2019年11月24日

939. 阿武隈急行 復旧(丸森-槻木間)の方策

阿武隈急行 復旧(丸森-槻木間)の方策
#ATき電、#変電所、#き電区分所、#単巻変圧器、#デッドセクション

 阿武隈急行の記事を追っていたら河北新報で12月中再開との記事があった。
以下引用
 丸森-槻木の再開に向け、同社は富野(伊達市)-槻木の倒れた電柱や切れた架線などを11月末をめどに復旧させる計画。以前と同様に上保原変電所(同)から電気を供給する見通しが立った。
引用終わり

変電所の名前は、保原変電所が正しい。

阿武隈急行のWeb情報は、以下の通り

以下引用
台風19号の被害により富野駅~槻木駅間の運転を休止しており、お客様には大変ご迷惑をおかけいたしております。
この度、丸森駅~槻木駅間の一部運行開始について、12月中旬を目途に再開できる見込みとなりましたので、お知らせいたします。
運行再開の日時は、決定次第、速やかにお知らせいたしますのでご了承願います。
今後とも、阿武隈急行線をよろしくお願いいたします。
引用終わり

阿武隈急行のき電系統は以下の通り

文献より阿武隈急行線き電系統
福島方からの延長き電は、行えない構造 
槻木き電区分所(SP)には延長き電用の設備がある
順に
616. 阿武隈急行 矢野目信号所 矢野目デッドセクションと鎌田ATP (BTき電・ATき電・交流)ブログリンク

615. 阿武隈急行 保原変電所 (ATき電・交流)ブログリンク

676. 阿武隈急行 梁川補助き電区分所と車両基地線 ATき電 ブログリンク

677. 阿武隈急行 耕野ATポスト ATき電 ブログリンク

678. 阿武隈急行 丸森DS ATき電 ブログリンク

679. 阿武隈急行 木沼ATポスト ATき電 ブログリンク

680. 阿武隈急行 槻木き電区分所 AT-BTデッドセクション ブログリンク

 大規模な、道床流失が発生したのが、耕野ATPが置かれている、あぶくま駅周辺であるが幸いにも耕野ATPは流失が免れている。
後は、丸森周辺の路肩崩壊が目立っている。

 ATき電は、水戸線でのAT化実験により在来線の場合 誘導障害を軽減させる・架線電圧確保ために10km間隔で置き、その容量は当初線間容量1,000kVAが妥当であるとの結果であったが、規定短絡強度から電車負荷によらず2,000kVAが妥当とされた。JRのATき電区間では、2,000kVAが設置されたいるが、阿武隈急行では多くは1,000kVAが設備されている。また新幹線は同様な考え方から10MVAが設備されている。異電圧き電区分所の中小国き電区分所は、新幹線側が10MVA、在来線側は2,000kVA(2MVA)である

一般的なATき電回路
山陽新幹線のATき電時の考え方 補助き電線の名称と補助き電開閉所があるが現在では運用されていない。
かつての新姫路SS-新加古川SFSP、新姫路-新竜野SFSP、新上道SS-新香登SFSPが該当
ATき電は、等価的にはき電線(FT)、ATき電線(AF)、レールの3線で単巻変圧器を介した変圧器を構成することで き電を行う。 

丸森DSの役割と槻木き電区分所からの延長

当初の役割は、BTき電区間の東北本線からの延長を考えて設けられたと考える。
丸森でATき電線、トロリ線のき電区分が行える設備がされていた。ここを開放することにより、保原変電所脱落時でも、槻木き電区分所からの延長き電で、槻木-丸森間の運行ができる。そのため槻木き電区分所には、延長時の電力量が判るように、電力計も取りつかられている。
 槻木き電区分所は、JR東日本 槻木駅と阿武隈急行 東船岡駅の槻木き電区分所のデッドセクションをき電しているが、定位は槻木き電区分所のデッドセクションまでJR東日本電源(槻木駅エアーセクションは開放されていない)である。またATの容量が3000kVAと大きい。これは保原変電所からみると、AT末端に相当するためとBT-AT延長を考慮した容量が選択されていると考える。

 BTからATの延長は、トロリ線-レール間に20kVの電圧を与えATにより40kVに昇圧して運用するという一見無謀に見える方法であるが、技術的には可能とのことであった。
 実際には、山陽新幹線ATき電時の新塚本SPは、その当時東海道新幹線側がBTき電であったので、設備的に考慮されていた。但しき電保護上は問題ありとされ、サービス電源確保のための相互の延長が考慮されていた。

 今回の槻木-丸森間の運行は、保原変電所からのき電を行う、まっとうなき電方法での復旧である。これはBT-ATの延長き電をJR東日本側がき電系統保護の観点から認めなかったからか、阿武隈急行側が、初めてとなるBT-AT延長の事前検討を行っていなかったためと考えられる。

 ATき電は、等価的にはき電線(FT)、ATき電線(AF)、レールの3線で単巻変圧器を介した変圧器を構成することでき電を行う。 
 今回の保原変電所からのき電は、ATき電線、トロリ線を丸森まで延ばすようであるが、考え方としては、レールを使用しないで行う方法を取るのであろう。この場合 レールと平行して張られている保護線(PW)を強化してレールの代わりを行うことになるのだろう。
 福島-富野間は、鎌田ATP、保原変電所、梁川補助き電区分所のATPでATき電は可能。
富野までは、梁川補助き電区分所が末端ATPとして稼働
 梁川補助き電区分所-丸森間は、列車が運行しないので、AF(ATき電線)、FT(トロリ線)に電流が分流し、レールが無くとも可能。但し電圧降下と誘導障害に対応するため、耕野ATPと木沼ATPは、生かして運用
60kVと書かれている場所が保原変電所 AT1は、保原変電所の第一AT AT-2は木沼ATPとする
AT3は、末端にあたる槻木き電区分所
富野-丸森間は、レール繋がっていなくとも、PW(保護線)はき電回路保護のため必要とされるので、線径を強化して敷設する必要がある。


参考文献 順不同
八巻 和政;阿武隈急行線の電気設備:1990,Vol.44,No.5,pp.39~46
渡辺寛ら;AT-BT相互延長き電について:電気鉄道,Vol.28,No.10,pp.7-12,1974
権藤豊美;AT方式における電化設備計画-Ⅰ-BTと異なる点について(技術解説):電気鉄道,Vol.23,No.9,pp.5-7,1969
権藤豊美;AT方式における電化設備計画-Ⅱ-BTと異なる点について(技術解説):電気鉄道,Vol.23,No.11,pp.8-11,1969


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