2024年11月29日

1401. JR東海 沼津変電所 新大阪方のき電について 副題 吉原き電区分所の補助き電区分所化 (私見)

 

 東海道新幹線のBTき電(上下線別き電)からATき電までの変電所、き電区分所、補助き電区分所の資料をまとめている途中で資料が手元にあったので記事をUpすることにした。

沼津変電所の記事は以下を参照。

703. JR東海 沼津周波数変換変電所と沼津変電所 新幹線

この解説の中で示した以下の図を見て頂きたい

当初の沼津変電所のき電系統
沼津FCの出力はM座、T座に繋げらていた。2009年運開

周波数変換変電所のM座を新大阪方にき電していた。

沼津FCの出力は繋ぎ変え(回路切替)でT座、M座でA,B系別々またはA系もしくはB系を動かしT,M座単独出力、A,B系を動かしT座もしくはM座単独出力が行うことができる。

2014年時点の運転形態は
常時 A系が沼津SSの東京方(M座) B系が沼津SSの大阪方にき電(T座)。
A系、B系が片方の東京方または大阪方のどちらにも接続できるように運用度の高い設計となっている。

2014年当時
 沼津変電所と岩淵変電所間には吉原き電区分所が入り沼津方M座と岩淵方T座の突合せが行われていた。

 今回 新吉原き電区分所が単なる補助き電区分所になっていると言う情報をWebで得てGoogle Street Viewで確認したところ 新吉原き電区分所のSN(中セクション)のき電線が外されていることが判明。

705. JR東海 吉原き電区分所 新幹線 2018年当時は中セクションへのき電線が見えていた。

中(SN)セクションへのき電線 2018年当時

2021年12月 中セクションへのき電線が無い

2024年2月 中セクションへのき電線が無い

 この2018年から2021年に文献上で何か報告があったかを調べたら、2021年3月に西相模周波数変換変電所の静止形周波数変換装置が稼働している。

沼津変電所のき電系統切替 岩淵変電所との77kV受電停止 2023年文献
A,B系はTEPCO154kV電源
沼津変電所 大阪方の他電源への切り替えが行われている
つまり岩淵変電所からの片送りが成立している

 つまりき電系統としては以下のような図が描かれる。但し西相模周波数変換変電所には静止型周波数変換器はまだ導入されてない。このような運用も可能であると示している。(2013年時点)

 この図では、沼津変電所には、岩淵変電所からの片送りでT座き電が延長されていることになる。そのため吉原き電区分所が補助き電区分所として運用されることになったと推察できる。

 岩淵変電所にはRPCという電力補償装置が導入され、M座、T座間の電力が融通できるようになっており、片送りでもスコット結線変圧器の二次側不平衡が解消できる。また岩淵変電所の新大阪方の清水変電所は当初77kV受電であったが電源系が強化され154kV受電となり、岩淵変電所と同様なRPCが設備されている。

 もう一つの可能性は沼津周波数変換変電所のB系もT座で運用することになる。つまりA系、B系ともT座運用することは結線変更で可能となっている。ただ運用が簡単なのは岩淵変電所154kV受電のRPC稼働で沼津方をTき電片送りだろう。 

 その他この周辺を調査して判ったこと 


 岩淵変電所の新大阪方はM座き電であるが、岩淵変電所と次の清水変電所の間には興津き電区分所が入ってる。

ATき電電源増強時のき電系統 1996年 まだ沼津には周波数変換変電所は無い


2021年6月 BTき電時代の興津き電区分所のGoogle Street Viewスルー化されている 

2023年6月 BTき電時代の興津き電区分所のGoogle Street Viewスルー化されている 

2024年4月 BTき電時代の興津き電区分所のGoogle Street Viewスルー化されている



 面積的には、興津き電区分所と興津き電区分所の大きさは同じであるが、どうして新しい場所に興津き電区分所が新設されているのは不明。興津き電区分所を改修すればき電区分所として使用できたはず。

この場所から約新大阪方700mにATき電化された時に設備された興津き電区分所がある。

岩淵変電所と清水変電所のき電区分 興津き電区分所がある。



参考資料

久野村 健ら;新幹線単相き電用静止型周波数変換装置:東芝レビューVol.64.No.9,pp.45-48,2009

久野村 健;新幹線単相き電用静止形周波数変換装置の導入:鉄道と電気技術Vol.21,No.1,pp13-17,2009

久野村 健ら;電力補償装置による新幹線の電力供給安定化:電気学会論文誌D,Vol.133,No.1,pp.77-83,2013

久野村 健;技術開発レポート:新幹線単相き電用静止形周波数変換装置の開発:電気学会論文誌D,NL2.7-(NL2.7)、2014

永海 俊治ら;東海道新幹線周波数変換装置の静止型への更新工事について:鉄道と電気技術Vol.33,No.5,pp13-18,2022

鈴木 直樹;鉄道事業者の変電設備(6)JR東海の変電設備(新幹線):鉄道と電気技術Vol.34,No.3,pp62-68,2023






2024年11月28日

1400. JR東日本 鉄道ふれあいフェア2023の記事内容の確認(交直き電設備の断路器定位位置とレール絶縁部位の確認)

   2023年11月の鉄道ふれあいフェアに書いた記事

1351. JR貨物 大宮車両所 架線は25㎸加圧? 交直切替部及び き電区分所

 上記の記事でレールの絶縁部位を確認していなく仮説だった内容の正確性を上げるためレールの絶縁部位を確認するため。ついでに試23き電線の追跡調査。工場裏踏切の例の場所の確認のため鉄道ふれあいフェア2024を再訪。

 今回の鉄道ふれあいフェア2024の施設展示にはJR貨物の大宮運転所は含まれてなかった。


2023年 JR貨物 大宮運転所が見学できた


2024年 簡素化

 いつも機関車が展示されている場所は空で車庫の前に手持ち備たさに係員がいるだけであった。そのためレール(線条)の絶縁部確認が容易にできた。

庫内にELがあるかどうかは不明

線条ジョイント部に絶縁体が入っている。右側にレールボンドがつながっている

絶縁体

絶縁体が入っている場所はデッドセクションの直下


もう一か所 レールボンドは左側にある(車庫側)


絶縁体が入っている場所はデッドセクションの直下
つまり、架線のデッドセクションの下はレールのデッドセクション部であった。

車庫までの間に線条のジョイントがあるが、こちらは両端レールボンドでがつながっている


デッドセクションのある方は通電していない状態。表示灯、パトライト未点灯


初めて見た停電時の定位の断路器位置。中心部の断路器は上側が交流、下側が直流
昨年まであった、工場踏切側からの20,000Vき電線が、とうとう撤去

6.6kV昇圧変圧器き電用高圧受電盤 盤面が見えない

高圧受電盤の内部には操作ノブとメーターがあるが露出を調整しても見えなかった


直流変電所からのき電電流は、直流変電所のインピーダンスボンド中性点に戻る

交流加圧設備からのき電電流は、昇圧変圧器に戻り直流変電所側には流れない

 無加圧時 変電所側帰線電流が車庫側に流れ込む恐れがある。しかし車両センタ-内での帰線電流なので大きくはないと思う。
 電留線が沢山ある車庫では帰線自動開閉装置が設備されている。

 ここでは大宮運転所の き電区分所と書いたがよく調べると大宮車両センター全体のき電区分を受け持っているようだ。

上記 単結線図の現場 交流用断路器2台が若干左寄りにある。
実はこの断路器架台右にもう一台断路器があったようだ。
右に出ているのが鉄道博物館横の20,000V対応き電線につながる
左に出ているのが試験線、交直加圧設備、車庫線につながる試23き電線
大宮変電所からの試23き電線は右鉄構の上部に左から引き止められているき電線

旧大宮変電所 き電系統図 
 右中ほどに「大宮工場変」と読める部分があり試23き電線が引き込まれている。この部分が上記画像で示した部分に該当すると思う。「大宮工場変」からは3本のき電線が断路器を経て引き出されている。現在は 操車場、機関区がなくなり配線が大幅に整理されている。

赤丸が交流断路器がある部分 緑丸がき電線が引き込まれている建屋 
場所はJR貨物 大宮運転所裏

試23き電線 最終き電分岐装置箇所 
ここからセクションインシュレーターで他のき電き電系統となる
手前き電線の右上奥に試23き電線(大宮変電所)からのき電線が通過している

別角度から見た同じ箇所


奥の黄色の試23き電線は、大宮変電所から運転所のき電区分所まで伸びる。手前の試23き電線はき電区分所から試験線及び交直切替断路器を経て車両センターの車庫まで伸びる。次の電柱で引き止められ更に右側の車庫方面に伸びている。


試23き電線 引き止め電柱からさらに右に伸びる

試23き電線は、ここで車庫内にき電するため分岐している

4~6番の車庫内に試23き電線は引き入れられている。
多分庫内に接地極付き断路器があるはず

赤丸内帰線自動自動開閉装置 3台(4~6番車庫用)がある

帰線自動開閉装置 京三製作所の例示 pdf注意


大宮変電所から運転所き電区分所までの試23き電線

埼京線高架下の大宮変電所からの試23き電線の引き出し 一番右


その他

2023年に残っていた20,000kVケーブルと帰線側



跡形もない


2023年 20,000V 高圧ピン碍子で保持されていた交流き電線

2024年跡形もない




三枝分岐器 手前にあるカバー見たなものは四方八方から水を噴射して漏水を試験する装置
最終漏水試験設備

総合車両センター外の大栄橋を渡る歩道から見える





大宮変電所 き電系統図 小板橋光:大宮変電所の負荷断路器について                              電気鉄道;1983,Vol.37,No.11,pp.28-29




























2024年11月24日

1399. JR東日本 横浜電力ビル(横浜変電所・横浜特高配電所)

 92.  JR東日本 横浜変電所(直流) 2014年記事 

 この時は周辺が大規模開発されていて近づけなかった。それから10年経過 周辺は大きく変貌している。 横浜変電所の脇にJR駅ビルが建立、ホテルもできており自営電力の余裕がうまれてきたJR東日本は電力自由化の法改正でJR施設内の商業施設にも供給できる体制が整った。

 横浜変電所は多路線を抱える大規模変電所であり、付帯設備用の高配変圧器も備えていたが供給量に限界があるため隣に配電所を建設することになった。横浜変電所は近傍の新鶴見交流変電所から3回線22kVで給電を受けていた。しかし、この3回線でも多路線を賄うので余裕がなかっため新しく66kV回線を引くことになった。これが給電三期の計画路線となった。

 近傍に66kV回線が引かれている線区は新鶴見-羽沢ー戸塚ー東大船ー大船間の1回線があるため横浜線と交差する高架橋から66kV1回線を新鶴見交流変電所から引き込み新しく横浜変電所の隣に建設される配電所に引き入れることになった。工事は部分的に2回線引けるようになっている。

        横浜特高配電所新築その他(その1・その2)工事 鉄建建設Web

これら横浜特高配電所・横浜変電所をまとめて東日本鉄道株式会社 横浜電力ビルと呼ぶ


66kV引き込み部

東海道貨物線高架部から引き入れ 右から下へ66kV CVT1回線が降りてきている



立ち上がりという引き下げ 66kV 1回線CVTケーブル

22kV表示は間違い トラフ収容




しかし東給電の地中線埋設標では6万ボルトとなってる

途中の踏切部の標識は2万ボルト これも間違い

管路が1回線しか構築されてない

トラフからの管路が2本となる

横浜線から地表面に降りてくる2管路 左側は横須賀線線路脇

途中からダクト化

地中線埋設標 特高ケーブル CVT6万ボルトと表示

東給電

東海道線沿いの管路

地中線埋設標 特高ケーブル CVT6万ボルトと表示



ハンドホール

ハンドホールの標識
新鶴見交流SSー横浜SS間 22kV 鶴ー横 2号の接続部


鶴ー横 2号

新鶴横浜線 新しく敷設された66kV 1回線

新鶴横浜線 新しく敷設された66kV 1回線

2段重ねの送電ダクト

コンクリ内に管路 特電JRの標識 金属管は立川SS放火事件後防御強化された高配6.6kV収容

横浜変電所 川崎方 き電線
横須賀線(須)上下、 横浜線(浜)上下
横浜線は東神奈川駅から横浜方が京浜東北線き電となるので、この浜上下は東神奈川駅から大口駅方のき電線となっている。
京浜東北線(京)上下のき電線

東海道線(客)上下のき電線


横浜変電所 横浜方 き電線
根岸線上下と京浜東北上下

横須賀線上下

高島線上下

東海道線(客)上下

横浜変電所 川崎方に動力式検電接地装置が並んでいた。

横須賀AB

東海道(客)上下

横浜線上下

京浜東北 南行、北行

横須賀線ABは2台目がある

右端に隠れているのは1回線専用

東海道線上

奥側 き電線から引き出されている動力式検電接地装置へのケーブル

手前側 き電線から引き出されている動力式検電接地装置へのケーブル

横浜変電所

横浜変電所 き電線引き出し口

これら横浜特高配電所・横浜変電所をまとめて東日本鉄道株式会社 横浜電力ビルと呼ぶ

手前が横浜変電所 奥が横浜特高配電所

き電線引き出し部

横浜変電所

帰線集約部 リターンと書いてある  別名 リタン 直流帰線

インピーダンスボンド中性点につながる帰線
インピーダンスボンドは6台ある。各中性点に帰線がリターンからつながる。
一番手前のインピーダンス(赤色)だけ帰線接続ケーブル数が通常の16本。つまりシリコン整流器6,000kW1台で8本使用 2台あるので16本。奥の4台は2台1組で1組8本のケーブルがつながる。最終的にこれら帰線はリターンに集約されている。
 この帰線数だともう一組6,000kWのシリコン整流器があってもおかしくない。現に6,000kWシリコン整流器が3台ある池袋変電所は24本のケーブルがリターンに繋がっている。

き電線  16回線
 東海道上下で4回線、横須賀線上下で4回線、京浜東北南北で2回線、根岸線上下で2回線、横浜線上下で2回線、高島線上下で2回線 合計16回線

横浜変電所 裏側

正極母線断路器(CTがついている)シリコン整流器2台分 1台から8本のケーブル
負極側は建屋内か直列リアクトルについているはず


6,000kW 変成設備×2設備 合計12,000kW 1,500V 8,000A 
22kV受電整流用変圧器とバスダクトでつながる6,000kWシリコン整流器

受電:新鶴見交流変電所 22kV 3回線 途中分岐 新子安変電所 2015年の情報から
シリコン整流器 6,000kW 2台が確認できる。しかし路線数からみるともう一組6,000kW のシリコン整流器があるはず。建屋内収容ならもう一組あるかは判断できない。
き電:東海道線、横浜線、京浜東北線、横須賀線、根岸線、高島線

横浜特高配電所
横浜特高配電所 66kV降圧6.6kV、22kV

受電:新鶴見横浜線1号 66kV 1回線
給電配電:22kV、6.6kV



古くからある横浜変電所 周囲は開発されビル群が囲んでいる

横浜特高配電所はコの字型 真ん中にクレーンがある
両側にシャッターがあるのでその中に変圧器が収容されているのだろう

日立産機システム 30tクレーン


参考文献
縄田晃樹ら:給電三期 新鶴見・横浜間地中送電線管路新設
東工技報;2011,Vol.24,pp.240-246



開業60周年記念 国鉄・JR東海 東海道新幹線 BT電化からAT電化最終形態までの変電所、き電区分所、補助き電区分所の変遷

1430. 国鉄・JR東海 東海道新幹線 BT電化からAT電化最終形態までの変電所、き電区分所、補助き電区分所の変遷(開業60周年記念)

前振り   昨年から取り掛かっていたが、とうとう60周年に間に合わなかった。変電所、き電区分所、補助き電区分所の変遷はリストになっていたが、どうしてこの位置にあり、どのような理由で変電設備が成り立っているかの理由を調査し始めたら奥が深く泥沼に入ってしまった。 ...

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