42-45.1975
石塚紘彰;奥羽本線・羽前千歳--秋田間電化開業:鉄道ピクトリアル,Vol.26,No.1.pp40-43.1976