東海道新幹線のBTき電(上下線別き電)からATき電までの変電所、き電区分所、補助き電区分所の資料をまとめている途中で資料が手元にあったので記事をUpすることにした。
沼津変電所の記事は以下を参照。
703. JR東海 沼津周波数変換変電所と沼津変電所 新幹線
この解説の中で示した以下の図を見て頂きたい
当初の沼津変電所のき電系統 沼津FCの出力はM座、T座に繋げらていた。2009年運開 |
周波数変換変電所のM座を新大阪方にき電していた。 |
沼津FCの出力は繋ぎ変え(回路切替)でT座、M座でA,B系別々またはA系もしくはB系を動かしT,M座単独出力、A,B系を動かしT座もしくはM座単独出力が行うことができる。 |
2014年時点の運転形態は
2014年当時
沼津変電所と岩淵変電所間には吉原き電区分所が入り沼津方M座と岩淵方T座の突合せが行われていた。
今回 新吉原き電区分所が単なる補助き電区分所になっていると言う情報をWebで得てGoogle Street Viewで確認したところ 新吉原き電区分所のSN(中セクション)のき電線が外されていることが判明。
705. JR東海 吉原き電区分所 新幹線 2018年当時は中セクションへのき電線が見えていた。
中(SN)セクションへのき電線 2018年当時 |
2021年12月 中セクションへのき電線が無い |
2024年2月 中セクションへのき電線が無い |
この2018年から2021年に文献上で何か報告があったかを調べたら、2021年3月に西相模周波数変換変電所の静止形周波数変換装置が稼働している。
沼津変電所のき電系統切替 岩淵変電所との77kV受電停止 2023年文献 A,B系はTEPCO154kV電源 沼津変電所 大阪方の他電源への切り替えが行われている つまり岩淵変電所からの片送りが成立している |
つまりき電系統としては以下のような図が描かれる。但し西相模周波数変換変電所には静止型周波数変換器はまだ導入されてない。このような運用も可能であると示している。(2013年時点)
この図では、沼津変電所には、岩淵変電所からの片送りでT座き電が延長されていることになる。そのため吉原き電区分所が補助き電区分所として運用されることになったと推察できる。
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岩淵変電所にはRPCという電力補償装置が導入され、M座、T座間の電力が融通できるようになっており、片送りでもスコット結線変圧器の二次側不平衡が解消できる。また岩淵変電所の新大阪方の清水変電所は当初77kV受電であったが電源系が強化され154kV受電となり、岩淵変電所と同様なRPCが設備されている。
もう一つの可能性は沼津周波数変換変電所のB系もT座で運用することになる。つまりA系、B系ともT座運用することは結線変更で可能となっている。ただ運用が簡単なのは岩淵変電所154kV受電のRPC稼働で沼津方をTき電片送りだろう。
その他この周辺を調査して判ったこと
岩淵変電所の新大阪方はM座き電であるが、岩淵変電所と次の清水変電所の間には興津き電区分所が入ってる。
ATき電電源増強時のき電系統 1996年 まだ沼津には周波数変換変電所は無い |
2021年6月 BTき電時代の興津補助き電区分所のGoogle Street Viewスルー化されている |
2023年6月 BTき電時代の興津補助き電区分所のGoogle Street Viewスルー化されている |
2024年4月 BTき電時代の興津補助き電区分所のGoogle Street Viewスルー化されている |
面積的には、興津補助き電区分所と興津き電区分所の大きさは同じであるが、どうして新しい場所に興津き電区分所が新設されているのは不明。興津補助き電区分所を改修すればき電区分所として使用できたはず。
岩淵変電所と清水変電所のき電区分 興津き電区分所がある。 |
参考資料
久野村 健ら;新幹線単相き電用静止型周波数変換装置:東芝レビューVol.64.No.9,pp.45-48,2009
久野村 健;新幹線単相き電用静止形周波数変換装置の導入:鉄道と電気技術Vol.21,No.1,pp13-17,2009
久野村 健ら;電力補償装置による新幹線の電力供給安定化:電気学会論文誌D,Vol.133,No.1,pp.77-83,2013
久野村 健;技術開発レポート:新幹線単相き電用静止形周波数変換装置の開発:電気学会論文誌D,NL2.7-(NL2.7)、2014
永海 俊治ら;東海道新幹線周波数変換装置の静止型への更新工事について:鉄道と電気技術Vol.33,No.5,pp13-18,2022
鈴木 直樹;鉄道事業者の変電設備(6)JR東海の変電設備(新幹線):鉄道と電気技術Vol.34,No.3,pp62-68,2023