盛岡変電所移転更新 協会誌「鉄道と電気技術」に挙った論文との答え合わせ
協会誌「鉄道と電気技術」8月号にJR東日本の盛岡変電所更新工事の記事が載った
当ブログでは盛岡変電所更新についてWatchしていたので公式工事内容との答え合わせを行なった。
旧変電所の記事
946. JR東日本 盛岡変電所(ATき電、BTき電20kV・同軸き電25kV) 東北本線 秋田新幹線(田沢湖線) complete 2019年12月 Up
新設移転工事が進行中の為、渋民、日詰き電区分所延長き電中。盛岡変電所き電停止対応準備作業対応中の記事
1294. 東北巡検13 沼宮内変電所・盛岡変電所・二枚橋変電所 (並列き電検証) 2023年4月 Up
1313. JR東日本 盛岡変電所移転 新設工事の背景 2023年7月 Up
1454. JR東日本 哀愁の旧盛岡変電所(死にゆく変電所) 2025年4月 Up
移転先 新変電所に関する記事
答え合わせ
>154kV2回線受電 東北本線(含むIGRいわて銀河鉄道)、田沢湖線(秋田新幹線)
>東北新幹線(盛岡新幹線車両センター:盛幹所)の電鉄運転電力用として供給
及び
>BTき電、ATき電および直接き電方式が混在している特異な変電所
946. JR東日本 盛岡変電所(ATき電、BTき電20kV・同軸き電25kV) 東北本線 秋田新幹線(田沢湖線) complete 2019年12月 Upで言及 但し 直接き電が同軸き電となっている点が相違
>盛岡変電所は老朽化が進み設備が劣化 一部省略 設備更新スペースが無い
>周辺より土地が低いため浸水の恐れがある
1313. JR東日本 盛岡変電所移転 新設工事の背景 2023年7月 Upで言及
及び
1334. JR東日本 盛岡変電所備移転更新 複電圧スコット結線変圧器と変電所移設先の変圧器と単結線図(予想) 2023年11月 Upで主き電用変圧器(複電圧スコット結線変圧器)で言及
>現地点への一括設備更新計画の承認日 2018年9月 承認
これについては、知る由も無く 不問
>主回路結線図
き電系は興味があるので調査したが高配系は興味がないので調査はしていない
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想定した主回路結線図 |
比較すると想定した主回路結線図は正確に描けている。
一番悩んだM座 田沢湖線(ATき電)と新幹線盛岡車両センター(直接き電・同軸き電)部分はGP装置も正確に入れ込んである。
田沢湖線(ATき電)のAFとTFのM座(M、MN)の配分、新幹線盛岡車両センター(直接き電・同軸き電)の同軸き電ケーブル 外被用CT及びNMの繋ぎ込みも正確に入れ込んである。
受電部
受電設備のGIS化
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想定した主回路結線図(受電部) |
共通(スコット結線変圧器と高配変圧器)のMOF部分が抜けている。コンデンサ形計器用変圧器(VT)が抜けている。受電側のMOFの後の接地開閉器と避雷器が抜けている。
受電系統ケーブル敷設部
>既存変電所の受電鉄塔近傍から分岐する形で、今回東北電力NWで新設した
>特高ケーブルに接続されており、当社および民有地等を横断して受電引込口
>まで延線されている
1332. JR東日本 盛岡変電所移転更新状況(受電、変圧器一次側まで) 2023年11月 Upで言及
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青ラインが154kV 2回線の地中送電線経路 |
主変圧器のき配電分離
>既設盛岡変電所の主変圧器は、一次154kV、二次44kV(M座)・22kV(T座)
>三次6.9kVの三次巻線変圧器にて1台でき配電の負荷供給を行なっていた
>ため、主変圧器故障発生時には変電所負荷が全停電になるリスクがあった。
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三次巻線付き変圧器の弱点 |
1334. JR東日本 盛岡変電所備移転更新 複電圧スコット結線変圧器と変電所移設先の変圧器と単結線図(予想) 2023年11月 Upで仙台基地変電所(新幹線)の例を挙げて言及
>既設の主変圧器のき電巻線は、M座とT座の出力電圧が異なっており、き電
>母線の構成がやや複雑になっていた。一部略 M座母線に降圧変圧器を設け
>東北本線二枚橋変電所方面のき電を行なっていたが、この降圧変圧器が故障
>した際、受電用遮断器で保護する構成となっていたため、全停電のリスクが
>あった。
946. JR東日本 盛岡変電所(ATき電、BTき電20kV・同軸き電25kV) 東北本線 秋田新幹線(田沢湖線) complete で複電圧スコット結線変圧器、M座降圧変圧器を説明。しかし保護協調については言及していない。
>き電母線をM座、T座ともBTき電方式の標準電圧である22kVに揃えたうえで
>M座に接続される411系(ATき電44kV)および441系(直接き電30kV)には
>それぞれき電用遮断器の二次側に昇圧変圧器を設ける設備構成に変更
1332. JR東日本 盛岡変電所移転更新状況(受電、変圧器一次側まで) 2023年11月 Up スコット結線変圧器 二次側22kV 統一に言及
1387. JR東日本 盛岡変電所設備移転更新 スコット結線変圧器と変電所移設先の変圧器と単結線図(予想2) 2024年9月 Up 昇圧変圧器2台の構成について言及
1455. JR東日本 盛岡変電所設備更新 運開 最終記事 2025年4月 Up 最終主き電回線について言及
力率改善用並列コンデンサの廃止
設置されて無いことには言及したが、その理由については触れていない。
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2018年5月に実際に並列コンデンサを停止しても力率がほぼ100%だったので新変電所での測定を行ったところ力率がほぼ100%となり廃止の判断の妥当性が証明されている |
力率(PF)=P/√P×P+Q×Q P=有効電力量(kWh) Q=無効電力量(kvarh)
P=1,281,810kWh Q=19,450kvarh
√P×P+Q×Q=1281957.6kvarh PF=1,281,810/1281957.6=0.999885=99.9885%
既設変電所⇒新設変電所切替
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切換回線ごとに開放、投入を繰り返す手順を間違えられない重要な操作 |
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約2カ月をかけて徐々に新変電所に切替 2025年2月1日 全面切換終了 |
切換え方法については言及していないが、切換最中にトラブル発生した際に既変電所に戻す場合若干のダウンタイムが想定されてため隣接変電所からの供給を行なう際の並列き電状態を確認している。
1294. 東北巡検13 沼宮内変電所・盛岡変電所・二枚橋変電所 (並列き電検証) 2023年4月 Up
これは、渋民き電区分所(沼宮内変電所とのき電区分)、と日詰き電区分所(二枚橋変電所とのき電区分)が延長き電状態で旧盛岡変電所のき電用遮断器・断路器が投入されている状態 つまり並列き電状態を行なっていると思われる現場を確認した際の記事となる。
両き電区分所からの延長き電で盛岡変電所直下のデッドセクションで突合せを行なっているものだと思っていたが、実際は断路器が投入されて並列き電となってる。き電用遮断器の状態も「入」なので並列き電状態と判断した。一般的に遮断器両端の断路器が投入されていれば遮断器も投入「入」と推測できる。
切換後の旧盛岡変電所の状態
2019年に初めて訪問してから6年 日本電設工業の2021年3月期決算説明会資料に東日本旅客鉄道㈱盛岡変電所変電設備新設工事の記載があったので折に触れて盛岡変電所をWatchしてきた身としては、新変電所の運開を見届けることができた。また旧盛岡変電所を看取ることができたので感慨無量である。
参考資料
水城
直耶ら;盛岡変電所更新工事について:鉄道と電気技術Vol.36,No.8,pp.38-44,2025